しのさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.4

車の扱いも命の扱いも過去最大に軽く、これまで僅かにでもあった「世界を救うため」という大義名分すら端に追いやられ、最早ドムがファミリーアンチと戦っているだけ。つまり畳むためだけの話でしかない。映画はどこ>>続きを読む

最後まで行く(2023年製作の映画)

3.5

岡田准一のアタフタ演技と綾野剛の変態的な顔芸をここまで引き出した映画というだけでも価値はある。韓国ノワールらしく容赦ない部分はオリジナルの力なのだろうが、本作は「最悪な状況」が家庭の問題や上司のパワハ>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.4

鑑賞後に反芻しているとじわじわと効いてくる。”作曲家の背景や意図を徹底的に汲み取り寄り添う“という主人公のメソッドをこの作品自体が観客に強いてくるのだが、しかし決定的なジャッジをさせてくれない。「堕ち>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.5

150分よりは短く感じたが、結局自分は最後まであんまりノれないシリーズだった。今までのなかでは比較的シリアスなのでまだ観れたものの、GotGが好きな人向けの作品という感じはする。ちょっとキャラクターの>>続きを読む

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)

3.0

パッと見でめちゃくちゃ安っぽいルックとかは流石にないし、物語も大筋では王道のヒーローオリジンだし、アクションなんて割と頑張っている。しかし観終わってみると「この主人公は何でこうなって何をした?」がよく>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.4

上映前に流れる劇場用CMが導入として完璧だった。絶妙なハードル設定とそれを乗り越えた時の達成感。諦めずに何度もやってみるトライアンドエラーの精神。マリオの本質が示されているし、それがそのまま本編のテー>>続きを読む

ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.4

主役の横浜流星に救われていると思う。この監督の作品らしく、例によって効率や理屈優先で表層的な内容に終わりそうなところを、彼の力で映画に血が通っているように見えた。モロに日本のどん詰まり感にやられ、マジ>>続きを読む

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

3.1

上映ギリギリまでコナンの単行本を席で読んでるようなコナンオタクたちが上映後に揃って「ありがとう…ありがとう……」と呟いていた。良くも悪くもそういう映画。コナン映画の方向性として個人的にどうかと思うのだ>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.7

大枠の構造は前作と同じだが、今回はZ世代が主人公なのでとにかく操作も捜査も速いし使うツールも多いので気を抜くと置いていかれる。スケールの大きさもドラマチックさも前作以上で正しく続編という感じ。話が入り>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.1

ほぼワンシチュエーションだが、まず主人公の演技というか挙措のひとつひとつに見入ってしまうし、室内に誰が入ってどのタイミングで出ていくかが作劇のスリルにも寄与していて、退屈せずに観れてしまった。そして何>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

マイケル・ジョーダンをあくまで象徴にとどめ、小太り中年白人が率いるチームの逆転劇にフォーカス。劇中で『ロッキー』の名前が出てくるが、まさにここに賭けるんだというその瞬間、ひいてはアメリカンドリームとい>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.3

ここまでくるとヤバい宗教と紙一重ではないかと言いたくなるシャマラン節。怪しい奴が家に入ってくる系のスリラーかと思いきや「世界から隔絶し別々の物語を生きる個人が、いかに世界との接続を回復し『物語』を共有>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.4

なるほどイギリスでリメイクすると「英国紳士になりたかった男」の話になるのか。40分ほど短くなった尺が象徴するように、良くも悪くも全体的にスマートにまとめている。主人公の性格からして落ち着いていて、これ>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.0

こういう「安心してずっと面白い娯楽大作」は近年忘れてた感覚だった。主軸はチームでアイテム探し→潜入→ボス撃破! という実にシンプルでRPG的なものだが、その過程で見せるイベントのアイデアがいちいち映画>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.1

前作よりキャラクターがデフォルメされた上、メイン2人に物語上の目的やドラマがなく、ダラダラ喋りが増えてアクションは減少。予算が増えた分、録音や映像などベースの観やすさは向上したが、自分はやっぱりタラン>>続きを読む

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.2

冒頭の巨人戦は、ここ数年の映像作品におけるアクションシークエンスのなかでも出色の出来だと思う。ヨリヒキのメリハリ、主観ショットの入れ込み方、3Dと2Dをブレンドした童話的な世界観におけるキメ画の感覚。>>続きを読む

シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

2.9

何回見たんだという世界の危機とそのトリガーとなるマクガフィンの奪い合い。せっかく兄弟姉妹に力を分け与えたのにビリー個人の話になるし、敵の神様三姉妹も目的が一致せずグダグダで展開の引き伸ばし役にしかなら>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

作品の姿勢として同じだなと思ったのは『007 スカイフォール』だった。思えばどちらもシリーズ50周年記念作品だが、要は「〇〇論」の作品なのだ。現代にライダーを描くにあたり再構築・再解釈したライダー論、>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.5

「無罪を勝ち取った7年の道のり」というキャッチコピーとは全く反する内容だった点に本作の意図が見える。金子勇という希代の才能が活躍できなかったという損失、そうさせた“出る杭を打つ”構造や前例主義。最後に>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.1

ホームビデオ撮りましたみたいなノリで自身のトラウマを「娯楽映画」として描くことで、ある種のセラピーを達成してしまうスピルバーグの怖さが、劇中エピソードにも本作自体にも表れていてゾッとする。映画を毛ほど>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.9

ミクロな母娘の物語を軸に、かなり限定されたロケーションだけで、人生観ひいては宇宙観にまで繋がるマルチバースを体感させるアイデアに映画の可能性と面白さを感じた。ただ、結果的にかなり優等生的な作りに。「や>>続きを読む

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)(2023年製作の映画)

3.0

近年のドラえもん映画では最も風刺が効いていて、「理想郷」という誰もが想像する夢の世界を題材に、思考停止による洗脳や全体主義への傾倒に警鐘を鳴らす。ただその分、思想強めかつ説明的な演出も満載になっており>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

2.9

孤独で欠けている人同士の群像劇として設定や会話が露骨で、今泉作品のナチュラルな良さがあまり出ていない気がした。特に主人公のちひろさんがずっと作り物めいていてあまり面白くない。有村架純がどうにも役から浮>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.7

あの本当に優しいラストショットを見れただけでも価値があると思った。わざわざ「これ実体ですよ!」と駄目押ししてくるあたり、物語を本気で信じているのが伝わってくる。他者を理解し、自分を理解する営みとしての>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.6

オリジナル曲でジャズの熱さを伝えられる内容になっているのが、まさに「明日のジャズ」を体現していて素晴らしい。キャラクターのバックグラウンドや時間経過をモンタージュで処理していく手際の良さと、バンドの刹>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.0

アホで空虚な金持ちをお下劣表現でクソミソにしつつ、それにたかる奴らも見下されている奴らも結局クソミソにする。言ってしまえば諦観が作品全体を支配しているので、「滑稽にこき下ろしました」以上の何かがない。>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

2.9

カニバリズムを若者の制御不能な情動のメタファーとし、それによる社会との断絶や孤独を描いていて、そんなときに目の前に現れる「理解者」がティモシー・シャラメって……浸れる人には堪らないのだろうが、結局全て>>続きを読む

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

3.2

余命数ヶ月のシングルファーザーが息子の里親を探す、というあらすじ以上のことは起こらないが、劇伴控えめで演出も抑制されており、そのぶん「ギリギリまで完璧な道を探す」主人公の切実さと、その傍で確実に成長し>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.1

量子世界で何を描くのかと思いきや、びっくりするくらい「これSWで見た」しかない。言わばさらに薄まった『スカイウォーカーの夜明け』。カーン導入のための作品でしかないのに彼に魅力もない。これがフェーズ5始>>続きを読む

エゴイスト(2023年製作の映画)

3.8

不穏なタイトルが不穏に出現。以降は手持ちのヨリで映し続け、終始不安が付きまとう。しかし映るのは拍子抜けするほど善人な登場人物たちの交流だ。ではこの不安は? と観ていくと、それは主人公がずっと抱えていた>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.3

密室での会話劇映画としてとんでもなく揺さぶられた。取り返しのつかない傷を抱えた2組の夫婦が癒しと赦しを求めて会話していくプロセスがほぼリアルタイムで描かれるが、ふとした弾みで自分でも予想外の言葉が出て>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.9

旅映画だが、ほとんどが寝台列車の中で起こったことで、とにかく撮影が狭っ苦しい。こんな所でこんな奴と同室? という主人公の絶望感が存分に伝わってくるが、関係性が変化していくにつれ次第に親密な空間として見>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

3.5

リサーチに基づいているとはいえ、敢えて過剰にコミカルなカリカチュアライズでハリウッドの狂乱っぷりを描いている。パーティーの場面に限らず、映画制作、映画人の生き様そのものがパーティーだったのだと。その「>>続きを読む

劇場総集編 SSSS.GRIDMAN(2023年製作の映画)

2.9

本編未視聴。キャラ萌え要素がおそらく殆どカットされていて観やすくはあった(それでも気色悪いカットが少し残ってた)が、この世界って実は……という構造に気づく過程や、何より1話ごとに怪獣を倒していく「いつ>>続きを読む

金の国 水の国(2023年製作の映画)

3.4

正直、演出やトーンは観ていて小っ恥ずかしくなるが、原作が少女漫画だしある程度は仕方ない。最初のナレーションで早々にリアリティラインを引いてくれるので、寓話としての心構えもできた。それでも映画としてはや>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.4

座って映画を見てるだけなのにここまで手に汗握れるのか、という体験だけで元が取れる。『127時間』と同様、主人公が抱えるドラマを軸にスリラーが展開されていく。高所を捉えた映像とサバイバルのアイデアはもち>>続きを読む