はぐれさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

はぐれ

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偽りなき者(2012年製作の映画)

4.1

少女の他愛もない嘘をきっかけに全てを失うシングルファーザーの物語。怖い。あまりにも怖い。ヒッチコック的な巻き込まれ型のサスペンスなんだけど御大のようなファンタジックな性質は皆無で終始徹底してリアル。銃>>続きを読む

カンダハール(2001年製作の映画)

3.6

キアロスタミの『クローズアップ』で主人公が偽って演じていたマフマルバフ監督。彼の作品がどうしても見たくなり鑑賞。

ブルカを脱ぎ自由を求めてカナダに旅立った主人公が妹を救出するために再びアフガニスタン
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ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

3.7

ロベール・ブレッソン監督作。過剰な演出や演技を完全に排除したミニマルな世界。史実に基づくセリフで構成された意欲作。それは先人が作り上げたドラマチックすぎるジャンヌ・ダルクのストーリーテリングに対する反>>続きを読む

道化師の夜(1953年製作の映画)

3.9

長らくソフト化されなかった巨匠ベルイマンの名作がなんと予想外のジュネス企画さんからリリース。ありがたく鑑賞🙏

サーカスの旅に疲れ果てた座長とその内縁の妻である馬乗りの悲喜劇。あの『第七の封印』の原型
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クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.4

1990年制作のキアロスタミ監督作。あのジグザグ道3部作の合間に撮られていたことに驚き。

有名監督マフマルバフに成りすました男の詐欺未遂事件を加害者、被害者ともに当事者達に演じさせ、さらに実際のリア
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ロベレ将軍(1959年製作の映画)

4.0

監督ロベルト・ロッセリーニ×主演ヴィットリオ・デ・シーカというイタリアンネアリズモの2大巨匠が名を連ねる作品。

前半は家族を強制収容所から必死の思いで救おうとする善良な市民を騙すクズ中のクズのペテン
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ウエディング(1978年製作の映画)

3.8

ロバート・アルトマンお得意の群像劇。ブルジョワジー達の乱れた性生活と愛憎入り混じった狂宴をアルトマン節全開で描く。

ひとクセもふたクセもあるキャラクター達を芸達者な役者陣が熱演をしていてそれはそれで
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ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ(2021年製作の映画)

3.6

名作『プライドと偏見』『つぐない』以降、突如作家性が溢れ出しちゃって「演出のクセが強いんじゃ〜!」でおなじみのジョー・ライト監督作。
今作でも1ヶ所だけ「ん?😇」ってなるパートがあるけどそこはご愛嬌(
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.0

時間も空間も個体もせわしなく変化していく四次元的な映像体験。もしかしたらインターステラーよりも時空を超えているSFサスペンスかもしれない。鑑賞しながら常に今現在、何時何分で自分はどこにいてそして自分自>>続きを読む

メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

3.9

モータウンの黒歴史的なダーティーなエピソードは一切出て来ない終始サクセスストーリーを追ったドキュメンタリー。もうただただおじいちゃん達の自慢話を聞かされるやつ(笑)政治色やメッセージ性なんてクソ喰らえ>>続きを読む

斬る(1968年製作の映画)

3.7

原作:山本周五郎、音楽:佐藤勝、主演:仲代達矢。スタッフロールだけ見てたら黒澤映画と思うやん(笑)しかし監督は岡本喜八。調べたらあの用心棒、椿三十郎の数年後に制作されてるのね。当時、東宝の上層部がこの>>続きを読む

マイルストーン(2020年製作の映画)

3.8

ミュージカルじゃないインド映画に惹かれて衝動的に鑑賞。インドのヌリ・ビルゲ・ジェイランとでも呼びたくなるような社会派の作品。

50万kmの走行に達したベテランのトラック運転手の物語。インドの勤労のシ
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鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

4.3

ベルイマンモチベが高くなってしまって再鑑賞。精神病を患う女とその父親である作家の物語。

「娘が壊れゆく様を克明に記録したい」と日記に綴る父。それを娘に発見させるこの物語の神であるベルイマン。当然娘は
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密航者(2021年製作の映画)

2.8

掴みはOKなのにー!
随分思わせぶりやーん!
伏線は回収しないの!?
みんな人格者すぎ…
重力の概念どうなってるの?笑
多様な人種の必要性…
え、そこで終わり!?
え、何でこのタイトルだったの…

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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.7

タイムリープ×BLMという異色作。何をやっても白人警官に殺される黒人男性が主人公の話。

伝えたいテーマがあるとは言えあまりにも白人警官を絶対悪として描き過ぎではないかと思う瞬間もあるが、そうでもしな
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.2

ふらっと入った海中で見つけたヘンテコな娘。貝殻が付着した壺のような物体だと思ってたいたらそれはなんとマダコだった。この出会い方がとっても素敵。しかもこの瞬間から全てが始まっていたなんてもう使い古された>>続きを読む

笛吹川(1960年製作の映画)

4.0

農民残酷物語。黒澤の『影武者』と対となる作品。黒澤は先祖が武家だったこともあり信玄に焦点を当てたが木下はその信玄の圧政に苦しめられた農民の悲劇を描いている点が対照的で面白い。

戦の場面はあくまで物語
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大酔侠(1966年製作の映画)

3.4

ツァイ・ミンリャンの『楽日』を鑑賞後、無性にキン・フーの映画が見たくなって鑑賞。

踊るような殺陣、アップのカットバック、唐突のミュージカルw、浮遊感のあるワイヤーアクション、主人公が途中で交代ww、
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楽日(2003年製作の映画)

4.2

始まってから45分もの間セリフが一切ない。サイレント映画よりもサイレントなんじゃないかってくらいセリフに頼らない演出。しかし画面は決して寡黙ではなく雄弁に観客に語りかけてくる。

だだっ広い廃墟のよう
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我輩はカモである(1933年製作の映画)

4.0

舞台芸人の至芸を堪能する作品。チャップリンの独裁者よりもずっと前に独裁者の暴走をテーマにしているのに世の中を正そうとか警鐘を鳴らそうなんて発想がこれっぽっちも見えない。ただただギャグの素材でしか見てい>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.3

いい意味で気軽に観れるポップコーンムービー。タイムループ×ラブコメはやっぱり相性がいいよね。

多少既視感のある展開もあるがJKシモンズの第3の男の存在が物語のスパイスとして効いている。自宅の場面で息
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この女たちのすべてを語らないために(1964年製作の映画)

4.2

巨匠ベルイマンが初めてカラーで撮った作品。『どですかでん』や『魂のジュリエッタ』のように黒澤、フェリーニの最初期のカラー作品と同じく原色をフィルムに焼き付けた強烈な色使い。巨匠陣が同じ思考になっている>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

3.6

早送りで観るスローシネマ。タル・ベーラやラヴ・ディアスを体感的には3倍速で観ている感じ(笑)ひとつひとつのカットは素晴らしいのにそれを噛みしめる暇を与えてもらえずに気付いたらもう次のシークエンスへ進ん>>続きを読む

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

3.1

区画整理で移り変わる町並みと人々の生活。ドキュメンタリー的な素人さんの演技とフィクションのプロの演技。そのぶつ切りと千切りの食感に若干の違和感(笑)。特に不倫をひけらかすビジネスマンのキャラクターが作>>続きを読む

タイム(2020年製作の映画)

3.5

この映画を観る前にネトフリの『13th 憲法修正第13条』を鑑賞しておいた方がいいかも。現代のアメリカにおいて刑務所ビジネスが新たな奴隷制度になっていると問題提起をした『13th』。その実例を追ったの>>続きを読む

ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)

4.4

北マケドニアの片田舎で自然と共存しながら慎ましやかに暮らしているとある母娘の生活をある日突然トルコ人一家が押し寄せてきてその全てを破壊してしまう話。まるで世界の縮図と言うか傲慢な文明の歴史を見ているか>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.1

ディンドン・ブロークン♪お婆ちゃん役のユン・ヨジョンがとってもキュートでその一挙手一投足に心奪われる。

自分の娘が多額のお布施をしてしまいそれをシレッと抜き取るお婆ちゃんのすまし顔(笑)その行為にな
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.1

イヤホン・ヘッドホン必須の作品!その繊細で革新的な音響設計はとにかく秀逸で1音たりとも逃してはいけないという心持ちになってしまう。他の映画と比べて外気の音や葉が擦れ合う自然のささやき声が事細かに聴こえ>>続きを読む

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

3.7

いや、わかってます!こっちはわかった上でやってますからね!と元ネタの『恋はデジャ・ヴ』が劇中で何度も言及される作品(笑)

やはり人間は恋や青春に悔いて生きているんだなと改めて思わされる。だからこそタ
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グッド・ストライプス(2015年製作の映画)

3.5

『あのこは貴族』にはまって必然的に辿り着いた作品。デキ婚の話。

頼りがいがなく主体性のない彼氏さん像がとってもリアルでそれだけに見ていてイライラが募る。大事な彼女さんがノリだけで生きてる友達からおも
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

4.3

オバマ大統領が2020年の10本に選んだ作品で念願の鑑賞。本作を観る前にそのオバマ大統領もチラッと出演している2019年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたネトフリの『ブラジル 消え>>続きを読む

続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画(2020年製作の映画)

3.0

笑いってなんだろう?ドキュメンタリーとフィクションの境界線ってどこだろう?なんて考えながらずっと見ていた気がする。茂木なんとかさんが声高に叫んでいた海外の政治的なお笑いを徹底的に持ち上げた例の論争を思>>続きを読む

春江水暖~しゅんこうすいだん(2019年製作の映画)

3.2

山水絵巻を現代的なフィルターを通して映像化した作品。高度成長で慣れ親しんだ故郷の景観が変わる前になんとか写真に収めようとする強い意識を感じる。監督はホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンに影響を受けたら>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.3

松濤の箱入りお嬢様とホタルイカにけつ女子の物語。久しぶりに刺さりまくった映画に出逢えた気がする。

人生の半分は生まれ落ちた瞬間に決まってしまう階層社会の現代。そんな敷かれたレールから脱線事故覚悟で抗
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わたしは、幸福(フェリシテ)(2017年製作の映画)

3.9

「金がなければ友人を持て」「金がなければ水を飲め」。決して説教臭くなく脇役の口からポロリと漏れ出る格言にハッとする。交通事故に遭った息子の治療費に困り周りに助けを求めるも日頃の傲慢な行いが仇となってな>>続きを読む

シーズ・ガッタ・ハヴ・イット(1985年製作の映画)

3.3

ポップでライトなスパイク・リー。政治的なメッセージの詰まったコテコテの作品ばかり見てきたからとても新鮮。モノクロの映像にカラードの肌が艶っぽく映えてただただクール。

ただヒロインがあまり魅力的ではな
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