あいうえお

アクエリアスのあいうえおのレビュー・感想・評価

アクエリアス(2016年製作の映画)
3.9
スコープサイズの映画には前々から嫌気が差していたが、この作品は監督が敢えてそのサイズにしたのかと思うほど画作りがしっかりしている。画面を持て余さないように常に注意が払われている。

家族の存在を中心に据えた展開はいかにも中南米らしい。それぞれの登場人物が家族や友人などといったグループに属し、相手のグループに対抗するといった物語。そういった意味では、白蟻の巣が象徴的な役割を果たしているともいえる。
乱○パーティに対抗する主人公の一連の行動は、この作品における主人公の人物像を印章付ける素晴らしいシーンだった。過去のフラッシュバックも効果的に用いて、独り身に脳裏によぎる感情が表されている。
あの幕切れについては、平たく言えばギャグみたいな形に監督がしたかったのではないかと思う。キャビネットやナンパの件も同じく、笑って良いところたったのでは。根本的なものとしては、抱えている自身の闇の部分を認識しながらも人生を謳歌するような、中南米らしさを強く感じる演出は悪くない。