GENOKENさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.4

現代の日本社会を取り巻く閉塞感や絶望感を「災い」に投影しつつ、人々との交流も描くロードムービーとして、しっかり着地するエンドロールまで隙がない。今や日本が世界に誇るアニメ作家へと成長した新海誠監督。集>>続きを読む

私は世界一幸運よ(2022年製作の映画)

4.1

伝えたい事があるにも関わらず、自分の気持ちを押し殺し、伝えられない難しさ。若気の至り、酔っていたから、十分反省していると加害者の謝罪も空っぽ。主人公を襲った出来事に対する皮肉に加え、結末まで包括する二>>続きを読む

恋人はアンバー(2020年製作の映画)

3.9

1995年のアイルランド、同性愛への差別が根強い田舎町で二人の高校生は自分達のセクシュアリティを隠すため恋人同士を偽装する。今日のLGBTQ青春ものではあまり見ないほど断固として自分がゲイであることを>>続きを読む

僕の巡査(2022年製作の映画)

3.6

イケメンなハリー・スタイルズが普通の人に当てはまるかはさておき。流れゆく時の中で、自己の開放と相手への赦しの間で揺れ動く3人の人生を感動的に描く。三者三様の負の感情が渦巻き、非常にスリリング。目の前の>>続きを読む

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.5

ブランド感を重視するファッションメーカーと、ドレスに純粋な美を見る英国の家政婦のおばちゃん。1950年代というのどかな時代背景とディズニープリンセスのような夢物語は、思ったような展開でありつつ甘すぎず>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.6

ミステリアスなことが次々に起こって緊張感も高まり「どこかおかしい」という雰囲気を上手い具合に醸し出しているが、突っ込みどころもあって、“秘密”がわかってからもいろいろ疑問が残る。もはやこの手の役は十八>>続きを読む

善き生徒たち(2021年製作の映画)

1.7

1975年ローマにある名門男子校の生徒が犯した犯罪。性エネルギーの行き場のない開放や、体罰が当たり前なカトリック校の教育などの要因があるにしても、若者たちの内面が不明なままなで、何が原因で犯行に至った>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.3

ティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンの早逝という喪失も重なった中で、これ見よがしな感動喚起は控え、最高の愛情を示す。ヒーロー不在どころかヒロイックな要素がほとんどないドラマを成立させたのは、>>続きを読む

アイ・ケイム・バイ(2022年製作の映画)

4.0

人の屋敷に忍び込んだ青年がある秘密を発見し、悲劇に巻き込まれていくスリラー。権力を持つ男は悪いことをしてもうまく逃れられる。その構造を暗に表現している。話は速いペースで進み、途中主人公が途中退場するア>>続きを読む

チケット・トゥ・パラダイス(2022年製作の映画)

3.9

ジュリア・ロバーツ&ジョージ・クルーニが画面に登場するだけで華やかな空気を作り出し、さすがトップスターと改めて納得。豪華だけど新鮮な組み合わせとは言えないのになぜか見てしまう映画。おたがい意地を張り合>>続きを読む

劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

3.7

「ゲイカップルにとっての実家問題」に真正面から誠実に取り組みつつ、レシピ映画や京都観光映画としての機能性も兼ね備えるという離れ業。馴染みの客層を頼りにしてしまうということが多くのドラマの劇場版映画の緊>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.5

境遇の違う二人の母親の運命が交錯する瞬間。そこが圧倒的に面白い。浅いメロドラマになりかねない語りを、過去の惨劇を露わにする内戦で消えた人々の遺骨を発掘する展開は壮大な愛を身近に感じさせるアルモドバル監>>続きを読む

ミー・タイム(2022年製作の映画)

3.6

独身貴族な親友と再会し、“自分時間”を満喫しようとしたばっかりに次々とトラブルに巻き込まれてしまう専業主夫。建築家の妻がバリバリ働き、夫は家にいて子育てに専念するという夫婦の姿を普通に描いているところ>>続きを読む

スクール・フォー・グッド・アンド・イービル(2022年製作の映画)

3.4

おとぎ話のキャラの育成学校という設定がユニーク。アーサー王の息子やフック船長の子もいる。老婆魔女の娘もいるわのコスプレファンタジー。「善と悪」はっきり区別できるものではないという今風なメッセージ性を問>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

4.1

固い絆で結ばれた男女3人の共闘。濃厚なクセスゴ監督のユーモア感覚で描かれる、拝金主義者が独裁者を求める世相は現代そのもので、その意味でも"ほぼ実話"。そして目を引くのが人気スターたちの大挙出演ぶり。え>>続きを読む

13人の命(2022年製作の映画)

4.4

絶望的な状況から遭難者の安否を確認するまでの前半と、そこからさらに絶望的な救出作戦を遂行するまでの後半という難易度がエスカレートする大きな二つの山場がある構成。淡々と冷静に人命救助に尽力したプロのダイ>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.9

「テクノ」と呼ばれる人型ロボットが一般家庭に普及した近未来。ロボット共生の近未来映画は数々あったが、ここまで生身の人間に近いビジュアルは珍しい。この映画はあたかも故人の残したスマホを解析すれば、その人>>続きを読む

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイト(2022年製作の映画)

3.4

MCUで初めてのドラマでも長編映画でもない短編映画。ユニバーサルが1930~40年代に製作された古典的モンスター映画へのオマージュ。フィルムに付いたタバコの焦げ跡なんかもスタイリッシュで、本物らしい古>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.7

娯楽系インド映画の楽しさは濃度にあり。まさにスペクタクル大活劇のごった煮は、マルチバースだなんだと設定をいたずらに複雑にしなくても娯楽は成り立つようだと思わせる。んなわけねーだろ!な荒唐無稽も盛り沢山>>続きを読む

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)

3.0

団地ごと海を漂流することになった少年少女たちのひと夏の別れの旅を描く。小学生にここまでノスタルジーを背負わせるには団地という設定は面白いが、2時間もあるのに世界観の説明が、ぼんやりしてるしキャラの魅力>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.7

夫のチャールズとは不和状態で、義母であるエリザベス女王の私邸で過ごすクリスマスの3日間は冷え冷え。庶民には想像を絶する圧力のなかで、ダイアナがどんな思いであの決断に至ったのかを「きっとこんなだったろう>>続きを読む

ブロンド(2022年製作の映画)

2.4

アナ・デ・アルマスの“そっくり演技”は異常で有名シーンや写真の再現度も驚く。まさに「憑依」の名演技。ハリウッド伝説スターの光と闇、その闇の部分だけがどんどん強調される作り。モノクロとカラーが入り混じり>>続きを読む

罪と女王(2019年製作の映画)

3.6

思いきり年下の、しかも義理の息子との禁じられた情事。観客の倫理観を揺さぶる露悪的なストーリー。もし、男女逆の設定なら、完全アウトのなか、グレーゾーンを攻めてくるからザワザワする。ヨーロッパの裕福なイン>>続きを読む

PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.5

バイオレンスと狂気に満ちた復讐譚を予感させるルックでありながら、豚と一人の男の愛の物語であり『美味しんぼ』的な料理映画でもある。静かで抑えめ、しかし必要な時にはすごい迫力を見せるニコケイのおかげで、珍>>続きを読む

2つの人生が教えてくれること(2022年製作の映画)

3.1

人生における「もしあのとき○○してたら」を2つのストーリーラインで描く。2つの人生を同時進行で見せていくやり方は実にスムーズだが、ストーリーにまったく意外性がないのが残念。どんな道に行こうが結局は自分>>続きを読む

アテナ(2022年製作の映画)

3.8

冒頭11分のドキュメンタリーさながらの没入感ある驚異的なワンカットで見る者を渦中に放り込む。この映画が語るのは、人種差別と、警察による暴力。だが、その根深い問題にどう立ち向かうのか、兄弟の中でも考えに>>続きを読む

沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.7

被害者少女のエピソードが、彼女が歌う「Jupiter」に乗せて描かれるオープニングは、登場する人物の人柄や関係性、空気感が伝わる秀逸な始まり。全体的に2時間ドラマ的な印象は否めないものの、復讐心の危う>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.1

羊飼いの夫婦の日常が豹変するのを不気味と感じるか否か。アイスランドのだだっ広い山間部の息をのむほど美しい自然の中で作り出される不穏な空気感と、強引な展開が眼につく脱力コントを交配させた様な面白さ。いざ>>続きを読む

ジェイコブと海の怪物(2022年製作の映画)

3.2

巨大な怪物とハンターたちとの壮絶なバトルを描く海洋アドベンチャー。序盤から迫力の海上アクションで胸踊る。大海原の浮遊感が素晴らしく、潮風感じる擬似体験映像はアニメーションならでは。ラストはかなり強引で>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

8歳の少女が同年齢の母と対峙するファンタジーはどこかジブリ的な趣き。もはや物語の妙は必要とせず、衣装の配色など、綿密に計算されつつ、極力無駄を削ぎ落した72分。少女が母親だと“感づく”プロセスも、突然>>続きを読む

ソウル・バイブス(2022年製作の映画)

3.5

『ワイスピ』シリーズの寄せ集めみたいなストーリーは既視感ありだが、ダイナミックなカースタントの仕上がりはなかなか。なによりも民主化の実現とオリンピック開催に沸く当時の韓国の空気そのもののような、自由と>>続きを読む

説得(2022年製作の映画)

2.5

ジェーン・オースティンの古典小説をモダンにアップデート。時折、ヒロインがカメラ目線で語りかけたり、家族の説明してくるのは、正統派には好まれないかもしれないがリズムも良く、コミカルなニュアンスもあって身>>続きを読む

映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022年製作の映画)

3.0

基本的にはテレビ版の総集編+αという感じで17名の登場人物たちが各々の視点から事件の経緯を振り返りながら、シーズン1のストーリーがダイジェストで描かれる。最大の見どころである、クライマックスの「その後>>続きを読む

デイ・シフト(2022年製作の映画)

3.4

お気楽なエスケープ映画だがエクソシストみたいにいろんな体勢をとるヴァンパイアを銃・ピアノ線・刃物など、ありとあらゆる方法で殺していく、まさに殺しのフルコースはかなり残酷。人間社会に溶け込むヴァンパイア>>続きを読む

ピノキオ(2022年製作の映画)

1.8

ディズニーが古典アニメーションをまたもや実写化。ディズニー・アニメーションの実写化はCGの進化によって“実写”の定義が微妙になってきている。ストーリーの改編が良くない方に効いていてノスタルジーありきの>>続きを読む

THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)

3.8

北朝鮮による武器密売の最前線を捉えた衝撃ドキュメンタリー。どのスパイ映画よりもスリル満点!平壌郊外にある地下の極秘施設や北朝鮮の裏要人も参加する闇取引の会合など見たことのない映像が次々と出てくる。隠し>>続きを読む