リヴェット②
ライオン像と賑やかなパリの街並みに始まり、パリを舞台にした双六を戻りながら、工事中の建物と移ろいゆくパリの街並みに終わる。1980年の今となってずっと昔のこと。
そこには常に、映画の自>>続きを読む
メルヴィル⑥
夜のマンハッタンの美しさよ。メルヴィル演じる記者がアンナと恋仲にならずにサラッと終わる、ドライさが堪らない。
ファスビンダー⑧
短編『小カオス』から膨らませたような話。白昼夢のような現実感の薄い真っ白な画面はマリアブラウンぽい。組織に縛られることを拒んで自由を選ぶ(代償を伴う)フランツはの生き方ファスビンダ>>続きを読む
クラブにおける「火をもらえるかしら?」というコミュニケーション。
このレビューはネタバレを含みます
朝鮮戦争帰り、生きる希望を見出せない人々の鬱屈は伝播する。身の回りに降り注ぐ負の連鎖で泣き面に蜂状態の男が向かう先は歯医者である。親知らずを抜くという肉体的痛みをもってしか生の実存を得られないというと>>続きを読む
ベッケル③
とびきりにキュートな痴話喧嘩。些細な行き違いが思わぬ深刻な事態に発展する。パーティーのシーンの下品な賑やかさが好き。
メルヴィル⑤
ずっと見ていたいカジノのシークエンス。ギャングものだけどあんまり重々しさはなく、茶目っ気がいい塩梅な娯楽作。小悪魔なイザベル・コーレイが魅力的(当時16歳らしい)
バルタス③
三日間というタイトルではあるけど、作中で流れている時間がはたして本当に三日間なのか見当もつかない。気怠そうに佇むカテリーナ・ゴルベワと男2人の周りに流れる無為な時間の経過と、荒廃したカリ>>続きを読む
前半の作り物くさいブルジョワ生活から一転、森の暗闇を疾走するゴルベワと出会ってしまってはもう引き返せない。静寂と闇を全身に纏ったような彼女の佇まいに圧倒され、血の海に呑まれ、ドパルデューともども破滅し>>続きを読む
ヴィスコンティ③
すべてを赦す聖人のような三男ロッコの寛容が仇となって次男シモーヌは堕ちるとこまで堕ちてしまう。それでも彼を庇おうと、兄弟のため、家族のために最善を尽くそうとするロッコに対して、広く>>続きを読む
ジョーズやロッキーのビデオという禁断の果実を齧り、真似るという原始的な行為から自我が芽生え(歯という代償を伴いながら)、家族という牢獄から脱走するという流れがあまりにも美しい。ただの露悪趣味じゃない寒>>続きを読む
ヌーヴェルヴァーグのような、無軌道さと不道徳さ。それにしてもファスビンダーが若い!
たった10分に凝縮された一人の若者の絶望の淵。冒頭ののっそりしたパンで都会に馴染めない孤独を映し出す。
「ケスを飼い慣らすなんて無理さ。獰猛で、超然とした鳥なんだ。僕さえ気にかけない。僕は姿を見て、空に飛ばせれば満足だ。インコとは違うんだから。」
サッカー映画。
広瀬すずの眼力と引力で物語をぐいぐい進めていく。横並びの前傾姿勢、ダイナミックな体重移動、空を切る払い手はやはり映像でこそ映える。静と動の対比、競技かるたの特性を生かした緩急の付け方は素晴らしい。
払>>続きを読む
フェリーニ④
何不自由ない生活を送りながらも実存的不安から心中を図る男と、俗っぽく自堕落に、しかし楽観的に生きる男。何がほんとの幸せかはわからんなあ。
「退廃」したブルジョワジーの乱痴気騒ぎと、その>>続きを読む
部屋の奥にある絵画をただゆっくりとズームアップしていくだけなのだけれども、人物の介入やらノイズやら画面の点滅やら、あらゆる角度から映画への没入を拒む仕掛けがなされている。見られる対象と、見ている行為者>>続きを読む
アケルマン⑥
ゲリンの『影の列車』を思い出した。誰もいないホテルの廊下をカメラが回り続けるのは半ばホラーじみてる。カメラが扉を越えることを頑なに拒んでいて、空間を捉える限界を模索しているのかと思いき>>続きを読む
ファスビンダー④
周りの反応が変わる契機にもなった2人の旅行の描写をバッサリと切り捨てる潔さ。
アケルマン④
マットレス以外に何もない部屋で心身ともに素っ裸のまま"あなた"への心情を綴る一章、ヒッチハイクで出会った"彼"へ複雑な眼差しを向ける2章、"彼女"を訪れ動物的に愛を求める3章。"私"は>>続きを読む
ベッケル②
シモーレ・シニョレ演じる娼婦を巡る男たちの友情、裏切り、痴情のもつれ…
悲劇的で格調高い、粋な作品。ギロチン前の階段から見下ろすショットが素晴らしい。