ゲイリーゲイリーさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

本能の赴くまま、衝動的な行動を繰り返すフレディ・クエル。
そんな彼を救済しようと居場所を与える新興宗教の教祖、ランカスター・ドッド。
師弟関係のような二人は次第に、親子のような親友のような、そして恋人
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エクス・マキナ(2015年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

AIは感情や思考、自意識を持ち得るのか。
それを調査するチューリングテストを軸に物語は進んでいく。

本作の登場人物は4人しかおらず、舞台となるのはネイサンの自宅のみ。
この様に低予算映画特有のコンパ
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ディアボロス 悪魔の扉(1997年製作の映画)

2.5

資本主義が行き着く先を暗示する本作は、公開当時以上に現実味を帯びている気がしてならない。
正義や道徳心ではなく、尽きることのない虚栄心と欲望を満たすため、拝金主義へと成り果てていく主人公を一体何人の人
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.0

プエルトリコ、メキシコ、キューバにドミニカ。
いわゆるヒスパニック系と呼称される移民たちを描いた本作は、登場人物たちを「ヒスパニック系」と一括りにすることなく、それぞれのバックボーンが如何に多様である
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

2.5

夫への不信感を募らせたローラは、プレイボーイな父親・フェリックスに意見を聞く。
果たして夫は浮気をしているのか。
男はそういう生き物だと断定するフェリックスの価値観に戸惑いを覚えつつも、ローラはフェリ
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ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)

3.0

1950年代を舞台とした本作は、当時のSFや怪奇ホラー作品へのオマージュを捧げている。
なので必然的にノスタルジーを感じさせる作品となっており、目新しさを感じる部分はさほどない。

それでも独特のリズ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

3.5

熾烈化する争いに巻き込まれながらも、温かさと愛を失うことなく懸命に生き抜こうとする家族を描いた本作。
主人公である少年バディの目線で物語を描くことで、時代背景や宗教的背景への知識がなくとも問題なく作品
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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

3.5

「ハート・ブルー」、「バットボーイズ2バッド」のパロディ描写を筆頭に、とにかくふざけることに徹した本作。
個人的には「ハート・ブルー」の有名シーンのパロディが大好きだ。
ニック・フロストの人を癒す笑顔
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レゴバットマン ザ・ムービー(2017年製作の映画)

3.5

何度も映画化されてきたバットマン。
少年時代に両親を殺害されたブルース・ウェインの過去は、映画化されるたび何度も何度も描かれてきたため、もはや説明不要の周知の事実と化している。

しかし、これまでのバ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

復讐のための正義なのか。
救済のための正義なのか。

本作で描かれるバットマンは、バットマンとして活動し始めて2年ほどしか経過しておらず、世間からヒーローとは認知されていない。
それどころか彼らがバッ
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ブラックボックス:音声分析捜査(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

音のみを頼りに真相を暴く作品といえば、否が応でも「ギルティ」が彷彿されるだろう。
私自身「ギルティ」の二番煎じかな?と懸念しつつ本作を鑑賞した。
しかしそれは杞憂に終わる。
良くも悪くも異なる点が多く
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ビルド・ア・ガール(2019年製作の映画)

3.0

「レディ・バード」、「ブックスマート」でも魅力的なキャラクターを演じてきたビニー・フェルドスタイン。
そんな彼女がまたしてもやってくれた。

本作は、挫折を繰り返しながらも決して諦めることなく目標に向
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リトル・シングス(2021年製作の映画)

3.0

人物配置だけを見ればどうしたって「セブン」を彷彿してしまう本作だが、蓋を開けてみればサイコサスペンスではなかった。
ジャレッド・レト演じるサイコパスじみた容疑者が登場するものの、焦点が当てられるのは誰
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ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

3.5

友情と人種。伝統と自由。そして、これまでとこれから。
アメリカのオークランドを舞台に人種問題や貧富の差、ジェントリフィケーションなど多様な社会問題を浮き彫りにしていく本作。
しかし社会問題を描くだけで
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.5

健聴者と聾唖者の2つの世界を行き来できるが故に、生まれた時から「通訳」としての役割を背負ってきた主人公・ルビー。
そうした環境下で育ってきた彼女は学校で浮いている。
聾唖者の子供だからという些細な理由
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tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

3.5

基本的にどんなジャンルの映画でも観るのだが、あまり手が伸びないジャンルも幾つかある。
その一つがミュージカル映画。
なので本作を観る予定はなかったのだが、
主演のアンドリュー・ガーフィールドが名だたる
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ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

3.0

母親が子供を育てるのは当たり前、我が子を可愛いと思うのは当たり前。
それらがもたらす想像を絶する重圧は、経験した人にしか分からない。
本作はその重圧にもがき苦しみ、負い目と罪悪感が刺さったままの女性を
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.0

巨大彗星が地球に激突する事態は、人類皆が当事者であるはず。
しかしその情報が真摯に受け止められることはない。

聞く耳を全く持たない市民や情報を面白おかしく茶化すように報道するメディア、情報を利用し利
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.5

予告から滲み出ていた不穏な雰囲気とベネディクト・カンバーバッチの演技が気になり、鑑賞。
予告で感じたキリキリと張り詰める並々ならぬ緊張感は全編を通して維持されており、期待以上の作品だった。

全編に渡
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「マトリックス」のどこに惹かれたか。
アクションシーンなのか哲学的かつ反骨心に満ちたメッセージ性なのか。
おそらく本作を否定的に捉えている方々は前者で、原点回帰だと肯定的に捉えている方々は後者なのでは
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パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.0

ロバムンド・パイク主演のクライムサスペンスということで期待を胸に鑑賞。
予告から大体の察しはついていたが、「ゴーン・ガール」のようなサイコサスペンス要素によるゾクゾクとした感じはほぼ皆無。
物語のトー
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.5

本作を初めて観たのは5年前。
当時大学生だった私はとにかく「どんでん返し」作品にハマっており、どんでん返しと検索して引っかかる作品を片っ端から観ていた。
そして遂に出会う。
これから先何度も繰り返し観
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エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

3.5

誰かを愛してしまったが故に味わう苦悩。
その苦悩から逃れるため記憶を消すことを選択したジョエルとクレメンタイン。
ジョエルの脳内世界や時間軸をズラしたストーリー構成等、その独自性と創造力ばかりが注目さ
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.0

本作で描かれる事件は、女性への憎悪を募らせた男性によって引き起こされたフェミサイドである。
なぜ彼がそのような凶行に及んだのか、その背景が詳しく語られることはない。
しかし彼の視線や言動からは耐え難い
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

超大作という名に相応しいキャスト陣と映像美。
そして情報量が多く複雑な原作のストーリーをそのまま描くのではなく、ポールの視点でのみ物語を描くことにより、彼の成長譚であることを強調しSFファンや原作ファ
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死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)

3.0

王道ホラーエンタメとして人気を博す、死霊館シリーズのメインストーリー第三弾。
前作、前々作以上にウォーレン夫妻の調査に焦点が当てられており、それによって純粋なホラー作品としてではなくミステリーやサスペ
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

本作の主人公ルーベンはミュージシャンとして活動していたものの、突然難聴になってしまう。
何よりも大切なものをあまりにも唐突に失うという現実を、彼は受け入れることができない。

コミュニティのルールや手
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.5

本作は血中アルコール濃度を常に0.05%に保つことで人生を好転させようという、馬鹿げた実験を描いたコメディ作品。
と思って鑑賞したのだが、本作はただのコメディ作品ではない。
生きていくことの楽しさと辛
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オールド(2021年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

「時間」について様々な角度から考えさせられる作品。

本作の予告などを見ると、時間の経過による「老い」を恐怖の対象として描いたホラーとして紹介されているのだが、本作は「老い」だけにフォーカスした作品で
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.0

血飛沫上等、首チョンパや顔面吹っ飛びも当たり前のように描かれる悪趣味さ全開のアクションムービー。
配分を間違えると嫌悪感をもたらすグロテスクシーンだが、本作ではそれらのシーンがブラックユーモアとして機
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ジョー・ブラックをよろしく(1998年製作の映画)

2.5

ブラッド・ピットとアンソニー・ホプキンスの共演ということもあり、以前から気になっていた作品。
正直に言うと、2人の演技は堪能できたものの、作品としてはあまり好きではなかった。

アンソニー・ホプキンス
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ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた(2018年製作の映画)

3.0

邦題が「たびだちのうた」と命名されていることもあり、ジョン・カーニー作品を彷彿してしまったという方も多いはず。
私もその一人で鑑賞前はジョン・カーニー作品の二番煎じなるのではないか、と少し心配していた
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

自分らしく生きることの大切さをYouTubeにアップする主人公の少女・ケイラ。
意気揚々と自分らしさについて語る彼女だが、実は理想の自分と現実の自分との乖離にもがき苦しんでいる。

本作は物心ついた時
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ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)

3.0

鑑賞前の想像とは全く異なる風景を見せてくれる作品というのが、ごく稀にある。
本作はそういった作品の一つだ。

テレアポ業界で働き始めた主人公が白人の声を模倣することで、業績をグングン上げていく。
もち
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.0

見て見ぬ振りをされ続けた歪な社会。
本作は17歳の少女を通して、全く平等ではない偏った社会の本性と主人公・オータムの内面を淡々と描いていく。

この「淡々と描いていく」という手法は下手をすれば、観客の
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

爽快さと気まずさ、甘美さと切なさ、ポップさとグロテスクさなど複数の要素が見事に調和された本作。
スリラー、ラブロマンス、ブラックコメディなどジャンルの垣根を取っ払った本作の根底にあるのは、女性の怒りだ
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