WillowMarraisさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

WillowMarrais

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アッテンバーグ(2010年製作の映画)

3.6

「ポストモダン世代は何もお前らに残せなかった」
ゆえにこういった映画(思想)がいい意味で生まれてくるんだと思う。
倒錯に倒錯を重ねることでしか生きられない世代。何を乗り越えるべきか。それすらも失ってい
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盲獣(1969年製作の映画)

4.3

盲目の変態アーティスト(?)とモデルの「触覚的」邂逅。

く、狂ってる。。。
オープニングが良すぎる。
カメラワークがキマってるし、アトリエの美術すごすぎる。
江戸川乱歩はもちろんだけど、これを演じき
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ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.4

拭っても拭いきれない血を超えて。
他を寄せつけない主人公の姿勢。
それでも血を求め、血を洗う。
悲しい曲を作っていた実の父を目の当たりしたシーンが忘れられない。
もう一度見たい作品。

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

4.5

東京国際映画祭で見た作品の中で体感として最もスタンダードな品質とテーマ性をもつ欧州映画だった(当社比)。
鑑賞から時間が経ってもじわじわ来るものがあります。

東欧紛争の後、新自由主義によってもたらさ
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

4.0

ソクーロフがディープフェイクで作られた映画を「撮る」なんて誰が予想できただろうか。
アイコン化した歴史の人物たちが地獄と天国の門の前でウダウダしてる。

フェイクでポストトゥルースでメタヴァースでいか
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第三次世界大戦(2022年製作の映画)

3.9

ラディカルなパラサイトからイラン映画になっていく様がよかった。
日雇いという搾取との戦いを直接的に感じる立場から、水を得た魚になっていき、逆の意味であっぱれなラスト。
まさにアウシュヴィッツを二重の意
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世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

-

ポストトゥルースが現前化していく
その中心地ウクライナはドネツク。
どうしても『ドンバス』と比べてしまうが
狭間で翻弄される人々のドキュメントとして強いメッセージを感じた。
我々と彼らには閉口せざるを
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パシフィクション(2022年製作の映画)

4.7

感動するほど美しい画の数々。
単純にロケーションと色彩グレーティングが素晴らしい。
長尺で繰り広げられるのは「政治」ゲーム。大して話は展開しないが、それにしても痺れる画と緊張感。

「I'll bur
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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.8

日本のカルチャーがたくさん出てきた。
なるほど日本のアニメのセカイ系的な物語を
海外の監督が実写で撮るとこうなるのか。
普通に考えればだいぶヤバい話。

ゲームのくだりは共感しかなかったけれど
やはり
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ライフ(2022年製作の映画)

3.4

最悪の状況から「人生は豊かであれ」と
奮闘する謎のモチベーション。

いつ終わってもおかしくないのに全然終わらん一種のドラッグムービー。
現代アーティストが作った作品に見えた。
だからこそルックと衣装
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スパルタ(2022年製作の映画)

3.7

ザイドルの描く社会問題への切り込み方は好き嫌い分かれそうだが、今作はかなりの問題作に思えてならない。
小児性愛者と大人を求める傷ついた子供との葛藤。
欲情と友情や愛情。

この作品がどうやって作られた
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国道20号線 デジタルリマスター版(2007年製作の映画)

4.5

デカイ国道沿いには消費者金融があるし、車屋やパチンコ、ドンキもでけえスーパーもある。インター近くのラブホ。打ちっぱなしとゲーセン。
そんな光景は地元そっくりだった。

早くからバイク乗りになった同級生
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エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005年製作の映画)

5.0

ずっと劇場で見たかった作品。
自殺病に対するノイズ療法。
物語なんかはもうほとんどどうでもよくて
自殺に抗うために音を求め
音をかき集め塊にする行為そのものが尊い。
かなりの爆音でノイズを堪能できた。
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波が去るとき(2022年製作の映画)

4.4

一見韓国ノワールものかのような物語に
確かな政治性とリアルタイムの訴求と暴力と唾棄。
「Realms of Paranoia」
静かに怒り、静かに共倒れる。
フィリピンの未来を警告するかのような作品。
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書かれた顔(1995年製作の映画)

4.5

中々にトリッキーなドキュメント。
坂東玉三郎が美しい。
その胸に宿る想い(宇宙観)。
レジェンドだらけ。
今の時代に伝統芸能を振り返るとまた面白い論議になりそう。

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.7

「AI」の連綿と続くテーマを
現代のメディア氾濫への警鐘ともいえる物語に置き換えながらも、ウォーミングな作品。
スピルバーグのAIを見た幼少期を思い出した。
ノリがA24のそれなので最後までふわふわし
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インディア・ソング(1974年製作の映画)

5.0

記憶の再現。
インディアソングが執拗に流れ
曖昧な会話を聞くにつれ
なんとも言えない心地よさを感じる。
画面は硬直した絵画に成り果て
そこに重層的に音や言葉が降ってきた。
コンクレート。ポエトリー。
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.5

なんにでもなれた、なれそうだった時分のこと。それはたぶん誰にでも訪れる。
それを社会やカテゴリーの中に押し込まれながら「大人」になっていく。
僕であり私であり俺でありウチであり。
本当は誰にでもある要
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女は女である(1961年製作の映画)

4.4

二回目。劇場にて。
今見ても新しさを感じる。
最初から最後までセンス大爆発してた。
甘めなロマンスのゴダールもそれはそれでいい。
本のくだりが好き。

バビ・ヤール(2021年製作の映画)

4.6

これが創作ではなく事実だということ
そしてそれをアーカイブだけで成立させ
提示する手腕に慄きます。

ヒトラーとスターリンの間。
まさに「窪地」で行われた暴力に次ぐ暴力。
巨大すぎる固有名詞に隠された
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勤務につけ!(2018年製作の映画)

3.4

この方の作品では虚実云々のちょっと捻りがあった。
空腹なのは見てるこちらもでした。

若き詩人の心の傷跡(2016年製作の映画)

4.5

戦前の享楽。結核。詩と死。
ほぼベッド上の映画。
彼(彼ら)の辿る運命を暗示するかのようなラスト。
ルーマニアの歴史。
あっさりとした詩人の際限というものだけあって見応えありました。
シオラン。

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.1

最初のカットが凄くタルベーラっぽくて
ちゃんと挨拶してるなあと。

ワンモチーフで進むのは
『ウィッチ』や『ライトハウス』に近いんだけど、それらより語るべきことはほとんど語らない今作。

どうせ聖書や
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.7

映画を信じている人の作るマジカルな映画だった。
あの尺で必要最低限のことを語り
最小の音楽、ロケーション
静寂に包まれながら使えるラストは素晴らしかった。

ドゥニヴィルヌーヴの『メッセージ』ほど理知
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

傷を負った者通しの連帯。
生と死。イカの塩辛と蛆虫。

荻上直子の作品なのでなにかしら重いんだろうなと思ってたけど、予想以上に突っ込んだテーマだった。

『怒り』での松山ケンイチと重なりながら
荻上ワ
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オーファンズ・ブルース(2018年製作の映画)

3.7

熱に浮かされたような映画。

映画史を後追いする我々にとって
その初期衝動はオマージュから始まるのだろう。
この映画の猥雑さと静寂はヌーヴェルヴァーグや台湾ニューウェーブのよう。

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.6

ロメールほど何かをもたらしてくれはしないけど、表面的でimmediateなやり取りにおける美学みたいなものがあるように思えた。
軽薄さの美学。
でも、どこか優しさもある。

非モテ(というか童貞)によ
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

4.2

団地映画で地獄家族ものだと『家族ゲーム』や『空中庭園』を浮かべますが、それとはまた一味違う嫌な感じ。そこまで鋭くもない。

この映画をパッと見た時感じたのは
ロイアンダーソン風の画面作り。
どことなく
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よこがお(2019年製作の映画)

4.3

画面を覆う緊張の作り方がエグい。
筒井真理子でしか成し得ない心情と顔の機微。

善悪を超越し、それは人間/動物をも、空間さえも。
実にありふれてしまったサスペンス的物語でありながら、人間存在のプレカリ
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マンディブル 2人の男と巨大なハエ(2020年製作の映画)

3.5

巨ハエ可愛い。
トロという謎の合言葉で進む珍道中。
風刺コメディ(?)
ごまかしトロと感動トロ。

ブリュノ・デモンといい
障がいをコメディに落とし込むのが雑ってのはある。

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

4.3

喪失による現実の歪み。
此岸と彼岸における死者(あるいは逃亡者)の立ち現れ方。
それを平行世界のように表現されていた。

あらゆる記憶は断片化し、そのフラグメンツはメタ的に編集・再構成可能なものであり
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オスロ、8月31日(2011年製作の映画)

4.1

彼の目線や手つき、佇まいや話し方が本当に冴えていて、『鬼火』よりも迫ってくるものがあったな。

オシャンすぎるのがあれだけど
実に絶望してる時のシチュエーションが分かりすぎる。。。
死ぬ前にそんなに行
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地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.0

世にも奇妙な物語、星新一、笑ゥせぇるすまん。
日本は「HENTAI」の国として見られてる模様。
このジョークがまだ皮肉として通じるのが良くも悪くもフランス。

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.5

去勢された何か。
棒立ちの虚無。
それは懐かしい。

ケンローチともライカートとも似て非なる。
タルベーラの『ファミリーネスト』とも。
この映画が自殺(あるいは劇的昇華)をせずに終わっていくことがアケ
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