荻昌弘の映画評論

死の谷の荻昌弘の映画評論のネタバレレビュー・内容・結末

死の谷(1949年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 久方振りに本場ものの快味を満喫できる、近来出色のウェスタン。悪のしおさめにと列車強盗を敢行した無法者と、混血娘とのはかなくも凄絶なクライム・ダズント・ペイ物語、話だけでも懐かしいやな。
 コロラドの不毛地帯にそびえ立つ、トテツもなく不気味なクリフが、この引締った物語に絶好の舞台を提供する。えれえところ見つけやがったナ!と舌打ちしたくなるほどのロケエション效果(撮影シド・ヒコックスの乾いた輝き)。
 しかも語り手はヴェテラン、ラウォオル・ウォルシュ、鋭く切れ上ったカッティングの冴えに映画的魅力の緊張と興奮を満載した演出の妙。列車追跡・飛乗り、大原野の大疾走、そしてクリフのパアスペクテイヴを十二分に活かしきったクライマックスの斬り捨てるような効果等々の、スタンド・プレイは言うも更らなり、振り向きざまダンと一発てな常識ホウカム一つでさえ、ハッシハッシとアクションの急所を押えて行くその腕前の程には文句のつけようもないのである。
 “脚”で人気の、ジョエル・マクリイとヴァアジニア・メイヨ、共に大いによろし。
『映画評論 7(6)』