WillowMarraisさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

WillowMarrais

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最後の家族(2016年製作の映画)

-

今年の映画初め。

この映画ではなぜベクシンスキーが、倒錯した(それもフロイトやユング的な)絵を描くようになったのかではなく
制作外のベクシンスキーがどうであったか、その家族、その顛末がどうであったか
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そばかす(2022年製作の映画)

4.0

今年はこれで劇場納め。
共感しかなかった。
理解者になり、理解者に出会う。

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

-

劇場で一回目見た(?)時はオープニングで寝てしまい、ちょくちょく脳内補完して、エンドロールのソンガンホで完全に目が覚めた。
どうやら終点まで寝てしまったようだ。

二度鑑賞。

画家と泥棒(2020年製作の映画)

4.6

『画家と泥棒』というシンプルでいて秀逸なタイトルは本作を見終えるとさらにそう感じる。

罪と罰を遥かに超えた関係性の構築。
タナトスに惹かれ合う二人が迎える変化を劇的に映す傑作だった。

24フレーム(2017年製作の映画)

-

産み落とされた表現はそれ自体が輝いている。だからこれを理解(できなくとも)するために自分は認知を爆発させたい。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.9

ケイコはこの映画の音を聞いていない。
我々はこの映画の実直な音を聞く。
この非対称性を背に、ケイコに近づこうとする。
不可能性を穿つ心のやり取り。
ボクシングという会話。
我々に向けられた映画。
街が
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冬の旅(1985年製作の映画)

4.5

ある女の死にまつわる備忘録。
ただただ放浪している。
行動だけが記録され、心がどうだったかは語られない。語りえない。わからない。
それでも、いやそれだから、カメラを向けるしかない。傑作。

マッドゴッド(2021年製作の映画)

4.2

とにかくこれを作ったことに脱帽する。
あまりの凄まじさに目がバキバキになった。
液体の描写とコマ撮り?を合わせる技も凄かった。

地獄の記憶を覗き込むループ。
生命の誕生。新世界秩序。モノリス。
様々
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RRR(2022年製作の映画)

-

何かと勧められるので駆け込み。
常にクライマックスな音楽映画でもあった。
ブロマンスは苦手だけどインド映画は古き良き香港アクションを回帰させる。

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)

4.8

もうちょっと面食らうレベルの
バッキバキすぎる構図の美学。
カメラの位置を想像しながら見てたけど
団地撮るだけであんなんなるんか。
恐ろし過ぎる。

廃墟と詩。デカダンス。美しすぎる。

Playback(2012年製作の映画)

4.6

ミニマルな構成だからこそ時空間が歪んでしまっている。
時間と記憶を内混ぜにして
なんだか凄くいい話になる。
映画が現実を変える。
そのパワーを信じてる。
そう伝わってきた。

山本浩司が出てきたのが嬉
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TOKYO FIST 東京フィスト(1995年製作の映画)

4.0

オープニングからダサかっこよすぎる。
塚本流ボクシング映画だから
血と破壊のレベルが他と違う。
たんこぶデカすぎやろ。
話もあってないようなもんやし
とにかく乗りに乗ってるだけなのが
清々しくてよかっ
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ヴィクとフロ、熊に会う(2013年製作の映画)

3.5

クィアや老介護、村社会、出所とテーマが色々ありましたが、終盤の骨を折る最悪な展開があまりに可哀想。
まともに生きようとしても
理不尽なこと、熊は突然やってくる。

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.6

いかにもA24らしい現代的翻案。
映像のほうは結構某有名ファンタジーっぽい。美術も冴え渡り。

物語がある程度決まってる分、どこを改変するかなんだろうけど、
劇伴がずっと鳴っているので感情移入させたい
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はだかのゆめ(2022年製作の映画)

4.5

カメラというものがそもそも幽霊的であるのだから、死者が介在していることはなんら不思議ではない。

冒頭から夏の蝉たちの轟音を聴き
ゴッホのような田舎の風景を目にする。
自分の出自はそこにあるとつくづく
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あのこと(2021年製作の映画)

4.5

「中絶」の今作と「出産」の『TITANE』が2つの大映画祭を獲った2021。

画面と物語の緊張感がずっと続く。
生々しく痛々しく。
抑圧される女性の歴史を一人の若者のたった数週間から帰納する。
この
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ある男(2022年製作の映画)

3.7

久しぶりに邦画ミステリー。
名前を捨ててどこか別の人生を歩みたくなることは自分もよくある。
そういう気持ちの結構現実でありそうな物語。

鼻につくかつかないかのギリギリの演出でしたが、邦画もこのレベル
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.3

気持ち悪い映画だったけど
それはA24お得意の設定云々ではなく
クライマックスで
これでもかと見せつけられるグロ描写。

鑑賞後、果たしてこの映画が
フェミニズム批判なのか
男性性批判なのかで評価が変
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(2012年製作の映画)

3.5

カフカや安倍公房ばりの不条理な世界に落とし込まれて、ただ動物的に生きるだけってのが辛い。

日記を書き続ける、それを終える時にこの映画は閉じた。
そこに文学を感じさせる。
ひとつの物語を始め、閉じる理
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3/スリー(2010年製作の映画)

3.7

現代アートの縁の人たちが
「新しい価値観」=「New Family」を提唱する。
それはアンモラルかもしれないが
歴史の必然なのかもしれない。

きっとこの作品で重要なのは中間にいた科学者。
彼が最も
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ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

4.0

今年はこの界隈の映画が多く一般公開されたけど、変化球(児童文学?アニメ?的)できたなあと思った。面白かった。
クィアの問題をどういったレイヤーで扱うかというゲームに終始せずに、奇譚として一定の水準を保
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わたしたちの家(2017年製作の映画)

4.3

ずっと見たかった作品。
やはり永続的に所有されえない物たちに想いを馳せる。今回は家。
その表裏のような世界において
日常と非日常が繰り広げられる。
そんな悲喜劇をずっと沈黙しながら支える場というもの。
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バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

3.8

冒頭からゲーム世界のような浮遊(それはバードマンのその先)を見る。
これが映画の未来か、と。
摩訶不思議な映像が矢継ぎ早に繰り出され
ネトフリの恐ろしさを知る。

誰しも自省と実存の塊みたいな映画を撮
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ガール・アンド・スパイダー(2021年製作の映画)

4.6

シンプルなものと複雑なものを同居させる手腕が凄い。
発話によって関係性やパワーバランスを転がし、引っ越しが終わる最後まで緊張感が支配する。

特に色彩が豊かでいながら現代的な何かを喚起させる美術に驚い
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やまぶき(2022年製作の映画)

4.0

岩を砂にする過程。
いつその骨を砕かれてしまうのか。
政治性や国籍を超えてこの国で白い目を向かれないようになる日は来るのだろうか。

未来惑星ザルドス(1974年製作の映画)

3.7

のっけからイギリスTVを思わせる。
岩が銃を掃き出し、欲に塗れた人々を救済(抹殺)していく。
その道中で迷い込んだユートピア(?)
ザルドスがなんなのかとか、Zがどうだとかかなりどうでもいい話がツボに
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ザ・リバー(2018年製作の映画)

4.1

外部からやってくるサタンによって
安定が不安定になるキリスト教的寓話。
画作りが非常に美しい。

怪談(1965年製作の映画)

4.5

小泉八雲だから今となっては怖くはないんだけど
不思議と幼少期に恐る恐る読んだ記憶がある。
この時代の映画はどうもカメラが厳格でかっこいい。
『黒髪』『耳なし芳一』『茶碗の中』が好きだった。

インポート、エクスポート(2007年製作の映画)

3.8

入っては出る。移民と労働者と介護、そして生死。現実の話。
なかなかに実感することのないものだが
本邦でも同じことは起きているはず。
ギリギリの悲哀の中にユーモアあり。

21グラム(2003年製作の映画)

4.1

何年かぶりに。
命の重さは同じだが、罪の重さはどうだろう。
『SEVEN』と『マグノリア』。
ショーン・ペンがかっこいい。
こういう編集は痺れます。

SELF AND OTHERS(2000年製作の映画)

4.8

牛腸茂雄の作品を見ると、ロランバルトがいっていたことは本当らしく見えてくる。
そしてこの佐藤真のドキュメントも
同じような感覚になった。
アンビエント。
散り散りになっなあらゆるものが
ここに立ち現れ
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アルプス(2011年製作の映画)

3.5

世にも奇妙な仕事の話。
演技内演技という二重の意味で「演じること」の不気味さがストレートに問われる。

以前鑑賞したディストピア映画『カレ・ブラン』にかなり似ている(インダストリアルな質感と暴力性が)
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.6

感情よりも速く動くことはできないし、そもそも空虚だけど、それを悪く思わない。
シラフでシケてて、それでもなお人と繋がろうとする。その不完全さ。
稲垣吾郎がこんなにそれっぽいのが不思議でよかった。

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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

命(日常)の尊さを説いているようですが
皮肉にも「アニメ(フィクション)の無力感」を描いてしまったように見える。
カタストロフを前にアニメはこうも無力であると、それでも描き続けるんだ、と。

新海誠と
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Tchaikovsky's Wife(英題)(2022年製作の映画)

4.0

京都ヒストリカ国際映画祭。
セレブレンニコフの過去作よろしく何を真とし何を虚とするのかを疑う歴史物。
チャイコフスキーの妻。

あのカメラワークを見ただけで彼の作品だと分かるくらいには様になっていた。
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