marutabatsuoさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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オットーという男(2022年製作の映画)

3.8

優しさとユーモア、ちょっとヘビーな記憶と生きること死ぬこと。
徹頭徹尾温かくて良い映画。

とにかく頑固ですぐに怒鳴る偏屈じじい。実は妻を亡くし生きる意味を見失っていたのだった。隣に呑気なメキシカン夫
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

また今敏が世界に足跡を残したよ。絶対これ『パプリカ』オマージュだよね。どこかで監督インタビューとかで話してないかな?

今年最大の話題作、通称エブエブ。普通の中年女性がマルチバース界の調和を取り戻すキ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

両親のことが好きで映画のことが好きでたまらない少年が、母親にあのカットシーン集を見せるくだり。ミシェルウィリアムズよぉぉ、心底辛すぎて見ていられないです。
なのに全編に溢れる多幸感。哀しみと幸せが優し
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マリリンとアインシュタイン(1985年製作の映画)

1.5

ブラックユーモアにしてもわけわからん。
マリリン・モンローとアインシュタインとディマジオと赤狩りマッカーシーがホテルで会っていた設定。
わからんて

ちひろさん(2023年製作の映画)

3.9

「あなたはもうどこにいても孤独を手ばなさずにいられるんだから」
凄い台詞だなあ。

元風俗嬢のちひろさんは、港町の弁当屋で働く毎日。何事にも阿らず、自然体。
そんなちひろさんの周りには、孤独や生き辛さ
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.6

ロマンチック映画に多くの名作を生んできた吸血鬼モノの進化系。

生まれながらに人を食べざるを得ない人間の背負う罪の意識と孤独さ。分かち合える恋人の存在とそれでも消えない原罪と苦しみ。
最後はそうなるだ
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ワース 命の値段(2019年製作の映画)

3.4

主人公は保険のプロ。9.11アメリカ同時多発テロの政府補償金の分配のため被害者に命の値段を付けるという、どう考えても報われない仕事に挑んだ男の姿を描く。

プロフェッショナルとしての仕事運び、感情を入
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

4.0

うまく溶け込めなかった世界と唯一の救いだった先生。
地元に残る彼と東京へ出て行く少女。うまく伝えられない想いと花火。
忘れ得れない彼との永遠の思い出と答辞。
部長としての立場とある人の歌声への想い。
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.8

才能と極限の努力をも努力と感じない圧倒的に「好き」なものに打ち込む姿。
何が良いって青春モノなのに色恋なしで、ただひたすらに打ち込んだ者だけが見える景色とそれを共有できる仲間たちを描いた潔さ。強度ある
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.9

ポール・バーホーベンみあるわあ。
すべてが運命ならも捏造も狂気も神の意志。果たして奇跡か誇大妄想と虚言か……。

時にキリストを憑依させ、付いたか付けたか聖痕を持つ聖女と崇められるベネディッタ。一方で
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茶飲友達(2022年製作の映画)

3.7

映画の舞台は高齢者買春クラブ。オーナーのマナはじめスタッフたちは若者たちで働く嬢は皆高齢女性。
客は寂しさを抱える男老人、スタッフや嬢たちは互いをファミリーとして呼び合う仲の良さ。まるで理想郷を体現し
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.3

リューベン・オストルンド監督は人の嫌な部分をあぶり出す天才。
美男美女カップルの微妙なすれ違いからSDGsやデートで奢る奢らない論争を皮肉り(めちゃ笑う)、豪華客船での資本主義の階層や文化論をガツンと
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十階のモスキート(1983年製作の映画)

4.0

ベースは生真面目な警察官。しかし離婚後の養育費に追われ、ボートレースにはまり……。
やがて借金取りに追われ、性衝動と抑えられない暴力へ壊れていく。
壊れゆく孤独な男を内田裕也が演技を超えて体現。異常な
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対峙(2021年製作の映画)

3.6

一部屋のみの密室会話劇だがスリリングで胸が締め付けられる。
4人の登場人物は銃乱射事件の被害生徒と加害生徒の両親。
探り合うような会話から徐々に踏み込んでいくキリキリとした間合い。
果たして人は赦すこ
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「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち(2022年製作の映画)

3.5

これは見ていて辛すぎる。
東日本大震災で多くの生徒が波にさらわれた大川小学校。走れば1分程の裏山に逃げていれば助かったはずなのに……。当日何が起こっていたのか、真実を知るべく闘った親たちの記録。

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あ、春(1998年製作の映画)

3.7

死んだと聞かされていた父親が突然現れ「ちょっとしばらく置いてくれや」。
勝手な振る舞いに戸惑い、怒りさえ覚えるもやがて、父にも母にももちろん自分と妻にもそれぞれの人生と歩んできた道があったことが浮かぶ
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エゴイスト(2023年製作の映画)

3.8

「ごめんなさい」から「ありがとう」へエゴがもたらす家族の物語。

イケファッション誌編集者とパーソナルトレーナーのゲイの恋。 絡み付くようなカメラが金も肉体も絡んだリアルな関係を余さず映す。ピュアな恋
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.2

今年はこの映画が年間ベストの分水嶺になりそう。素晴らしかった。

中年女性の若い男へ恋。上司からの性的搾取。強烈な黒人差別。映画の力。さまざまなテーマが重層的に見事に調和してゆく。
見てみない振りをし
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.3

現状今年最高の当たり。

ある理由で女性ひとりロシアへの列車旅。同室者はがさつで卑猥なロシア男だった。
いつ侮辱されるか、襲われるか、心も休まらず眠ることすらできない。最悪の旅。それが徐々に変わってい
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タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター(2023年製作の映画)

4.7

ロマンチックなところばかり記憶していたんだけど、かなり強烈なパニックムービーだった。

前半は豪華客船を舞台に3等民がお姫様が知らないリアルな「世界」を見せることで恋に落ちる。まるでローマの休日。
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マグノリア(1999年製作の映画)

4.3

ぎりぎりで差し伸べられる神の手。あり得ないことは起こり、それがもたらす人生の和解。強烈なカタルシス。

登場人物は10人以上。愛する者への裏切り、怒り。一見関係のない人たちに共通するのは人生の後悔。
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.1

PTAの作品はダメ人間に優しい。テレフォンセックスのサービスを利用したばかりにヤバイことに巻き込まれるダメ男。でもこれが、一筋縄ではいかないラブロマンスに発展。
プリン300個のくだりも彼女の様子もぜ
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.8

巨チン自慢のポルノ男優のバカ話なのに凄い郷愁と優しさに満ちた作品。
時代の転換期を生きた栄光と挫折、そして落ちてどうしようもなくなってもやり直せるというメッセージ性。

2日で3本ポール・トーマス・ア
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

3.7

映画の魔法と優しいノスタルジーに包まれる。
チャイ売りの少年が映画に心奪われる瞬間がなんともいえない多幸感。 弁当と引き換えに映写室で過ごしたり、悪ガキたちと自主映画上映会をするシーン、すべてが手作り
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.9

あんなに仲良かったのに突然「今日から嫌いになった」と絶交宣言。しかも「つまらないお前と無駄な時を過ごしたくない」って。
混乱、困惑、狼狽。
実は裏に大きな理由があって仲直り的優しいオチはなし、最後まで
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

3.8

サンタさんが強盗とはちあわせ。ちょい不良サンタと金持ち家族のブラックコメディだが、ホーム・アローン感覚で進むのは前半まで。
後半一気にヒートアップの大活劇バトルと容赦ないゴア描写に激笑。無理やり感ある
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バビロン(2021年製作の映画)

3.7

デイミアン・チャゼル版『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
冒頭から祝祭感とノスタルジーにどっぷり。

ただし映画についての映画だし、これ、ブラピとマーゴット・ロビーのデートムービーだと
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すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.6

安楽死を望む父と二人の娘。重いテーマだが必要以上に重くなく、時にシニカルな笑いあり、法律の網目をくぐるスリリングな展開ありで魅せる。

しかし、最後の瞬間を娘が用意するというきつい話には変わらず。さす
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.8

完全にユダヤ人を虫かゴミ扱い。まるでネトウヨがダニだのなんだの言ってるような感じで国の首脳たちが「最終解決」を話し合う様子に心底気持ち悪くなってしまった。

しかも、それぞれが考えるのは自らが属する組
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.7

地上600メートルの超高層鉄塔に登るというチャレンジ。

途中までは予想通りのビッチ2人によるおバカB級スリラー。あまりのバカっぷりにはよ落ちないかなと思うほど。
けれど後半30分の展開は全く予想しな
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スクロール(2023年製作の映画)

2.0

作り手の意識ばかりがすんごい空回りしてんなー。

人の死をきっかけに真に生き直そうとする感覚、会えなくなってから距離が縮まる関係ってテーマは良いが、妙にこねくり回した雰囲気映像がだるくて分かりづらい。
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

3.8

寿司ペロテロで騒いでられる日本って良い国だなと心底思える。
娘がちょっと出かけただけで誘拐に合うって、メキシコおいおい……。

息遣いさえ感じるへばりつくようなカメラと躊躇のない暴力、一寸先がわからな
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シャドウプレイ 完全版(2018年製作の映画)

4.2

なぜこれを見逃していたのか。
手持ちカメラのキレとウエットを帯びた映像はカーウァイのようで、フィルムノワール的な退廃感も。とにかく画が圧倒的。

金と権力と男女の嫉妬と欲が絡見まくった事件が見えてくる
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.8

まるでme too版『ペンタゴン・ペーパーズ』

me too運動のきっかけとなったハリウッドの超大物ワインスタインの告発。あれは突然降って沸いたものではなかった。

背景にあったジャーナリスト達のぎ
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カンフースタントマン 龍虎武師(2021年製作の映画)

3.5

落ちて落ちて飛びまくる。
ブルース・リーがいかに偉大な変革者だったか、スタントマンたちが何度死んでもおかしくないスタントをしていたのか……

俺たちを虜にした香港カンフー映画のスタントマンたちに焦点を
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.5

ハンス・ジマーやジョン・ウイリアムスとともに生きる伝説、現役世界最高の映画音楽家のドキュメンタリー。改めてあれもこれもモリコーネの音楽だったことに驚く。
セルジオレオーネとの数々のタッグ、ニューシネマ
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