WillowMarraisさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

WillowMarrais

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ポゼッサー(2020年製作の映画)

3.7

コンセプチュアルなのは非常によかった。
ただコンセプトからの飛躍が少ない。
そして食傷気味のテーマ。

前作のほうが好み。
地道にこの路線を続けて泡を吹かせるものを期待したい。

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

5.0

牛から始まる映画に悪いものはない(意訳)なんてことを本で読んだことがある。

イルミアーシュが街にやってくるあのシーンはとてつもなく、まさに黙示録。
カッコ良すぎる。

果たしてタルベーラがどこまで本
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ダーク・スター(1974年製作の映画)

4.0

あのまま3時間くらいの尺かと思ったら
最高に美しいエンディングを迎える。
有終の美。

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

5.0

ああ、そうさ。乗るか反るかだ。
見えてしまう青年は悪魔さえ見てしまう。
なぜここに生きることに執着するのか。
銀の弾丸をねじ込むことを躊躇うのか。
ジャンキーにブッパされる散り際。
全てが美しい。彼の
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闇のカーニバル(1981年製作の映画)

4.0

80'sの日本のアングラ。
冷めている。だがノっている。
革命前夜、否、破壊前夜。

いつのまにか俺たちは牙を歯軋りによって
なくしてしまった。

セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.5

本当楽しそうに、摩訶不思議な世界を円環する、ドラマの結末探しのアリス。
飴を口に、トキメキを胸に。

ファニーゲームのあれがありならば
こっちもあり。

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)

4.0

田舎には本当にスピード狂がいるんだよな。
走ることでしか生を感じれない。
それが爆烈した、この愛すべきダサ映画。

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

4.9

「人生終わったな」
こんなセリフを聞きたかった。
絶望とその果ての荒野。
雨粒が轟音のように、そう炭鉱の滑車の、産業音に同化していく。
この街でおれは死んでいく。
せめて死ぬのならば獣になろうじゃない
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ミミック(1997年製作の映画)

3.4

デルトロは造形が素晴らしい。
人間の顔に擬態したゴキは、翻ってかっこよさを感じる。真・仮面ライダー。

東京暮色(1957年製作の映画)

4.5

フィルムにて。

あっけらかんとした、都市生活のすれ違い。
死は軽やかに。
暗闇を受け入れる。
坂道を下っていく。

ファミリー・ネスト(1977年製作の映画)

4.3

そこに生活あり。
タルベーラに真を置けるのは遅延する映像のみならず、根底にラディカルな何かが潜んでいるからだ。

今作は政治そのものであり
「家」を求める人々のラディカルさが写される。それは「国家」の
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

5.0

「喪失」と「不在」。
そのモチーフとして最も的確だと思うのは、ボルタンスキーをなぞれば「写真」「古着」「カーテン」、内藤礼をなぞれば「枕」。
そのどれもが登場する。

なんとも、物語というものは自分本
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HANA-BI(1997年製作の映画)

4.7

はじめから失われていた。
この冷徹な男に一瞬の光が灯る時にだけ
彼の幸福が垣間見える。
二発の銃声がすべて。

皆殺しの天使(1962年製作の映画)

3.9

出られない時ってありますよね(?)

大いに風刺と政治性(特にキリスト教とナチス)を感じながら。
あの変な手がブニュエルって感じだ。
後期のブニュエルも見てみよう。

孤狼の血(2018年製作の映画)

3.7

たしかにエンタメ小説っぽい。
さすがの白石和彌。
構成とナレーションのオマージュがよかった。

『すばらしき世界』と今作の役所広司の振り幅がものすごい。

エロス+虐殺(1970年製作の映画)

5.0

フルバージョンを鑑賞。
とにかくこんなにバキバキにキマってる画は見たことない。少なくとも邦画では。
アナキズムと革命左派という二つの「生(性)の自由」への挑戦と、それを葬っていく虚構としての映画。
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水の中の八月(1995年製作の映画)

3.7

岩井俊二と新海誠。
「セカイ系」映画として良作。
デジタル映像と水の色彩。ニューエイジ。
巨石はいいですよね。

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.0

ウェスの作品は奥行きを感じられない。
吸い込まれるような時間感覚もない。
だが、彼の映画がすべて『フレンチ・ディスパッチ』の一部だと妄想するならば、今作は取説的な作品になっている。

細かすぎる美術、
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ザ・フライ(1986年製作の映画)

3.6

ハエになるのは嫌だなあ。
ガラス突き破るところの登場シーンが最高。
これリメイクなんだ。

カフカの「城」(1997年製作の映画)

3.7

ハネケなりのカフカ。
小説のこっちが飲み込まれるような錯覚ではなく、ただ不条理な彼らを見るという断絶はハネケでした。

シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

4.6

目の線がひとつの絵を描き出す。
誰かを見つめることで、誰かの穴を埋める。
音と画という二重の意味でのフィールドレコーディング。
毎夜、毎夜のヘッドライトがつくる影。
幻影を追いかけ、街の隙間に亡霊を見
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波のした、土のうえ(2014年製作の映画)

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未だにあの日から全てが変わった気がしている。

Vanitas vanitatum omnia vanitas.

ただ、波と土だけが知っていること。
ただ、記憶だけを運ぶおと。
生きる限りの希望を。

妖怪大戦争(1968年製作の映画)

3.4

幼少期に三池崇史版と間違えてレンタルした記憶がある。
歳を取り、劇場で見れたことで
ある種のカルマから解放された気がする。

ほんで、ダイモン弱すぎやろ。

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.5

演技の熱量に、逆に笑ってまう。渋すぎ。

坂井が広能にチャカ向けられると勘違いしたあの瞬間の「ヒョッイ‼︎‼︎‼︎」という奇声を何度も聞きたくなってしまう。
人間追い込まれたらあんな声でるんやな。
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岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.3

片山慎三の描くマイノリティは賛否あるだろうし、偏りを提示することが文法化しているというか。
包摂できない現実とフィクションの境界線。
露悪ギリギリだけれど、社会性がある。
それが彼の作家性なんだろう。

ひとつの歌(2011年製作の映画)

4.9

この映画の時間の流れ方は自分の生活に似ている。キアロスタミがそうであるように。

ロランバルト的にいうなら
「かつて、そこに、あった」不確かなものを
確かにするポラロイド写真。
誰かの人生のアーカイブ
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ゼイリブ(1988年製作の映画)

4.0

リマスター。
あの顔トラウマ。
サングラスほしい。

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

5.0

セリフを受肉し、その体に降ろす。
その反復する過程の中に永遠を見ること。

無関係なはずの言葉が、見るものたちに関係していく。感情移入することは奇妙なものなのかもしれない。記憶の海に潜り、時間を取り戻
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さがす(2022年製作の映画)

4.2

座間、やまゆり園、市橋達也etc.
近年の重大犯罪をモチーフにした
クライムサスペンス。

かなりジャンル横断をしているので
負のごった煮感がある。
それでも『淵に立つ』のような絶望感ではないところに
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サンライズ(1927年製作の映画)

5.0

珠玉とはこういう映画のことを言うのだろう。
サイレントだからこその映像言語。
物語もとても喜怒哀楽が含まれている素晴らしいもの。

フィルムで見れてよかったです。

半狂乱(2021年製作の映画)

3.5

顔芸が光る作品。
作品を追うごとに低クオリティになるが
モチーフのディゾルブ的編集は新しい武器を手に入れたように多用されていてよかった。

藤井組?の面々は健在で
あえて擦られたこのテーマ(青春とルサ
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声もなく(2020年製作の映画)

3.9

なぜ我々は置かれた場所で咲かなければならないのだろうか。
アイロニカルなこの作品の視線は
芯を食っている気がする。

ただ、食傷気味の「擬似家族」や「韓国ノワール」の域を出なかった。
ユ・アインの素晴
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奇跡(1954年製作の映画)

5.0

完璧な映画。

その身体に降ろした神を演じ
復活を遂げていくつかの奇跡を起こす。
亡霊のような声が印象的。
映画に求めるものが高純度に詰まっていた。
そして意外と笑える。

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

4.6

鏡の使い方がえげつない。
なんなんだこれ。
動線も完璧なんじゃないかってほど
オートマティック。

愛に厳格に生きることの尊さ、その極みを最後まで貫く。愛に死す。
モンパルナスの墓地を浮かべながら見て
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.2

伝えたかったこと、伝えなかったこと。
冬という季節、小樽という場所がより一層その長い長い年月を際立たせてた。

岩井俊二っぽさも勿論あるんだが
作中の、日韓言語の聞こえの違いでこんなにも異なる印象にな
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