インド人の父を持つ英国籍の女性が休暇で父の故郷へと訪れる。
カースト制度や男尊女卑、家父長制、貧困、インドの抱える様々な問題が障害となる中で、それと対比するようにスケートボードによって自由や夢という輝>>続きを読む
宇宙規模の破壊と創造を、繰り返してきた戦争という人類の負の歴史と重ね描く。
心にぶっ刺さるエモーショナルなドラマを壮大な物語の中で描くことの意味こそ、人類が歩んできた功罪。
エターナルズに感情移入させ>>続きを読む
離婚して傷心した女性が電車の車窓から見つめる理想の夫婦の秘密。
インド映画ならではのアイテム・ナンバーを感情の発露として挿入することで、作風とアンマッチながら現状との差異を際立たせる。
一方で、ミス>>続きを読む
霊が見えるという女性霊能者を問診する坊主頭の精神科医が、次第に自身の過去と向き合っていく。
回想の曖昧さと記憶の改竄、忘れたい過去と忘れられない過去。
胸が苦しくなる隠された真実に、本当の意味での">>続きを読む
子どもというのは好奇心や探究心、失敗や間違い、困難や叱責されることなど、物や人に触れること、それらを繰り返しながら成長していくものである。
原作者カルロ・コッローディ1826〜1890年。
ヨーロッ>>続きを読む
人間と獣、自然と"赤いやつ"の相克。
包み込まれる音と美しい映像表現で紡ぐ摩訶不思議な物語。
"私たちは熱がないと生きていけない"
知床半島・斜里町の地域ドキュメンタリーと映像作家で振り付け師・吉開>>続きを読む
19世紀末のロンドンの街で起こった連続猟奇殺人事件の容疑者4名のうち1名が服毒で死亡していたことから、その死の真相を探っていく。
"傍観者であれ、加害者は同等の血を流させることになる"
絡み合う演劇>>続きを読む
田舎町の美容室"野ばら"を舞台に男運の悪い女性たちを描く。
母親と女性の二面性、現実と理想のチグハグ感。
おふざけや長閑な時間と寂しく居た堪れなくなる時間のバランス。
空白を埋めるものは愛か、狂気か>>続きを読む
釣り人を客とする言葉を発しない娼婦と死に場所を探してやってきた殺人犯の男。
不条理な世界に浮かぶ罪と孤独、愛の痛み。
キム・ギドクらしい嫌悪と耽美が共存する破滅。
観客が失神したり嘔吐したことで箔が>>続きを読む
カナダに移住する母との別れの寂しさから女子大生が不倫関係にあった教授と連絡を取ってしまう。
恋愛日記と恋のリフレイン、夢と現がホン・サンスのフィルモグラフィーで一貫したテーマ"反復と差異"の人生を表>>続きを読む
好きな人の好きな人を奪う禁断の三角関係、間接的な交わり。
青春の儚さ、思春期の不安定さ、恋の危うさ。
無知の知と恋愛要素を絡めることで表象する認識論、根源的な愛。
尖った攻めた作品であるからこそ往年の>>続きを読む
年金を取り上げられ、家を差し押さえられることになった爺さんが友人と銀行強盗を企てる。
犯罪行為を肯定するつもりはないけど、爺さんたちの奮闘劇として応援したくなる。
結果的にだが、子どもに犯罪を加担さ>>続きを読む
親の離婚と再婚、複雑な家庭環境。
日常の変化を思春期の子供視点で捉え、人と人との交流による小さな心模様の変化を淡く繊細に描き出す。
今泉力哉監督らしい優しく丁寧な演出によって紡がれる日常から家族愛、>>続きを読む
土方視点での回顧録であり、新撰組の物語ではなく土方歳三の半生に他ならない。
故に、上手く纏まってはいるが、時間に対して短く感じるほどダイジェスト感は否めない。
面白かったけど、ラストのカタルシスが生き>>続きを読む
脚本上の都合で発動するトラップ。
オリジナルからの改変点としてドラマ性を主軸としたために、あるキャラが没個性になった上に菅田将暉を活かすツールにしかなってない。
感情に誘発する証明演出も演技で見せら>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
リドリー・スコット監督作品は『グラディエーター』などの歴史スペクタクル超大作が好きなのですが、本作『最後の決闘裁判』では歴史的な背景を生かしたミステリードラマ。
本作『最後の決闘裁判』は、14世紀末>>続きを読む
水俣病の実態を世界に知らしめるきっかけの写真を撮ったアメリカ人写真家を描く。
日本の四大公害病、そんな知識だけを学ぶ学校教育では感じ取れない魂の叫び。
人生の一部、そこにある事実を捉える写真。
その>>続きを読む
謎の少女の夢を見る青年に課せられた運命。
ドゥニ・ヴィルヌーヴが描く葛藤と成長は魅力的だが、映像クオリティの衒いが物語の地味さを引き立ててしまっている。
分かりやすくて長い予告を観ているようで本当に">>続きを読む
念願の京都初上映、白石晃士ファンには堪らない傑作。
都市伝説的な女装男が巻き起こす求愛と本能。
笑いを誘うハチャメチャな展開に見えて実は理路整然としたプロットに唸りながら、エンタメとして楽しめる最高>>続きを読む
『恋するけだもの』の基となった18分の短編映画。
バスに乗り合わせた乗客たちと女装した男…いや、女性が赤信号でもレッツラゴーの恋のクレイジーロード。
白石晃士監督が演出するフルスイングの宇野祥平を拝>>続きを読む
名古屋にあるミニシアター、シネマスコーレの副支配人・坪井篤史氏に密着したドキュメンタリー。
映画に対する愛情とミニシアターに対する熱い想いがスクリーンから伝わってきた。
白石晃士監督との『貞子vs伽>>続きを読む
本作『キャンディマン』は過去作1992年公開の『キャンディマン』と同じ題材を使いつつ、続編的な構成で再度映画化。
そこに、脚本・製作ジョーダン・ピールの作家性、主に繰り返される歴史や継承されてしまう差>>続きを読む
震災と生活保護を絡めた社会派ミステリー。
サバイバーズ・ギルト、やり場のない憤りと心の傷、そこに人同士の互助と法や国の補助の溝を明確に組み込むことで生まれる悲しみの連鎖。
不条理で辛いこの物語を観て>>続きを読む
閉塞的な日常がいつしか当たり前になってしまう
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日本映画がコロナ禍の日本を明るく照らし出す。
三島有紀子「共有」、上田慎一郎「感触」、藤井道人「成長への気づき」、3人の監督を中心にそれぞれのテーマの>>続きを読む
ヴィルヌーヴ版『DUNE』に備えて、リンチ版はなぜ批判されたのかを検証すべく再鑑賞したのですが、やはり世界観の構築への甘さと編集によるわかりにくさ。
冒頭から壮大な物語が纏まり切らずワードから何から>>続きを読む
藤井道人監督初期短編作品集 ③
「東京を去る若者、毎年一万人」
夢を追う者、挫折する者、東京に生きる若者たちに焦点を当てた群像劇。
現実と理想の狭間で苦悩する彼らの姿は『#青の帰り道』にも通ずる。>>続きを読む
藤井道人監督初期短編作品集 ③
東京という小さな世界で挫折した男性と夢を持つ女性が夜通し会話する。
この他愛もない一夜を、ふたりは決して忘れないだろう。
もうひと押し何かあれば心に刺さるものがあった>>続きを読む
主人公は幸せな家庭にありながら、不慮の事故で妻が昏睡状態となってしまう。
そんな不幸を幸福だと感じるドMで構ってちゃんの男が、喪失による同情や悲哀に依存し、同情されることで悲しみを背負うことで自身を満>>続きを読む
心の病を患い、医者から運動するように言われた主人公・和雄(東出昌大)はそれから毎日同じ道を走り続ける。
走り続けるか止まるかは自由で、現実を忘れられる時間でもある。
また、自分と向き合う時間や孤独と>>続きを読む
日常パートとアクションパートの緩急、会話と暴力のバランスがめちゃくちゃ楽しいし、『ある用務員』よりも好き。
ただ、時折台詞が聞き取り辛く、折角の長所が台無しになってるのは否めない。
女子高生と殺し屋>>続きを読む
藤井道人監督初期短編作品集 ②
なりたかった自分とこれからの自分。
様々な感情を抱えて今を生きる人たちの人生の一端を長回しで捉える。
それらが重なり交わる瞬間、途轍もない切なさが襲ってきた。
知らな>>続きを読む
藤井道人監督初期短編作品集 ②
悲しみや悔しさ、怒り、大切にしていた想い出さえも、自分自身を騙していずれは忘れてしまう。
忘れろと忘れるな、どちらが正しいのか何が正しいのかなんて誰にもわからない。>>続きを読む
藤井道人監督初期短編作品集 ①
彼らは、世界を救うことはできない。世界もまた、彼らを救うことはできない。
閉塞的な日常に絡めとられるやるせなさ、思い通りにいかない人生。
二度と戻らないあの頃を眺めて>>続きを読む
藤井道人監督初期短編作品集 ①
あるカウンセリング施設で藻掻き苦しみながら生きる患者たちの独白をドキュメンタリータッチで切り取る。
隅っこで蓄積していく埃も、風が吹けば舞い上がり光を当てればキラキラ>>続きを読む
女子篇と男子篇、2つ視点から描かれる青春泥遊びコントホラーの一篇。
別視点から女子篇の補完となる内容で、先に女子篇からの鑑賞を推奨。
正直、既に女子篇を観てある程度の展開が分かった上で観なければなら>>続きを読む
女子篇と男子篇、2つ視点から描かれる青春泥遊びコントホラーの一篇。
緩い学園ドラマからの恐怖への導入はよかったが、恐怖描写自体はテンポが悪く弛れる。
とはいえ、恋というものを通して恐怖を乗り越え成長>>続きを読む