WillowMarraisさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

WillowMarrais

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ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)

3.7

よくある少女の恋愛の機微を彩る作品ではあるが、何度もトライアンドエラーを繰り返して物語が進む様はエネルギッシュだった。
決して塞ぎ込まずに発散していく力が
クラブ音楽とマッチしている。


画が北欧の
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.8

オリジナル版が良すぎるのでもはや比較できないが、プロットはほぼそのまんまで
日本と英国の映画文法の違いが如実だった。

やはり力点に置かれているところの好みの違いで、甲乙別れるところであろう。
良くも
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エンパイア(1964年製作の映画)

-

ウォーホル展にて。
究極のアンビエント映像。

これ全部見たら首痛くなる位置やったんで
全部見れてないけど、寝室で流しておきたい。

話の話(1979年製作の映画)

4.5

水の描写が恐ろしく美しい。
あの水のギラギラは『L'ANGE』を思い出した。
キュピズムを感じるけど
動物と戦争をモチーフとして
何某かリアリズムがそこにあった。

霧の中のハリネズミ/霧につつまれたハリネズミ(1975年製作の映画)

4.3

どしたらこんなものが作れるんだろう。
神業すぎるな。
命を吹き込むという
アニメーションの真髄はここにあり。


動物いっぱい。

雑魚どもよ、大志を抱け!(2023年製作の映画)

4.0

手垢のついたジュブナイルもの。
おぼつかないカメラとショットで始まる。
少年たちの喜怒哀楽のコラージュの中で
カメラも少年たちも成長していく。

親や土地に左右される実存。
逃げちゃダメなのはわかって
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湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)

4.6

湖のハッテン場での一抹。
こんなに単純なのになぜか物凄い深みを感じる。
結局のところ社会は人がいれば成立するし
それは属性云々の話ではない。
悪い奴は悪いし良い奴は良い。
魅力的な奴もそうでない奴も。
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

自分が映画を見てる理由のひとつがこの物語にはあって、それは映画でしか消化できないもしくは得られないもの。

散漫に思えるこの物語の記号たちも
すべて映画(あるいは音楽)によって吸い込まれていく。
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.0

思い入れの強さはよく分かったが
実況と編集に終始し、まったくもってカメラを信用してないのがわかった。
その意味でアクションシーンをCGで撮り
PS2ゲーム「仮面ライダー正義の系譜」やパチンコに毛が生え
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ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

4.6

高橋洋による高橋洋のためのリミックスフィルム。
過去作からの数々のセルフサンプリング。
学生時代の『夜は千の目を持つ』から長編前作『霊的ボリシェヴィキ』までを大胆にミックスさせている。

一見、何が何
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刑事(デカ)まつり(2003年製作の映画)

4.3

高橋洋作品のみ鑑賞。

このギャグセンスは一体どこからくるのだろう。もはや芸人。
めちゃくちゃすぎておもろすぎる。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

スイスアーミーマンという謎の感動作はこれへの布石だったんだろう。
近年のキーワードやB級要素として抑えるべきものは抑えた上で
越境人たちの苦悩をストレートに描く。
まるでアン・リーのように。
アウトサ
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.6

やっと出会った運命も塵へと帰っていく。
この人生において生きる為に何かを誰かと作りそれを刻み込みながら死んでいくことの崇高さよ。

タルベーラ『ニーチェの馬』ほど厳格ではないにしろ、この手の映画が描く
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

4.1

やり残したことを抱えた高校生の群像劇。
中心ではなく周縁の人々を描くのが原作含め好きだ。
ピュア指数は少し高めだが、朝井リョウが最も力点をおいていたであろう場面を映画的に描くのもよかった。

自分はこ
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レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

-

メタメタメタ映画くらいメタ。
自らのうちに物語を見出し
物語の一員として生きていく。
表現は止めどないものだ。
編集可能になった人生において
Adobeではなく自らが主役となり
自らを救済していく。
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

孤独と手を取り合い魂を芸術に捧げる。
聞こえはいいがその実は苦しいものだろう。
だが青年は感覚的に映画たるものを受け止め
映画によって発散していく。
ネガティブパワーのようなものを
のちにエンタメと両
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ライク&シェア(2022年製作の映画)

-

ASMR動画配信というトレンドを使いながら
フィリピンにおける性被害について語る手腕に驚いた。
ポップな装いとは異なりメッセージがはっきりとしている。

食と性という欲望の境界で、どちらが棄損されても
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私だけの部屋(2022年製作の映画)

-

何もかもが喪失していったコロナ禍において
路頭に迷った一人の女性の話。
ルームシェアから始まる一つの物語。
人と向き合い心音を聴くこと。
失われた日常を取り戻す作業。

パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)

4.8

どうして郊外という場所とその人々はこうも美しいものなのか。
どうしようもないやるせなさと発散されるエネルギーと幾多の欲望が混在している。

夜に紛れて踊るゴルベワ。
朝はやってきてその時代は終わる。
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ハーケンクロイツの男(1988年製作の映画)

4.1

全くもってぶっ飛びすぎている設定に加え
笑いを誘ってくるセリフ回しと発声。
学生が安倍公房の『他人の顔』(の勅使河原弘による実写版)にゲーム性とギャグを加えたらこうなりそうな作品。

夜は千の眼を持つ(1984年製作の映画)

4.0

不気味な映像(呪いのビデオに通ずる技術の瑕疵)が映えまくる。
最初から高橋洋は高橋洋だったのだ。
文語調のセリフがいかにも文学部という感じだ。
どうやらセルフリメイクするらしい。

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.4

再見。

屁で推進し、逸物の示す方角へ進む。
わけもしらない死体と孤独を分かち合い
ラストには謎の感動が押し寄せる。
こういうのでいいんだよという珍映画。

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.5

ティルダ・スウィントンのための映画。

だからなんだというジョージミラーの貫禄(?)があった。

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.2

根も葉も知らぬ人間と
長時間向き合わさせることで見えてくる人生。
そういう偶然性の積み重ねが今日になる。
旅はできたことよりもできなかったことがすごく思い出になったりするもんだ。

別れる決心(2022年製作の映画)

4.5

手数王(?)パクチャヌク新作。
『渇き』に非常に近い作品。

素晴らしかった。
手垢のついた設定とストーリーラインでありながら、真に愛するということはどういうことなのか、どういう気持ちになることなのか
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お嬢さん(2016年製作の映画)

3.8

再見。

浪漫エロスが大爆発してる。
話の作り込みとその表現力がやっぱり伊達じゃない。
サスペンスフルな展開も面白い。

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.0

金持ちは元より
今作はインフルエンサーやモデル、フェミニスト、環境論者、意識高い系学生さん引いては移民労働者までも清々しいほど敵に回す。
ジョイスやチョムスキーやマルクスも。


蝿の王からのアンチ・
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あなたの微笑み(2022年製作の映画)

4.5

監督の苦悩とミニシアターの苦境を組み合わせ、虚実を行き来し、未来を見つめる素晴らしい映画だった。
作り手が赤裸々に泥臭く、その草の根を絶やさないでいてくれたことに感謝したい。
そしてあの寂れた時に足繁
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フィルム時代の愛(2015年製作の映画)

4.0

フィルム時代にあった何か。
それは黒沢清や蔡明亮みたいな亡霊を暴き出す作業なのか、焼き付いた役者の過去の連関なのか。

果たして愛がなんなのかはよく分からないが
あの時代にあった魔力みたいなものを取り
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バッハマン先生の教室(2021年製作の映画)

-

人をフラットに捉え無限の可能性を見据え
音楽という言語とは別のもので繋がる教室。

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.8

古典の中に同時代性を感じさせながら
作家性を貫く姿がよかった。
羅生門的問題に突き当たり
それをぶち壊してくるのがいい。
ギャグなのかアイロニーなのかは置いといても、ふざけてるところが結構あってよかっ
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.5

『サスペリア』は癖強くて好きだったけど
これは割と純真な(?)ラブストーリー。
もっともっと破滅的でも良かった気もしなくもない。
血も涙も骨もその全てをしゃぶり尽くすまで。

夢の描写とかホラーテイス
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ピノキオ√964(1991年製作の映画)

4.0

昔、あの汚物シーンだけが出回っていたのを見たことがあるけど
今ちゃんと見るとまあまあな怪作で
塚本晋也作品とズラウスキー『ポゼッション』見た後だと余計に。
ファニーすぎる。

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.2

ハンス・ウルリッヒ・オブリストが《Do It》等で、指示書それ自体に価値をつけたように近年の現代アートにおいては、もはやコンセプチャル以前のコンセプトのイデオローグ戦争が行われてきた。

ブリオーの「
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