完璧な「円」のモチーフから始まり、悪夢的なビジュアルとともに世界の違和感に気づき始める演出など技巧はあるのだが、いかんせん大ネタ含めあらゆる要素が既視感満載で、その割に理想郷に没入させてくれないし、フ>>続きを読む
前作よりも全然楽しめた。まずミステリー要素がかなり強化されているし、シャーロックの立ち位置も「協力すべき相手」としてハッキリしたので観やすくなった。相変わらず推理なのか思い付きなのかよく分からない部分>>続きを読む
稲垣吾郎というビッグネームを中心に据えてもなお今泉作品の世界観が崩れないのは流石だ。構造は『街の上で』同様、終始受け身で成長しない主人公の「無駄な時間」に関する物語だが、より超然としており、40代から>>続きを読む
1995年のアイルランドの田舎高校における性風俗や同性愛嫌悪の描写は戯画的ながらも実感がこもっており、だからこそエディとアンバーが「安全地帯」として築く関係には刹那的な安らぎがある。一方、物語展開はわ>>続きを読む
前作よりコメディに振り切っており、シリアスさ湿っぽさ、韓国映画特有の汚れ感すらほぼナシ。その分、良くも悪くもマ・ドンソクへの依存度が増しており、筋力もスケールもパワーアップしているので、前作以上の安定>>続きを読む
インパクトのある題材、豪華なキャスト、技巧的な撮影、それら全てを兼ね備えているのにここまで退屈な作品になるとは……。良い映画を作るのって難しいよなと改めて感じさせてくれる一作。
この監督がよく扱うテ>>続きを読む
地味になりがちな水墨画という題材をスタイリッシュに映し、劇伴と光の当て方で盛り上げていく作りは流石に堂に入ったもので、安定感がある。しかし、作品要素が全体的に描き込み不足なので、結局「ちはやふるメソッ>>続きを読む
この監督は何を撮っても神話になるらしい。相変わらずサービス精神に溢れたエンタメ大作。特にスローモーションの神々しさに全振りしてきて笑ってしまった。
今回は『バーフバリ』と違って、一応は実在の人間を描>>続きを読む
血みどろニコラス・ケイジのルックに反して近年稀に見るほど静かで繊細な話運びで驚いた。そして、まさにそのギャップが物語のキモだろう。観客が期待する展開にならないことこそが本作の素晴らしいところだと思う。>>続きを読む
王室のシンメトリーな構図が終始圧迫感を与え、所々ではホラー/スリラー的な追い詰め描写もあり。主演の演技も常に気を張った感じなのでこちらまで疲弊する。クリスマスの3日間と限定しているために寓話性があり、>>続きを読む
この話に共感してしまう自分が哀しいが、本作が提示する「終わらないループ」に思える日常への束の間の、しかし切実な抵抗がなかなかいいバランスで描かれていて良かった。主人公ではなく、50歳手前の部長というキ>>続きを読む
冒頭から「これ作ってる人ほんと映画好きなんだな」と思わせる長回しからの快楽に溢れたアニメーションで、一気に惹きつけられた。2Dと3Dをミックスしたビジュアルに、喋る動物と喋らない動物と人間が説明なく共>>続きを読む
そもそも「MCUこんなこともできます」のデモでしかないような作りなのに、やっていることが結局いつもの“チャーミングな新キャラ紹介”に寄ってしまうので、突き抜けない。肝心のウェアウルフのデザインも正気か>>続きを読む
ベースは割と『サマータイムマシン・ブルース』まんまで、それをあのキャラと世界観でやりましたというだけなのに、不思議と単なるコラボ以上の魅力を獲得している。むさ苦しい下鴨幽水荘を舞台にリモコンがどうこう>>続きを読む
映画がうまいこの監督の最新作ということで期待しすぎた感はあるが、しかしやはり73分でしっかりまとめてくる小品。ある場面を除いて音楽が一切流れないのだが、観終わった後に冒頭のタイトル出しのショットを思い>>続きを読む
最近日本で増えてきている団地での近居というシチュエーションを、人間関係の距離にまつわる舞台として活用しており、とくに「離れた誰かを気遣う」「近くの誰かを直視しない」といった物理的距離と心理的距離のギャ>>続きを読む
Z世代を取り巻く数多の政治性や価値観が、パステルカラーで彩られたカーストの王国でスリラーのギミックとして炸裂。学園イベントはいちいちド派手で、演者も高校生には見えず全く現実味がないが、戯画化として振り>>続きを読む
湯川の描写、お馴染みのメンツ、映像の質感など、ドラマシリーズのトーンに揺り戻した。一方で内容は、そもそも湯川が事件に関わる動機からして人間ドラマがメイン。劇場版らしいが、今回はもはや物理学が申し訳程度>>続きを読む
事務所に帰還するなり入り口に鍵かけられた云々でキャンキャン喧嘩してるあたり最高に犬。基本はこのレベルの話なので、人物関係が複雑なうえ台詞も全く聞き取れないがほぼ鑑賞に支障がない(いいのかそれで)。アク>>続きを読む
団地が子どもたちにとっての秘密基地であり、冒険の舞台であり、移行対象であるというアイデアは面白い。少年少女らの身体性を感じるアクション、三次元的なカメラワークなど相変わらず実在感がある。それなのに、似>>続きを読む
新海誠のクサみが苦手な自分にとっては比較的観やすくて有り難かった。夏と青春とSFをこの尺で一通りパッケージしているという意味でも観やすいし、本作の良さはそこかなと思う。一方で、やはりエンタメとしてよく>>続きを読む
映像と音楽、編集によって、記憶にまつわる様々な体感を表現するという、確かに映画的な試みはあるが、それを突き詰めた映画なら既に『ファーザー』があるし、かといって本作における親子の物語がそこまで切実なもの>>続きを読む
アニメーションは綺麗で、縦横無尽のアクションも楽しいが、プロットはかなり既視感。いわゆる共生モノ、異種交感モノということになるが、全く同じ題材で上位互換の作品が既にある。そもそも怪物の造形が何の面白み>>続きを読む
どこまでも「好き」が肯定される作品といえば能天気な感じがするが、さかなクン本人の使い方に着目すると実は全く優しい世界の話ではないので驚き。わざわざ「さかなクンになれなかった人」を本人に演じさせることで>>続きを読む
このトンデモ日本描写は明らかに狙っている。ウケ狙いというよりは抽象化の舞台だ。列車は支配された運命のメタファーと化し、そこから文字通り脱却する。早口台詞とガチャガチャ編集のせいで見辛いが、あの長々と右>>続きを読む
この過剰さを戯画と取るか幼稚と取るか。主人公が幼稚呼ばわりされるシーンがあるので自覚的なんだろうけど、しかし幼稚ってそういうことじゃないだろう。満を持しての「殺す!」は良かった。
あえてやっているこ>>続きを読む
長尺ではあるが冗長とは感じず、むしろ非情なまでにアッサリと日数が経過していく省略によってサスペンス感が生まれるし、洞窟内の閉塞感や雨が降ることによる激流の恐ろしさ、プロフェッショナルが抱える重圧などを>>続きを読む
真っ当に面白いプレデターを久々に観れたという感じがする。言ってしまえば原点回帰のフォーマットにのせただけなのだが、しかしネイティブ・アメリカンでそれをやりつつ現代的テーマに接続させるのは新鮮だし、自然>>続きを読む
この手の「大人になれない大人」系映画のなかでは一番好きかもしれない。タブー視されてきた女性身体にまつわる様々な出来事をありのままに映すが、決して重くも仰々しくもなく、日常におけるあるある描写にすぎない>>続きを読む
キャラクター数もスケールも続編らしくパワーアップ。意外にも新キャラより、振り切れたエッグマンの怪演の方が印象的で楽しめた。ただ、ソニックらしい高速バトルの後退は残念だし、ドラマが薄くなっているのに前作>>続きを読む
新キャラを主人公にすることで、ワンピースを1mmも知らない自分でも「やたら多様なキャラクターが無茶苦茶でてくる」というワンピースらしさを混乱せずに体感することができたのは有り難かった。また、ライブを疑>>続きを読む
相変わらずやたらスタイリッシュかつ”粋“な演出で、今回はバーテンダーをカッコよく描く。余命モノではあるが一筋縄ではいかないプロットもこの監督らしい。しかしこれらの技巧によって、キャラクターのいけすかな>>続きを読む
前作ラストで放った威勢のいい台詞はなんだったのか。開始早々で「ワールド」の描写を諦め、以降はなぜかスパイアクションとインディ的アクションに終始。もはや恐竜たちはお化け屋敷のお化けと扱いが変わらない。最>>続きを読む
ふざけてる制作陣をふざけて視聴者が持ち上げるという構図をそろそろやめないとまずいなと思った。ヒーロー映画として不成立で、ただメタネタでふざけてるだけ。極めつけに「はいこれクソ映画です!」と自ら宣言する>>続きを読む
ヒーロー映画の作り手がこの程度の意識だと、いかに「人間を滅ぼさせない!」「次世代に命を繋ぐんだ!」みたいな前向きなメッセージを伝えても、それを観にくる観客はおじさんおばさんばかり……みたいな未来がずっ>>続きを読む
アクションの「目的」が明確だったり、一つのシークエンスで横移動から縦移動みたいに動きに変化をつけているのはルッソ兄弟らしく、確かに見ていて飽きないのだが、一方で印象的なカットも特にないし、めちゃくちゃ>>続きを読む