原作の戯曲からして劇中劇。
そこに(映画)を仕掛けるとすれば相当な層を設定し、複雑な構造が仕組まれて然るべきなのに、際立っているのは実験的技巧と演劇的超絶のみ。
それがこの作品の価値なんだ、と言われた>>続きを読む
父の恋人に猜疑心を抱く未成熟の女の子を取り巻く密度と緊張。
観せる事の刺激が増幅していくのに比例して無害さも徹底していく不思議な距離感がこれまた心地よいのです。
これから産声を上げる未来のシネフィルたちへ。
『ローマの休日』も『ベン・ハー』もウィリアム・ワイラーの些細な一部にすぎません
ウィリアム・ワイラー
『偽りの花園』
生活すること、家庭をもつこと、子>>続きを読む
この残酷な(偶然)は、ロメールが私たち観客のために仕掛けた(出来過ぎた罠)です
エリック・ロメール
『冬物語』
現在、生活苦でも、借金苦でも、闘病中でも、恋愛悲運でも、なかなか勤め先が決まらずに困っ>>続きを読む
ニューマスター修復版で35年ぶりの鑑賞。
相米慎二
『光る女 ニューマスター修復版』
やはり『台風クラブ』『ションベン・ライダー』『魚影の群れ』『雪の断章 情熱』と合わせた5作品で21世紀の日本映画>>続きを読む
『站台』という風情溢れる原題を持つ中国映画『ブラットホーム』は、中国史上最も不鮮明の塊だった改革開放政策発令から天安門事件までのおよそ10年間を、しっかりとした(手触りと気配)で鮮明に描出した掛け値な>>続きを読む
21世紀の現在、どんな猟奇的な犯罪者がスクリーンに横溢しても驚かなくなった私たちですが、57年前にこれだけ進歩的なヒロインが既にスクリーンに存在していた事には充分驚かされます
懸命な姿勢と一抹漂わざるえない予感の中で、何とか持ち堪えようとする主人公のダンサーと恋人の守衛主任、そして周囲を取り巻く仲間や兄弟たちの鋭敏な気強さに圧倒される140分。
(時代)を現す作品として今後>>続きを読む
埋没させたままにしたら恥ずかしい位に惜しいもうひとつの『或る夜の出来事』
ミッチェル・ライゼン
『ミッドナイト』
主演は名作『或る夜の出来事』のクローデット・コルベール、共演は『コクーン』を観た方>>続きを読む
非立体的なステレオタイプの日本人描写に失笑するより、戦時中、フラー自身の戦闘体験が反映した異様な活劇として捉えた方が相応しい気がします
埋没させたままにしたら恥ずかしい位に惜しいもうひとつの『スタア誕生』
チャールズ・ウォルタース
『サマー・ストック』
主演は名作『スタア誕生』のジュディ・ガーランド➕ジーン・ケリー
後々に続く『>>続きを読む
善人か悪人か。慈愛に満ちているのか無慈悲の冷酷漢か。さっぱり分からない男盛りのウォルター・ヒューストンをたっぷり堪能させるホークスの逸品
とにかく声がいいのです。そして滑舌とマシンガントーク❗️
原題は『big brown eyes』
そして日本公開時の別題には
『 非情の弾痕』
『赤ちゃんとダイヤモンド』
最終的には現在流通しているこの邦題に落ちついています。
クライムとしても一級。コメディ>>続きを読む
北野武『キッズリターン』以来の胸の震え。
内容には触れずにおきます。
ただ『青の稲妻』が、(拠り所のない不安)を回避しながら、青春映画の本質というべき(拠り所のない不安)の核に私たちを放置してしまう点>>続きを読む
未見の新作『独裁者たちのとき』にますます胸弾んできます。
アレクサンドル・ソクーロフ
『日陽はしづかに発酵し…』
私個人はその著作の一部を途中で挫折したままだから言及する資格など全くありませんが世>>続きを読む
日本の宝を4Kデジタルリマスター版で堪能
鈴木清順
『殺しの烙印』(4Kデジタルリマスター版)
映画好きなら誰もが周知の(鈴木清順問題共闘会議)を今更引き合いに出すのも躊躇います。
まだ観ぬ観客>>続きを読む
真剣になればなるほど偽物に近づいたり、いかがわしい自家撞着の衣を厚く着込んだりするしかない現代。
そこに於いて、疾(やま)しさと共に残された倫理を全身で受け止めた、是枝裕和監督による最高密度の(信仰告>>続きを読む
ゴダールによるソフトコア。
あるいは師ロメールへの従属か、軽蔑か。それてとも見せしめか。
随所に立ち現れる美しい白馬とスイス・レマン湖のマッチングに魅入られた瞬間、この作品を自分のモノにしたくなりました
両親の離婚の間で揺れ動く少女マリーと処女懐妊してしまうマリー。
どちらも限りないくらい痛ましい筈なのに澄み切った透明感で結実されるのは、加虐の側よりも更に邪悪な者として被虐の側にゴダールとアンヌ🟰マリ>>続きを読む
日本の武士道に触れるのにも似た余韻
ロベルト・ロッセリーニ
『ヴァニナ・ヴァニニ』
円熟期ロッセリーニの歴史メロドラマの集大成。
ウィーン体制下のイタリア、貴族社会の進歩的なご令嬢とイタリア史で>>続きを読む
この傑作風刺喜劇が日本未公開だったのはもしかしたら笑えない(生々しさ)に満ちていたからかもしれませんね。
黄金カップル、スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーンの観ずして死ねない一本です
80年代の取りこぼしを集めています
ジム・マクプライド
『ブレスレス』
ゴダールの『勝手にしやがれ』がリメイクされていた事実を知る平成生まれのお若い映画ファンは少ないと思います(もちろん知る必要など>>続きを読む
あの異様極まりない『将軍たちの夜』の前日譚のような、これがまた異様な余韻です
アナトール・リトヴァク
『暁前の決断』
しかもオスカー・ウェルナー
ゲイリー・メイル
そしてリチャード・ベースハート>>続きを読む
既存する映画と微妙に相貌が違うと気づいた時、私たちが知るところの映画というメディアの安定度が熾烈に不安定化してしまう。
(映画とは何なのだ?)。
この作品を観て、またしてもそう自問してしまう所以です>>続きを読む
女優という(柔らかな権力)
アルベルト・ラットゥアーダ
『アンナ』
一にもニにも製作者ディノ・デ・ラウレンティスが妻シルヴァーナ・マンガーノという女優を中心化させる事に成功させた映画。
もちろん>>続きを読む
プロパガンダ(国策)を逆手に取ったロッセリーニによる、愛に生きた男と女の讃歌
ロベルト・ロッセリーニ
『ギリシャからの帰還』
ムッソリーニ政権下、ファシズム讃歌映画を講われたロッセリーニは(国策)>>続きを読む
『幸福』という映画への悪酔いは今でも覚めませんが、この処女作には率直な驚きを隠せません
アニエス・ヴァルダ
『ラ・ポワント・クールト』
この映画は初見ですが、二度目では作品の質感が変化すると思う。>>続きを読む
普通に低予算の娯楽映画とやり過ごしても一向にかまわないのに、安らぎと輝きを求めるパーカー一家の宿命と代償の中で、なおも足掻き続けるシェリー・ウィンターズ演じる母の姿に、現代にも通じる毒親特有の屈曲の襞>>続きを読む
後世に映画作家になる人々は加藤泰の映画から20世紀の日本人の意識、義理、序列、規範、思惟を回想する
加藤泰
「緋牡丹博徒 花札勝負」
ただただ溜息漏れるばかりでした。
どうしてもそこで生きるしか>>続きを読む
さすがに偉大なる父ジョン・カサヴェテスには遠く及ばないものの正確に17回泣かされました。
これだけ泣いたら結構スッキリします。
この映画を完成させるためには果てしない鉱脈を探るしかない
オーソン・ウェルズ
「偉大なるアンバーソン家の人々」
誰もがその存在を知っていても、誰にもその正体がわからない映画があります。
歴史の力や歳月>>続きを読む
透明、ただひたすら透明。
エリック・ロメール
『夏物語』
どこまでも卑猥な妄想しか誘発しないのに、禁じ手を自らに課したストイシズムが徹底して、さりげない背後からの抱擁や軽いキスはあっても濃厚なラブシー>>続きを読む
魔法をかけられた❗️ (恋)は文字通り下心でした。
エリック・ロメール
『恋の秋』
打算的。節操がない。身勝手。八つ当たり気味。小心なくせにキザでプライドが高い。
実生活で周りに居れば頬のひとつでも張>>続きを読む
トッド ヘインズの傑作『キャロル』にも実は母胎があったのだ。
一見の価値、あります。
キツイ、ケバイ、キレル
の3Kなど掃いて捨てるほど存在しますが、
ドライ、エロイ、ヤワラカイの
3イは、ザラに見当>>続きを読む