ジジイさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ジジイ

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リアリティ(2023年製作の映画)

4.1

トランプ政権下の2017年「アメリカ国家機密リーク事件で逮捕された女性リアリティウィナーのFBI尋問記録をほぼリアルタイムで完全再現。 ニューヨークの現代演劇界で活躍する劇作家ティナサッターが長編映画>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.0

中国北西部の貧しい農家の四男と身体に障害を持つ女が、お互いの家族が厄介払いをするように夫婦にさせられる。働き者の男は相棒のロバと妻を大切にしながら、つつましく暮らし温かい家庭を築いていくが…という物語>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

4.0

実話にインスパイアされた作品。監督は「おもかげ」のロドリゴソロゴイェン。始まってすぐサムペキンパーの「わらの犬」を思い出していた。都会と田舎の対立がテーマなのである。「スペインの山岳地帯の小さな村に都>>続きを読む

めまい(1958年製作の映画)

4.0

ソールバスの秀逸なタイトルバックから引き込まれる。本人は失敗作としているが、ヒチコックの中では好きな作品。ヒロインのキムノヴァクも悪くないが、当初キャスティングされていたという「サイコ」のヴェラマイル>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

11月10日世界同時配信のフィンチャーの新作を劇場で。118分、終始淡々と殺しが繰り広げられるだけだが面白かった。致命的なミスを犯し命を狙われることになったマイケルファスベンダー演じる殺しのプロが、冷>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

-

アンドロイドに感情移入するという意味なら「ブレードランナー」には遠く及ばないし、低予算のロボットSF映画であれば「第9地区」の方が遥かに面白かった。「ローグワン」の監督というだけで期待して臨んだが、肝>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

驚くべき実話の映画化。今作は原作ノンフィクションの出版前から目を付けていたというディカプリオが、スコセッシ監督のもとに企画を持ち込み実現した作品である。1900年代からオクラホマの荒地に追いやられたオ>>続きを読む

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

4.0

「4ヶ月3週と2日」のクリスティアンムンジウ監督作品。出稼ぎ先のドイツで暴力沙汰を起こし故郷のルーマニアの村に帰ってきた男が遭遇する外国人労働者をめぐるヘイト問題の物語。ルーマニア人、ハンガリー人、ド>>続きを読む

栗の森のものがたり(2019年製作の映画)

3.5

2019年スロベニア、イタリア映画。悪くないのだけどそこまでハマらず。フェルメールやレンブラントに影響を受けたフィルム作品、という謳い文句にハードルが上がりすぎたか。ただ過疎で消滅しつつある村の風景と>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.7

同じ漫画原作の作品「ちひろさん」と比べると、すごく善戦はしているものの本作は正直この監督の陽のテイストに合っていないような気がした。だからリリーさんのコメディパートはばっちりハマってて楽しかったが、何>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.9

ビフォアシリーズのリチャードリンクレーターとケイトブランシェット2019年の作品。天才と言われた女性建築家バーナデットがある挫折をきっかけにロスからシアトルに移住。娘を授かるが周囲に馴染めず孤立、家族>>続きを読む

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

4.2

シェークスピアの戯曲の影響で、近親者を次々と手にかけて王位を簒奪した「惨忍な暴君」というイメージが定着していたリチャード三世。その見方に疑問を覚え、行方不明の国王の遺骨を530年ぶりに発見したのは歴史>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

ロシアが社会主義国家となり日本が朝鮮を統治していた時代、1923年9月に関東大震災は発生し、政府やマスコミの煽動のもと朝鮮人、中国人、社会主義者など6000人もの人々が虐殺されたという。この映画は千葉>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.8

これが実話なら当時もう少し大きなニュースになっていてもおかしくないはずだが、件のゲームにもカーレースにも全く興味のない自分には、途方もない夢物語であった。考えてみればパイロットの訓練にフライトシミュレ>>続きを読む

6月0日 アイヒマンが処刑された日(2022年製作の映画)

4.0

1960年モサドによって潜伏中のアルゼンチンで拘束されたアイヒマンはイスラエルに送られ1962年死刑執行後、遺体は焼却されて遺灰は地中海に撒かれた。火葬が禁じられている同国にあって、どのようにそれが行>>続きを読む

長屋紳士録(1947年製作の映画)

4.0

何度目かの鑑賞。1947年、小津安二郎の戦後第一作。「終戦直後の下町東京。夫と子どもを失いひとり荒物屋を営むおたねのもとに、占い師の田代が戦争孤児らしき少年を連れてくる」という物語。72分という短尺で>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.0

四人の親が対峙する前後、教会職員を交えたどうでもいいやりとりが微笑ましく少しだけ救われる。もし自分の子どもが10人もの若者の命を奪ってしまったとしたら、果たして正気でいられるだろうか。ヒリヒリするよう>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

-

いつものウェスアンダーソンなんだけど、何かが違う。絵作りは完璧だし笑える場面もあるのだが、物語のあまりの抑揚の無さ(というか演技の抑揚の無さか?)に気持ちが動かされない時間が長かった。これまでの作品で>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.0

2009年南米ボリビアのキリスト教一宗派の共同体で発覚した事件を元にした物語。家畜用の麻酔スプレーを屋内に撒き、住民が起きられない状態の中で行われた犯行で、レイプ被害者は300人にも及んだという。映画>>続きを読む

酔いどれ天使(1948年製作の映画)

4.0

黒澤明1948年の作品。黒澤作品における志村喬初主演にして三船敏郎初出演の映画。黒澤と三船の相性は最初からぴったりと合っていて、終わってみれば三船のための作品のような仕上がりである。ヤクザの醜さをドロ>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

4.0

女性監督による少年主人公の物語。母親の女友達のカナダの別荘に家族とやってきた13歳のフランス人少年とその家の16歳の娘のひと夏の経験を静かに追う。フイルムのざらざらとした質感とくぐもった劇伴で冒頭から>>続きを読む

猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.5

記録。「愛なのに」でタッグを組んだ城定秀夫(アルプススタンドのはしの方)と今泉力哉のコラボ2作目。面白かった。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

これは完全にキャスティングミスではないか。オリジナルの志村喬は50代の設定と想像するが、ビルナイはどう見ても実年齢の70代かそれ以上にしか見えず、残酷な言い方をすれば余命半年と言われても、働き盛り50>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.0

ドイツの映画作家ウルリケオッティンガー、1979年の作品。ファスビンダーの「最も美しいドイツ映画」という賛辞どおり、映像美に圧倒された。少なからずフェリーニに影響を受け、恐らくリンチやカウリスマキには>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.2

グレタガーウィグが監督をしたというだけで観てきたが、面白いか面白くないかと問われれば面白くはなかった。フェミニズムと男性優位社会をバービーとケンに対応させて語るアイデアはこの監督ならではと感心するのだ>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

3.2

アンソニーホプキンスのいるシーンには思わず引き込まれるのだけれど。他にもちょい役に至るまでいい役者を揃えている割に、心を動かされなかった。個人的に子役にハマらなかったからかもしれない。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

気づけば160分が過ぎていた。CG感のないアクションにしろ脚本にしろ、観客を画面に釘付けにする手腕は見事。監督のクリストファーマッカリーは「ユージュアルサスペクツ」の脚本で注目を集めたクリエイターで「>>続きを読む

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

3.9

実話にインスパイアされた物語。余命宣告を受けた若き父親を演じたジェームズノートンの抑制の効いた演技が素晴らしい。原題のとおり、特別な場所で起こる特別な出来事ではなく、誰の身にも起こりうる物語だ。過剰な>>続きを読む

愛情萬歳(1994年製作の映画)

3.8

記録。初ツァイミンリャン。30年前の作品だが少しも古さを感じなかった。みずみずしい語り口は好きだけど、ラストはどーなんだろうなと思った。

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.5

「ガール」のルーカスドン監督作品。2022年カンヌグランプリ。13歳の男の子同士の「親密」な友情とその変容を描く。









以下ネタバレです。









悲劇が起こるまでの前半もなか
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

記録。キャラクターはこれまでの宮崎作品の総まとめのような印象で楽しいが、アクションはごく控えめで、これまでのような胸踊る映像体験とはならなかった。「風立ちぬ」のようなストレートなエモさもない。少し残念>>続きを読む

大いなる自由(2021年製作の映画)

3.8

終戦直後のドイツで同性愛を禁じる法律、刑法175条によって収監されたハンスと同室になったヴィクトールの友情の物語。







以下ネタバレです。







1871年から1994年にかけ、ドイ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.0

5幕構成で書かれた戯曲をファスビンダー自身が映画化した1972年の作品。日本では2023年6月が劇場初公開となる。「二度目の結婚に失敗して落ち込むファッションデザイナーのペトラは、アトリエ兼アパルトマ>>続きを読む

ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.0

フドイナザーロフ監督の長編第3作。前作の高評価を得て、桁違いにスケールが大きくなった。母を亡くし父と戦傷後遺症で頭が壊れた兄と暮らす少女がふとしたことから望まぬ妊娠をして…という物語。面白かった。特に>>続きを読む

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

4.2

「少年、機関車に乗る」で注目されたタジキスタンのフドイナザーロフ監督の作品。1993年。題名はタジク語の俗語でゲームをしたときの「勝ち負けなし」という意味。内戦下のタジキスタンで父親の博打の借金のカタ>>続きを読む