GENOKENさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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アンビュランス(2022年製作の映画)

3.7

従来のマイケル・ベイ監督作よりも爆発の数が少ないのに、映像の派手さは増し増しの大サービス。徹底的に臨場体験型アクションの極限に挑み、凄まじい勢いのカットつなぎ、極端にローアングルを多用するカメラなど、>>続きを読む

クラウズ 雲の彼方へ(2020年製作の映画)

4.0

音楽の才能に恵まれながらも癌を患い余命6か月と宣告された17歳のアーティスト、ザック・ソビアックの実話の映画化。実話をできるだけ忠実に再現しようとしている真摯さが伝わり、爽やかなメロディーに乗せて歌わ>>続きを読む

家をめぐる3つの物語(2022年製作の映画)

3.9

ストップアニメーションで描く異なる時代の、家にまつわる『世にも奇妙な物語』的なダークファンタジー。同じ家をめぐって繰り広げられる物語は、“貧しい家族”“売主”“大家”という異なる視点。その構成は欲望や>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.4

成り上がり系成功物語のカーニバル篇から、後半のノワール調な詐欺師篇の2部構成が肝。デル・トロの趣味満載な不気味さあふれるカーニバルのセットなど美術、衣装も素晴らしい。長尺にあって物語の展開が鈍重すぎる>>続きを読む

モラルセンス ~君はご主人様~(2022年製作の映画)

3.0

SMやDS(精神的な支配と服従)など際どい線を攻めながらも、展開もテンポも絶妙で軽快さがある。人から理解されづらい特殊な性嗜好をテーマにしているものの、男女の心が近づいたり、微妙にすれちがったりする描>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.5

激動の政治性&モノクローム映像に、日々の暮らしを丁寧に描いて、ある時代の物語でありつつ、現在も世界中にある紛争の地で暮らす人々の普遍的な物語に。地元にとどまり続けようとする人々のギリギリの生活は、現在>>続きを読む

ミュンヘン:戦火燃ゆる前に(2021年製作の映画)

3.8

第2次世界大戦の危機が迫っているヨーロッパ。その事態を回避するために各国首脳が集まったミュンヘン会談が舞台。銃撃戦は一切なく、外交や政治的な策略をスリリングに描き、戦争を食い止めるドラマという着眼点が>>続きを読む

静かなる侵蝕(2021年製作の映画)

3.9

“地球外微生物”を使ったエイリアンの侵略SF映画という盛大な”釣り要素”から一転、精神障害に苦しむ父親と息子たちの逃避行を描く。アメリカの広大な大地を捉えた映像美はSF映画の如く美しい。地球侵略のプロ>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.5

典型的なスーパーヒーロー映画とはほど遠く、クラシックな探偵物でもある。フィルム・ノワールの雰囲気を漂わせながら、とにかく暗さを基調としたオーセンティックな世界観に没入できる。完全陰キャラのヤングバット>>続きを読む

ザ・トリップ(2021年製作の映画)

4.2

お互いに殺す計画を持った夫婦が山小屋に旅行に出掛けるが、そこで予期しない訪問者が現れ2人は脅威にさらされるスプラッターホラー。血みどろの夫婦喧嘩かと思いきや、夫が男に掘られそうになる展開は予想ができな>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.3

親の期待にかなうよう頑張ってきた“良い子”が真の自分を解放するのにレッサーパンダをもってきたのは、抜群のアイデア。自分らしく自由意思をもって生きることの肯定。推し活だったり、今と昔の価値観の違いなど、>>続きを読む

余命10年(2022年製作の映画)

3.8

映画好きからは揶揄されがちな「難病もの」。硬派な藤井監督の裏のない落ち着いた演出はかなりクール。シリアスな場面になればなるほどファンタジックな空気感が漂う藤井監督の演出はその時々で、機能したり、しなか>>続きを読む

インフィニット 無限の記憶(2021年製作の映画)

3.0

前世の記憶を引き継ぐ人々が繰り広げる人類の命運をかけた壮大なSFバトルアクション。うっすいSF味付けの『マトリックス』な世界観だがプロットが稚拙すぎて興醒め。脚本的に登場キャラの前世の物語が深く描かれ>>続きを読む

荒れ野(2021年製作の映画)

1.8

荒野で暮らす母子に謎の怪物が迫りくるスペイン産ホラー。隔絶された地で頼りになる父親を失い、追い詰められていく母子の狂気。何かが直接的に襲うのではなく、見えない何かに怯えたりと雰囲気で恐怖を煽る。狂気が>>続きを読む

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(2020年製作の映画)

3.4

黒人解放運動を推し進めた政治組織ブラックパンサー党。FBIとブラックパンサー党の抗争はほとんどギャング映画の世界。フレッド・トンプソンを演じたダニエル・カルーヤの名演は見事。彼の演説はまるで炎のように>>続きを読む

タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)

3.5

キリスト教をテレビで布教していくジム&タミー夫妻。スキャンダルによって失墜していく様子を実話に基づいて描いた作品。夫婦の出会いからビジネスの成功、そして転落までテンポよく描くがキリスト教信者ではない日>>続きを読む

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.7

タコと人間の交流を映し出した、衝撃のドキュメンタリー。タコが愛犬のように、人間と仲良くしている姿をとらえた場面は、神秘的に美しい。タコの生態・行動にも驚かされるが、撮影のためとはいえ毎日タコに会いに行>>続きを読む

HOMESTAY(2022年製作の映画)

3.6

死んでしまった高校生の体に乗り移った魂が彼の死の原因を探っていく。ファンタジー要素を入れつつ「自殺」について1つの考え方を提示する。他人からの「評価」や「必要性」。生きていくうえで自分の存在意義が無け>>続きを読む

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

4.2

初監督作にこのテーマを選んだマギー・ギレンホールに感心。バカンスを楽しむ主人公の常軌を逸した行動に出るが淡々と綴られることで、逆にその闇の深さがしみてくる。反感を買いまくるようなキャラクターの心情を巧>>続きを読む

チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

4.4

LGBTを嫌悪する独裁者の肉声が酷い。「チェチェンに同性愛者迫害は存在しない。何故ならチェチェンには同性愛者が存在しないから」というこの映画を象徴する一言が怖い。公権力による市民へのあからさまな暴行の>>続きを読む

ライフ・ウィズ・ミュージック(2021年製作の映画)

3.8

世界的アーティストSiaの映画監督デビュー作。ミュージカルシーンにおける幻想の流麗さが巧い。登場人物の感情が大きく揺れたときに極彩色の空間が出現しSiaの音楽=メッセージが炸裂。その空間では鮮やかな色>>続きを読む

シラノ(2021年製作の映画)

4.0

文武両道に長けた英雄的な人物ながら、唯一にして最大のコンプレックスである低い身長ゆえ、自らを「愛される価値のない人間」だと考えているシラノ役にピーター・ディンクレイジ。彼が演じることで感情レベルが高ま>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.4

ウィリアムズ姉妹の話を、彼女らでなく父親を主人公にして語ったところが面白く、スポーツ映画の常道、と見せかけつつ、ひねった細部で勝負している。間違いなく毒親の分類に入る父親。自分のやり方を曲げず、周囲の>>続きを読む

アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.5

アドベンチャーゲーム原作のトレジャーハンター映画。脚本の粗さは否めないが王道アドベンチャー・アクションな展開は、どこか懐かしさもアリ。いい意味で頭を使わないで、ただただ映画を浴びて、何も考えずに楽しめ>>続きを読む

ダマカ:テロ独占生中継(2021年製作の映画)

3.6

韓国映画「テロ、ライブ」のインドのリメイク版。ラジオ生放送中に橋を爆破したテロリストと会話することになった元キャスター。息詰まる攻防を繰り広げるというリアルタイム型サスペンス。とにかくノンストップで怒>>続きを読む

観察者(2021年製作の映画)

3.7

ほんの出来心から隣の住人を覗き見したカップルが他人の私生活から抜け出せなくなってしまう。やってることが観察者というよりは完全に“のぞき魔”なカップル。人間の果てしない欲望の愚かさと恐ろしさを、結構エロ>>続きを読む

ジャングル・クルーズ(2020年製作の映画)

3.9

いい意味で古風な『インディ・ジョーンズ』系秘境アドヴェンチャー。展開が早く、とにかく盛りだくさんで、1秒たりとも飽きさせることをしない安定のディズニークオリティ。さらにひたすら胡散臭いロック様とエミリ>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.0

すでに別れている彼と彼女の、コロナ禍の日常をべースに、2人の恋の顚末を彼の側から1年刻みで遡っていく。松居大悟監督による緻密な脚本が後半にかけて、ジワジワと染みてくる。ちゃんと登場する『ナイト・オン・>>続きを読む

JOLT ジョルト(2021年製作の映画)

3.0

怒りの制御に問題を抱え、常に電気ショックベストを着用。殺意が芽生えるたびに自分に電気ショックを与えることで衝動を抑えている女性。設定の面白さに対してストーリーはテンプレで普通。ケイト・ベッキンセール4>>続きを読む

ザ・ハント(2020年製作の映画)

3.8

富裕層の人々が12名の貧困層の人々を獲物に狩りをする話だが、映画はどちらかの味方をするわけではなく、どっちもどっちとバッサリ切り捨てて、痛快かつ爆笑。冒頭の容赦なく連発される残虐シーンは、誰が主人公な>>続きを読む

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

4.2

米国の国外養子縁組制度の問題点を描き、愛し合う家族が現状に合わない法律のせいで引き裂かれるという話はそれだけで心を揺さぶられる。最後にお互いを「選んだ」のだと何度も伝え合う父と娘の血縁関係を超えた強い>>続きを読む

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ(2021年製作の映画)

3.3

1曲の歌の重みを思い知らされる。木に吊るされた黒人の死体を果実に例えたプロテストソング「奇妙な果実」を歌うジャズ歌手ビリー・ホリデイ。しかし、この曲を歌ったことで、社会がどう動いたのかを映さなければ、>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.7

偉大すぎる名作の再生として「娯楽映画の巨匠」スピルバーグの本気が伝わる。あらゆるショットが映画の教科書に載せられそうなほど純度の高いヴィジュアル・ストーリーテリングに興奮。オリジナルに忠実過ぎるが故に>>続きを読む

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.5

映像が進化した今の時代でも、アナログ感を強調した作りはオリジナルに忠実であろうという試み。終盤にかけての先代オマージュと同窓会ノリは卑怯としか言えないが、実際にこれが観たかった。ノスタルジーに頼りすぎ>>続きを読む

プリジョネイロ(2021年製作の映画)

3.9

家族を養うためにブラジルの片田舎から出稼ぎに出たものの人身売買業者の手に落ちてしまう青年の葛藤。廃品処理場だけの一種の密室空間は、抜けられない無間地獄に息が詰まる。政治家と同じで構造問題に根があり、優>>続きを読む

シルバー・スケート(2020年製作の映画)

4.5

『ロミオとジュリエット』がスケートを履いたバージョンといえるシンプルな物語。古き良きロシアの風景・建物・文化・ファッションが大いに堪能でき、アイスショーのような感じで異国情緒に没頭できる。スケート自体>>続きを読む