miwanさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

4.3

フェリーニとかホドロフスキーのようなカーニバル感溢れる作品

『第一次大戦末期、ドイツ軍は占拠したフランスの小さな街に、街を吹き飛ばすほどの時限爆弾を仕掛ける。イギリス軍の伝書鳩通信兵のプランピックは
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

私にとっても、祖父祖母=故郷なので、こういうおじいちゃんおばあちゃんの出てくる作品を観るといやでもノスタルジックになってしまう。

プライマルスクリームのボビー・ギレスピーの自伝「テネメント・キッド」
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ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

3.7

『弁護士カニングの妻であるゲアトルーズは、夫との結婚生活に不満を抱いており二人の間に愛はない。ゲアトルーズは若き作曲家エアランと恋愛関係にある。ある日、彼女の元恋人であり著名な詩人ガブリエルが帰国し祝>>続きを読む

愛の昼下がり(1972年製作の映画)

3.6

やっぱりフランスの男性が苦手。
「フランスの男性」という括り方は時代遅れで偏見に満ちてにいるかもしれないけれど、そうとしか言いようがない。
クロエにもあんまり魅力を感じなかったからなおさらそう感じたの
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クレールの膝(1970年製作の映画)

3.5

恋愛観や結婚観は自由だけど、これはどうしようもなく気持ち悪い。
気持ち悪いとか言っちゃいけないのかもしれないけれど、本能がそう感じるのだからしょうがない。

まず、パーソナルスペースが狭すぎる。
みん
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奇跡(1954年製作の映画)

4.8

目に見えないものは信じるけれど、目に見えるものは信じない。

すべてが美しい。
すべてが計算されている。
でも、本当に計算して作ったのか、出来上がったものが結果的に計算されているのかはわからない。過も
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モード家の一夜(1968年製作の映画)

3.9

相変わらずフランスの恋愛観が素晴らしくて、時々置いてけぼりになってしまう。
そして、哲学や宗教についての会話がメインなので、こちらも時々置いてけぼりに、、、

それでも主人公の妙な信念だけはこれでもか
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怒りの日(1943年製作の映画)

4.0

厳粛で静謐な美しさ
その内に流れる邪悪なもの

中世のノルウェー
老齢の牧師アプサロンと若き後妻のアンネは平穏な毎日を送り、アンネはアプサロンの母親からの嫌がらせにも耐え粛々と暮らしている。
そこへ、
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コレクションする女(1967年製作の映画)

3.7

画廊のオープンを控えた青年アドリアンは、ロンドンへ行く恋人からの誘いを断り、南仏にある友人の別荘に滞在する。
彼は、同じ別荘に滞在する少女アイデに出会い、奔放な彼女に苛立ちながらも惹かれていく。

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シュザンヌの生き方(1963年製作の映画)

3.7

世の中は自分中心に回っていると疑わなかったのに、急に自分が何も見えていなかったと気付くお話。

マウントとっていたと思っていたのに、自分と相手は同じ土俵に立ってすらいなかったと気付くお話。

自分の道
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モンソーのパン屋の女の子(1963年製作の映画)

4.0

若者らしい自意識過剰加減が何とも言えずおかしい。28分の短篇だけど、まさしく教訓じみた要素がぎゅっと詰まっている。

舐めた指でめくられた紙に包まれた、大量生産のサブレを頬張る青年。食べ終えたら紙は丸
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.0

ゴダールの「女と男のいる舗道」でアンナ・カリーナが本作を観て涙を流すシーンがあった。それが「裁かるゝジャンヌ」だと後から知ったのだが、とにかくそれがすごいインパクトだった。

BGMは流れるけれどセリ
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

4.5

シンプルにおもしろくて、無防備に楽しめた。

まず、クリプラ痩せたよね。別人かと思った。そして、クリスチャン・ベイル良かったし、ラッセル・クロウも良かった。

もちろんユニバースは繋がっているけれど、
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

少年エルヴィスが黒人音楽に出会うシーンは、まさに精霊が降りてきたその時だった。

クラシックやジャズみたいに過去の音楽はすべて「古いもの」「古典」とひとくくりにされがちだけど(ロックもそうなるのだろう
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キンスキー、我が最愛の敵(1999年製作の映画)

3.9

ジェイソン・ロバーズとミック・ジャガーが演じたシーンの後に、クラウス・キンスキーの演じた同じシーンを見せつけられたら、申し訳ないけれど前者は凡庸でしかなかった。「これはフィツカラルドではない」

自分
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問いかける焦土(1992年製作の映画)

4.0

「ワーグナー、ヴェルディ、マーラーの壮麗な音楽を背景に描かれる湾岸戦争のドキュメンタリー」
そう聞けば、きっと頭に浮かぶイメージは画一的になってしまうだろう。でも、ヘルツォーク監督の描く映像は、力強い
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フィツカラルド(1982年製作の映画)

4.0

ついつい、クラウス・キンスキーがいつブチ切れるかヒヤヒヤしながら見ちゃうんだけど、純朴なほど一直線に夢を追う姿がおかしくも愛おしい。

「地獄の黙示録」のレビューにも書いたけれど、両作品には何となく重
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シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

4.3

ブルーノを愛おしく感じる気持ちは薄れない。そして、夢を追う当事者から、現実を見る傍観者になっていく様が切ない。

エーファとシャイツ老人の結末をすっかり忘れていたので、「こんなに未来を感じられないお話
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ライトスタッフ(1983年製作の映画)

3.8

【午前十時の映画祭】
6年前にDVDで観た時の印象とだいぶ違った。まず、「白人ばかり」 。ヒスパニック系の人が差別的に扱われているのが描かれてはいたけれど、一瞬登場した黒人は給仕みたいな感じで、その補
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.2

時間の感覚が狂わされる。
ひたすらリアルタイムでの日常を見ているつもりでいると、知らない間に時間が過ぎている。そして、またリアルタイムの日常、、、

まめな消灯や、包装紙やアルミホイルの再利用。四枚の
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グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.1

「プラネット・テラー」も「デスプルーフ」も家で観ていたら、そんなにおもしろいと思わなかったかもしれない。「プラネット・テラー」なんて半分くらい薄目だったし
でも、「劇場で観る」ということは何かの魔法な
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.9

「欲望のあいまいな対象」の後に観たので、「これもコント的なやつかー?」と思わせるようなブラックな笑いから始まった。

駐仏ミランダ共和国大使のラファエル。フランソワとシモーヌのテブノ夫妻。シモーヌの妹
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欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

3.9

初老のブルジョワ男性を翻弄する美しきコンチータ18歳。
「あれ、さっきと髪型違うよねー」くらいの違和感しか感じていなかった私は相当鈍い。二人一役だった。終わってから気付いた。そうだよー、全然違うじゃん
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.9

さあ、これからどうなる???
と期待が膨らむ矢先の「Fin」どーん、客電ぴかー
私の思い込みと刷り込まれた予想を軽ーく飛び越えていったルイス・ブニュエル

この時代の話だから「小間使い」と言ったらこん
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.0

「アメリカ」の存在が弱くてあんまり思い入れできなかったんだけど、これから活躍するのかしら?
それに比べてワンダの存在感よ!

マルチバースは分かりやすく原始的に描かれていたけれど、「変異体」の存在はど
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.9

画面から押し寄せる情報が多過ぎず、人物の心情がよりクローズアップされるモノクロ映像がぴったりの作品だった。

NYを拠点とするラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)は、LAに住む妹の
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エコー・イン・ザ・キャニオン(2018年製作の映画)

3.8

1960年代〜70年代にかけて多くのミュージシャンが移り住み、音楽の聖地・ロックの聖地となった「ローレル・キャニオン」
そのシーンの象徴的なミュージシャンに焦点を当てたドキュメンタリー作品。
ホスト役
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

3.7

サラッと楽しめた。

個性的な登場人物がたくさんいるので、もっと皆んなが深く関わり合い、もっとひとりひとり(一匹一匹)が輝くようなお話だったらもっと良かった。

ジュード・ロウもいいんだけど、何か物足
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スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)

4.0

恥ずかしながら、「アネット」を観るまで「スパークス」のことは知らなかった。

エドガー・ライト監督の音楽愛に満ちたドキュメンタリー作品。
1970年代のデビュー以来、唯一無二の存在であり続けたスパーク
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アネット(2021年製作の映画)

4.2

私はすごく好き。
ダークファンタジーだけど、まるっきりの夢物語ではなくて、現実と虚構が違和感なく境界線もなく描かれている。それは、物語と音楽(歌)が境界線なく共存しているロック・オペラそのものだ。
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タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)

3.8

ジェシカ・チャスティンもアンドリュー・ガーフィールドも特殊メイクみたいな顔で気持ち悪い。気持ち悪いんだけど、最後には愛おしく思えてくるから不思議だ。

1970年代〜80年代に実在したキリスト教伝道師
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モービウス(2022年製作の映画)

4.0

軒並み評価が低めだったので、恐る恐る映画館に行ったけれど、おもしろかったし結構楽しめた。
マイケル(ジャレッド・レト)の生い立ちやどのようにして怪物になったのかもきちんと描かれていたし、登場人物の相関
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ずっとお城で暮らしてる(2018年製作の映画)

3.8

映画→小説の順

ライトなダークファンタジーというか、ちょっと怖いお伽話のような物語だ。

メアリ・キャサリン・ブラックウッド、通称メリキャットは、姉のコンスタンス、伯父のジュリアンと一緒に大きな屋敷
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ロスバンド(2018年製作の映画)

4.0

子どもや家族を描いた作品を得意とする監督さんの作品ということなので、難しいことはなくそのままを楽しめる。思った通りの困難と思った通りの展開と思った通りの成長の物語。けれど、決してありきたりの物語ではな>>続きを読む

雨のしのび逢い(1960年製作の映画)

3.7

原作→映画の順

貿易会社と鎔鉱所の社長夫人であるアンヌ・デバレード(ジャンヌ・モロー)は、街のカフェで起きた情痴殺人事件をきっかけに、とり憑かれたようにそのカフェに通うようになる. そこで元鎔鉱所員
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恐るべき子供たち(1950年製作の映画)

3.7

「恐るべき子供たち」
子供たちは中学生だ。
いや、どう見ても20代30代にしか見えない。子供らしいのは、股下10センチくらいの短パンをはいていることくらい。そして、ポールを演じるエドアール・デルミ(ジ
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