ハシビロコウさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ハシビロコウ

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私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

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もう自分は「白人」とか「黒人」とか、言うのをやめようかと思った。何となく。直観的に。
それぐらい、この映画では「白人」「黒人」という主語が多用されるし、そのカテゴライズがすべての元凶だから。
前提知識
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

とにかくイッサ役の子役の演技がすごすぎる。最後の姿は圧倒的に邪悪なような、神々しいような…
始まってから終わりまで、坂を転がり落ちるように事態が悪化していく様は現実を先回りしてる。
言葉や話し合いで物
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ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん(2015年製作の映画)

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夏にもってこいの、キンッッッキンに冷えてる一本。
大事な人の死を受け入れるには、その人がいなくなるまでの具体的な体験が必要になる時がある。
変な例えだけど、心にきちんと穴を開けないと、穴の場所がわから
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ガザの美容室(2015年製作の映画)

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まず、日本からでは知る由のないガザの風俗(フィクションだからそういっていいのかわからないけど多分そうだろう)や気質が新鮮で面白い。
ガザの日常に不足しているもの、日本人との行動の違いがもたらす
時間の
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ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ホドロフスキーの人間的面白さが主題で、ドラマチックな映画作りのエピソードが愉快痛快。
特におもしろいのは、RPGの仲間集めみたいに、制作チームをスカウトしていく時のそれぞれの逸話。それぞれの業界で一流
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

中盤までの主人公は存在感が希薄で、上京した女の子と言うより浮遊霊のようだけど、おばあちゃんの言葉が吹き込まれるたびに実体を取り戻して行く。
そしておばあちゃんが死んだ時、その終わりようが、主人公をこの
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PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」(2019年製作の映画)

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ちょっと内容が薄いというか…現実に起きている紛争のことをぜんぜん勉強しないで脚本作った感がある。
今、この紛争の時代に、このレベルの紛争物を出すというのは正直ダサいと思う。
こんなトントン拍子の調停は
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PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」(2019年製作の映画)

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筋立ては古典的なので、ファンムービーという感じ。ドローンパイロットの管理というアイディアで現代とアニメの設定を結びつけたのはウマい。つまり、シビュラシステム自体はあんまり現代と地続感のない設定なんだけ>>続きを読む

グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-(1988年製作の映画)

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話に少し連続性が無い感じがした。ブレランもそうだけど、それが80年代の作法なのか。
ジョアンナはきっとジャックが(人格的に)長く生きられないことを悟っていて、地上との楔に自分がなろうとしたんだろう。
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ジョーカー(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

家の壁が毎日少しずつ迫ってくるような、じわじわとした圧力。決められた範囲内では自由だけど、絶対にそこからは出られない感覚。脱出しようとする度、誰かから攻撃されて、ダストシュートのように元のゴミ溜めへ帰>>続きを読む

サウナのあるところ(2010年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

全裸男性が途絶えることなく画面に出てるということでR15。中年男の告白がテーマなので女性は出ず。
フィンランドのサウナ文化や田舎の文化が新鮮で面白い。
サウナの合間に湖や川で水浴びをする。薪割ってサウ
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劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲(1998年製作の映画)

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自分の起源を憎む。本物になりたくて、本物を憎む。
なりたいものがあるふりをする。嘘でもなりたいものがあると言わないと生きてゆけない。ふりだとわかっているからこそ、もともとそうであるものを憎む。自分が座
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ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して(2010年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

さすがアメリカ、イベントのサイズもそれへの人生の掛け方もスケールが違う。年間で見れた野鳥の数を競うなんて物好きなイベントに目をつけた時点で半分勝ってる映画。アリューシャン列島なんて、あることすら忘れて>>続きを読む

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

煮詰めて煮詰めてスプーン一杯分に凝縮したような、そんな手紙が最高だった。

自分が仕事をするようになると、こういう映画の見方は変わる。仕事に誇りを持てることの大事さや、自分の仕事はどんな仕事なのか、ど
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共犯者たち(2017年製作の映画)

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韓国版マイケルムーア映画だった。メディアへの抑圧は劇的な形ではなく、水が堤防から染み出すように起きる。その時に大声をあげる人に耳を貸す人は少ない。その正しさは、堤防が決壊して町が水浸しになってから証明>>続きを読む

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ダイジェスト展開は、原作の記憶がぼんやりしてる自分にとってはジェットコースターのような感じで面白かった。
縮めてみると本当に原作のストーリーがよくできてることがわかる。
画面がフリーズした時の、「え?
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天気の子(2019年製作の映画)

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会いたくても会えない、会った所ですれ違う秒速、別れるために会いに行く星を追う子ども、運命の相手に会えた言の葉、運命の相手と死に別れても愛の力で再開できる君の名は、という歴史の流れを踏まえると、これほど>>続きを読む

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ウッディはついに自分の人生の主人になる。定年後、子育て後、部活引退後、第二の人生を始める時の羅針盤アニメといってよいかも。
ボニーがフォーキーを大切にするのは、フォーキーが外の世界への窓を拓いてくれた
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RBG 最強の85才(2018年製作の映画)

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たまたま、これを見た日の情熱大陸に上野千鶴子が出ており、なんか似てるなこの人達、と思うと同時に、二人を取り巻く環境の差に日米の差をまた感じてガッカリ。
RBGも上野千鶴子も、それらしい理屈に言い返せず
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海獣の子供(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

よかった。圧巻の映像と画面を埋め尽くす海洋生物の賑々しさは、現実の見え方を変えるだけのパワーがある。
自分のいる世界に順応できない疎外感を感じた時、違う価値観、違う生き方に触れることが救いになったりす
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薄暮(2019年製作の映画)

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朧月夜のシーンだけで名作。オーロラのようないわきの夕焼け。行きたくなる。

ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(2015年製作の映画)

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ワルツ・フォー・デビィが好きなので、どんな人が作ったのか知りたくて観賞。ピアノに向き合ってるという言葉がぴったりの思索的なプレイ。雑味があるのに癒される不思議な魅力。一度生で見たかった。

ヤギと男と男と壁と(2009年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ユアン・マクレガーとジョージ・クルーニーの類まれな無駄遣い映画として歴史に名を残すこと請け合いの迷作。笑えるようで笑えない、ミステリアスなようでミステリアスでない、風刺のようで風刺でない…ここまで何者>>続きを読む

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)

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この映画で一番よかったのは、ルースの挑戦のきっかけとなる訴訟が、あからさまに差別的な法律に関するものではなくて、「女性納税者は、介護費用の税控除が認められる」という税法の規定についてのものであるという>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の月面探査記(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

新ドラってキャラの感情に合わせた体の動きが記号的というか、ディズニーアニメっぽい。
それはそれとして、さすが辻村深月というべきよくできた脚本と設定に大感心。
スケールのでかいSFに、(ほぼ)不老不死、
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メアリーの総て(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

フランケンシュタインの作中の怪物のセリフがダイジェスト的に引用されるんだけど、その詩的で物悲しい言葉遣いが印象的で、ブレランのルドガーハウアーの最後を思い出した(というかブレランの原典の一つがフランケ>>続きを読む

PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

生方センセが外れたおかげでグロさが軽減され○。
今回は60分ということもあり、重たい問いはなくTVシリーズの前後編くらいの質量。
そんな中で、六ヶ所村をモチーフにしたと思しき核燃料貯蔵庫と核燃料回収問
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リベリアの白い血(2015年製作の映画)

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ストーリーは起承転で終わっている。いま画面で起こっていることがなぜ起こったのか、の説明が乏しく想像力が要求された。
とはいえ、普段全く大切にしていない輪ゴムとかが、どこで誰の苦労で作られてるかというこ
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あん(2015年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

アップリンク吉祥寺にて。
邦画は母語でやるぶん、洋画に比べて「演技してるのがわかる演技」がすぐわかるけど、映画を見るときはあたかも実在の人物かのように登場人物を観たいので、あまり観ない。
が、この映画
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

三時間なので迷ってたけど全然長さを感じなかった。
安室は自分の都合で人を陥れるけど、その結果として陥れられた当人はよりよい人生へ進むという展開はウシジマくんのいい話回のような味がある。
話の骨子はあり
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沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

スパイってタイトルだから諜報活動的なものを想像してたら全然違って、ゲリラに仕立てられた少年兵の物語だった。ドキュメンタリー映画。
当時沖縄には陸軍スパイ学校卒の軍人達が、地上戦になった時民間人をゲリラ
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ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

米林監督は、「小さい子のために」という思いが強すぎて縛られてる感じがした。「子どものため」のお話だから、という理由でお話にブレーキが掛かっていて、それが映画からドラマチックさや意外性を失わせてるとでも>>続きを読む

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

気になったのでネットを徘徊したら、やっぱりお姉さん=アリスという解釈があり、ある程度納得。
アリスの世界を思わせるモチーフが多数登場するので、原作もそういう意図なんだろうと思う。
一見理不尽な話の展開
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