矢吹健を称える会さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

矢吹健を称える会

矢吹健を称える会

映画(1391)
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(2023年製作の映画)

3.3

 この題名で信長・秀吉・光秀・家康を描くとあれば、北野武流の――それこそ、任侠映画に対して『アウトレイジ』シリーズで行ったような――新鮮な「解釈」が披露されるのだろうと期待したのだが、なんか、意外に穏>>続きを読む

逃亡者(1959年製作の映画)

2.7

 シネマヴェーラ渋谷で観賞。私の貧しい映画鑑賞歴のなかでは、特筆すべき上映だった……まず、台詞が極めて聞きづらい。何言ってんだか、ほぼ判別不可能なレベルだと感じた。全編、特定の周波数帯をまるごと削った>>続きを読む

九人の死刑囚(1957年製作の映画)

2.8

 今回のシネマヴェーラの特集で古川卓巳監督作品を何本か見たけれど、どれもよくも悪くも古臭いというか、瑞々しさを欠く演出……本作も何しろこんなテーマなので、全編もったりと進行する。小林旭(かなり若い)の>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.1

 めちゃえげつない話で驚いたが、最後の最後まで、サービス精神というか、誠意を感じる内容と思った。序盤は、せわしい展開、そもそも主人公が何をしたいのかわからない点、何本もの筋が連動せず描かれる点、あとヒ>>続きを読む

若い傾斜(1959年製作の映画)

3.8

 傑作。ほとんど事件らしい事件が起きない前半部の描写が良い。川地民夫の住むアパート?の階段をまたぐショット、歌声喫茶の2階から1階へゆっくり下降するショットなど、移動撮影が抜群の冴えを見せる。赤木圭一>>続きを読む

デシベル(2022年製作の映画)

3.3

 韓国映画といえば家族モノだが、薄情な自分はそちら系の作品で感銘を受けたことは殆どない。しかし、本作のラストで登場する「ある爆弾」のアイデアには、なるほどと思った。描写自体が感動的なうえ、その裏に、家>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.2

 役者の演技を引き立てる、じっくりと肝の据わった演出が素晴らしい。が、稲垣吾郎――いわば『桐島、部活やめるってよ。』の東出昌大にあたるキャラクターで、一番おいしい役なのだが――に怒鳴らせるのは、悪手で>>続きを読む

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

2.7

 きっちりしたCGに「取材しました」という生真面目なスタンスが見て取れて好感は持ったのだが……唯一の特異点である「社長のテイスティングノート(aka印象擬人化イラスト)」が掘り下げられないのでガッカリ>>続きを読む

法廷遊戯(2023年製作の映画)

2.0

 辛いことがあったため、現実から目を背けるべく4本映画を見たのだが、1→2→3→4と、本数を重ねるごとに出来が悪くなっていく。かなりきつい。本作が何本目かは言わずにおくが4本目です。

 この手の現代
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マーベルズ(2023年製作の映画)

1.7

 数々の酷評は知りつつも、なにしろ根が真面目なもんで一応見に行ってはみたのだが、冒頭の腕輪(?)発見シーンが、1950年代の低予算コスチュームSFのように気の抜けた画面で、オウ……となった。このシーン>>続きを読む

テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR(2023年製作の映画)

3.4

 『IU CONCERT: THE GOLDEN HOUR』とつづけて見たのだが、映画で見るかぎり、IUのコンサートのほうが仕掛けが派手で、へーと思った(もっとも、一会場で2日間に全力投入したIUと違>>続きを読む

北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

3.6

 冒頭の輪郭線があいまいな状態でのアニメーションでぐっと掴まれる。あまりにも可愛い。ことに前半が絶品。主人公を筆頭に人間たちはみな客よりも背が高いため、ただ接客するだけでも前屈みになったり座ったりとめ>>続きを読む

IU CONCERT: THE GOLDEN HOUR(2023年製作の映画)

3.7

 IU……美の化身か? めちゃめちゃ可愛くて美しい。もともと彼女の音楽のファンで、見た目には正直興味なかったのですが、本作を見てぞっこんになってしまった。第2部の"LILAC"終わりで振り返る仕草! >>続きを読む

極限境界線 救出までの18日間(2020年製作の映画)

2.8

 近頃は海外を舞台にした韓国映画が多い気がするが、その中でも非常に良く出来ていた『モガディシュ 脱出までの14日間』――と、姉妹篇でもあるかのように邦題を似せている。いいんでしょうか。他のレビュアーさ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.3

 ゴジラ関連の破壊描写に期待したのだが、多くが『シン・ゴジラ』と大差ないのでがっかりする。当然、『ザ・ワールド・イズ・マイン』のヒグマドン襲撃には遥かに及ばない。
 ただ、『シン』との明確な差異として
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夜の勲章(1963年製作の映画)

3.2

 「御曹司で私立探偵」というアホが考えた設定をのりこなす小林旭が完璧。革のジャケットを着こなす姿がほれぼれするほど格好良い。必要性皆無な外車ぶっぱなしシーンや、日活らしいセットを駆け回る乱闘シーンに、>>続きを読む

地獄の用心棒(1955年製作の映画)

2.3

 こんなに題名が内容と関係ない映画は(ことに、日本映画では)なかなかないなと思いながら見ていた。
 なんか全編演出がトロくて、のたのた描かれるのが見てらんない。ラストも『白熱』みたいに昇らせるのならも
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さよならエリュマントス(2023年製作の映画)

3.1

 藤本沙羅と平井亜門が夜の公園で、望遠鏡をのぞいたりしながら会話をしているシーンが良い。このシーンひとつで、見てよかったと思ったくらい、じんとくる素敵な見せ方だと思った。
 また、主演の女性たち(ミス
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ノランムン:韓国シネフィル・ダイアリー(2023年製作の映画)

3.0

 ずっと楽しみにしていたドキュメンタリー。ゆるいけど好き! 書店の伝言板から同人サークルに発展していくというのが何ともたまらない。あの血も涙もない(失礼)ポン・ジュノ監督にも、こんな可愛い青春時代があ>>続きを読む

リゾートバイト(2023年製作の映画)

2.9

 安っぽい画面効果よりも、録音・整音の低質っぷりに予算の少なさを感じ、辛い気持ちになる。主人公たちのキャラクターも面白みがない。

 と思っていると、この映画、中盤からひと工夫で見せるアイデアがたくさ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.6

 幕開けから心の声モノローグをひたすら入れてくるので死ぬほど眠くなったのだが、これが殺人シーンとその後の顛末にちゃんと活きてくる。やっぱり巧いなあと思った。
 その後もモノローグが煩わしいが、マイケル
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おまえの罪を自白しろ(2023年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

 事件が起こり、主要人物が揃うあたりまでは、台詞などに違和感はおぼえつつもテキパキ話が進むし、中島健人や池田エライザ、および脇役たちの演技も悪くないなあと思いながら見ていた。撮影も良い。
 ただ終わっ
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

2.9

 ずっと口をへの字にしたディカプリオのくそマヌケ演技――これをさせたら現状世界一でしょう――を堪能する、というか、他に楽しいキャラもいないので、それだけって感じの3時間30分。長すぎる。

 かなり序
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.2

 また例によって例のごとく編集のテンポがおかしく、冒頭に出るキャストのクレジットのフォントがダサく、台詞が聞き取れないため、終わった……と思いながら見ていたら、なんと珍しくタイトルの出方が実にかっこい>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

2.5

 SF的ディティール(死者の思念を引き抜く装置や、特攻ロボなどは良かった)もなかなか粗雑ながら、作劇の程度がなんとも低く、しかもジメジメした回想ばかり挟みやがるので中盤以後はテンションが著しく落ちる。>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

2.0

 三文芝居を三時間見せられるの辛すぎる。出ていけという話ではあるが

オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

3.2

 冒頭の、異様にテキパキした演出に、ガイ・リッチーの職人としての進歩を感じた。本当に、すーっと流れるような語り口だ。
 マクガフィンの中身も、駅での争奪戦も、近頃の同系統作品で見たやつばっかりだし、チ
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ストールンプリンセス キーウの王女とルスラン(2018年製作の映画)

2.5

 例にもれず(?)、私も本作を輸入した方の心意気に打たれて、映画館に上映初日に馳せ参じたクチだが、映画そのものは、まあ……ディズニー(をやろうとしたもの)ですよね……。『アラジン』やんけ、とか、ことさ>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.5

 周到で端正で知的な……つまり、丁寧によく考えられた映画と思う。映る光景はすべて出来すぎなくらい綺麗。黒木華は(私が見てきたなかでは)これまでで一番美しいと思った。
 また、主人公が暮らすマンションの
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コンフィデンシャル:国際共助捜査(2021年製作の映画)

3.1

 『ヒート』を思わせるハードな市街地銃撃戦から幕を開けるが、登場人物の位置関係が飲みこみがたく、『ザ・アウトロー』のような良く出来たオマージュはなかなかないものだなあと思いはしたものの、とはいえOPの>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

2.7

 導入部から、なんだかごちゃごちゃしていてよくないなあと思っていたのだが、現場に集まりはじめて(≒クマが暴れ始めて)から少し持ち直す。マーゴ・マーティンデイルの暴れっぷりがまあまあ良い。あと、東屋の前>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.4

 日本ヨイショがすごい。序盤からガンガンぶっこんでくる。反日パヨクの一翼を自認するワタクシとしては当然、いかがなものか、と顔をしかめながら見ていたのだが、デヴィッド・ハーバーの演技が良いんですねえこれ>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.7

 声優界では最高の歌手である岩男潤子の、歌声がひとつも聞けない点が非常に惜しい。とはいえ本作を見て、声優・役者としても(というのは変な表現かもしれないが)卓越した方だったのだと改めて思い知った。素晴ら>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.3

体感! 人間性と犬好きは比例
犬好きに悪りぃー奴はいねー
(餓鬼レンジャー "THIS KICKS ASS")


 一切の衒いもなく気取りまくった台詞がきちい。やめてーってなる。アクションシーン以外
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ボクは五才(1970年製作の映画)

3.3

 全編、なんかトンチンカンなナレーションが入る。興を削ぐとまでは言わないにせよ、どうしても違和感を覚えてしまう。高知―大阪という、5歳児にはあまりにスケールのでかい旅行のモチベーションを、ナレーション>>続きを読む