otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 60ページ目

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怒りの日(1943年製作の映画)

4.4

己の欲望から魔女化した事で見事に狩られてしまう訳だが、因果応報と云うにはあまりに不幸である。登場人物のそれぞれが強さと弱さを持ち合わせており、魔女化する可能性は誰しも持っている。複雑な人間社会において>>続きを読む

神々の深き欲望(1968年製作の映画)

4.2

現代文明から隔絶された離島の神話的な一本。万物に宿る神々と土地の因習や村八分の怖さがBBCも真っ青のド迫力かつ繊細な自然と共に描かれる。今平のドキュメンタリーへの探求心のお陰か余計に生々しい人間の姿。>>続きを読む

さらば箱舟(1982年製作の映画)

3.7

うーん、カオス。とっても悪い夢を見た様な感じ。文化から外れた生き方と云うものは容易ではない。完璧なる死体になる過程で何を選択しなきゃならんのか。あまりに大胆な寺山修司の提示に圧倒される。更には異世界へ>>続きを読む

免許がない!(1994年製作の映画)

3.4

格好良いのか悪いのか良く分からないポジションにいた90年代の舘ひろし。脚本も森田芳光らしいと言えばそんな気もしなくもない。まずまず。

アイデンティティー(2003年製作の映画)

3.7

いかに犯人から意識をそらせるかの脚本にまんまと乗せられて最後まで騙される。多重人格のやたら丁寧な説明も、ジョン•キューザック視点の立ち回りも脚本の手の内だった様で。何回も観ようとは思わないが、なかなか>>続きを読む

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)

4.0

久々の鑑賞。慰安婦がどうのとか言えないレベルのアメリカ様映画。いつものデ•パルマ監督の映像表現はさすがに影を潜めているものの、構図の取り方なんかはやはり秀逸。血の描き方も然り。どこまでもモラリストなマ>>続きを読む

マイ・バック・ページ(2011年製作の映画)

3.2

若さゆえとは云うものの、典型的な左巻きな人間に興味を持ってしまったのが運の尽き。挫折感やら色々混じったラストの妻夫木の涙は、ダスティン•ホフマンまでいかずともなかなか良い演技だった。確実に昨日より疲れ>>続きを読む

アドベンチャーランドへようこそ(2009年製作の映画)

3.7

エンドレスじゃないサマームービーってのはやっぱり好きだなぁ。宇宙人ポール然り途轍もない傑作って事はないけれども、程々にヌルい感じがまた良い。神より愛を信じる下りなんかも好き。ルー•リード筆頭に各楽曲、>>続きを読む

眠らない街 新宿鮫(1993年製作の映画)

3.3

爆裂にトレンディ過ぎて萎える。が、ガチガチなホモ展開には笑わせて貰った。ストーリーがいまいちなのは置いといて、何よりも田中美奈子の全てにドン引きさせられる。絵に描いた様な駄目なロックをまんまとやるって>>続きを読む

里見八犬伝(1983年製作の映画)

3.9

魔界転生とまぁ似たテイストの今作。CG主流の昨今では考えられない大掛かりなアトラクションみたいなセットが実に楽しい。薬師丸、真田はともかくとして、千葉真一と夏木マリの演技力に尽きる。小学生の頃に繰り返>>続きを読む

ピラニア軍団 ダボシャツの天(1977年製作の映画)

3.7

川谷拓三だけでも面白いのにちゃんと各キャラが立ちつつも、スッキリ且つ軽快にまとまっている。散々笑かせておきながら、突如として冗談みたいな仁義なき風のナレーションが入りニヤニヤが止まらない。良いなぁ。

あ、春(1998年製作の映画)

4.0

葬式に始まって弔いに終わる。時代も含めてあんまり面白くない事だらけの佐藤浩市とその家族。なのに終始ほのぼのと観ていられるのは長回しの緊迫感がなかったからか。実に春らしい一本、良作。

カルラの歌(1996年製作の映画)

3.8

緑豊かな美しいグラスゴーの風景と荒廃したニカラグア。ロケットランチャーで家々が破壊されていく殺伐とした空気の中で、ロバート•カーライルのどこまでもいい奴っぷり(嫌味じゃない)が実に和む。にしても恐ろし>>続きを読む

金閣寺(1976年製作の映画)

4.1

永遠なるものへの渇望。うーん、青春だなぁ...屈折してるけど。やはり三島由紀夫は色んな意味で強烈。確か主人公はブ男だった筈だが、篠田三郎がイケメンな上に吃りも弱かった気もしなくはない。が、高林陽一の描>>続きを読む

ソフィー・マルソーの刑事物語/ポリス(1985年製作の映画)

2.9

うーん、ソフィ•マルソーでなかったら観てなかっただろうなぁ。

塀の中の懲りない面々(1987年製作の映画)

4.6

やっぱり森崎東は変な監督だな。色々と予想の斜め上を行きまくる...だから好きなんだけど。安部譲二と安藤組はともかくとして実に面白い。老いてもボギーばりの雰囲気を醸し出す藤竜也を筆頭に何故か出っ歯の川谷>>続きを読む

俺達に墓はない(1979年製作の映画)

3.8

予測不能なストーリーと完璧なる優作劇場(特に細かい小ネタ演技)で目が離せない。どうしようもないクズばかり出てくる作品なのだが、中でも岩城滉一のクズっぷりは抜き出ており、その辺りの先の読めさもまた面白い>>続きを読む

反逆のメロディー(1970年製作の映画)

3.4

デニムなヤクザな原田芳雄。それはまぁ許せなくもないが、色々と緩い一本。ほんわかした音楽と佐藤蛾次郎で妙な雰囲気になったり、藤竜也と梶芽衣子があんまり効いてなかったりと残念なところは多い。地井武男のオー>>続きを読む

不連続殺人事件(1977年製作の映画)

3.4

いささか描き足りない感が否めない。ややこしい相関図を理解する前に物語が終了。棒演技なのに存在感を発揮する内田裕也はやはり凄いなぁと、結局それだけが残った。

チャンプ(1979年製作の映画)

3.9

うーむ、これは全米が泣いたと言われても納得。どこまでも無骨な役が似合う男、真夜中のカーボーイことジョン•ヴォイトと見た目からして既にいじらしく、良い子な息子TJ+死んだ事にされた母親の物語。露骨なまで>>続きを読む

ビヨンド・サイレンス(1996年製作の映画)

3.9

娘と聾の父親の音への憧れに満ちた作品だったが、とても静かな一本だった。良作。

刺青(1984年製作の映画)

3.5

うーむ。いきなり人生転落したかと思いきや、一度転落してたって云う女。途中でブン屋が出てきたあたりから途切れないオーバーアクションで笑いを誘う。ゲーセン兄貴の事故はいくらなんでもねぇ。

ヴォイツェック(1979年製作の映画)

4.3

同じヘルツォーク作品の小人の饗宴を思い出してしまった。健常者が健常者でない者を作っている。異なると云う事が残酷なイメージを作り出す。変わり者に対しての歪んだ扱いが調子の外れた不安定な弦楽隊の音と共に描>>続きを読む

エリックを探して(2009年製作の映画)

4.1

見渡す限り赤色で水色は出てこない。ユナイテッドファンにはたまらない一本。流石にカンフーキックは劇中に登場しないものの、ドヤ顔で教訓を語りまくるカントナ。映画が素晴らしいのは勿論の事、カントナの美しいプ>>続きを読む

氷点(1966年製作の映画)

3.9

のっけにピアノ弦を切ると云う超絶打鍵を披露する若尾文子サマ。劇中の大半が恨み節でいぢわるでもやっぱりお美しい。そんな若尾サマに負けない天使の様な安田道代。ラノベレベルの妹像は現代日本においてはまさに希>>続きを読む

トッツィー(1982年製作の映画)

3.9

うーむ、嫌いになれないこの80年代感。カラッとしてます。ダスティン•ホフマンも脂が乗っている感じの頃。おまけにウォーホルまで出てくる。で、勿論クールなビル•マーレイ。にしても時代のせいかデイブ•グルー>>続きを読む

悲愁物語(1977年製作の映画)

3.9

久々の鑑賞。日活解雇からブランクを経ての今作。とにかくジャンルを問わず清順がやりたい事をやりたいだけやっている訳だが、日活時代とその後の浪漫三部作とのらしさとが融合されており実に興味深い。鑑賞者の不快>>続きを読む

ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

3.8

平和な午後を破壊する加瀬くん怖ェー。色んな嘘と真で成り立つ現代日本に実際にありそうなお話。ある意味ホラー。ラストのバッサリ行くところが気にならんくらいに物語の進行が実に滑らかだった。良作。

君が若者なら(1970年製作の映画)

3.7

松竹らしい健全な妙なノリで始まったかと思いきや、仁義なき壮絶さの中でやっぱり健全な若者たち。これが松竹力か。中卒集団就職のある意味犠牲となった前田吟ほか若者たちの鬱屈した雰囲気は山守組就職以前の広能た>>続きを読む

書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

3.7

久々の鑑賞。好きか嫌いかは置いといて、この時代にこれだけ大胆な事をやってのけた功績と云うのはやはり認めるざるを得ない。しかしまぁ、直接的過ぎると云うか何と云うか、いささか恥ずかしい気もしなくはない。時>>続きを読む

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

4.2

各人のちょっとした優しさがドデカい奇跡を呼び起こす。全体的にはかなり雑な印象を受けなくもないが、何故かあまり気にならないカウリスマキ作品の不思議。ダサめなロックを挿入するのはこの監督的にデフォなんだろ>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

5.0

何度観ても狐につままれた感と実に日本的な背筋の凍りつく様な気味の悪さが残る。素晴らしい映像美でありつつも、視覚情報の裏をつく清順の表現方法はブルース•ウィルスもびっくりだろーな。しかしこれ観る度に釈迦>>続きを読む

変態島(2008年製作の映画)

4.1

タイトルに釣られて鑑賞したものの、とりあえず変態は出てこない。悪夢としか言いようがない異常な疲労感と息苦しさが残る作品。川下りの末にワラワラ出てくる子供達と地獄の黙示録感満載で、ある意味更に怖い。完全>>続きを読む

ぬるぬる燗燗(1996年製作の映画)

3.7

大和屋竺が歌う『殺しのブルース』風テーマに乗せて究極のぬる燗を求める妙な一本。低予算全開であるものの、映画は金で作るもんじゃないなと感じる。藤田敏八と大和屋竺がいるだけで良い。製作陣に何気に青山真治や>>続きを読む

ヒア アフター(2010年製作の映画)

3.7

クリント•イーストウッド作品は基本的に好きなのだが、今作はどうにもモヤモヤした感じが否めない。別々の都市に住む人々が繋がって行く訳だが、それまで関係があった人々の切られ方が超冷酷。料理教室の赤毛ちゃん>>続きを読む