ゲイリーゲイリーさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

  • List view
  • Grid view

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

3.5

誰もが知っているであろうヒーロー、スパイダーマン。
今までスパイダーマンの映像化は数々行われてきたが、本作はそれらと一線を画す。

本作が今までのスパイダーマン作品と大いに異なる点は、多次元世界を活か
>>続きを読む

Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画の持つ力。
本作は、それを利用する者達へと一矢報いようとした男の物語である。

本作を鑑賞するにあたって「市民ケーン」の鑑賞と、それの作成背景については少し知っておいた方が良いと思う。

なぜなら
>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

3.0

オールタイム映画ベスト100等の企画で必ず上位に挙げられる本作。
過去のシーンを組み込むフラッシュバック(いわゆる回想シーン)や、画面全体に焦点を合わせる撮影技法のパンフォーカスなど昨今の映画において
>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.5

「悪魔は細部に宿る」という言葉を想起させるほど至る所に伏線が散りばめられており、ホラーとしての完成度は勿論のこと2度目以降の鑑賞も楽しめる作品となっている。

昨今のホラー映画といえば「ゲット・アウト
>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.5

実話を元に繰り広げられるクライムサスペンスをコメディタッチで描いた本作。
本作から強く感じることができたのは、監督であるスパイクリーが抱く今の世の中への怒りだ。

KKK(白人至上主義団体)にジョン・
>>続きを読む

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

4.0

約50年前に実際にあった裁判を元にして製作された本作。
なぜ今この時代に、本作が配信及び公開されたかが非常に納得できた。

人種差別、貧困問題、戦争問題等の社会問題は現在と見事にリンクしており、時が経
>>続きを読む

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

3.0

家族というものは、必ずしも良い面ばかりではない。
愛すべき存在であるが故に、時折その存在が呪縛のように家族を巻き込んで引き離さない。
しかし、家族であるが故に簡単に縁を切る事もできない、そのもどかしさ
>>続きを読む

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

3.0

誘拐犯と大富豪の義理の父親との板挟みになる独特な誘拐者のサスペンス。
これが実話に基づくとは‥。

誘拐された青年目線の緊張感や、金持ちなのにどこまでも身代金を払おうとしない義理の父親の金への執着心等
>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

2.5

"シャイニング"という名で呼ばれる超能力が前作以上に活かされた作品だった。
その能力に対する説明不足は否めないが、そこは雰囲気で何となく納得する事にした。

レベッカ・ファーガソン演じるローズ・ザ・ハ
>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

3.5

"レディ・バード"からクリスティンへと羽ばたく物語。

青春を描いた作品では、友情、恋、家族関係、夢、それらのうちのどれかにフォーカスが当てられる。
本作はそれら全てにフォーカスしている。そして特に素
>>続きを読む

セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

3.5

人間の高潔さとは。
人間が失ってはいけないものとは。

本作ではこれらを、正直で純粋な心を持つ青年と人生に希望を持てない盲目の退役軍人との交流を通して描いている。

アル・パチーノ演じるフランクが背負
>>続きを読む

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

3.0

人種差別問題を描きながらも、作品自体が重くなりすぎないのはタランティーノのなせる技であろう。
軽妙でウィットに富んだ会話劇や、驚いた人物に向かってカメラが寄るシーンなど遊び心やこだわりが随所に見受けら
>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

3.0

命は個人のものという考えの西洋。
命は集団の一部であると考える東洋。
本作では祖母の余命宣告から、これらの死生観の違いが浮き彫りとなっていく。

私個人的には余命宣告を受けたなら隠さずに伝えてほしいが
>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「無知」を武器にして未来を変えようとする者。
「祖父殺しのパラドックス」を信奉し過去を変えようする者。

本作の監督であるクリストファー・ノーランといえば、リアルに拘る姿勢と緻密に練られた脚本が魅力の
>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

4.0

再生のための破壊とグルーミング。

大切な人を失い、それでも前に進み続けるという形式の物語はよく見受けられるが、自らの喪失感にすら無自覚な人物を描いていたのは目新しいと感じた。
日々の生活のみならず妻
>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.0

社会問題とは、広く知れ渡っているが未解決な問題である。
しかも本作で描かれる社会問題は、アメリカのみならず世界規模で起こっていることである。

その社会問題の当事者達を写すことで、日々私たちが見聞きし
>>続きを読む

ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)

3.0

wham!のlast christmasをこういうふうに解釈したのか〜と意表を突いてきた作品だった。

ただのラブコメかなと思って鑑賞したが、移民問題やLGBTなどの社会問題等にも焦点を当てており、独
>>続きを読む

フルートベール駅で(2013年製作の映画)

3.5

白人警官による、無抵抗の黒人青年への射殺事件。
近頃よく耳にする事件を聞くたびに、何故未だにこの様な事件が起こるのかと思ってしまう。

しかし、そもそも「未だに」と捉えている事自体が間違っているのかも
>>続きを読む

エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

痛みや傷が如何に人を変えてしまうのか。
ウォルターもそうだがジェシーも元の彼ではなくなっていた。
数々の修羅場を乗り越えてきたが故に身についたタフさは頼もしくありつつも、どこか悲しくもあった。

ドラ
>>続きを読む

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

3.0

バイオレンス、グロ、エロなど禁忌とされる事象は人間の本性なのか。
そしてそれらを洗脳まがいの強制的手法で取り除く事は非人道的なのか。

本作が、暴力や性衝動などを肯定的に描いているのか、それとも反面教
>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

2.5

ヴェノムといえばアメコミ界を代表するヴィランなので、主人公が闇に堕ちていく展開や悪に染まる展開を期待して鑑賞。
ところが、本作はヴェノムをヒーローとして描いていた。

もちろん根っからのヒーローではな
>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

3.5

淡々と繰り広げられる追走劇。
命のやりとりを誇張表現や装飾なしで描くことにより、どこか上品さを感じられる作品となっていた。

ハビエル・バルデム演じるシガーの冷酷無比さは勿論のこと、常人には理解しがた
>>続きを読む

ショート・ターム(2013年製作の映画)

3.5

誰かに救われた者が次は誰かを救う側へとなっていく。
その美しいサイクルが本作の魅力の一つだろう。

問題を抱えるティーンエイジャー達の繊細さ、各々の問題にどう対処すれば良いか悶々としている姿、時折見せ
>>続きを読む

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

3.0

「好き」や「愛」という普遍的な感情を画期的な手法で描いた作品。

そしてそれらの感情がたとえ他者から理解されなくとも、自分自身の気持ちに正直になる事の重要性をも描いていた。

また、主人公のセオドアが
>>続きを読む

ダークナイト(2008年製作の映画)

5.0

この作品を再び劇場で鑑賞できるとは‥。
最も好きな作品なのでとても嬉しかった。

この作品では、二律背反かつ表裏一体である事象を見事に描いている。
秩序と混沌、ヒーローとヴィラン、正義と悪、ルールによ
>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

種としての保存か、それとも自らの家族の元へ帰る事を選ぶのか。
論理か感情か。

本作の魅力は、ハードなSF作品でありながらも物語の主題である「愛」と見事融合させた点であろう。
映像も迫力に溢れており、
>>続きを読む

インセプション(2010年製作の映画)

3.5

TENETの公開、そしてダークナイトの再上映を記念してインセプションを再鑑賞。


「夢」をテーマにここまで知的で独創的な作品は、クリストファー・ノーランしか撮れないと思う。
設定や展開を思いつくだけ
>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.5

女性の生き方が制限されている社会で、それでも懸命に生きる4姉妹。
本作は、そんな彼女らの信念を持った生き方を見事に描いた作品だった。

姉妹同士の信念が異なりながらも互いを大切に思い合っているのが、節
>>続きを読む

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)

3.5

怒りは新たな怒りしか生まず、
誰も幸せにはしないと痛感した作品だった。

相手を憎みカテゴライズすることは、理解することから最も駆け離れている。
互いに理解し合おうと歩み寄る姿勢が何よりも大切なはずな
>>続きを読む

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

3.0

愛する人を失った時に訪れる痛みや悲しみは、計り知れない。
そしてその痛みや悲しみに向き合う方法は、人それぞれである。
そのため、悲しみに向き合う方法が異なる他者に苛立ちを覚える気持ちも分からなくはない
>>続きを読む

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.0

運命の出会いのはずが辛い失恋になり、その失恋が次の運命の出会いへと繋がる。
最早何が運命で何が奇跡なのかは分からない。

ただ、運命や奇跡は存在しないと思えばそれらは存在しなくなり、運命や奇跡は存在す
>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.0

フーダニットミステリーに内包されたユーモア。
殺し屋や銃撃戦といったバイオレンスに内包された上品さや美しさ。

上記の要素以外にも画の撮り方や、どこかおとぎ話めいた雰囲気などが本作を唯一無二の作品に成
>>続きを読む

マダム・イン・ニューヨーク(2012年製作の映画)

3.5

娘からは英語が話せないことで軽視され、夫からは自らの好きな菓子作りを否定され、話も聞いてもらえない。
亭主関白、男尊女卑などは、世界共通の問題だと改めて考えさせられた。

また、外国での心細さや飲食店
>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.0

愛の多様性を描くことで愛の本質が描かれていた。
王道のラブストーリーとは異なり愛というものを美化することなく、厄介で面倒なものだと思わせる展開やメッセージ性が個人的には好みだ。

また、主人公のエリー
>>続きを読む

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(2017年製作の映画)

3.5

生まれながらにして結婚観や宗教観などがある程度定められている主人公。
その半強制的な文化を受け入れることはできないが、それを推奨する家族とは離れたくないという葛藤がリアルで素晴らしかった。

私は主人
>>続きを読む

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

どんでん返し 映画
と検索すれば真っ先に名前が出てくるであろう本作。
なぜそれ程までに知名度が高いのか、納得できる出来栄えだった。

個人的には最後のどんでん返しはもちろんのこと、それを明かす手法がと
>>続きを読む