紫亭京太郎

野火の紫亭京太郎のレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
4.7
暑く湿った空気の中で“マトモ”な兵士の目は生ける屍と化し狂った兵士の目は爛々と輝き狂気は周辺の住民にも伝播する。破壊される肉体と破壊されてなお地を這い呻く兵士達が阿鼻叫喚の世界が繰り広げられる大戦末期のフィリピン戦線の閉塞感と絶望感を生々しく描く地獄絵図戦争映画。砲火と飢餓が肉体と精神を破壊して地獄が現世に現れる恐怖を見てなお戦争論者でいられる人間もいるのであろうことに憤怒しかない。
紫亭京太郎

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