mitzさんの映画レビュー・感想・評価

mitz

mitz

ベイビーガール(2024年製作の映画)

2.5

社会的な成功を収めた女性CEOの ロミー とインターンの青年 サミュエル の不倫話。二人の関係が次第に複雑になり、パワーバランスの変化や欲望に支配される様子が描かれます。
主人公ロミーの年齢とともに容
>>続きを読む

片思い世界(2025年製作の映画)

2.0

坂元裕二脚本の独特なグロテスクさを孕んだ観る側のリテラシー(≒マナー)に大きく依存した異質なファンタジー作品。
物語冒頭から違和感を覚える展開が続き、それが開始約30分で明かされるものの、その独創的な
>>続きを読む

教皇選挙(2024年製作の映画)

3.5

こちらも今年度アカデミー賞ノミネート作品。閉鎖的な空間で世界の秩序を司る儀式である「コンクラーヴェ」の緊迫した様子を描いた政治ドラマです。バチカンの教皇選出を巡る枢機卿たちの駆け引きを中心に、信仰と権>>続きを読む

ブルータリスト(2024年製作の映画)

2.5

今年度アカデミー賞ノミネート作品。ホロコーストから逃れた建築家ラースロー・トートが、アメリカ人実業家から礼拝堂の建築を依頼されることで、彼の人生と信念が試されていく重厚なヒューマンドラマ。
無骨なブル
>>続きを読む

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

3.8

本年度アカデミー作品賞。ロシア人の御曹司 イヴァン と ストリップダンサー アノーラ(アニー)2人の物語。
2人が出逢い結ばれるまでの前半は酒とドラッグ、そしてセックスに溺れるイケイケに華美でぶっ飛ん
>>続きを読む

ファーストキス 1ST KISS(2025年製作の映画)

3.5

離婚寸前の夫婦が不慮の事故で死別することで人生の機微や人間関係の繊細さを描いたタイムリープ作品。
坂元裕二脚本らしいウィットに富んだ小洒落た会話劇とその空気感を妻役である松たか子が見事に体現しています
>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

3.0

1980年代のニューヨークを舞台に、孤独な犬とロボットの友情を軸に進行する物語。視覚的表現とノスタルジアを駆使して友情と喪失を描いたアニメーション作品です。
セリフを排し、映像と音楽のみで物語を展開す
>>続きを読む

アンダーニンジャ(2025年製作の映画)

1.5

花沢健吾原作の現在連載中のコミックの映画化。日本国内には暗躍する忍者が約20万人存在するという都市伝説的なストーリーを現代的に脚色した独創性の高い作品です。
このジャンルの作品はその「再現性」と表現の
>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

4.4

所謂、呪術廻戦のエピソード0ですが、本編「懐玉・玉折編」で一度12年前を振り返るため、時系列的にはその後にあたる[ 0.5] となる作品です。
登場人物は多岐に渡りますが、本編の主人公 虎杖悠仁 は登
>>続きを読む

クラブゼロ(2023年製作の映画)

2.0

名門校に赴任した新任教師ノヴァクによる「意識的な食事」という思想による生徒たちの懐柔に纏わる物語。
社会のためには限りなく食べないことを推奨し、結果的にそれは世間からの束縛から自身を解放し成長に導くと
>>続きを読む

グラン・トリノ(2008年製作の映画)

3.5

妻が亡くなり、身内とも疎遠になり愛犬と孤独に生活をする偏狭な老人 ウォルト と隣に引っ越してきたアジア系モン族の移民家族との物語。
他人に対して暴言や差別的な言葉を吐き、社交性を失ったウォルトの愛車グ
>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

3.5

平凡な大学教授 ポール がある日突然人々の夢の中に現れミーム化する物語。
とにかく現実のポールは何もしていません。ただ夢の中で見ているだけの存在が話題となり、世間にチヤホヤされ一躍有名人となります。し
>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.0

奇人ヨルゴス・ランティモス監督作品。独身者はホテルに収容され、45日以内にパートナーを見付けないと動物に変えられてしまう世界。ただしその動物は本人の意志が尊重され、主人公ディヴィッドが選んでいたのが「>>続きを読む

本心(2024年製作の映画)

1.5

「大事な話がある」とだけ告げて亡くなった母親の「本心」を知るためにVF(ヴァーチャルフィギュア)として復元作成する息子の物語。
近未来SFのようなテーマを現代社会と陸続きに描くことで、あるかも知れない
>>続きを読む

あみこ(2017年製作の映画)

3.0

「ナミビアの砂漠(2024)」の山中瑶子監督による自主制作デビュー作品。未だサブスク配信がないため、全国で人知れず短期間のリバイバル上映中。有り難い。
内容は簡単に言えば主人公 あみこ の片想いがテー
>>続きを読む

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

2.5

DCコミックを代表するヴィランの誕生を描いた「ジョーカー(2019)」の純正続編です。この映画単体での理解はとても困難です。
ジョーカーとハーレイ・クインの出逢いを経た前作のような破滅的カオスムービー
>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.0

アメリカ合衆国内で発生した政府軍とカリフォルニア州とテキサス州の連合軍[WESTERN FORCES]による内戦。それを追うジャーナリストたちが大統領の単独インタビューを試み、ホワイトハウスに向かう物>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

2.5

河合優美演じるカナによる「若気の至り」。
衝動的に感情や欲望を消費する主人公カナの刹那的な生態。二股の末に新しい男に乗り換え、イチャイチャ期を経て破滅的な倦怠期までのリアリティ。そして暴言を吐いては謝
>>続きを読む

憐れみの3章(2024年製作の映画)

4.5

ヨルゴス・ランティモス監督最新作品。
3つの独立した物語によるアンソロジー形式。主要キャストが各ストーリーで異なる役柄を演じています。
共通して描かれるているテーマは「支配と従属」。管理する側の奇妙な
>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.0

コーエン兄弟監督・脚本によるアカデミー賞受賞作品。
偶然から麻薬カルテルの大金を盗んだ男とそれを狙う殺し屋。そして、その2人を追跡する保安官のストーリーです。
この作品で強烈なインパクトを残す殺人鬼シ
>>続きを読む

バッファロー’66(1998年製作の映画)

5.0

ヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演を務めた90年代を代表するサブカルムービー。
5年の刑期を終え出所したばかりのビリー。海外赴任と嘘をついてきた両親と会うため、妻を偽装させるためにビリー拉致される
>>続きを読む

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

1.0

自主制作のインディーズ作品として、単館上映で始まりながらSNSなどの口コミで瞬く間に全国上映となった第二の「カメラを止めるな!(2018)」と呼ばれる話題の作品。
雷に撃たれた幕末の侍が現代にタイムス
>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.5

殺し屋女子2人組の日常を描いた「ベイビーわるきゅーれ(2021)」の続編。ちなみに下の句の「ベイビー」は「バッドボーイズ2バッド」から引用しているらしいです。
前作同様、非日常的な「殺し屋」という職業
>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.5

ソフィア・コッポラ監督の二作目。CM撮影のため来日した落ち目のハリウッドスター ボブ・ハリス と写真家の夫の仕事に同行し放置された妻 シャーロットの物語。
「インバウンド」という言葉が生まれる前の日本
>>続きを読む

天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

4.7

「ペヤングを食べたことがない」と言ったら驚かれたことがありますが、それ以上に「ラピュタを観たことがない」と言うと驚かれます。それくらい国民的な映画。
スタジオジブリとしての第1作目だけあって意気込みが
>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

3.0

とある港町に暮らす足に障碍を持つ兄と自閉症の妹。貧しい生活から生き抜くために妹の売春の斡旋を生業とする兄。罪悪感に苦しみながら「妹を守るため」という大いなる矛盾を抱えて生きていく兄妹の物語。
初監督作
>>続きを読む

マミー(2024年製作の映画)

2.0

1998年7月、4人が死亡した和歌山毒物カレー事件。現在も大阪拘置所に収容されている林眞須美死刑囚について、夫 林建治と長男 浩次(仮名)の取材をベースに「目撃証言」と「科学鑑定」の反証を試みたかなり>>続きを読む

メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

3.0

1996年に実際に起きた教師と生徒の情事。それをベースに36歳の女性と13才の少年の不倫、そして獄中出産の末に結婚した夫婦の23年後。その物語を映画化するために女優が2人を訪れるというメタにメタを上塗>>続きを読む

ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.0

ロシアの政治活動家であり、反体制派の指導者 とされる「プーチンが最も恐れる男」アレクセイ・ナワリヌイ氏を追ったドキュメンタリー作品。
冒頭からカメラに向かい自身の死後について語り出すナワリヌイ。そして
>>続きを読む

あんのこと(2023年製作の映画)

3.0

少女 杏の更生の日々を綴った物語。幼いころから母親の暴力に苦しみ、生活費のため売春を強要され、さらにはドラッグに溺れ心身がボロボロという役満レベルの悪質な環境から大人たちの支援もあり、徐々に立ち直る姿>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

2.5

第二次世界大戦下、アウシュビッツ収容所の隣で暮らすドイツ人一家の生活を描いた作品。壁一枚隔てた隣接する敷地内。広い庭とプールのある大きな家で優雅な生活を送る所長 ルドルフ・ヘス とその家族の物語です。>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

3.5

浅野いにお原作「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」のつづき。前章からわずか2ヶ月での公開というのが良い。(既に2回鑑賞)
巨大な宇宙船が浮遊する日常。危機が迫っているにも関わらず至って平
>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.2

2人の女子高生が殺し屋、それだけです。
親や友人の仇でもなく、ましてや世界を守るような壮大なテーマ性もなく、ただ生活のため躊躇なく人を殺める女子高生たち。2人のキャラクターを活かしたダラダラとした会話
>>続きを読む

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.5

1993年に起きた「埼玉愛犬家連続殺人事件」を題材にした園子温監督による名作。事件の詳細が描かれた名著「共犯者」から犯行の残虐性を克明に描いた作品です。
物語の冒頭、女性が乱暴に冷凍食品を電子レンジに
>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

20年前の父親 カラム との旅行。そのホームビデオを観ながら、大人になった ソフィ の現在の視点で当時の父親の気持ちに思いを馳せる、娘の記憶を辿る特殊な様式の物語。
全体を通じて豊かな余白があり、多く
>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

2.5

「ケンとカズ」で高い評価を受けた小路紘史監督による自主制作映画。暴力に暴力を上書きするアウトローな裏社会がリアルに描かれています。
登場人物は組織の末端の人物ばかり。その中で死体解体を生業とする主人公
>>続きを読む