ゲイリーゲイリーさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

爽快さと気まずさ、甘美さと切なさ、ポップさとグロテスクさなど複数の要素が見事に調和された本作。
スリラー、ラブロマンス、ブラックコメディなどジャンルの垣根を取っ払った本作の根底にあるのは、女性の怒りだ
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ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている(2021年製作の映画)

3.0

"idontwannabeyouanymore"で、今にも壊れそうな繊細さと悲痛さを訴えかける力強さが絶妙なバランスで混在した彼女の歌声と、偽ることなく綴られた自己嫌悪へのリリックに心を掴まれてから3>>続きを読む

レナードの朝(1990年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原題の「Awakenings」が、レナードたち患者の目覚めと、彼らとの交流を通じて自らの人生を主体的に生きようと一歩踏み出すセイヤー医師の目覚めを表す、ダブルミーニングになっており非常に良い。
邦題の
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.0

自らの居場所に固執し続けたゴーストの、静謐さと哀愁漂う姿を切り取った本作。

ルーニー・マーラ演じるMは愛する人を失い、この世に取り残される。
一方、ケイシー・アフレック演じるCは愛する人を取り残して
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ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

3.5

「スパイダーマン スパイダーバース」を製作したフィル・ロード&クリス・ミラーコンビによる最新作。
スパイダーバース同様、ポップカルチャーの洪水とも形容すべき圧倒的情報量と色使いは本作でも健在だ。

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ファーザー(2020年製作の映画)

3.5

「アンソニー・ホプキンス史上最高の演技」、「親子の溢れる絆を描く感動作」等の宣伝句。
これらは間違ってはいないものの、本作の核となる部分に対して言及している宣伝句は無いように思う。

もちろん、アンソ
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マイ・プレシャス・リスト(2016年製作の映画)

3.0

ハーバード大学を飛び級で卒業するほどの天才である主人公。
そんな彼女が、カウンセラーから課されたリストを基に自身の幸せを模索していく。

本作を観てまず思ったのが、主人公の天才さを表す描写があまりにも
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ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.0

美と醜、常識と非常識、マジョリティとマイノリティ、これら世に蔓延る境界を超え、自分であり続けることを肯定する作品。

北欧映画特有の美しさと静謐さの中に見え隠れする、無機質な残虐性から目が離せない。
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

3.0

海賊行為と違法流出を恐れた出版社のオーナーにより、地下の密室で作業をさせられる羽目になった9人の翻訳家たち。
外出はもちろんのこと、電話やSNSさえも禁じられるほどの徹底した管理下の元翻訳を行なってい
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レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)

3.0

「羊たちの沈黙」の前日譚となる本作。
冒頭からいきなりトップスピードで、何の前知識もなかった私は非常にビックリした。

ただ、そこからは「羊たちの沈黙」同様、FBIが獄中探偵レクターに連続殺人犯のプロ
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ハンニバル(2001年製作の映画)

2.5

ハンニバル・レクターもクラリスも登場するのだが、どうも「羊たちの沈黙」とは別作品のように思えてならなかった。

グロテスクなシーンを盛り沢山にすることで、ハンニバル・レクターの恐ろしさを描こうとしたの
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

3.5

グロテスクで狂気的にも関わらず、どこか美しさを感じるサイコホラーの金字塔。

題名にもある「羊」と作中で登場する「蛾」が何を示すか、というのは様々なサイトで解説されているので一読の価値あり。
ただ、そ
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.0

主人公と観客に与えられた情報は、「音」のみ。
そういったワンシュチュエーションスリラーともいうべき作品は、度々見受けられる。
しかし本作の魅力は、そういったワンシュチュエーションだけに頼るのではなく、
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.0

限界に挑む男たちの友情と情熱の物語。

「フォードvsフェラーリ」という題名なのだが、本作ではマット・デイモン演じるカーデザイナーのキャロルとクリスチャン・ベール演じるケン・マイルズたち現場の人間と社
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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

男女逆転版のシンデレラストーリーという範疇に留まらず、男女という垣根を取っ払い互いを尊重するパートナーとしての新たな形を提示した新しい作品。

シャーリーズ・セロン演じるシャーロットは絶対的美しさやカ
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.5

差別がいかに人生に影響を及ぼすかということを、2人の人物を通して描き出した作品。

舞台となるのは、1927年の夏のシカゴ。
「ブルースの母」と呼ばれるマ・レイニーのレコーディング・スタジオでの出来事
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.0

社会保障よりも企業の利益を優先した結果生じた格差社会。
高騰する家賃と変わらない賃金で圧迫された人々は、経済システムからの離脱を試みる。

本作では家を持たずにキャンピングカーで暮らし、季節労働の現場
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ドリーム(2016年製作の映画)

3.5

どれほど劣悪な環境下であっても、決して屈せず声を挙げ行動することの美しさや尊さを力強く描いた作品。

黒人差別や女性差別が横行する環境であっても、自らの業務を粛々とこなし周囲の人間に自らの存在価値を知
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エイリアン2(1986年製作の映画)

3.0

前作の基本的設定を踏襲しつつも、スケールアップとエンタメ化に成功した「エイリアン2」。
個人的には恐怖心を繊細に描き、未知の生命体の恐ろしさを全面に出した前作の方が好みではあるものの、前作とは違ったテ
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エイリアン(1979年製作の映画)

3.0

言わずと知れたSFホラーの金字塔。
宇宙線という密閉空間を最大限に活かしたサスペンス要素や、いつどこから襲ってくるかわからない緊迫感など時代を経ても充分に面白い。

特に素晴らしいと感じたのは、唯一無
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監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影(2020年製作の映画)

3.0

GoogleやTwitter、Instagramなどの名だたる企業の元職員たちによる証言パートと、現代の一般家庭をモデルとしたドラマパートによって構成された本作。
今現在では、もはや日常に溶け込んでし
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コラテラル(2004年製作の映画)

3.0

ロサンゼルスを舞台にしたクライムサスペンス。
本作の魅力はジェイミー・フォックス演じるタクシードライバーのマックスとトム・クルーズ演じる殺し屋ヴィンセントの関係性だろう。

もちろんスタイリッシュで見
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

2.0

やはりミュージカル映画は合わないなぁと実感。
感情の昂りとともに歌い出すのは分かるにしても、歌い出した時と歌い終わった後の感情の変化があまりにも激しすぎて違和感を覚えた。
落ち込んで歌い出したと思えば
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イカとクジラ(2005年製作の映画)

3.0

離婚後の家族の在り方とそれが子供に与える影響を描いた作品。
監督は「マリッジ・ストーリー」のノア・バームバック。
私は先に「マリッジ・ストーリー」を観たので、本作も離婚を経て夫婦や家族のありがたみを知
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.0

タコの知能の高さに終始驚かされた。
題名の通り、本作はタコのドキュメンタリーではあるものの、タコの知られざる生態を明らかにすることだけに焦点は置かれていない。

タコの生態そのものよりも、タコとフォス
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イット・カムズ・アット・ナイト(2017年製作の映画)

3.0

"それ"が何かということではなく、
"それ"によって炙り出される不安や
猜疑心、恐怖心を描いた作品。

主人公たちの置かれた状況、そして不安や猜疑心、恐怖心に呑み込まれていく様子は今現在の社会状況とあ
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ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)

3.5

ゾンビ映画あるあるや設定を、笑いへと変えたホラーコメディ。
小ネタがふんだんに盛り込まれているため、ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」を鑑賞済みの方が、より本作を楽しめると思った。
しかし「ゾンビ」
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ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

3.0

インドに根強く残る階級制度や貧困問題を描いた、成り上がりクライム作品。
本作のユニークな点はインドの問題のみならず、アメリカの問題をも描いていた部分だ。
発展途上国が、必ずしもアメリカのような先進国の
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.5

青春学園モノと呼ばれるジャンルに新たなる風穴を開けた本作。
枠組み自体は従来の青春学園モノを模倣しつつも、ジェンダーに関する視点や人種的な視点はアップグレードされている。

個人的に好きだったのは、ド
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

3.5

恐怖に囚われた人物が、次第に狂気へと駆られていく描写に恐ろしさを覚えた。
本作はビックリさせるような演出や、ホラー映画特有の怖い顔のアップなどを用いずに恐怖を描くことに成功した作品だ。

特に不自然な
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ペンギンが教えてくれたこと(2020年製作の映画)

3.0

耐え難い不幸が身に降りかかった時、人はそれ以前の自分と比較し、元の自分には戻れないと嘆く。
過去の自分を理想とし、現在の自分を拒絶してしまうのだ。

本作の主人公サムは事故のせいで、下半身不随となって
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パターソン(2016年製作の映画)

3.0

いつもと変わらない朝食、通勤路、同僚との会話、郵便受けのチェック、マーヴィンとの散歩、バーでのひととき。

本作の主人公パターソンは、一見代わり映えのしない毎日を送っているように見える。
しかし、同じ
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インクレディブル・ファミリー(2018年製作の映画)

3.5

女性の社会進出や家父長制への批判等のメッセージを内包しながらも、老若男女どの世代でも楽しめるエンタメ作品へと仕上げる手腕に感服。

前作以上にスピード感や臨場感が増したアクションシーンに加え、ジャック
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.0

「大人になったら何をしたいの?」
「将来の夢は?」
これらは誰もが一度は受けたことのある質問、又は投げかけたことのある質問だと思う。

これらの質問には、「好きなことや熱中できるものを通じて成功して欲
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私というパズル(2020年製作の映画)

3.0

死産を経験した主人公マーサに向かって、母親が「現実と向き合わなければ」と言うシーンがある。
途方に暮れるほどの大きな悲しみに直面した時、現実に向き合うこととは一体どういう状態を示すのか。
死産の原因を
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アメリカン・マーダー: 一家殺害事件の実録(2020年製作の映画)

3.5

とある家族の行方不明事件を描いた本作。
行方不明となったのは母親と娘2人。
しかもその母親は3人目の子供を妊娠している。
果たして自らの意思による失踪なのか、それとも誘拐なのか、それとも‥。

本作は
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