自由に飛び回れないハヤブサ、ミルクを飲むヘビ、翼が燃えたアヒル、蝶々を追いかける兵士、地雷踏む羊。演出こそあほらしいですが、生活のすぐ隣に戦争があるがゆえの表現はむごいものです。
正直で誠実で、愛すべき映画です。
演出を説明するルヒさんや、「友達のうちはどこ?」に出演したことを自慢げに話す少年がなんとも愛らしい。
大人と青年の類似と対比が、ぽつぽつと見られます。
ナイフで遊ぶ二人。
凪いでヨットがとまったシーンで
、時間の浪費に焦りをみせる青年と余裕をもってスープを啜る大人。
ナイフが大切な青年、ナイフに冷笑的>>続きを読む
民主主義を目指そうという演説よりも目先の金貨を選び、お金がなくても生活できる彼らにとってはデモ隊鎮圧によって上がる煙もひと事。
身内は身内で、よそはよそ。だけど世間は鬼。
自分たちの社会主義的でシンプ>>続きを読む
ほとんどの大人は、子どもに言うことを聞けといいますが、子どもの言うことは聞こうとしない。
親切にしてくれるのは子どもばかりで、この映画に登場する大人のなかでも誠実な人はほとんどいない。
登場人物みんな、どこかが狂っています。狂気をどこに向けていいのやらと感じていたのか感じていなかったのか、彼らは格好の対象物を見つけます。自分たちの為すことで起こる結果を誰も予測出来ず、そして責任を取る>>続きを読む
澄みきった冷たい風のように爽快感を残し、その風がポーランドのもの悲しい大地をそよがせました。
彼らは貧乏人と有色人種のためにつくられた銃弾を仕込んだロシアンルーレットを強制され、いつかは負けるよう定められています。
破れ繕いそして破れる。
一度抱いた自由への希望は灰と化し、さらさらと風に運ばれることなく人々を地下水道にいるかのように窒息させます。
酸素を取り入れようとマンホールの穴から顔を出せば、外もさながら悪魔>>続きを読む
コンチータの容姿が違うのにもかかわらず、マチューは同じ愛を注ぎます。そんな曖昧さは見透かされるのかもしれません。
セックスに抵抗があるけど性の快楽を得たい、テロは嫌いだけど暴力を振るう。欲望はみんな曖>>続きを読む
初コクトー監督作品。
なんとも言えない心地よさが漂っています。
死神の語るフランス語は、そよそよとどこかうっとりさせる風を吹かせて、愛はどんな形でもみんな綺麗であるという気にさせます。
確かにあと何回か観直す必要がありそうです。
エントロピーの低下、逆行との挟み撃ち。ああ、SF作品のなかでも最高の設定や、めちゃくちゃ大好きなやつや、ってなりました。
大好きな作家、ジャック・ロンドンの自伝的小説が原作ということで鑑賞しました。
マーティンエデンは前半で、牢獄を築くものに自由を築くものの表現力はない、と世間を揶揄していたにもかかわらず、中盤あたりの>>続きを読む
鮮やかな幸せだった日々は過去のものであったとしても、無くした色を再び取り戻すことはできるだろうし、悲しみに別れを告げる日も来るでしょうよ。
開始一番に引き込まれました。
出演してるみんな楽しそうやし、好きな作品です。
この映画嫌いな人とかいてるの?
いわゆる家がなくてもホームレスより少し高い次元で生きているハウスレスの人たちの物語です。そこには思想や愛があったり、帰ることのできる場所もあるようです。
自由で単純で、清潔ですね。
これは僕にとって>>続きを読む
お伽話めいたアクションはさておき、素敵な物語ですね。
ただ風だけにささやかれ、人にみずから知らせるものも色も言葉もなく、どこかの空で沈黙しているのには飽きてしまうのでしょうか。
家鴨を見つけることができないホールデンという17歳の少年をつくった、サリンジャーの物語です。
ライ麦畑で遊んでいる子どもたちが急な崖から転げ落ちないようにつかまえ役になる、というホールデンの厨二病め>>続きを読む
おかしな気持ちになって、頭がこんがらがるばかりです。
足の下のじゅうたんを急にひきはがされたときと、おなじ気持ちです。
でなければ、いすの上ではなくって、いすの横の空中にういているような気持ちといった>>続きを読む
耳を澄ますと、もの悲しげで幽霊のような追憶が心を貫いて行進をはじめる。
そこでこういう気がするのだ、ああとりかえしたぞ、紛失したものをとりかえしたぞと。つまり怒り。悲しみではない。
革命にはならないよ>>続きを読む
一貫して愛に満ちています。
恋人、国、子ども、自分、法律、お金を愛した人たちの物語ですね。
僕は牛脂が大好きです。
SF嫌いのトリュフォーが近未来感を表現したのは乗り物だけですね。
この世界でのファイアマンを、消防士と訳しているのは違和感を覚えます。
燃やしているのに。
本が火に食べられ、黒ずんで、別になにかに>>続きを読む
弾劾による彼、彼女らの悲哀は、一冊の本から静かに言葉に仕えながら二、三の詩句を語り、本の中のあらゆる言葉を包んでいました。
なんか電気のパチパチする音が聞こえました。
銀球は地球と変わらないですね。
混沌、真実の欠如、嘘、愛、すべて地球と同じ
神も聖母も当てにならない。
自分たちを信じて、当てが外れる。
文句なしの現実的な映画ですね。
闇夜に乗じ、霧にまぎれてどことなく連れ去られていく情景を表現する言い回し、夜と霧。
これは過ぎ去ったものではないのかもしれない。
だけど、私たちは周りにたちこめる夜と霧を振り払うことができる。そう信じ>>続きを読む