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ショーン・ペンが際立つ。
史実の基づく辞書物語。
大英帝国の閉塞感重厚さ融通の利かなさがすべてぶち込まれている。
愛は愛を呼ぶ。というか愛しか連れてこないのだろう。
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閉塞感があらゆるレベルでフィルムを覆う。
どこに行こうが、どこにも行けないことが端的に示されている。
遠い昔、極東の映画「キッズリターン」が描き出した反復性がここでもまた繰り返されている。
愛は他人を>>続きを読む
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何度見てもため息しか出ない。
完成度は群を抜いている。
思弁的セリフの好き嫌いを抜きにしても、この色彩世界には息を呑む。
無表情である人形の顔をこれほどまでに雄弁に描き上げる本作のクオリティーは今もな>>続きを読む
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いい意味でのプライベートフィルム。
胡散臭いが安っぽくならないところが、役者の格であり貫禄。
生き延びるためには、夜の顔と昼の顔とのバランスを決して崩してはいけない。そこのところを最後まで守り抜けるも>>続きを読む
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リアリティの追求などはなから放棄しているゆえにあり得ない設定が拵えられている。あとは物語の速度と強度にあなた自身が身を委ねることができるかどうか。役者の佇まいを前提とした演出のスピード感は全てを吹き飛>>続きを読む
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劇場版は何十年も前に観たきりで記憶になし。完全版は長いなと思う手前ぐらいで終わっているという長さか。現代であれば内容や子役の扱いに制限がかかり、ここで実現されているテイストとはほど遠い表現となってしま>>続きを読む
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理屈がうるさい日常を離れさせてくれる作品。
マインドフルネスフィルムといったところか。
テンポの良い演出に、役者のきちんとした仕事がかぶさり、ああエンターテイメント。
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人は誰もが「フツー」である。
なぜなら、世界そのものが「フツー」であるのだから。
青春の甘さや苦さが蒸溜されているこのテイストは貴重だ。
役者がピタリとハマるとストーリーは本当にブレない。
才能ある監>>続きを読む
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プロローグとして位置付けないと何が何だかわからない展開。
でしゃばり過ぎない主人公のこれからの筋の通し方に注目。
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過去から逃れられない男の末路に決着がつく。
国に奉仕し続けた最期は栄誉か犬死か。
ラストシーンが失踪するアストンマーチンであることが救い。
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ダニエル・クレイグのボンドは姿勢正しく全力疾走するイメージしかない。
それが英国流の誇りなのだ。
今回見直してみて、今作からすでに疾走していたことが確認できた。
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ありふれた「青春」映画である。
ありふれた青春を106分間、観客に見せ続けるには非凡な才能が必要となる。
上手い役者を使い、うまさが嫌味にならない演出が施されているのは、やはり「イヤミ」に近い才能と言>>続きを読む
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見たい奴だけ見ればいいの典型的な映画。
物語は、オープニングとエンディングが全てであることをきちんと思い出させてくれる作品。
実にすばらしいラスト。
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関係者へのインタビューで構成された記録映画。
愚直なまでの編集方法が貫かれている。
大女優田中絹代の受け答えはとてもクレバー。上品だ。
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浪花千栄子のナニワ金融道プラス入江たか子の幽霊話の合作。
癖が強すぎて、若尾文子の可憐さでかろうじて中和されていると言える。
結ばれない二人りが最後には結ばれるハッピーエンドはやはりいい。
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遅れてきた裕次郎こと北大路欣也と若尾文子との火遊び物語。
増村は何を目指したのかが、皆目見当がつかない作品。
音楽が底ささえをしているところが一層物悲しい。
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若尾文子と江波杏子。そして川崎敬三。
奇妙な三角関係が進行していく。現在の「不倫」とは少しばかりテイストが違うか。構図はすっきりとしているのだが、関係性が一向にはっきりとしてこない視界不良なフィルム。
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桃井かおりと岩下志麻。
ほとんど地ではないかと疑いたくなるほどの演技を超えた演技が炸裂する。
ラストシーンにおける弁護士が毒婦の顔にワインをぶっかける、その尋常ではないスピード感の実現はほとんど奇跡的>>続きを読む
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幸せな気分になる映画。
イタリア映画にかつてあった人間讃歌・人生万歳でフィルムが満ち溢れている。紛れもなく、若尾が主役をはれる役者であることを思い出させる作品である。
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青春映画はふた通りしかない。
その渦中にいる若者が支持する映画。
もしくは、過ぎ去った人間が共感を抱く映画。
本作は、後者の紛れもない傑作だ。
ダレるのことない緻密な演出が素晴らしい。
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誰にも似ていない画家のテーマは、生・生殖・死であるが、彼に見えてみたものは、おそらくプロセスではなく、フェイズであったのだろう。
フィルムの中で、ある学芸員は、彼の絵には善がないと口にしていた。
が、>>続きを読む
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生き方はそれほど器用には、急には変えることができない。
しかしながら、方法を変えながら生きることはできる。
それは決して変節ではない。転向でもない。
なぜなら、そこに愛があるから。
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川島が急逝しなければシリーズ化したであろう作品。
四方八方に破れがちの物語をすんでのところでまとめ上げている。
フランキー堺の身体能力の高さが本作においても遺憾無く発揮されていて、画面にスピード感の彩>>続きを読む
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成瀬巳喜男と川島雄三の共同演出。成瀬が川島を指名した。
どこまでいっても山田五十鈴の映画。
年増女に乙女心を滲み出させる超演技は誰にも追いつけない。
すごい女優がかつて存在した。
主演は司葉子であり、>>続きを読む
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匿名であらねばならぬ殺し屋は、記憶をなくすと同時に自らの存在証明を探し回る。記憶が戻り、誰でもないことの必然性を取り戻し、何事もなかったように、この世界の中に紛れ込んでしまう。そこには感傷は一ミリもな>>続きを読む
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空中分解。
おそらく俳優の力なのであろう。
おそらく演出の力技なのだろう。
2時間を引っ張る力が本作にはある。
この監督には、違った素材での自作にぜひ巡り会いたい。
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青春残酷物語。
時代の生き証人のようなフィルム。鈴木清順や手塚治虫もちょい役で出演していることからわかるように、記念的意味合いがやはり強い。
行為自体ではなく、終わったことの意味でしか事態を理解できな>>続きを読む
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ハッピーエンドは体にいい。
家族の絆を取り戻す(壊さない)ために、地球規模のエイリアンとの戦いが導入されている。米国のファミリードラマのコンセプトは常に「外敵の脅威」との戦いを通しての再生(回復)に他>>続きを読む
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社会の雛形のようなシチュエーションが設定されているがもちろん、我々の世の中とは違う。決定的な違いは、本作においては永遠の平等が約束されている点にある。上位層での固定化や下位層での悲惨は1ヶ月限りである>>続きを読む