矢吹健を称える会

ゴジラ-1.0の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.3
 ゴジラ関連の破壊描写に期待したのだが、多くが『シン・ゴジラ』と大差ないのでがっかりする。当然、『ザ・ワールド・イズ・マイン』のヒグマドン襲撃には遥かに及ばない。
 ただ、『シン』との明確な差異として、官僚が一切登場しない点は大きい。これ、官僚映画だった『シン』との差別化を意図した、山崎貴流の「ひねり」なんだろうけど、さすがにそれは無理があると思った。東京ぶっ壊されてるのになんでボランティアに任せてんだよ。無政府状態かよ。
 終盤の作戦がまったく映画的でないのも辛いが、ラストで爆破までに少しタメるのはよかった。

 神木隆之介は『永遠の0』の岡田准一みたいなキャラクターで、やたら本作では特攻についての言及がある。個人的にはすごく違和感を覚えた。まず、神木が特攻で出撃しながら死ななかったことと、その直後のゴジラ襲撃でなにもできなかったことは、本質的には連関しない事象のはずではないか。それが一件連関しているように見えるのは、その行動の背景に、解消されるべき「葛藤」としての「臆病さ」を設定しているからだと思うのだが、特攻というモチーフを「臆病さ」と結びつけるのは、さすがに現代ではナシなんじゃないか。

 また、山崎貴の他の作品と同じくヒロインや子供の扱いも淡白で、多いに不満が残る。いるだけ。ぎゃあぎゃあ喚く演技もきつい。