あいうえおさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

あいうえお

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ペット安楽死請負人(2017年製作の映画)

2.4

説得力がない。生と死というテーマを隠れ蓑に、最低限のリアリティまでも無視してしまっている印象。何の法則も生み出さずにただ映像をつないだだけ。そもそも、ストーリーの語り方がつまらないのだから仕方ない。血>>続きを読む

オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.2

作風は前作『アデュー・フィリピーヌ』を踏襲している部分が大きいが、こちらの方はより具体的な表現が多くなっている。ただ、やはり片思いのストーカーではなく双方向(多方向)の恋愛を描くべきではなかったのでは>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)

4.6

誤解を恐れずに言えば、この作品は登場人物としての「女性」というよりも、私的なシンボルとしての「女性」が全面に押し出されているといった印象。面白いものにピントを合わせている。ヌーヴェル・ヴァーグ的な手法>>続きを読む

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.5

センスの良い監督であるとは感じるものの、この人はとにかく物語を詰めるのが下手。観ていて体が痒くなる。
『ムアラフ』では主要な登場人物の少なさでその弱点が隠されていた(?)だけに、何だか残念に感じる。期
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ソロシンガー(1980年製作の映画)

4.5

東ドイツのDEFAが製作した作品を観るのは『嘘つきヤコブ』に続いて2作目。
フュージョン調の音楽が時代を感じさせるものの、こんなに良い映画が埋もれているのはもったいない。
主人公たちの日常をこんなにも
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シエラネバダ(2016年製作の映画)

4.2

クリスティ・プイウは前々から知っていたが、今回で監督作品ほぼ初鑑賞。面白かった。傑作と呼ばれる『Mr.ラザレスクの死』が気になる。

マンダレーへの道(2016年製作の映画)

2.7

意味内容が先行し過ぎ。映画としての魅力に欠ける。

恋物語(2015年製作の映画)

4.0

ラブシーンが若干くどく感じたが、こういう良作は大歓迎。
何でもない普通の映像に固有の意味を持たせることができるという映画の長所を、監督はかなり良く分かっているように思える。

ザーヤンデルードの夜(2016年製作の映画)

4.4

作品自体が完全か不完全かの前に、一つ一つの断片のクオリティが非常に高い。検閲でズタズタにされても尚、良いものは良い。パワーのある映像表現が観ていて心地よい。
革命で何が変わったのか、何が変わっていない
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よみがえりの樹(2016年製作の映画)

2.9

全体的には素材の良さを活かしきれていないような印象。アピチャッポンとは雰囲気こそ近いが、根底にあるものは全く異なる物だと個人的には思う。

ノクトラマ/夜行少年たち(2016年製作の映画)

3.0

意欲作止まりといったところか。映画の醍醐味とは程遠い、一発芸のような作品。

オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

4.5

結論から言うと、この作品は「ボクサーの主人公とその恋人がお互いに困難に直面し、二人でそれを乗り越える」といった定石とは正反対の構成になっている。

展開が進むにつれてライヤはボクシングの世界から切り離
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フィクサー(2016年製作の映画)

3.3

本作の主要テーマ「独り善がりの選択の是非」は作品全体を通して良く伝わる。しかしながら、 90分ほどの映画であれば、もっとストーリーに深みを持たせる対話シーンを挿入できたのではないか。言葉で語ることを嫌>>続きを読む

アクエリアス(2016年製作の映画)

3.9

スコープサイズの映画には前々から嫌気が差していたが、この作品は監督が敢えてそのサイズにしたのかと思うほど画作りがしっかりしている。画面を持て余さないように常に注意が払われている。

家族の存在を中心に
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痛ましき謎への子守唄(2016年製作の映画)

2.3

内容云々の前に、まず単位時間あたりの情報量が少な過ぎる。観客の睡魔との闘いの方が壮絶だったのでは。この物語を表現するのに8時間を要する理由がさっぱり分からない。
「せっかくこの映画のために時間を費やし
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サファリ(2016年製作の映画)

4.3

個人的には『パラダイス』三部作よりもキレがあって恣意性が強くて好き。
冒頭、小屋から撃つ銃の音が聞こえるカットが素晴らしい。まるでウルリヒザイドルが観客に自己紹介しているかの様。カメラもモンタージュも
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見習い(2016年製作の映画)

4.0

一言で表せば「ドロドロした青春映画」。
主人公のアイマンは未分化の感情を常に抱えていて、様々な要因による板挟みに苦しむ。
リンゴを剥くナイフの暴力性、タバコの親和性、自らのルーツへの関心、職業観につい
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バードショット(2016年製作の映画)

2.8

地上波の2時間ドラマよりも退屈。説得力が皆無。色々と足りていない作品。致命的な欠陥の一つは、映像で観客を煽るスキルを監督が持っていないこと。主役の少女が可愛かったのがせめてもの救いなので、その分の点数>>続きを読む

スラッカー(1991年製作の映画)

3.5

楽しめたが、いくら何でも粗削りすぎる。この作品自体が「若気の至り」というオチは嫌い。

怒り(2016年製作の映画)

3.2

色々と丁寧に作られている。鬼気迫る俳優陣の演技も良い。しかしながら、それ以上の付加価値はないように見受けられた。

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.4

カンヌで最高賞を貰いやすいような (気難しいように錯覚させる)「人間存在」や「社会性」をテーマにしている作品だが、発想はいたって凡庸なものになっている。「この女、ラストはピアノと一緒に海に落ちるだろう>>続きを読む

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

3.4

これまで何本かホークスが手掛けた映画を見ているが、この作品は『赤い河』『コンドル』『リオ・ブラボー』などの傑作の足下にも及ばない。

母の旅路(1958年製作の映画)

3.9

良作だが、横長のスコープサイズを時々持て余している場面がある。ただ、本作における母子の別離の原因となった「集団的な視線」を切り返しショットを回避して上手く表現するためには、都合が良いアスペクト比であっ>>続きを読む

イン・ザ・シャドウズ(2010年製作の映画)

4.3

良い意味で観客に想像を働かさせる作品。含みのある都市空間が見事に演出されている。無駄が省かれてはいるものの、ブレッソン的な象徴性は持たない。まるで無秩序の闇から引っ張り出されて明るみになったような現象>>続きを読む

晴れた日(2001年製作の映画)

3.8

電車内でのチラ見合戦や、その視線と歩く速度から見える駆け引きが面白い。職業にインスパイアされて自己を見失ったデニスの自分語りはモニターを通して映し出され、まさにこの物語の象徴となる。アルスランはこの作>>続きを読む

売人(1999年製作の映画)

3.9

加速度的につながれるカットのリズムが印象に残る。無駄を省きつつもどこか情緒的。

兄弟(1996年製作の映画)

3.5

問題解決へと導かない日常、一方通行の出来事が延々と続く。一日ごとの区切りをつけない時間感覚は、簡単にはリセットされないような根深い感情を表すように見える。