麻菜さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

麻菜

麻菜

映画(697)
ドラマ(95)
アニメ(0)

ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)

4.5

映画に出てくるサイコパスに、ほとんどの人間は共感などしない
でも、もし自分がジェリーのような病気だったら
知り合ったその人が、ジェリーのような病気だったら
途方もない想像ではないことが、ただただ恐ろし
>>続きを読む

ファッションが教えてくれること(2009年製作の映画)

4.5

アメリカ人女性の10人に1人、約1300万人が読んでいる雑誌
アナウィンターの、ヴォーグという教会
私たちは敬虔な信者で、そこに神を見出す
彼女が死んだら世界中の女性が、ダイアナ妃の結婚式以来早起きし
>>続きを読む

逢びき(1945年製作の映画)

4.1

ミルフォード駅の喫茶室
品位を欠いた私の足音が、神様に聞かれていませんように
チャーリー駅で降りて切符を渡し、通りを歩いて家に入る、彼の姿を想像した
きっと、妻のマデレンが玄関に出迎えるだろう
彼は話
>>続きを読む

ピクニック(1936年製作の映画)

4.0

1860年、夏の日曜日
隣の牛乳屋から借りた馬車で、ピクニックに出かけた
橋の下のプーラン亭では、魚のシチューとフライが2フラン50だった
そしてワインは白を2本、ボルドーを1本
パリジャンは草の上の
>>続きを読む

エレベーター(2011年製作の映画)

4.2

ウォール街にそびえ立つ超高層ビルの、最上階のパーティ会場へ向かうセレブたち
9人を乗せたエレベーターは、地上200メートルの高さで緊急停止してしまう
ゴアによったパニックムービーかと思いきや、スーサイ
>>続きを読む

忘れじの面影(1948年製作の映画)

4.7

私は恋に落ちた
ウィーンよりもずっと静かなところで
あなたをもっと知ろうと、偉大な音楽家の伝記を手に取り
あなたを見逃すまいと、夜は眠らないように気をつけた
アルプスでつくられた、ポルチェリという酒を
>>続きを読む

死霊高校(2015年製作の映画)

4.0

B級ホラーの棚にしれっと並ぶ、この作品
主軸にメッセージ性などない
まさに丁度良い尺の、丁度良いお化け屋敷
ブラムハウスだと気付かない人がほとんどのはず
文化祭の前日や部活終わり、暗い学校で友達とワー
>>続きを読む

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)

4.9

ローズマン橋で花を持つ、あなたの手首の血管は根っこのようだった
白い蛾が羽を広げる頃、また夕食にどうぞ
これが自分だと思っていた女は、どこかへ消えた
私たちに課せられた道徳などない
古き夜と、遠い音楽
>>続きを読む

さよなら、僕のマンハッタン(2017年製作の映画)

4.8

8月8日のあの夜は本物だった
あの子は、人を介さず神様がつくった天使のようで
危険も救済もない退屈な僕は、恋の相手にもならなかった
ニューヨークのアートも、商業主義に敗れた
若者はギャラリーで作品を眺
>>続きを読む

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)

3.4

愛国心とは、ならず者の最後のよりどころか
1996年にアメリカで起きた、デュポン財閥の御曹司ジョンデュポンによる、レスリング五輪金メダリスト射殺事件を映画化したサスペンス
殺人事件は結果のみ、派手なシ
>>続きを読む

ビースト(2022年製作の映画)

3.6

亡くなった妻の故郷である、南アフリカに旅行へ来た医師と娘たち
広大なサバンナには、密猟者に憎悪を抱く凶暴なライオンがおり、彼は家族を守るため危機に立ち向かう
動物の本能は、生きるための行動
私たち人間
>>続きを読む

呪餐 悪魔の奴隷(2022年製作の映画)

4.5

2017年インドネシア国産映画観客動員数、1位を記録した悪魔の奴隷
本作は、それから4年後を舞台とした続編で、前作と同じくジョコアンワルが監督を務める
母親と祖母が立て続けにこの世を去り、末弟のイアン
>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

4.8

舞台はアメリカ北西部、太平洋沖の絶海に浮かぶ孤島の最高級レストラン
ホーソンという名のこの店は、世界で最も予約の取れないレストランで、伝説のシェフ、ジュリアンスローヴィクが頂点に君臨していた
そんな書
>>続きを読む

シンプルな情熱(2020年製作の映画)

4.5

去年の9月から何もせず、ただ待ち続けた
彼の電話と訪問を
だけど仕事はしたし、映画館やスーパーにも行った
でも、彼を待つこと以外自分のしたことは全て現実感がなかった
眠れない夜にはポルトを思い出す
>>続きを読む

マリウポリ 7日間の記録(2022年製作の映画)

4.9

26歳の誕生日のすぐ後、また戦争が始まった
マリウポリで砲声が止むことはない
映画の110分だけではない、あの日からずっと
マンタス監督は、このマリウポリの映像を撮り始めて約一週間後、殺害された
彼の
>>続きを読む

ファンタジー・アイランド(2020年製作の映画)

4.3

1977年に放送されたドラマのリメイクで、訪れた者の夢をかなえる孤島のリゾート地で悪夢に襲われる人々を描いたホラー
孤島のトロピカルリゾート、ファンタジーアイランド
島のルールは2つ
1.夢はひとりひ
>>続きを読む

ビバリウム(2019年製作の映画)

4.2

マイホームを夢見る若い夫婦が、住宅見学に訪れた事から始まる恐怖を描いた、ラビリンススリラー
グラフィックデザインの学士号をもつ、クリエイターのロルカンフィネガン監督が本作を手掛けた
誰かに映画を勧める
>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

4.8

本作でドランは、トムアットザファーム以来6年ぶりに監督と主演を務めた
ドラン自身、このマティアス&マキシムを純粋なロマンス映画だと評していたが、まさにその通りだったと思う
この映画のテーマは決して、同
>>続きを読む

最初の晩餐(2019年製作の映画)

4.7

夏至が近付く雨の日の明け方
窓を開けて、ペトリコールの匂いを嗅いだ
ここは天国じゃない
ワインを一本空けると決まって、昔飼うのをやめた犬のことを思い出す
大人になって自分が作るごはんは、気付いたらママ
>>続きを読む

親愛なるきみへ(2010年製作の映画)

4.5

ある朝起きたら、ビルが崩れ落ちていた
私は5歳で、ママは電話の向こうで泣いていた
初恋の人の顔は忘れても、ビンラディンの顔だけは忘れないだろう
大人になった私は、タバコを吸わなかったし誰とでも寝なかっ
>>続きを読む

別離(1939年製作の映画)

4.8

春の夕暮れ、誰もが神様でないことを知る
悲しげに微笑むウィンナーワルツ
ウィーンが、幸福な時代のメロディーだ
愛に分別などない
あなたが服を脱ぐのを見て、私は自分の名前を忘れた
一生にたった一度だけ
>>続きを読む

サインスピナー(2013年製作の映画)

4.2

ブリリアショートショートシアターオンラインで、GW期間中無料配信
ずっと観たかったけれど、配信がなくて諦めかけていた作品
最高の春休みになった、ありがとうーーー
また夏が来るね、サマーキャンプまでにキ
>>続きを読む

ラスベガスをぶっつぶせ(2008年製作の映画)

4.2

Winner,Winner,Chicken Dinner
マサチューセッツ工科大学の天才学生たちが、ブラックジャックの必勝法をマスターし、ラスベガスのカジノで荒稼ぎしたという実話を元にした作品
この事
>>続きを読む

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

4.7

ローザンヌでは毎年、良く晴れた春の日に雨戸を塗る
部屋に飾っている、鳩に囲まれた老女の写真
彼女は何年も、笑顔で鳩に毒入りの餌をやっていた
私も器用で利口な女だ
同時に二人の男を愛せると思っていた
>>続きを読む

THX-1138 ディレクターズカット(1971年製作の映画)

4.5

寛容と博愛を数学的に置き換えてみるなら、結局は2進法になる
後にスターウォーズシリーズを生み出したジョージルーカスが、1971年に手がけた長編デビュー作
自身が学生時代に制作した短編、電子的迷宮 TH
>>続きを読む

オータム・イン・ニューヨーク(2000年製作の映画)

4.0

この世のラブストーリーに、結末は2つしかない
男が女を失うか、女が男を失うか
10月のセントラルパーク
男を待たせて、ピカソの展覧会を駆け足で見た
ゴダール映画さながらに
これが50年なら、ロマンスの
>>続きを読む

ミッドナイト・ミート・トレイン(2008年製作の映画)

4.2

原作は、クライヴバーカーによる血の本シリーズの一作、ミッドナイトミートトレイン 真夜中の人肉列車
ニューヨークで暮らす写真家のレオンは、ある晩ギャングに襲われていた女性を助けるが、翌日その女性が行方不
>>続きを読む

キャビン28 ケディ殺人事件(2017年製作の映画)

4.0

1981年、アメリカのケディという小さな町で起きた、未解決殺人事件を題材に描かれたサイコホラー
ジャケを見ててっきり、娯楽のためのホラー映画かと思っていたら全くの見当違いだった
BULLYやスノータウ
>>続きを読む

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.0

共に経験した出来事を思い出すには、片方の視点から思い出すほうが簡単だ
私にとっては小さな冒険にも、土産話にもならなかった
生活には神の存在がある
サンタに宛てたポストイットは、誰にも見られたくなかった
>>続きを読む

愛の記念に(1983年製作の映画)

4.0

私は、人形を抱くには年をとりすぎているし、過去を愛するほどお婆さんにはなっていない
大人になった私にうんざりして、片方のえくぼはいなくなった
もし、王子様が一生現れなかったら、白雪姫は永遠に棺の中で眠
>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.5

氷の中から発見されたエイリアンと南極基地の隊員との死闘を描いた、SFホラーの古典「遊星よりの物体X」のリメイク
監督のジョンカーペンターだけでなく、リドリースコット、トビーフーパー、ジョンフランケンハ
>>続きを読む

ゲヘナ(2016年製作の映画)

4.5

先住民の禁忌に触れたため、閉鎖空間に閉じ込められるという定番のシチュエーション
ホラーファンなら容易に予想がついてしまう展開、のはずだった
本作のアイコンである老人のビジュアルによって、よくあるB級作
>>続きを読む

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.7

メルヴィルの白鯨は読まないまま、わたしは間違った神を愛した
この世で一番美しかった日
あなたの髭に赤毛が混じっていたこととか
別れの朝、それが太陽の光で輝いていたこととか
友達の運転で、自分の結婚式に
>>続きを読む

スマイル(2022年製作の映画)

2.6

テレビの生放送に不気味な笑顔を送り込む、パラマウントの天才的なプロモーション
観ないわけにはいかないだろうと、すぐにレンタルしたけれど完全にミス
2023年の今、この映画にもはや目新しさはなかった
i
>>続きを読む

キューティ・ブロンド(2001年製作の映画)

4.5

風はわたしたちの友人であり、風はわたしたちの敵だった
だけど、ピンクのヴェルサーチを履いているときそれは問題じゃない
まだ携帯電話にカメラがついていない時代、持ち歩いていた小さなヴィンテージカメラ
>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.7

ファーストカット、躍動する心臓のズームイン
これから命についての物語を始める、というヨルゴス監督の宣言ともとれるシーンからこの映画は始まる
凡庸さのかけらもない、神は確かにそこに存在していた
アナとボ
>>続きを読む