映画漬廃人伊波興一さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

映画漬廃人伊波興一

映画漬廃人伊波興一

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狂った野獣(1976年製作の映画)

3.7

いつ見ても醜悪で、無骨で、滑稽で、無軌道。  
それらが哀願に横滑りしたら突然胸打つものに変わる。
川谷拓三さんを観るたびにいつも思います。

中島貞夫
「狂った野獣」

京都の街中でかくもあのような
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日本の悪霊(1970年製作の映画)

3.3

悲劇として生まれた映画こそ喜劇として更新していく。
それが観客としていちばん健全な接し方なのだ、と思うのです。

黒木和雄
「日本の悪霊」

(1961年製作の映画)

3.5

1984年『CINEMAだいすき!』で 「L'avventura 情事」に出会って以来、37年が経ちました。

晴れて今(愛の不毛三部作)がわたしの中で完結❗️

ミケランジェロ・アントニオーニ

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炎のごとく(1981年製作の映画)

4.4

思わずため息を漏らしてしまうほど美しい「行書・草書」に遭遇した時のごとく

加藤泰
「炎のごとく」

現在は文書を作成するのにスマホひとつあればあらゆる書体を変幻自在に操作出来る便利な世の中です。
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トールガール(2019年製作の映画)

3.0

(鉄則)は100年の歴史にも耐えうる千古不易な骨法だと、今更ながらしみじみ思うのです

Nzingha Stewart
「トールガール」

その土地の名門とおぼしきハイスクールの校内図書館で、さっきか
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神々の深き欲望(1968年製作の映画)

3.6

教え子たちに農業を課した映画人の教義〜ドグマ

今村昌平
「神々の深き欲望」

その画面が白黒であろうがカラーであろうが、あるいはその舞台が南国であろうが、都会のど真ん中であろうが、例えそこが寒村であ
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ザ・シークレット・サービス(1993年製作の映画)

3.6

前世紀末、等身大の鏡の中に己の姿を発見するように対立するイーストウッドとマルコヴィッチ。

この出会いがなければ21世紀のハリウッドに、芳(かぐわ)しき「チェンジリング」は誕生しなかったかもしれない
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トラベラー(1974年製作の映画)

4.6

この質朴で温もりある表層の背後には凄然とした冷ややかな視線が射し込まれている

アッバス・キアロスタミ
「トラベラー」

親の隠した金をくすねる。
盗品を売りさばくため奔走する。
写りもしないカメラで
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風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.6

こんな作品こそ、21世紀の日本映画として観たいのです

アッバス・キアロスタミ
「風が吹くまま」

映画はとても不条理なもので、構想20年.更にクランクインから完成まで10年を費やしたとされる作品より
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マチェーテ(2010年製作の映画)

3.2

これは、花火師ロドリゲスが、季節が夏しか存在しないようなテキサスの地に昼夜見境なく炸裂させたスターマインだ!

ロバート・ロドリゲス
「マチェーテ」

Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.4

これは(責任)を巡った映画である

デビット・フィンチャー

「Mank/マンク」

わたくしはこのデビット・フィンチャーの新作「Mank/マンク」を心おきなく楽しむ為にあらかじめいくつかの事を記憶か
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ゴダールの映画史 第1章 すべての歴史(1989年製作の映画)

4.2

(綴りによる歴史)、その極到に触れて

ジャン=リュック・ゴダール
「ゴダールの映画史」(全8章)

この全8章からなるデジタルビデオ作品、第一巻だけをDVDで観て以来、あしかけ20年足止めを食らいま
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

3.9

13と10いう不思議な数字の一致について

スタンリー・キューブリック
「バリー・リンドン」

その名前を知っていても、その名前の主は一体何者だったのか?
実はまだ、誰も分かってないかもしれない偉大な
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停年退職(1963年製作の映画)

3.6

マイナスとマイナスをかければプラスになる。
同様に偶然と偶然をかければ必然になる。

島耕二
「定年退職」

思いがけない出会いや別れが至る所で演じられている映画は文字通り(偶然)が気軽に活用されます
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グリズリー(1976年製作の映画)

2.4

エピゴーネンの臨界点

ウィリアム・ガードラー「グリズリー」

最近クマが人間を襲う話の映画を2本続けて観ました。
ひとつはジョン・フランケンハイマーの「プロフェシー 恐怖の予言」、そしてもう一本がウ
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光りの墓(2015年製作の映画)

3.9

咲き分けの朝顔のように、楚々とした余韻の正体とは?

アピチャートポン・ウィーラセータクン
「光の墓」

かつては(微笑みの国)として観光地ブームとなったほど親しい印象でありながら、何故か映画に関して
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.2

貴重な短編を観ました

クリス・マルケル
「ラ・ジュテ」

ゴダールの傑作「アルファヴィル」や「未来展望」、テリー・ギリアム「12モンキーズ」から日本の押井守「紅い眼鏡/The Red Spectac
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必殺仕掛人 春雪仕掛針(1974年製作の映画)

3.9

仕掛人トリロジー臨界点

貞永方久
「必殺仕掛人 春雪仕掛針」

時に無性に浸りたくなる世界。
TVシリーズでは(中村主水)が初登場し、(念仏の鉄)と(棺桶の錠)という独創的なキャラクターの虜になって
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

4.2

パク・フンジョンをナメるなよ

「The Witch/魔女」

私の中には現代の韓国映画界に(最も)貴重な映画作家がふたりいます。
ひとりはホン・サンス、そしてもうひとりはパク・フンジュ。

(最も)
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死霊のえじき(1985年製作の映画)

3.9

21世紀の今こそ、この血肉のお祭り騒ぎの背後に慈愛に満ちた楽天性を読み取りたい、と思う

ジョージ・A・ロメロ
「死霊のえじき」

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ゾンビ」から繋がるゾンビトリロ
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ザ・ファン(1996年製作の映画)

3.7

トニー・スコットをナメるなよ

「ザ・ファン」

檻から逃げだしたライオンが街中でいくら暴れ回っても人は社会的な"闇や歪み"を介入させて事の推移を考察するわけがない。

例え人の手で育てられていようと
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テルマ(2017年製作の映画)

3.1

いくら禁断の象徴だからとはいえ蛇を呑み込むシーンなど本気でみせて欲しくなかった 

ヨアキム・トリアー
「テルマ」

初めて聞く作家の中には綴られたその文字だけで、思わず警戒してしまう名前があります。
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

2.4

それにしてもこの上映時間は尋常じゃない。
長くなればなるほど慈愛が削ぎ落とされていくかのようです

アンディ・ムスキエティ2本まとめて観ました。
つまらないではなく、長すぎます。

「IT/イット “
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アンナ(1966年製作の映画)

3.1

これはご馳走ですね。
アンナというフルコースメニュー。
ワインがとてもすすみます。

ピエール・コラルニック「アンナ」

「アンナ」という映画が傑作かどうかはひとまず脇に置きます。
それより今宵ばかり
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ジュース(1992年製作の映画)

3.1

地雷になぞらえてみたくなる作品です

デヴィッド・ロバート・ミッチェル

「アンダー・ザ・シルバーレイク」

日本において小津安二郎や黒澤明、溝口健二の時代は既に終わったとされた時に、外国の映画作家た
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アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.4

地雷になぞらえてみたくなる作品です

デヴィッド・ロバート・ミッチェル

「アンダー・ザ・シルバーレイク」

日本において小津安二郎や黒澤明、溝口健二の時代は既に終わったとされた時に、外国の映画作家た
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

4.0

この巨大霊長類を一流アスリートに仕立て上げ、キチンと凱旋させたのは快挙です

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
「キングコング: 髑髏島の巨神」

第二次世界大戦で生き残った航空部隊兵ジョン・C・ライリ
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ホームワーク(1989年製作の映画)

4.3

(素描)という単語そのものが、おのれの意味を改めて問い直すに違いない。

アッバス・キアロスタミ
「ホームワーク」

(今回のレビューはやや口語調でいきます。)

当たり前ですが、例えば画家は(富士山
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長江 愛の詩(2016年製作の映画)

4.0

「ツィゴイネルワイゼン」「赤目四十八瀧心中未遂」の奇譚魂(スピリッツ)が21世紀の今、中国長江の悠久の流れに乗って蘇る

楊超(ヤン・チャオ)
「長江 愛の詩」

楊超と書いてヤン・チャオと読む映画作
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

4.6

全ての理由はただひとつ。彼がホン・サンスだから

ホン・サンス
「夜の浜辺でひとり」

どうやら2021年の四半期の私にとって映画を観る、とはホン・サンスを観る、と同じ意味として春を迎える事になりそう
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オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

4.6

瞬(まばた)きひとつで時空を移行してしまうこの映画に、私たちの瞳がどれだけ耐えうるのか?

このトリコジーにまとう比類なき貴重さを語る術など私にはありません

アッバス・キアロスタミ「オリーブの林をぬ
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.4

例えいくら大地が揺れようが、不確かな未来と向き合うべく

アッバス・キアロスタミ「そして人生はつづく」

2021年3月11日、東日本大地震から10年が経過。
過ぎてみればあっという間ですが、ひとつ言
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赤い部屋の恋人(2001年製作の映画)

3.2

官能や倒錯が視界から一掃された時に気づいた才能の連鎖

ウェイ・ワン
「赤い部屋の恋人」

数ある選択肢の中から、フローレンス(モリー・パーカー)は何故、敢えてストリッパーを選んだのか?
性的サービス
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王妃マルゴ(1994年製作の映画)

2.0

整理がつかないこの気持ちに、いかにして光を射し込ませれば良いのか

パトリス・シェロー

「王妃マルゴ 」

時々出くわす(散らかった)映画。
(散りばめられた)ではありません。念のため。

砂と水と
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華麗なる闘い(1969年製作の映画)

4.0

(鉱脈を当てた!)と恥も外聞も忘れて言い放ちたくなってきます

浅野正雄
「華麗なる闘い」

これだから日本映画は面白い!

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.0

鼠の巣と見込んで(猫)たちが入った先は(虎)の穴だった!

フェデ・アルバレス

「ドント・ブリーズ」

さすがサム・ライミの弟子です。

この若い映画作家、多くの事をプロデューサーに要求したりせず、
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