okaさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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地球爆破作戦(1970年製作の映画)

4.1

「諸君が失う自由は、そもそも幻想に過ぎない。失うのは自尊心だけだ」突然、耳元でラッパを吹かれたかの様な衝撃…武力により押さえつけられた平和では、根本的な意味で平和とは言えないのか…2001年宇宙の旅を>>続きを読む

キャロル(2015年製作の映画)

4.0

「でも自分を偽る生き方では、私の存在意義がない」人間が白黒二色で塗り分けられれば、生きるのが楽になる。でも実際は、人間も物事も、もっと複雑で多様なもの。まず我々はその事を理解する必要がある。それが、当>>続きを読む

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

3.9

サマセットモームは芸術作品についてこう語っていた。「こんなのありえないと思わせない程度の現実感さえ保持していれば、話をドラマチックにし大胆なクライマックスを盛り込んだ方が良い」。この作品の評価の分れ目>>続きを読む

恋愛小説家(1997年製作の映画)

3.7

「僕らと違い大勢が楽しい思い出を持っている。そういう奴らのいることが、君らには腹立だしいんだ」他人と比較している内は自分の人生を歩むことはできない。結局のところ、重要な事は事実より解釈でしかなく…そこ>>続きを読む

生きものの記録(1955年製作の映画)

4.0

「正気でいるつもりの自分が妙に不安になるんです。狂っているのは、あの患者なのか。こんな時世に正気でいられる我々がおかしいのか」この映画全体を覆う不穏な空気が、現代社会の異常さを雄弁に物語っている。我々>>続きを読む

エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)

3.8

「あんたの脊髄の値段を考えてみたら?子宮を何ドルで売りたい?」全体的にベタでわかりやすく安っぽいところがあるが、この映画には、思わず引きこまれる何かがある。勿論それはジュリアロバーツの魅力だけではない>>続きを読む

夫たち、妻たち(1992年製作の映画)

3.9

「これも作家の哀しい性だ。ドラマチックな状況に芸術性を見出し。難しいシチュエーションに陶酔するんだ。その挙げ句恋に破れてショボくれる。」欲望に駆られ、意思に翻弄されるウディアレン自身の生き方そのもの。>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.2

「サルトルは知的革命を起こし、ひとつの世代を自由にした。特に自己の自由とか自分の価値を肯定することに」自由になる為には、まず自分が自由であることに気づく必要がある。そして人生では、あらゆることで、その>>続きを読む

シックス・センス(1999年製作の映画)

4.1

「幽霊は、互いに見えない。自分達の見たいものしか見ない。自分が死んでると思っていない。」自分の事を客観視できないのは幽霊も人間も同じ。
孤独を抱えた人々の善意が、やはり孤独を抱えた人々の魂を救っていく
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陪審員(1996年製作の映画)

3.2

一見何かを得られそうに見えて、実は何も得られない映画。突っ込みどころも多い。ただ深夜のテレビで見るには丁度良いチープさで、終始脱力しながら引き込まれていた。
たまには普通のラーメンよりカップラーメンが
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.0

「彼は不完全な私ではなくありのままの私を見てくれるの」この文明社会において、未だ平然と行われている人種差別や性差別。科学は著しく発達したが、人間性の進化の歩みはあまりにも遅い。相手を理解し受け入れるこ>>続きを読む

櫻の園(1990年製作の映画)

4.2

「毎年同じ様に過ごす先生は来年来年って言うけど、先輩たちには今年しか無くて、私たちには来年しか無いんですよ」毎年同じ様に咲く桜だが、咲く時期は勿論、大きさや色の濃淡も少しずつ異なっている。どんな咲き方>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.8

今の自分を肯定出来るなら、過去の苦い経験すらも肯定出来るはず。逆に言えば、今が苦しくてもそれを糧に前進出来れば、あらゆることをプラスに変えられる可能性がある、ということ。とかく人生では失敗が多い。失敗>>続きを読む

真実の行方(1996年製作の映画)

4.2

「犯罪は悪人が犯すとは限らない。善い人間がとんでもない犯罪を犯す事もある」悪人にも良心的な部分があり、善人にも偽善的な部分がある。しかしその一方で、どんなに酷い犯罪を犯しても罪の意識すら持たない者もい>>続きを読む

クリーン(2004年製作の映画)

3.9

「光の中にいても、打ちひしがれてる」傍からだと輝いている様に見えても、その人の心の中まではわからない。一つでも悲しみを背負っていると、あらゆる成功も心の底から喜ぶことは難しい。しかしその悲しみを希望に>>続きを読む

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争(1971年製作の映画)

4.2

王道のコメディとは対極にあり、他のどの作品とも似ていない唯一無二の作品。ナンセンスな笑いなのに真面目にふざけていて、どこまでもシュール。また登場人物のキャラクターの温かさや音楽、色彩等のセンスの良さも>>続きを読む

チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.1

「この鼻まで切り落とされかけた。おかげで鼻詰まりが治った」ジェイクはいつだって真剣で、いつだってふざけている。彼にとってそれが人生を生き抜く術なのだろう。生きにくいのはチャイナタウンだけではないから。>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.2

人は取り返しのつかない罪を犯した時、そのつぐないをすることはできるのか。また、その怒りをどう扱い、どう活かすのか。普遍的なテーマを意外性溢れる卓越した脚本で描く、比類なき秀作。やはり人は見かけによらな>>続きを読む

ブラッド・シンプル(1984年製作の映画)

4.1

映画のコピーは「哀しいほど滑稽な殺人」。人間の本質を端的に描いたコピーであり、映画である。お金、不倫、嫉妬、そして勘違い…それらによって人はいつも翻弄されている。デビュー作にして、この完成度。コーエン>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

3.9

「現実から逃げる夢を見るためよ。違う?新たな人生の夢」夢や希望を持って生きること。そしてその夢を本気で叶えようとすること。それさえできれば、たとえ叶えられなかったとしても、意味のある人生になるだろう。>>続きを読む

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット(1969年製作の映画)

4.0

「我々の銃の時代はじきに終わる」時代の波に取り残され、強盗をする事でしか生きられない男たち。彼らは勝ち目のない戦いでも決して屈する事のなく、またどんなに苦しくても笑顔を忘れる事はない。簡潔さこそ機知の>>続きを読む

フォロー・ミー(1972年製作の映画)

4.2

「無言で見つめ合い、耳を澄ませて互いの胸の鼓動を聞いたら…」何も話さなくても、心が通じ合う時がある。逆に沢山のことを伝えても、心が離れてしまう時もある。ガラス細工のような繊細な人の心を、大胆な形で表現>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

4.2

本当に凄い映画。最初から最後まで、息苦しくなるほど胸が締め付けられる。この映画を無傷で見終えることはできない。他人の痛みを知る想像力を持つこと。それができなければ、思いもよらぬ悲劇や惨劇が繰り返される>>続きを読む

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

3.9

「この世の不幸は感情操作とウソ笑いで」という、あるミュージシャンの歌詞を思い出した。悲しみも不安も怒りも…全て人間にとって欠かせない感情。それがわかれば自分にも他人にも、もう少し優しくなれるはず。いつ>>続きを読む

ドライヴ(2011年製作の映画)

4.2

「あれは悪者?どうして?」「だってサメだからさ」サメとして生まれてきた以上、サメという性質から逃れられることはできない。それはカエルやサソリも同様だろう。カエルは誰かを助けずにはいられないだろうし、サ>>続きを読む

アナライズ・ミー(1999年製作の映画)

3.0

良いところが見つからない…リアリティに欠ける雑な筋書き、笑える場面も少く、独創的な教訓も皆無。「恋はデジャブ」の監督ということで、期待が大き過ぎたことは確かだが…

シャイニング(1980年製作の映画)

4.3

「ああ、酒が欲しい。魂を売っても一杯のビールを…」
来る日も来る日も机の前に座り、何時間も集中しなければならない。物を書くという作業は、どこまでも孤独で狂気に満ちている。創作家の苦悩が奇抜な形で発散さ
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.1

「ワテ、長い間、探し求めておりましてん。途中で悪夢に変わったりせえへん純粋な夢、永遠の夢の世界を創りたいんや」傷つくこと、煩わしいこと、自分に都合の悪いこと。全ては人が生きていく上で必要なこと。快適で>>続きを読む

ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

4.1

「本能だろう。ショッピングセンターに入りたいだけさ」「地獄が満員になると死者は地上を歩く」何となくショッピングセンターに集うのは、日本もアメリカも同じ。大量消費社会に入り、生きる目的を見失った人々を客>>続きを読む

シンプル・シモン(2010年製作の映画)

3.7

「見る物全てを頭の中で音楽と一体にするの。ビデオクリップみたいに。世界と好きな音楽が1つになって幸せになるの」当たり前に過ぎ去る日常は、実はかけがえのない一瞬の連続であったりする。それに気が付くと、人>>続きを読む

SOMEWHERE(2010年製作の映画)

4.0

誰しもが憧れる様な華やかな世界に、幸せがあるとは限らない。むしろ、ごく普通のささやかな生活の中に、あったりするもの。
真実に気付いた時、人はどう生きるのか。転換期を迎えた男の葛藤を、乾いたタッチで描く
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.0

友達の恋人を好きになるという古典的な物語。展開もシンプルでありきたり。だが、それをどこにもない映画に仕上げてしまう辺りに、ロメールの巧妙な仕事ぶりが伺える。臆病さもナチュラルであれば、人としての魅力に>>続きを読む

中学生円山(2013年製作の映画)

3.9

好きなことを本気でやり続けたある中学生が、大人に成長していく話。「バンデットQ」と「アイズワイドシャット」を足して3で割り、人情と中学生の多感さを加えて出来たような映画。男として、女性に見られたら何だ>>続きを読む

バンデットQ(1981年製作の映画)

3.9

「映画を撮る時はいつも童心に返っている」インタビュー時のテリーギリアムの言葉。本当にそんな映画だった。作り手が楽しんでいれば、それは見ている人にも伝わるもの。夢、ロマン、純粋さ。そんな素敵なものが沢山>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

3.7

「俺はひたすら前へと進む。音楽を追い求めて。あの頃に帰るために」
何かに夢中になり始めた頃。夢と希望に溢れていた頃。そういう頃の気持ちは大切にした方がいい。初心を糧に出来なければ、富も名声も虚しいもの
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緑の光線(1986年製作の映画)

4.2

「緑の光線を見た者は、自分と他人の感情がわかるそう」
英語にepiphanyという言葉がある。簡単に言うと「直感的な真実把握」という意味。非科学的だが、妙に腑に落ちる現象である。
不器用で孤独な人に寄
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