レクさんの映画レビュー・感想・評価 - 29ページ目

『犬鳴村』恐怖回避ばーじょん 劇場版(2020年製作の映画)

1.0

こんにちは、いぬです。から始まり"かわいいスタンプや効果音"で怖くない加工が施されている。
恐怖シーンでの世界観が崩壊。
斬新な試みではあるけど、完全におふざけネタとして観る案件だ。

安心してくださ
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スペンサー・コンフィデンシャル(2020年製作の映画)

3.2

法を犯して服役した元刑事が、出所後に正義と法の下で汚職塗れの警察の不義を裁く。
王道のバディもので、ありがちなストーリーライン、そしてコメディ寄りでとても観やすい。
良くも悪くもNetflixオリジナ
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屋敷女 ノーカット 完全版(2007年製作の映画)

4.2

まず、ノーカット完全版として一般公開されることになり、尽力された方々には感謝しかない。
ありがとうございました。

出産を明日に控えた女性が自宅で何者かに襲われる名作フレンチ・スプラッター。
83分を
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サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)

3.7

地中から蘇った最凶の宇宙人が狂った少女に翻弄される。
支配者と奴隷、妹と兄、母と父、主従関係と愛を以て牽引する物語のバカバカしさがクセになる愛すべき映画だ。

ゴア描写あるクレイジーな遊び心、強引なハ
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第8日の夜(2021年製作の映画)

3.3

仏教の言葉"煩悶懊悩"と"煩悩刧苦"をモチーフに黒と赤の目を巡る神話的オカルトホラー。
悪夢に囚われた元僧侶が地獄の門を開けようとする悪魔と対峙する。
名優イ・ソンミンの醸し出す空気感と物語の邪悪な世
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物ブツ交換(2018年製作の映画)

3.1

ジャガイモを通貨として物々交換するジョージアの街を舞台に、そこに住む人々の日常を切り取った23分の短編ドキュメンタリー。

所変われば…とはよく言ったもので、均一化された値段ではなく人がその物の価値を
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ブラッド・レッド・スカイ(2021年製作の映画)

3.6

冒頭とラストシークエンス、ここがすべて。
操縦士の立ち位置、テロリスト側の計画と思惑、観客が抱く異型への恐怖心、母親の理性と衝動。
誰が善人で誰が悪人かわからなくなる乱戦。
これらは外見で判断する人間
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ベルリン・シンドローム(2017年製作の映画)

2.5

旅先で恋に落ちた女性がその男性に監禁されるスリラー。
信じた相手に裏切られるといった絶望感。
監禁される恐怖と合わせ鏡のように見える恋愛依存的な怖さ。

男性による女性の抑圧、そこからの解放はブラック
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さよなら、アドルフ(2012年製作の映画)

3.4

第二次世界大戦の末期にナチス側で育った兄弟姉妹がユダヤ人の青年に出会って、時代の波に飲まれていく地獄のようなロードムービー。

ナチ側で生まれた子どもたちからすれば、収容所で何が行われていたのかも知ら
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キャンバス(2020年製作の映画)

3.7

アメリカの9分短編アニメーション作品。
悲しみから絵を描く情熱を失ったお爺さんが、孫が見つけたキャンバスに描かれたある絵に触れて再起していく心温まる物語。

リアルとイマジナリーをそれぞれ3Dと2Dの
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泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

仮面(猫)をかぶる、その偽りの姿から本当の自分の気持ちを見つめ直していく。
人間の世界と猫の世界の行き来を思春期という不安定な精神状態と重ね描くことで、異世界に足を踏み入れるジブリ的な世界観が感じられ
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The Soul: 繋がれる魂(2021年製作の映画)

3.7

陰陽思想殺人事件の真相を癌を患った検察官が追っていく。

近未来の最先端医療と愛の多様性、死者への執着と魂の存続。
二転三転するサスペンスドラマ、そこにSFの舞台装置が上手く利いている。
粗はあるもの
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さまよう心臓(2011年製作の映画)

3.8

立体アニメーション作家・秦俊子が東京藝術大学大学院在学時に手掛けた自主制作の9分短編映画。

パペットアニメーションの不気味さとノスタルジックな世界観。
それらが相乗効果となっていて、ホラー演出の核を
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ジャドヴィル包囲戦 6日間の戦い(2016年製作の映画)

3.3

冷戦の最中、コンゴで敵に包囲された国連平和維持軍アイルランド部隊を実話ベースで描く。

国連の理念と平和への理想、そこに絡む上層部の利権と政治による理不尽。
この映画を観なければ知り得なかった事実、勇
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.9

女性への性的搾取が淡々と描かれる中、彼女の心情を引き出す選択肢の辛さ。

シスターフッドとロードムービー的な側面、語り過ぎない語り口。
これらのバランスが彼女の選択の重さを際立たせてる。

映画評とは
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.7

一時的な悔みと許し、過去の罪をなかったことにしないために。

被害者が加害者となる従来の"復讐"の概念そのものを変えると同時に、傍観者を当事者へと引き込む意識的な転換。
適切な場面で明かされる情報で物
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女優霊(1995年製作の映画)

3.4

中田秀夫監督デビュー作。
映画現場で起こる奇怪な出来事が、昔の撮影フィルムや過去に起きた事件と重なっていく。

脚本家・高橋洋の幼少期の実体験『シェラ・デ・コブレの幽霊』のエピソードを基に、不可解な要
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ピラニア 3D(2010年製作の映画)

3.5

お祭り騒ぎが一転、阿鼻叫喚の地獄絵図へ。
エロ描写によってグロ描写が引き立てられ、青い湖が赤色に染まるアレクサンドル・アジャ劇場。

死ななくていいところで死ぬイーライ・ロスと、生よりも性(濡れたTシ
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(1963年製作の映画)

3.6

鳥は他の鳥の行動を真似る習性を持つ。
ラブロマンスからパニックへと転調することで日常にありそうでない"人が鳥の大群に襲われる"恐怖をリアルに描き出し、劇伴の代わりに流れる鳴き声や羽音が不安感を煽る。
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ファイナル・デスティネーション(2000年製作の映画)

3.8

飛行機事故を免れた高校生たちが死の運命に追い詰められていく。

日常の中ですぐ隣に死の存在を感じる怖さ、予兆と筋書きからそのコメディ的な死に方に創意工夫が感じられる。
無理があるとか整合性とかはどうで
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P2(2007年製作の映画)

3.7

クリスマスの夜に駐車場に監禁された女性の恐怖を描く。

理不尽に押し付けられる愛は狂気であり、理解し難い行動が不気味さを演出する。
地味な絵に美女のドレスアップが映えるし、シチュエーションを活かした追
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七つまでは神のうち(2011年製作の映画)

3.6

失踪事件と神隠しを絡めて時系列を弄り、それぞれのエピソードがひとつに収束していく。

オカルト的な演出を使って真実を覆い隠すミステリー色の強い作品。
信仰心や神の存在の有無と因果関係、悲哀と絶望、皮肉
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亡霊怪猫屋敷(1958年製作の映画)

3.8

病気療養のため田舎にある屋敷に移り住んだ病弱な女性が屋敷に取り憑いた怨霊に襲われる古典オカルトホラー。

現代劇パートを青味がかったモノクロ、過去の時代劇パートをカラーで描いてて、過去を紐解いていくミ
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ポゼッション(2012年製作の映画)

3.2

ユダヤの民話で語られる悪魔を封じ込めた箱に纏わる実話を基に、悪魔憑きの娘を救おうとする父親の奮闘劇。

憑依ではなく物理的に体内に住み着くことで感じる悪魔の存在。
オーソドックスな演出なのでホラー映画
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パラダイム(1987年製作の映画)

3.5

幾何学や量子物理学などを専門とする学者たちが神父と協力して悪魔と対峙する物語。

ジョン・カーペンター監督らしい不安を煽る劇伴とSF的な演出が随所に見られ、その遊び心がオカルト的な怖さよりも知的探究心
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.0

映画の中に自分を探す。
これって、自分が以前から言っている"客観が主観に変わる瞬間"なんですよね。
もう共感しかなくて。

娯楽である映画が娯楽を超えて人の心を動かす。
アニメ的な演出も素晴らしく、フ
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.9

正義と不義と仁義、駆け引きと抗争。
前作を超えるバイオレンス描写が暴力的に面白い。

エンタメに振り切った白石和彌監督の本気を。
そして昭和から平成へと移りゆく時代背景が現代で描く最高のヤクザ映画を、
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ジャッリカットゥ 牛の怒り(2019年製作の映画)

3.5

暴走牛と欲望剥き出しの狂人1000人。
インドの貧困問題や宗教観を交えつつ、村の混乱を描いた"血沸き、肉踊る"黙示録。

牛とのアクションを期待してはならない。
これは屠殺から逃れた牛をキッカケに露わ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.8

アバターという仮初の姿を通して成長していく少女を描く。
アンチの存在を否定せず、匿名による誹謗中傷の危険性を。ネット依存の社会の中で、現実に起こす行動の重要性を問う。
冒頭から惹き込まれる彼女の歌声が
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ファイナル・プラン(2020年製作の映画)

3.3

足を洗った凄腕の爆破銀行強盗犯が愛する女性のために悪徳FBIと対峙するリベンジアクション。

話の軸としてはn番煎じで期待を裏切るわけでもなく、特筆すべき点もないが安定のリーアム・ニーソン。
わんこが
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オルカ(1977年製作の映画)

3.3

サメじゃない、シャチだ!
人間の傲慢さとシャチの憤怒。
従来の動物パニック映画とは異なり、加害者と被害者の立場を逆転させて観客がシャチに感情移入してしまう構成。

妻子の命を奪われたシャチのオルカを主
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膨らみ(2018年製作の映画)

3.3

広島こわい映画祭2020上映作品で約3分の短編映画。

独り暮らしの女性が深夜に仕事から帰宅すると、部屋にあるベッドの上に人影が。
ベッドの下、カーテンやクローゼットの隙間、日常に溶け込む恐怖のひとつ
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歯まん(2015年製作の映画)

3.0

下の口に歯がある女性の性春を描く。
冒頭、血の噴水から「俺のちんこ返せよ!」で爆笑も出オチ感。

愛と性行為の結びつき。
プラトニックな関係を否定し、性欲に対する醜さを見せるのは良かったが、如何せん真
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東京リベンジャーズ(2021年製作の映画)

3.9

タイムリープものの人生リベンジとフィクションをリアルにする英勉監督の作家性の相性の良さ。
運命を変える原動力に"大切な人を救いたい"というシンプルな想いがあることで弱さの中に強さが感じられる。
過去改
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.7

ナターシャが過去を振り返るという導線と観客の観てきたシビル・ウォーの補完がリンクする作りが巧い。
また、スパイ映画に"女性の解放"を練り込むことで形式的な堅実さも見て取れる。
その上で、どうしても掘り
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クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)

3.8

父親が緊迫プレイ大好きな変態だと知り、巻き結び連続殺人事件の犯人ではないかと疑う息子。

信頼と懐疑、信仰と緊縛。
事件の結び目が解けた時、目の当たりにする真実と現実。
大人への成長や親父超えをサスペ
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