TPさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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人情紙風船(1937年製作の映画)

4.2

 監督の山中貞雄は日中戦争で1938年に28歳で病死したこともあり、ほぼ完全な形で残されている作品はたったの3作しかないが、それでも名匠として映画史に刻まれている。
 その理由が如実にわかる誉れ高き遺
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

3.2

 日本の原作漫画は未読。薄暗い映像の中での暴力描写は特徴的で際立っているし、ストーリーもなかなか衝撃的ではあって、タランティーノが審査委員長を務めた2003年度のカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞したの>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

3.8

 「アメリカの良心」と呼ばれたジェームズ・スチュワートが主演し、アメリカの良心を謡った作品で、現代でもアメリカで非常に人気が高い作品。
 当時30代後半のスチュワートは20歳程度からの役を演じるにはち
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年製作の映画)

3.8

★1989年に続き2回目の鑑賞★

 本作ではインディの少年時代も描かれ、現在のインディのもとになったアイテムや性格やらの起源が描かれるとともに、父親、家族との関連も深堀され、人物的魅力がぐっと深まっ
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インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

3.5

★1984年、1989年に続き3回目の鑑賞★

 中学生時代に初めて映画館で観た時は面白くて評点4.5。
 確かに冒頭のインドに着くまでのくだりとトロッコからラストまでの疾走感はアドベンチャー映画とし
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.5

 日本歴代最高興行収入を樹立したと言っても、国内の制作も海外作品の配給も滞りがちな中での上映作品群、しかもコロナ禍で娯楽が限られ、シネコンでは多数のスクリーンで上映されるという特殊状況があったのは事実>>続きを読む

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.0

★1983年、1984年に続き3回目の鑑賞★

 脱獄不可能と言われたアルカトラズ島の刑務所から脱走したと考えられている3人の実話に基づいた映画。
 過去2回の鑑賞では脱走までの過程が面白くて高評価だ
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.5

 スタイリッシュな映像と音楽がのっけから全開で、そこここにわざとらしさのないコメディ的な要素も入れながら、初めは病人たちの集いに癒しを求め、その後は殴り合いの場で自分自身の存在を感じるという奇想天外な>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 姉が自殺し、自身も結婚に不安を感じている処女エロイーズと画家であるマリアンヌの、美しくも冷徹な風景の中で心を開いていく様が丁寧に描かれる。
 一方で授かった命を堕胎する若いメイドの場面も対比的に描く
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ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

3.8

 ある事件を主観者の目から多方面で描くという手法自体は良く見かけるし、私は最近の日本映画はほとんど見ないので、Youtubeなどへの投稿動画を題材にした映画が数多くあるのかを知らず、本映画のその部分に>>続きを読む

告発のとき(2007年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 息子が行方不明になりその後死体で発見されたのはなぜなのかと、息子がそんな事件に巻き込まれた背景にあるものの炙り出しの2点が本作の骨格であるが、前者の、息子が殺された事件の真相究明のストーリーに魅力が>>続きを読む

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)

4.8

★1984年に続き2回目の鑑賞★

 とにかく、アラン・ドロンの造形があまりに美しすぎて重みがなく、その重みのなさがそのまま主人公トムの軽薄な人物像を表現し、彼の行動原理がこの映画全体の独特の雰囲気を
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心の旅路(1942年製作の映画)

3.8

 トーキー黎明期から人気を誇ったロナルド・コールマン(当時50歳)と、公開当時、大作に軒並み主演し乗りに乗っていたグリア・ガーソン(当時37歳)を主演に据えたスターシステム下で製作されたと推察される作>>続きを読む

母なる証明(2009年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

 映画としての出来は悪くはない。役者は達者で、ストーリーも途中からミステリー仕立てになって興味は尽きない、母親の心情もくみ取れる。また、初見の韓国映画であり、よく知らない韓国の下層の生活感がよく分かる>>続きを読む

チェンジリング(2008年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

 冒頭から、今では信じられないような腐敗した警察による市民への弾圧ぶりがスピーディに描かれる。
 9年間育てた息子を母親がわからなくなることなんかあり得ないのに、警察は被害者であった母親の言うことなん
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Shall we ダンス?(1996年製作の映画)

4.5

★1997年に続き2回目の鑑賞★

 いやいや、役所広司が若い!それに、柄本明も本木雅弘も出演してたんだねぇ。渡辺、竹中という個性派もぶっ飛んでる一方で、それぞれのキャラクターの掘り下げが丁寧なためど
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ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 懐かしき時代やおしゃれな展開というのは「カイロの紫のバラ」や「マンハッタン」といった全盛期のアレン作品を彷彿とさせ、それらの作品も大好きなのだが、本作では1920年代や1890年代の有名な画家や小説>>続きを読む

真昼の決闘(1952年製作の映画)

3.5

★1984年に続き2回目の鑑賞★

 西部劇をベースにはしているが、誰も手を貸さず孤立する元保安官ウィルを通じて描かれるのは、事なかれ主義、無根拠の何とかなるだろうとの気持ちから楽観視する住民という人
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ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 ストーリーは段々とミステリー的な中身が明らかになり、そしてそれはラストに近づくにつれ回収されていき面白いことは面白いのだが、劇中起こる2つの殺人事件が杜撰な警察捜査が根底にあるのか、未解決のまま進む>>続きを読む

13デイズ(2000年製作の映画)

4.5

 キューバ危機の緊迫の13日間を舞台にした心理サスペンス映画。一応、ケヴィン・コスナー演じるオドネルからの目線で描かれるのだが、物語の中心はケネディ兄弟である。

 ケヴィン・コスナー(といっても公開
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トータル・リコール(1990年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

★1992年に続き2回目の鑑賞★

 この時期のシュワちゃん映画は無駄に銃撃シーンが多いものだが、フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』が原作ということもあり、本作は話の展開が速くて(主人
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

2.0

色々なサイトで評価が高いですが、私は全くダメでした。
まぁ正直に書きます😔

 冒頭、ダンの生活ぶりが描かれるのだが、とにかく荒れているだけで、その奥にある人間的な魅力というものが全く感じられないため
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.0

 主人公が超高齢(クリストファー・プラマー85歳、マーティン・ランドー83歳)であるため、スピーディなアクションも展開もない。
 認知症で目覚めるたびに死んだ妻を探す主人公ゼヴは、もちろん旅の目的も忘
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ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)

3.5

 ドイツ軍が埋めたものをドイツ兵が撤去するという行為自体は理に適っていると思う。しかし1945年だからといって、若いドイツ兵が体を張って撤去しなければならなかった現実はつらすぎる。
 ミドルからハイテ
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レスラー(2008年製作の映画)

3.7

 かつては「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」や「ナイン・ハーフ」で優男風情のセックスシンボルとして名を馳せたミッキー・ロークは、その後猫パンチプロボクサーとして活動した期間もあるほどの格闘技好きで、また、>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

 2年前に低予算映画ながらヒットを記録。その時の、劇中劇という前知識のみを持ち鑑賞を開始。
 最初の30分では「なんだこの、大学の映画サークルが作ったようなチープな内容は?」と観るのを止めようかと思っ
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 難解だとという噂が蔓延っていたため、結構事前予習してから観賞。
 ストーリーはほぼ理解できた(と思う)が結構単純で、逆行する時間を順行時間と同時に大画面全体で表現するという、今まで見たことがない映像
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カリートの道(1993年製作の映画)

3.4

 冒頭の法廷でのカリートの演説シーンは、数多ある犯罪組織の大物というパチーノにありがちな役柄を彷彿させ、一気にいつものパターンかと萎えるのだが、パチーノの演技力(髭と、「マトリックス」のネオのような黒>>続きを読む

デッドゾーン(1983年製作の映画)

4.5

★1988年に続き2回目の鑑賞★

 実質的に本編は95分ほどと短く、現在の映画ではお約束の、映像的に凝ったところやストーリーテリング上での時系列をいじったりの工夫などは全くないため、クローネンバーグ
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 まず指摘せざるを得ないのはバランスの悪さ。
 宮沢りえと夫の連れ子である二人の娘の演技が素晴らしすぎて、かえってそれ以外の役者(特に私立探偵とヒッチハイカー)との力量の均等が取れない。
 また、宮沢
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 一言でいうと、私にとっては何も心に刺さってこない映画。
 近い将来、描かれているようなOSソフトは出てくるだろうし、ソフトは当然、持ち主の嗜好に合うように変わっていくものだから、恋愛感情を持つように
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隣人は静かに笑う(1999年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 初めは邦題の印象から、サイコな隣人が段々と主人公とその息子を追い詰めていくようなスリラー/ホラー系の映画かと勝手に想像していた。確かに途中までは予想通りだったのだが、中盤を過ぎるころからまさかの急展>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

3.8

 時系列を逆にしているのでかなり難解な内容で、その形式により、一種の謎解きするような精神集中を強要する映画。
 なぜレナードはブカブカの服を着ているのか、車のサイドガラスが割れているのか、なぜドッドに
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スター・ウォーズ/ジェダイの帰還 特別篇(1997年製作の映画)

4.5

★1983年に続き2回目の鑑賞★

 続3部作(エピソード7~9)と比較すれば間違いなく特撮シーンはチープであるし、スカイウォーカー家の確執が中心で、宇宙規模の戦いのわりには、描かれる戦闘シーンは局所
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スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

4.3

★1986年に続き2回目の鑑賞★

 エピソード4と6を結ぶ橋渡し的な作品なので、ダースベイダーvsルーク、凍結されたハンの運命などが、どうしても尻切れトンボになってしまうのだが、ダースベイダーはルー
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田園に死す(1974年製作の映画)

3.8

★1990年に続き2回目の鑑賞★

 文学者となった主人公は初の映画を製作中。その中で、自伝的な過去を描いているが、それは美化したもので事実を描いていない。それに苦悩した主人公は20年前の15歳の主人
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