紫亭京太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

紫亭京太郎

紫亭京太郎

映画(721)
ドラマ(0)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

唐山大地震(2010年製作の映画)

4.4

1976年に発生して24万人もの死者を出した唐山地震によってバラバラになった家族の32年に渡る軌跡を描く中国史上最高興収を記録したパニック・ムービーのヒューマンドラマ。
東日本大震災により公開が延期さ
>>続きを読む

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)

4.2

短い場面ながら「玉音放送」原稿検討において「時運の趨くところ」の部分についての“攻防”が印象的で劇場を出てから思わず玉音放送全文を見直した。
戦争終結に向かっての昭和天皇・鈴木首相・阿南陸相三者の信頼
>>続きを読む

この国の空(2015年製作の映画)

4.3

戦場の地獄からかけ離れた国内での日常生活。しかしそこには戦時中ならではで敗戦目前の特殊な事情がとろりと複雑に絡み合い尋常ならざる情景が繰り広げられる。これも「戦争」というものが持つ一面。二階堂ふみの耽>>続きを読む

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)

4.3

「Side-A」「Side-B」の二部構成で展開する大学生から社会人1年目にかけてのラブストーリーがホンマにラストの数分で(宣伝的にはラスト5分)ひっくり返って呆気に取られる恋愛映画型ニュー・タイプ・>>続きを読む

おみおくりの作法(2013年製作の映画)

4.5

ロンドンのある地区の民生課で22年に渡ってコツコツと真摯に孤独死と向き合い死者の過去を訪ね歩き続けてきた男がようやく“生きた人間の将来”に歩みだそうとしたが…ほのかに光が差してきたかに見えた瞬間の衝撃>>続きを読む

サヨナラの代わりに(2014年製作の映画)

4.8

何不自由無く楽しい日々を送っていた女性が突然難病ALSに侵されて余命宣告を受けてしまう悲劇の中で介助人として雇った奔放な女子大生との交流を通して過酷な運命に陥っても人は生きる強さと喜びを見出だしていけ>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.7

イラク戦争でその腕前からレジェンドと呼ばれた狙撃兵の姿を静かに淡々と映しながら戦争によって“壊れていく”人間の悲劇を静謐に描くクリント・イーストウッドの手腕が冴える戦争映画の秀作。
ヒーローとされなが
>>続きを読む

木屋町DARUMA(2015年製作の映画)

4.5

任侠として堅気の人々と一線を画していたのも今は昔。社会の最底辺に住む一般人を食い物にした小商いに汲々とする昨今のヤクザには最早「任侠」の概念は無く親分子分や“兄弟”の絆も怪しい。
男気ある極道の男がD
>>続きを読む

海街diary(2015年製作の映画)

4.6

寄り添うように生きてきた三姉妹のもとにやって来た“はじめまして”な腹違いの四女は頑なだった長女の心をほぐし次女三女の成長を促しつつ心の奥に封印していた悲しみを解き放たせて自らの存在を認めることができる>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

4.7

暑く湿った空気の中で“マトモ”な兵士の目は生ける屍と化し狂った兵士の目は爛々と輝き狂気は周辺の住民にも伝播する。破壊される肉体と破壊されてなお地を這い呻く兵士達が阿鼻叫喚の世界が繰り広げられる大戦末期>>続きを読む

チャッピー(2015年製作の映画)

4.8

最新の人口知能を搭載し猛スピードで知識を吸収して加速度的に“成長”していくチャッピーの悲哀を描くのみならずチャッピーの“ライバル・マシン”が鍵となって人口知能とアンドロイドの進化に一石を投じる傑作SF>>続きを読む

マイ・インターン(2015年製作の映画)

4.9

人生を半世紀以上生きてきた諸兄にはうら若き女性たちと接する時の参考とすべき姿をロバート・デ・ニーロがさらりと快演!初老男性陣への自省促進と希望に満ちた秀作♪
ただし諸兄には人生における様々な“積み重ね
>>続きを読む

カプチーノはお熱いうちに(2014年製作の映画)

5.0

将来を誓いつつもいまひとつ確信が持てないカップルに絶対的お勧め!
カレシがアントニオに感情移入してボロ泣きしていたら多分おそらく大丈夫(知らんけど)
登場人物もストーリー展開もカメラワークもそして散
>>続きを読む

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)

4.8

語弊承知ながらヤクザが幅を利かせていた頃というのはかえって“悪の統制”が取れていた部分は否めないのではないかという感慨を「アウトレイジ」とは異なる目線で考えさせられたオーソドックスな演出で笑えるライト>>続きを読む

忘れないと誓ったぼくがいた(2015年製作の映画)

4.9

人の記憶から消えてしまう女の子に恋をした青年の哀しい青春ラブストーリー。
自分が人の記憶に残らない悲しさで始まる物語は愛する人が記憶から消えてしまう悲しさの身悶えするほどの辛さに共感してからは号泣必至
>>続きを読む

母と暮せば(2015年製作の映画)

5.0

始まって早々に浩二登場で涙を誘われてしまうのは息子と母親というシチュエーションが“野郎共”の潜在的なマザコン的部分に触れるからだろう。
様々な角度から涙腺をつつかれてハンカチが手放せない丁寧に分かりや
>>続きを読む

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

3.4

死の淵から甦る原動力として“憎悪”は強力なエネルギー源となるが最後は生物としての「個」が持つ生命力がモノを言うことだろう。極限状態にあって命を落とすのは「もうダメだ」と諦めた瞬間なのではないだろうか。>>続きを読む

インフェルノ(2016年製作の映画)

3.6

人類の半分を殺して人類の未来を残すか100年後の全人類滅亡を取るか究極の二択を突きつけてくる大富豪に立ち向かうご存知“闘う学者”ラングドン教授のミステリー娯楽大活劇!
ちょっと現在の「コロナ禍」を予言
>>続きを読む

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年製作の映画)

4.0

「スター・ウォーズ」エピソード4へとつながる物語はデス・スターの設計図がどうやって“反乱軍”に漏れたかをシリーズの正統なハラハラアクションで描く娯楽大活劇!
本当に“普通の人々”の莫大な犠牲のもとに入
>>続きを読む

新しき民(2014年製作の映画)

3.3

江戸時代の美作国で“山中”と呼ばれる地域の農民数千人が藩の圧政に抗議して立ち上がった「山中一揆」で自分もその一員でありながら家族も仲間も捨てて生きることにこだわって逃げた男。
「生きる」ということにぐ
>>続きを読む

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.3

とある地方都市に暮らすセクハラ全開な職場で働くごくごく平凡なOLが失踪。ハイテンションなギャルが彼女の捜索願いの張り紙を模して“グラフィティ・アート”として落書きしまくる徒党を組んで煽りまくる。そして>>続きを読む

クズとブスとゲス(2014年製作の映画)

4.0

社会の底辺でクズとゲスが蠢く姿は哀しい浅ましさの中にも強靭な生命力が漲っていて圧倒された。とうしようもない連中のどうしようもなさが心に突き刺さってくる怪作!
極道の撮り方に“北野武テイスト”を感じたら
>>続きを読む

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(2014年製作の映画)

4.0

ナチスドイツの蛮行を風化させずに語り継いでいこうとする全国レベルの取り組みがドイツにはあることを初めて知る。
過去の過ちに真っ正面から向き合い被害者達に対して真摯な眼差しを向けてその思いを理解すること
>>続きを読む

孤独のススメ(2013年製作の映画)

4.2

何かに縛られて生きることは幸せを逃すだけでなく今ある幸せさえ失うことになる可能性がある。自らの心を縛ることは誰もがしてしまいがちかもしれないが自分を“解放”し必要最小限の“しがらみ”にのみ従うことがで>>続きを読む

リリーのすべて(2015年製作の映画)

4.4

劇場の椅子に座ったままエンドロールで溢れだした涙の理由を考えた。
「自由」と引き換えの「死」という悲劇に対してか?ゲルダの「唯一の味方」としての支えに?
隣のJKが「何か知らんけど泣いた」と言ったこと
>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.0

オリジナルを上手く踏襲した“庵野節”全開の「ゴジラ」の新機軸!
単純に「怪獣だ倒せ」と自衛隊が攻撃するのではなく今の日本にこんな「不明巨大生物」が現れたら政府の対応はこんな手はずになっていて自衛隊はこ
>>続きを読む

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

4.2

妻と別れて故郷の函館で職業訓練校に通うアラフォー男が一風変わったエキセントリックなキャバ嬢と出逢い人生に仄かに明かりが射し始める。不器用にぶつかり合いながらも柔らかく好転していく拙いオトナの恋愛模様を>>続きを読む

花芯(2016年製作の映画)

4.4

ヒロイン・園子の思考や言動は男が書けば単なるポルノ小説で終わる女性の手にかかることでリアリティーを持った瞬間に男はただ立ち尽くすしかない。女性にしか見ることができない“深淵”を覗いてしまった園子の前で>>続きを読む

誰のせいでもない(2015年製作の映画)

4.3

自分勝手だった男が時を経てしっぺ返しを食らうというシチュエーションは自分の中でのヴィム・ベンダースの原点。
そのシチュエーションから和解と共感へと流れていく展開がなんとなく心地よく感じるところに歳をと
>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

4.6

若い頃に受けた研修で月面で生き残るために必要なものはどれかを議論するプログラムを思い出した。
宇宙飛行士には体力のみならず豊富な知識と冷静沈着を維持できる強い精神力が必要であることを改めて思い知らされ
>>続きを読む

LOVE【3D】(2015年製作の映画)

4.7

彼女と別れた男が抱く身悶えする後悔の念を映像化する天才ギャスパー・ノエ(京太郎評)が描く恋愛破局映画の悶絶作!
女子には野郎の精神構造を理解する一助となる優れた教材(別に知りたくもないだろうがwww)
>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

4.5

21世紀版「君の名は」は「時をかける少女」的「転校生」テイストのSFファンタジー♪タイムトリップの“原則”を覆すような展開も効果的に作用して物語に爽やかな後味とスッキリした余韻を残す爽快でライトなラブ>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.6

あらゆることから逃げ続ける男を支え守り続けてきた妻がある日忽然と消えてしまったことで男はようやく現実に向き合えるようになる姿が胸に迫って苦しい。
得ることよりも失うことの方が影響が大きいのに人はいつも
>>続きを読む

俳優 亀岡拓次(2016年製作の映画)

4.7

37歳独身の俳優・亀岡拓次は脇役・端役ばかり。そんな彼の役者人生に己をダブらせる諸兄も多いはず。社会とは多くの脇役・端役で成り立つもの。しかし脇役ならではの輝きを放つことがあるから人生は楽しい♪
なん
>>続きを読む

ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)

4.8

相変わらず「どんだけ強いねん!」という展開が爽快な期待して観に行って期待を裏切らない待望のシリーズ最新作♪
今後の新たな展開へのワクワク感を余韻に残しながらアクション・ムービーの王道を真っ直ぐに突き抜
>>続きを読む

幸せをつかむ歌(2015年製作の映画)

4.9

ロケンローなメリル・ストリープがカッコ良すぎるも寄る年波勝てない痛い感じが哀愁を帯びて「夢を追い続ける」ことの喜びと悲哀がにじみ出て胸に染みる。ラストの大団円で後味スッキリな痛い家族の愛情再興物語の秀>>続きを読む