じゅんPさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

じゅんP

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子猫をお願い(2001年製作の映画)

3.8

ひとつひとつの小さなささくれが積もり積もって醸成される、不透明な鈍い痛み。またの名を閉塞感。

テヒが地獄みたいな状況を見据える時に、しっかりと地獄を見る目をしてるのが好き。

へジュが現実投げ捨てて
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野球少女(2019年製作の映画)

3.8

世代を超えて誰かの生きづらさと誰かの生きづらさが交わる様からは、例えば『はちどり』とかを連想した。
(だからこそ母娘以外の女性陣にも、もう少し印象に残るシーンがあるとよりグッと来たかなーとは思ったけど
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ベイブ(1995年製作の映画)

3.0

これほどまでに”のほほんとしたクライマックス”、他に存在するのだろうか。

分をわきまえろという外圧に晒されつつ、自らの存在価値を証明してみせなきゃ居場所もろくに確保できない、シビアな世界をサバイブす
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ミザリー(1990年製作の映画)

4.2

作品および作者への愛を燃料に、屈折した自己愛にひた走るアニーの、その表情ひとつ、挙動ひとつが物語る「キャシー・ベイツやば」映画。

嬉し過ぎてその場でぐるぐる回るの、サシで目の前でやられたら笑えないこ
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.8

ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっ

自分ちの近所の中華料理屋の大将も、毎度お釣りを〇百万円って言うタイプなので、冗談真に受けてカタギに手上げるクソゴミ極道に出会いませんように。

ちゃ
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悪の偶像(2017年製作の映画)

5.0

すご。
脚本とか伏線とか、そーいう作り手の作為がほとんど見えない、生(なま)の人間の記録に見える。

観ている最中は映画がどこに向かっているのかわからなくて、というかゴールが設定されているとは思えなく
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

5.0

共感や協調性、一般的な正しさなどとは正反対の極振りしたエゴが結果、ある種の真実味を備えて現実への対抗手段に肉薄してしまう劇薬処方箋ムービー。

見たいものと見えているもの
信じているものと信じたいもの
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.8

それぞれの世界線で各自頑張っていきましょう、現場からは以上です(鋭意奮闘中) × ∞ なアホアホコメディ。

視野を無理くり押し拡げられる主人公の巻き込まれ感がウォシャウスキー以降でとっても好物だった
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マイ・ビューティフル・ランドレット(1985年製作の映画)

3.4

怒り/苛立ち/侮蔑/我慢/嫉妬/優越感/軽視…色んな人の色んな感情が、その場で解決されずに後から噴き上がっては、偶然の巡り合わせを生む。

音楽の使い方とか、エピソードの織り交ぜ方とか、ずっと独特で変
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RRR(2022年製作の映画)

3.8

相変わらず表面的にはド派手な祭りを繰り広げつつ、下支えする描写の積み重ねがド丁寧かつド誠実で感服する。

ラーマの長けてる点は、冒頭の対1万人超の単騎逮捕シーンに顕著な視野の広さ・それ故に影響を及ぼせ
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ハナ 奇跡の46日間(2012年製作の映画)

3.4

ゆるい演出を味濃いめの脚色で補い力押ししていくスタイルで、これは良いお涙頂戴(良いとか悪いとかあるのか…)と思ってみてたんだけど、決勝始まってからさすがにちょっとクドくなってきて、少し冷静に振り戻され>>続きを読む

生きちゃった(2020年製作の映画)

3.0

今作で描いたようなことを、もう少し小さなドラマの機微を積み重ねて見せてきた、同監督による過去作群の方が個人的には好み。
クライマックスの2人の熱いやり取りを完全に笑いながら観てた人間なので、我ながら相
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切り裂き魔ゴーレム(2016年製作の映画)

3.0

謎解き一本で突っ走る割に、ミスディレクション下手だなぁ。

捜査の過程で疑いを向ける容疑者が変わるたび、(警部補の推理・想像のビジョンとして)挟み込まれる犯行再現シーンが、段々まどろっこしくなってくる
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虐待の証明/ミス・ペク(2018年製作の映画)

3.4

目の粗いザルみたいなセーフティネットa.k.a社会からこぼれ落ちた人しか出てこない、哀しき連鎖の縮図。

主人公と、子供を虐待していた2人の差は「自分の過去・環境と面と向かって対峙しているかどうか」な
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コングレス未来学会議(2013年製作の映画)

3.8

コードの上で踊る僕ら。
とっくに荒廃しきった世界で、己を捨てて愛を貫く勇気と覚悟。

1人の人間の何十年という時間の積み重ねが、他の何物にも捉われることなく、快楽や損得をブチ破る感情の一閃に変換される
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.6

話を盛り上げるための劇的な展開なんか無くとも、彼らの日々を追いかけるだけで、込められた複雑な感情の変遷に心を馳せられる。

ひとりひとりがどーいうことを描きたくて配されたキャラクターなのかが明確なんで
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ザ・キング(2017年製作の映画)

2.6

個人的にギャング映画で描かれる”栄光と転落”に何で惹かれるかって、「常に死とゼロ距離だから=生への執着が強いから」なんだなと、この映画を死んだ目で観ながら思い至った。

裏を返すと今作の主要な登場人物
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ロマンス(2015年製作の映画)

3.4

決まった場所を往復してくれる安全圏を早々に飛び出し、目的も行き先もままならない旅と人生をダブらせた、即席迷走ロードムービー。

別れ方・区切りの付け方という、いい大人でも幾らでも失敗する激ムズ案件。
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ガーディアンズ 伝説の勇者たち(2012年製作の映画)

3.4

存在を信じてもらえない=他者から認知されない、というシビアな世界で、同じ葛藤を抱え鏡像関係にある主人公とヴィランの、存在証明と生き方の選択をめぐる闘い。

単純に力の強い奴が勝つような決着の付け方では
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君の誕生日(2018年製作の映画)

3.4

全国民が大きな喪失感・絶望に包まれ、韓国社会に暗い影を落としたであろうことは想像に難くない人災から4年、社会丸ごとグリーフケアするようなこの作品の存在は、他国の人が想像の範疇で寄り添うのとはそもそも意>>続きを読む

東京公園(2011年製作の映画)

3.4

東京そのものをどでかい公園に見立てるかのような人の距離感と繋がり。
疎外感と受け入れの広さを両立する希薄な荒野で、見失っても迷っても戻ってこられる指針を持てるかどうか。

境界線を越えてまで、自分に影
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

5.0

「オセロのように白黒つけられない」なんて裏か表かの二択に矮小化することなく、映画の中で描かれる人間、家族、関係性、選択…すべてが複雑なグラデーションを見せ、巡り合わせによって簡単にブレる思いが、「どう>>続きを読む

王になった男(2012年製作の映画)

3.8

カルチャーギャップコメディの面白さもさることながら、立場やしがらみに捉われない影武者の魅力に、周りの登場人物と共にずぶずぶとハマってしまった。
イ・ビョンホンずるい。

宮廷内の謀略やドロドロした人間
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激怒(2022年製作の映画)

3.8

議事録なんて取らなくてOK、都合の悪い部分は黒塗りでOKなど、おかしいことに異を唱えず傍観者でいると、そのうち怒ることも出来なくなる、というゆでガエルの法則の行く末を誇張して描いた「みんなが見てるよ!>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

1.0

ちょっとわからないんですけど「すずの母親が見ず知らずの子供を助けようとして命を落とす→世間からバッシングを受ける」←これって大多数の人にとって納得感のある描写なんですかね?

もしそうならただの言いが
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イルマーレ(2001年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

大昔に観たサンドラ&キアヌのリメイク版の記憶が完全に欠落していて、新鮮な気持ちで観られた。

透き通った直球ラブストーリーかと思いきや、全編通してずっとうっすら別れの匂いが立ち込めてる上、その暗さを3
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犬も食わねどチャーリーは笑う(2022年製作の映画)

3.4

何か色々詰め込まれていて、気付けばさっきまでと違うレール走ってるような展開の不格好さはありますが、その一筋縄でいかない感じも描かれた内容と合致していて面白かった。

香取慎吾の使い方が巧い。
どこかキ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.4

最近忙しかった中で映画館に足運ぶの自体かなり久しぶりで、自分側が「どう転ぶかわからない未知の物に振り回される体験」を最大限楽しみ切れる万全の状態じゃなかったのが悔やまれるんだけど、ちょっと無理してでも>>続きを読む

インサイダーズ 内部者たち(2015年製作の映画)

3.8

《頓挫しても頓挫しても映画製作に挑み続けた映画監督が、身を切りながらもついに快作を産み落とすに至るリベンジムービー(ほぼほぼ嘘あらすじ)》

選球眼の良さと自らが美味しければ何でもやる精神でT-100
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探偵なふたり(2015年製作の映画)

3.0

事前にドラマが1シーズンくらいあったかのようにスルッと始まって、その割に淡白に終わってしまったのだけど、この2人を”推せる”エピソードがもう1つ2つ入るだけでガラッと化けそう。

2人の関係性が深まる
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浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

3.8

《永らく地元民に愛され、街と共に生き続けてきた名画座「朝日座」。厳しい経営状況から閉館を決意した支配人の元に、朝日座を立て直すために来たという1人の若者が現れーー》

“人が人の居場所になること”にフ
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反則王(2000年製作の映画)

3.0

《冴えない銀行員のデホは、パワハラ上司のヘッドロックに抗うべくプロレスジムを訪れる。最初は相手にされなかったものの、反則レスラーとして白羽の矢を立てられーー》

ジャンル・作風にとらわれない独創的なフ
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夏時間(2019年製作の映画)

3.8

《ひと夏の伸びしろ!》

母親が出ていく、祖父の家での居候暮らし、夏休み、別れ…子供にとっては怒涛の非日常が日常として押し寄せては過ぎ去っていく毎日。
本人は押し流されないように今を全力でこなしてるだ
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

2.6

《デザイナーになるべくロンドンの専門学校へとやって来たエロイーズ。入学早々、居心地の悪い寮を飛び出しますが、新しい下宿先で眠りにつくたび、夢の中で60年代ソーホーに入り込み、そこで出会ったサンディと自>>続きを読む

アシュラ(2016年製作の映画)

5.0

《必ず最後に悪は勝つーー》
なんせ全員悪人だからねぇ。

彼らの執着は”生きること”への執着そのもので、潔いまでに皆、自分(だけ)が生き伸びることに必死、いつ落ちるともわからないぐらぐらの地盤の上で足
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わたしたち(2016年製作の映画)

5.0

絶対のように思えてたものの儚さ、期待と現実のギャップ、自分にも非があるだけに気まずい瞬間、わかってくれない大人…無防備で小さな頭と心に、不意に容赦なく襲いかかる他者との関係性の波。

あの残酷で身近な
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