ハシビロコウ

海獣の子供のハシビロコウのネタバレレビュー・内容・結末

海獣の子供(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

よかった。圧巻の映像と画面を埋め尽くす海洋生物の賑々しさは、現実の見え方を変えるだけのパワーがある。
自分のいる世界に順応できない疎外感を感じた時、違う価値観、違う生き方に触れることが救いになったりする。場合によってはそれが人間でなくも、魚でも植物でも昆虫でもいい。とにかく、自分の属する世界のしがらみが及ばないところに、また別の生き生きした世界があると感じることが大切で、結局、パワースポットとか、自然や動物に癒されるとかの感覚は、それに関連したものだと思う。
この映画は、そのへんを拾い上げて、知らない世界の豊さや、自分次第でそこにアクセスできることを説いてくれてる。

地球の生命の起源(隕石説)を生き物の受精と紐付けてるところが面白いのと、スピリチュアルや誇大妄想を圧巻の映像で観客に注入する腕っぷしもよかった。「この世界は、海底のたくさんの貝がはきだした夢なのかもしれないね…」あたりは、どっちらけの人もいただろうけど、観てる間それを信じかねない何か、そう思うことが面白いと思わせる何か、はこの映画にあったと思う。

教養がないとお話がわからないタイプの映画だけど、そもそも、「自分の属する社会が嫌になった人が、なんかよくわからないけどスゲーと思う体験をして現実を生きる力を得て帰っていく」という話なので、観客もそれでいいと思うし、それでルカと観客の心情が一体になるからむしろその方がいいかも。
両親の役回りが中途半端だったけど、邪魔にもなってないからいいかなと。
あと、男女の配役が逆じゃなくてほんとによかった