ゆきむしさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ゆきむし

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マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.1

「神よ、私を守るものたちを遠ざけたまえ。彼女たちの言葉には真実がありません。」
〜少女マルケータの祈り或いは魂の物語〜
運命に翻弄される少女は、父の、修道女の全ての欺瞞を拒み、ついに己の中の神を見つけ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

音が、澄んでいる。
まるで完全な無音のうえに1音1音慎重に重ねていったように。そして16mmフィルムの穏やかな映像に、澄んだ音に、釘付けになる。
耳を澄ませてケイコを見、
目を澄ませてケイコを聴く。
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戦場記者(2022年製作の映画)

3.5

伝え続けること
考え続けること
忘れないこと
決して忘れさせないこと
「飢えた子を前にカメラは何ができるか」その矛盾を痛切に自覚しながら、それでも伝え続ける熱意

フラッグ・デイ 父を想う日(2021年製作の映画)

3.2

父権的アメリカの幻想に押し潰されるプア・ホワイトの生き様となんとか父から抜け出そうとする娘。ショーン・ペンの演技はさすがだけど、娘と息子を出演させるために監督って。。。

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.1

とにかく圧巻!もう映画の音楽でなく、音楽が映画を語り出し音楽が映画を成立させる。邦題サブタイトルが秀逸です。
感動感動の連続で157分があっという間。映画好き・音楽好きは観る人も聴く人も作る人も必見!

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.5

年末年始は何も考えずにハッピーになれる映画を。ハリスおばちゃん!レスリー・マンヴィルがお茶目で可愛らしいw
華やかで、それでいて可憐なディオールのドレスも、オヤジが見ても眼福でした。

ナショナル・シアター・ライブ 2022 「レオポルトシュタット」(2022年製作の映画)

4.2

劇中の数世代にわたるユダヤ人一族の受難の歴史に打ちのめされながら、一抹なぜ恵まれて育った作者が世界を糾弾できるの?と気持ち悪さが頭を擡げる。しかし、ラストでその恵まれた作者そして観客の「無知の罪」が糾>>続きを読む

茶飲友達(2022年製作の映画)

3.9

人が集まる社会の中で、なぜかひとの顔が見えない現代。そこで孤立する老い、母の呪縛、産む性etc....の疎外と孤独を正面から捉えた力作。
岡本玲さんはじめ若手俳優の演技も素晴らしいが、65歳超というベ
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対峙(2021年製作の映画)

3.9

被害者と加害者の両親、夫と妻という対極の立場の4人がそれぞれの絶望的な喪失感と苦悩を乗り越えようとする心理劇・会話劇。ほぼ緊迫した対話だけで成り立つ優れた脚本に、客席全体が引き込まれました。

あのこと(2021年製作の映画)

3.9

妊娠=産むしかなかった60年代仏の主人公の命懸けの選択。映画が描く坦々とした事実が、観客の内臓をザワザワと揺るがす。
しかし現在、産まない権利は本当に確立しているか?
フェミニストは夢想する。母になっ
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

3.5

土に生まれ、土に生きる。季節とともに移ろうささやかな、ささやかな、しかし珠玉のように美しいふたりの生活。誰にも気づかれないほど儚く小さな麦の花は、しかしふたりをしっかりと繋ぎ止めるだろう、いつまでも。>>続きを読む

理大囲城(2020年製作の映画)

4.1

自由が殺されるのは、あっという間だ。香港は死んだ。我々はその死をTVモニター越しに見るだけだった。
本作のスクリーンに映し出される映像は、60年代70年代の日本の学園紛争のようでもあった。しかし本当に
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月の満ち欠け(2022年製作の映画)

3.0

三度人生を生きる生まれ変わりよりも、前々世や前世の夫や恋人や父親が何年経っても全く年齢が変わらない方が薄気味悪かった。。。

崖上のスパイ(2021年製作の映画)

3.6

まさに崖っぷち。
一発触発、次々と襲いかかる危機と疑惑。画面を覆う雪雪雪の美しさと緊張感に息もつけない。
そして男も女も、帽子と厚い外套がかっこいい。リウ・ハオツンの、帽子のしたから覗く瞳の美しさは、
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

4.0

4人の女子高生の卒業式とその前日、永遠の2日間の物語。
彼女たちは旅立つ。明日へ、少女から成人へ。しかしいつでも帰ってくるだろう。あの日、あの頃、あの時、あの宝石のような日々へと。
河合優実、小野莉奈
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.7

袖触れ合うも他生の縁?
おそらく既に気持ちの離れた恋人と季節外れの目的地に沈んだ主人公の感情が最後にほっこりする。
「特に何かあった訳じゃないけど、なんだかほっとしたんだよ。きっと、ついていたんだ。」
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バビロン(2021年製作の映画)

1.9

このレビューはネタバレを含みます

ハリウッド黎明期の混乱と猥雑を、露悪、饒舌、冗長で描く、
LA・LA・LANDとニュー・シネマ・パラダイスにタランティーノのスパイスを振りかけたような、業界の業界による業界のための映画。
それにしても
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日の丸~寺山修司40年目の挑発~(2022年製作の映画)

3.8

寺山の「日の丸」という仕事を切り口に、現代における日本人とは?国家とは?を....
本当にそうか、問われているのは「私とは誰か?」ではないのか?その答えのない問いを問い続けることからしか、我々も日本人
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.5

人は老いる、樹々のように。しかし去年の葉が死んでも新しい葉が芽吹くように、新しく生き直せる。何度でも新しく。イギリス映画の真骨頂。オリヴィア・コールマン、そして脇を固める俳優陣の演技が素晴らしい!

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