ドラン流『悪魔のいけにえ』。
面影に魅入られ、自分を殺す場所に絡め取られ、身動きできなくなってるのに本人がそれに気付けない地獄。
無自覚な暴力性、支配する側とされる側の構造が出来上がる過程、田舎の>>続きを読む
バーニング!
開幕早々から杜撰にして緊張感のない画が続くものの、衣装のキャットウーマン感や全体的な色味など、ダークでポップなアメコミっぽい世界観を目指した試みは、原作に別段思い入れのない側からすると>>続きを読む
キラッキラでオレンジがかった幻想的な画面の中で悶々とギラつく男ども。
これ4Dで観てんだっけ?ってなる程度には湿度の高い熱気と匂いが立ち込めている。
閉ざされた箱庭的な港町のセットは『ファイトクラブ>>続きを読む
ドラマチックに押し寄せる時代と時間の激流/濁流の中、苦しい現実への対抗手段としての微笑ましいエピソードや、些末な出来事、バカじゃねえのと笑い飛ばせる日々の営みに支えられて人が生きていく。
序盤こそ、>>続きを読む
冷蔵庫が冷蔵庫であることと比べると、人間も家族も存在も、ひどく曖昧な言葉だ。
定義を支える前提は誰かと共有できて初めて成り立つけど、誰かと共有することそのものが本質なわけじゃないから、適度にニンゲン>>続きを読む
マジョリティ側・体制側の一方的な価値観によって是とされてきた常識を打ち破るのがいかに難しいか、は例えば(問題の性質はまったく違えど)今作の邦題と日本版ポスタービジュアルを見ても一目瞭然。
パンクハー>>続きを読む
何だこの眩しい映画は。
目が見えないことも、セクシュアリティにまつわる悩みも、フィクションのテーマとしては同情視点に陥りがちだったり、悲しいエピソードに流れがちだったりしますが、そんなん一切なし。>>続きを読む
クライマックスまでずっと、おかしな人たちが繰り広げるおかしなやり取りの妙味で突っ走ってたのに、急ハンドル切って力づくでいわゆる”普通”なハッピーエンドに着地しようとして足ぐねる、みたいな映画で、最終的>>続きを読む
田中みな実の現状の影響力込みで、今、正しく消費されるべき映画。
藤井隆のキャラクター設定は「あざとくて何が悪いの?」における田中みな実のスタンスに近そうだな、とか面白い部分もあったのだけど…
言い>>続きを読む
ゼロ年代以降のインド映画しか観たことなかったので、まずその洗練された画(しかもイメージするような踊りまくるものとは全然違った)の美しさに、自分の中のクソ狭いインド映画史観が少し押し拡げられた。
主人>>続きを読む
スコセッシやアダム・マッケイを思い起こさせる作風。(というかアダム・マッケイはプロデューサーなんですね)
それらの映画の登場人物の属性を色々と反転させてったら、これまでいないことにされてた奴らが浮かび>>続きを読む
徹夜明けの明け方の空気、みたいな”装置として共感性の高いパーツ”の羅列でしかなくて、彼らの人間性やそこから生じるドラマに関しては大して深掘りできてないんじゃないですかね。
やりたい仕事と配属先の話か>>続きを読む
観光では覗くことのできない、ディープなフィリピン地獄巡りツアー。
ローサたちの日常→逮捕されての警察との応酬→保釈されるための資金集め、と次々にギアを入れ替えながら、話の推進力を高く保ってる辺りも上>>続きを読む
すべてを包み込む時の経過と、現実との邂逅。
時間と距離に「思い」を掛け合わせた未知の値の、その深くて全容の見えないスケールのデカさにやられました、面白い。
広大な流れの中に放り込まれ、移りゆく時代と>>続きを読む
モノクロサイレントで描かれる、スパニッシュ白雪姫。
高尚そうな見た目とは裏腹に、継母ポジションのヴィランの強烈なキャラクターや、スペインと言えば闘牛だろ!みたいな、わかりやすい味の付け方が良い。>>続きを読む
端々に散りばめられた「大林宣彦」の匂いを嗅ぎながら何見せられてんだ、となりつつ…
“土曜日の実験室”という名の、つくられた毎日の中で幻影を追い続ける「芳山和子」が、廊下の奥に消え映画が閉じた後、虚構>>続きを読む
なるほど、パンデミックはあくまで付随する結果で要は全部人災、完全なる反戦映画だった。
抑止力としての核、という歪んだバランスの上に成り立つ均衡・冷戦への痛切な批評性が垣間見える一方、感染拡大と反比例>>続きを読む
残された日記そのものの稀少価値に捉われ、消費されゆく中でいつの間にか忘れ去られた日記の本質。
そこに命を吹き込み、声を与えることでもう一度創造し、物語り直してみせた大傑作。
閉鎖的な状況のもとで、つ>>続きを読む
映えることのない暗殺、その瞬間に至るまで。
自分が清河八郎という人物を知らなかったのもあるかもしれませんが、その捉え所のなさを映画全体で表現していたような印象。
回想に次ぐ回想、飛び道具的に差し込>>続きを読む
打てども響かないおっさんの、はた迷惑な鈍感力のせいで周りがどんどん不幸になる負のスパイラル。
やや予定調和にも見える話を、監督らしさ全開の画の数々と、年齢性別問わず全人類を振りまわしそうな加賀まりこ>>続きを読む
強風吹き荒れる中、延々と馬を引く最初のカットから、険しく苦しいのは映し出されるものなのか、それを観てるこっちなのかという際限ない虚無感に包まれながらもそのペースに引き込まれ、不思議と見入ってしまう力の>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
強く儚い者たちのリメンバー・ミー。
観たことある設定を練り込みながらも、それそのものが映画の面白さの”仕掛け”な訳じゃなく、あくまで語りの”手段”になってるとこがめちゃくちゃ良い。
自分を抑圧する>>続きを読む
その頂を目指した者の5人に2人が命を落としているという死の山、アンナプルナ。
挑戦の最中に高山病に見舞われた同志を救うため、10ヵ国12人の登山家たちが身の危険も顧みず救出に向かう!
リアルタイムの>>続きを読む
映画とかアニメとかの域を超えて、まだ言語化されていない複雑な概念を継承するための文献みたいだった。
対抗手段としての、知と探究心と自然への敬意。
主人公が持ち前の行動力で外界のものと出会い、新たな>>続きを読む
映画を愛し、映画に愛されたイーストウッドおじいちゃんが遂に人の実人生を編集した結果、方向性としてはシャマランの『サイン』とか『レディ・イン・ザ・ウォーター』みたいな話になってて、based on a >>続きを読む
人と接することで炙り出される己の本質。
紡がれる言葉の量がそのまま、各人の言外の心情を引き出しまくってて、延々と厭な会話ばっか聞かされるのに、その複雑さ・緻密さにのめり込む。
コミュニケーションに>>続きを読む
続編としての立ち位置、舞台立ての説明に時間かけ過ぎだし、登場人物が別の登場人物に推理して聞かせたり説明したりする内容が、観客視点だとことごとく既に観ている・知っている内容なので、イマイチ熱量の伝播が加>>続きを読む
サングラスをかけずとも、『ゼイリブ』の世界と真逆のメッセージを(それも動的かつ饒舌に)刷り込んでくれる、ワイヤレスなのに脳みそ直つなぎの自分アップデート・エンターテインメント。
こんなん照明と振動と>>続きを読む
2人の関係性も、映画の体温も方向性も、一発で語り切るオープニングの手際の良さと、そこから拡がる相関関係の見せ方の巧みさと。
おざなりにされた気持ちと気持ちが、どこかで交錯し互いに撫で合う。
愛をく>>続きを読む
変わってくものと変わらないもの。
時間の尺度を超え、
純度そのままにパッケージされた、
タイトルそのものな「あの時の何か」。
一瞬立ち上る甘みも苦みも、
置いてきたものも未だ持ち続けてるものも、>>続きを読む
「せかいをはめつにみちびく、とにかくヤバい」マクガフィンをめぐる、90年代上等な超大味バカアクションにして、ジェシカ・チャステイン流の「私が考えたミッション:インポッシブル」は、チームメンバー全・員・>>続きを読む
敵対する相手と自分を隔てる「壁」と、どんなに近しい人でもその心の内はわからないという意味での「壁」が同列に立ち並び、いつ命を奪われてもおかしくない「理不尽」と、色恋の思うようにならない「理不尽」が地続>>続きを読む
(いいやつとわるいやつが安易に色分けされ過ぎてないかなってのは引っかかるものの)痛切に描かれる、環境が易々と人をつくる・変えることの恐ろしさ。
俯瞰で見られる余裕のある視点で、個々人の行動の是非を問>>続きを読む
home sweet home !
等々力でしか感じられないあの感覚が、呼び覚まされるようだった。
今まで知らなかった人の半生を2時間そこらに収めた伝記映画でだって充分泣けるのに、互いに高め合い「>>続きを読む
取扱注意の便利で不便な魔法と、小さな楔がもたらす深い亀裂。
何のために何と戦って、今こんなことになってんだっけ?の答えのなさがリアル。
甘くて甘い腐敗と、物語られる教訓のほろ苦さ。
この手厳しい>>続きを読む