レクさんの映画レビュー・感想・評価 - 28ページ目

都会のアリス(1973年製作の映画)

3.8

ヴィム・ヴェンダースによるロードムービー3部作の一作目。
成り行きで同伴することになった男と少女。
まるで世界から隔離されたかのような孤独感、移動する場所と変化する心情。
目的地になかなか辿り着けない
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.8

エアー版では変な仲間意識のせいでヴィランである彼らがヴィランヴィランしていないと指摘しましたが、ジェームズ・ガンが過去キャラを捨て、新たなキャラでヴィランヴィランしてないことを好転させてガンガンやって>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

「今」がリアルであり、愛は自由だ。
決められた台詞、同じ行動。人生はただ繰り返すものじゃない。
他人の人生のいち登場人物ではなく、自分が人生の主役だということを本人に認識させるための要素が複数ある点。
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.2

浮気調査をきっかけに探偵がある事件に関わっていくミステリー。
この縦軸と絡む愛憎、虚無、悲劇が渦巻く人間ドラマによってフィルム・ノワールの世界へと飲み込まれていく。

"怠け者の街"チャイナタウン。
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.6

黒澤明監督の『羅生門』及び芥川龍之介の『藪の中』を下敷きにしたミステリードラマ。

登場人物の主観を交えた4つの時間軸を錯綜させた構成が真実を覆い隠し、排他的論理和により導き出される難解な物語。
この
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めまい(1958年製作の映画)

4.3

高所恐怖症の元刑事が探偵として金髪の女性の尾行を依頼される。

妄執と狂愛、過去と幻想。
第三幕でこの物語の見え方が変わっていく。
ヒッチコックのミソジニー的思想が不快ながら美しくトリックへと組み込ま
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情婦(1957年製作の映画)

4.7

アガサ・クリスティ原作『検察側の証人』の映画化。
「映画の8割は脚本で決まる」ビリー・ワイルダー監督によるネタバレ厳禁の法廷ミステリー。

殺人の容疑をかけられた男は有罪か、それとも無罪か。
事件概要
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ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男(2018年製作の映画)

3.8

ヒトラーを殺して人生への葛藤や苦悩に苛まれ悲哀を抱き老いた男が、ビッグフットを狩ることを命じられて自身の人生と再び向き合っていく。

タイトルや設定のおバカさを裏切る重厚且つ哀愁漂う回想を交えたのひと
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スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)

3.0

特にキャラに思い入れがないヴィラン集団と脚本の弱さで印象に残らない。
ただでさえヴィランがヴィランヴィランしていないのに、ヴィランよりヴィランヴィランしているおばさんが出てくるし、ヴィランたちの変な仲
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クラシック・ホラー・ストーリー(2021年製作の映画)

2.7

フォークホラーに複数の有名ホラー作品を掛け合わせて一つのホラー映画に紡いだイタリアンホラー。

そこにリベンジスプラッターとメタフィクションを混ぜたもんだから、総じて中途半端に纏まってしまった印象を受
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ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

3.4

盲目老人への制裁と贖罪。
前作『ドント・ブリーズ』の面白さはほぼ失われていたが、設定を引き継いだ別の映画として観ると面白い。

続編としてはダメというのが非常に評価しにくい。
『ターミネーター2』のよ
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.5

ハダシと凛太郎の追いかけっこの逆転の構図は過去から未来へと流れる時間を、未来から過去へとアプローチするものか。

ラブコメと時代劇のフィクション性、そこにSF要素を介した青春というリアルを充てることで
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ワイルド・スピード/ジェットブレイク(2020年製作の映画)

3.3

楽しかった。

過去作を掘り返して肉付けしていく気概でファンサービスは感じる。
しかし、ブライアンの流れからなかなかそうはいかないものの過去から未来への理想、居場所(安定した家庭)を求めるドミニクの導
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ワイルドなスピード! AHO MISSION(2015年製作の映画)

3.0

人気カーアクションシリーズのパロディ。

アホな内容と裏腹に、本家の一作目『ワイルド・スピード』と五作目『MEGA MAX』を一本に纏めたプロットや寄せたキャラはパロディ映画の中でも高水準。
本家への
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ワイルド・スピード ICE BREAK(2017年製作の映画)

3.2

家族への想いと裏切り、問題を乗り越えた先にあるファミリーとしての強い絆。
エンタメとしては楽しい映画ではあるが、前作『SKY MISSION』で描いた家族vs家族に対する復讐や確執と本作で描くある人物
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ワイルド・スピード SKY MISSION(2015年製作の映画)

4.3

"未来を覗きたければ後ろを振り返れ"
新たな未来を掴むためな過去の重みと再度向き合う本作は、過去から未来へと動いた前作『EURO MISSION』と合わせて物語に更に深みを与える作品だろう。

何より
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ワイルド・スピード EURO MISSION(2013年製作の映画)

3.7

新たな敵とファミリーの再集結、過去の贖罪に再会と喪失。

過去作からの設定を引き継ぎつつ過去から未来へと動いた本作は、善悪の揺らぎからヒロイズムへと派生している。
個人的にはここがマイナスポイントでは
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ワイルド・スピード MEGA MAX(2011年製作の映画)

4.0

一億ドルだよ、全員集合!
逃げないハゲと追うハゲの暑苦しさ、力技のクライムアクションとしての面白さ、修羅場をくぐり抜けたファミリーが一致団結する熱さ。

一作目から描かれている"周りに人が集まり、敵を
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ワイルド・スピード MAX(2009年製作の映画)

3.8

ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーの復帰で一作目『ワイルド・スピード』への原点回帰的な作品か。

アクションと並行した重ためのドラマがクライムサスペンス要素を引き立てている。
また、それらによって
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ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006年製作の映画)

3.3

道が狭い日本だから活きるドリフト自体はかっこいいんだけど、海外から見た日本のダサさがキツい。

現段階で前作との繋がりが見えないので、終盤まではただドリフトを練習する映画だった。
寿司屋でそこそこ美味
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ワイルド・スピードX2(2003年製作の映画)

3.8

ヴィン・ディーゼル不在もポール・ウォーカー演じる元刑事ブライアンのキャラの掘り下げや一作目との繋がり、そして手ぐせの悪い新たな相棒とのバディムービーとして楽しめる。

一作目よりおとり捜査感も強く、カ
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ワイルド・スピード(2001年製作の映画)

3.5

"10秒足らずの間 おれは自由だ"
ゼロヨンに生きる男とおとり捜査官の邂逅。

表面的なものでなく内面的な友情とそれぞれのキャラ立ちがいいアクセントになっている。
正直、得意なジャンルではないものの、
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.0

人生に疲弊した映像作家が傷を癒やすため辿り着いた海での彼女との出逢い。
"自然に溶け込めば世界は開ける。"
きらびやかな理想郷とかけ離れた過酷な世界で美しく生きるタコの生態に迫ることで、自身の癒やしと
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ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)

3.7

お婆ちゃんと愛犬による誘拐された孫の救出劇。

シュールな世界観とデフォルメされた愛くるしいキャラクターたちが織り成す魅力。
台詞はほぼなくアニメーションに注力できるし、ノリの良い音楽と程よい気持ち悪
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アウシュヴィッツ・レポート(2020年製作の映画)

4.0

アウシュビッツ強制収容所を脱走した2人の若いスロバキア系ユダヤ人がホロコーストの真実を世界に伝えた実話に基づく物語。

2人を追うカメラ視点と強制収容所での日常性の板挟みが効いていて、飲み込まれてしま
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メタモルフォーゼ/変身(2019年製作の映画)

4.0

悪魔祓いで失敗を晒した神父の兄家族がその悪魔に襲われる恐怖を描く。
家族の姿に擬態する悪魔の嘘と囁き、エクソシズムを用いた贖罪と救済。
人間の情や弱みにつけ込んだ悪魔が唆すことで表面化される人の醜さや
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シンクロニック(2019年製作の映画)

3.0

不可解な事件に遭遇した救急隊員が友人の娘を救うため、文字通り薬物で"トリップ"する。
特異なタイムリープ設定が命と時間の使い方を語るも、その設定が出来すぎた偶然性を露呈してしまっている。

アインシュ
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ブランカニエベス(2013年製作の映画)

3.2

グリム童話『白雪姫』を下敷きに、スペイン文化の闘牛に纏わる話を情熱的に描き出した21世紀のモノクロ無声映画。

ストーリーの魅力は感じなかったけど、映像美は素晴らしい。
童話ならではの残酷さと白黒のコ
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グローリー 消えた腕時計(2016年製作の映画)

3.8

鉄道保線員が線路沿いの大金を見つけて警察に通報、不妊治療中の運輸省の女性はこれは機会だと彼を英雄に持ち上げるが、彼の父親の形見の腕時計を失くしてしまう。
ただ腕時計を返してほしい。それだけの話でラスト
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イエローブーツの娘(2010年製作の映画)

3.3

幼い頃に出ていった父親を探しにインドへやって来た英国人女性が資金集めのために如何わしいマッサージ店で働き出す。

一線を越えて絶望へと突き落とすアヌラーグ・カシャプ監督の意地の悪いところが出てる。
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ウィッチサマー(2019年製作の映画)

4.1

これ、めちゃくちゃ面白いでしょ…評価低いのが信じられないんだけど?
神隠しと記憶の改竄、疑念と信頼、そこに生じる人間関係の繋がりと不確かさ。
魔女というオカルトホラーを介した青春と家族の物語であり、尚
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ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷(2020年製作の映画)

3.1

日本家屋から繋がる呪いの連鎖。
伽椰子の呪怨がアメリカへとお引っ越ししたことで恐怖の性質が変化し、怖さは半減。
Jホラー特有の湿っぽさは失われてアメリカンホラー的な脅かしとサム・ライミ製作によるグロ描
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返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

3.8

厳戒令下の台湾を舞台に、言論の自由への抑圧、国家による圧政をホラーを媒体として物語に落とし込み、歴史の暗部をエンタメを交えて描き切る姿勢に感服する。

生きることへの希望と生きている者が忘れてはならな
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屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

2.5

浜辺美波の可愛さで持ってるようなもので、中身は本当に酷い。
クローズドサークルにしたいがための舞台設定、俳優の無駄使い、犯人がバレバレの流れ等は兎も角、ミステリーとして大丈夫か?と疑ってしまうほど…こ
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サンダーパンツ!(2002年製作の映画)

3.3

生まれつき屁が止まらないいじめられっ子の少年が天才科学少年の協力のもと、そのポテンシャルを活かして宇宙ロケットのエンジンになるお下品コメディ。

オナラが宇宙を救う。
そんなおバカな物語には少年ふたり
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地獄(1960年製作の映画)

3.5

轢き逃げ事故を発端とした人の死の連鎖。
地獄のようなこの世からあの世の地獄へ、逃れられない苦しみの円環と泣き叫ぶ声の反復。

前衛的なカメラワークやカット割りで映える地獄描写の禍々しさたるや。
ただ、
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