はぐれ

偽りなき者のはぐれのレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
4.1
少女の他愛もない嘘をきっかけに全てを失うシングルファーザーの物語。怖い。あまりにも怖い。ヒッチコック的な巻き込まれ型のサスペンスなんだけど御大のようなファンタジックな性質は皆無で終始徹底してリアル。銃や刃物や毒の恐怖なんかかわいいもので人間の集団的なヒステリックほど怖いものはないと痛感させられる。世間からリンチを喰らい社会的地位を抹殺させられる。これこそ現代的なホラー。

マッツ・ミケルセンがあまりにも愛らしく容姿的に優れているのでどうしても主人公に感情移入してしまう小憎らしい仕組。しかも彼がどんなに理不尽な仕打ちを受けても耐え忍び、なかなか感情を表に出さないもんだからより肩入れをしたくなる。
早合点の園長や暴力を振りかざしてくるスーパーの店員などマッツの代わりに罵詈雑言を浴びせたくなる相手が次から次へと出てくるが、一番重大な罪を犯した人物の素性は結局最後まで明かされない。この構成がなんとも上手いよね。そう、まるで観客に「あなたもこいつらと一緒なのでは?」と問いかけてくるような作り。

今年の外国語映画賞を獲得した監督作だ!わーい観てみよう♪なんて気軽に見始めたけど鑑賞後は結構な精神的ダメージ🤕笑
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