spacegomiさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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不貞の女(1968年製作の映画)

4.1

シャブロル④

不倫する女と嫉妬する男という手垢にまみれた題材でこれだけ面白くミニマルなサスペンスを作り上げる、すごい。全体的にカメラワークが気持ち悪くて最高だが、ラストのそれは群を抜いている。視線の
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君の名は。(2016年製作の映画)

2.2

絵はまあ綺麗だし、セカイ系をこれほどのポップさをもってして提示する手腕には素直に感嘆せざるを得ないが、個人的な好みの問題でいうとかなりキツイ作品だった。

1点目。男女の入れ替わりモノのくせに人間の身
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仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.5

生身の身体よりも窓越しに覗き見ることに愉しみを覚える男と、見られることを快楽へと変容させる女。眼差し、視線の映画。倒錯的で歪んだ愛の形は、ハンカチの香りによって狂わされていく。ブラームスのスコアが官能>>続きを読む

女鹿(1968年製作の映画)

4.3

シャブロル③

陽光の下で一人佇むホワイのショットが神がかってる。みんな顔が不貞腐れてて最高。

汚名(1946年製作の映画)

4.5

ヒッチコック⑨

とんでもなく面白い。序盤から終盤にかけてのキスの意味の変容っぷり。キスに牽制を含意させるのは作中の人物に向けられているのはもちろん、ヘイズコードに対する挑戦というのもあるんだろう。鍵
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暗黒街の顔役(1932年製作の映画)

4.0

ホークス⑥

次から次へと人が死んでいくがその演出1つ1つが面白い。ボウリングのピンが倒れるショットが凄まじい。近親相姦の匂い。

35杯のラムショット(2008年製作の映画)

4.2

ドゥニ③

夕暮れの列車からの眺め、どこまでも続く線路を映すオープニングショットから見えてくる父親の哀愁と孤独。退職する同僚のパーティーから始まり、彼は人生という列車の終着点について考えざるを得なくな
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

4.2

ギトリによる延々と続く小気味いいナレーションの愉しさ。少年時代のエピソードの馬鹿らしさが最高。イカサマの解説の手のショットがブレッソンっぽかった。

風の物語(1988年製作の映画)

4.0

なんじゃこりゃ!90のおじいちゃんになったイヴェンスが目には見えない「風」を撮りたいという思いで中国に降り立ち、いろんな人に出会い、いろんな風を撮る。めちゃくちゃな笑いと超常的な現象をごちゃまぜにして>>続きを読む

婚約者たち(1963年製作の映画)

4.7

オルミ④

冒頭のダンスシーンの素晴らしさにいきなりやられた。その後のふてぶてしい男女の顔も最高。
工事現場での燃え盛る火花、祭りの狂騒は、溢れ落ちるように消えゆく束の間のひと時だからこそ美しいし、そ
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吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年製作の映画)

3.0

ムルナウ④

昼と夜の区別がつかない。起き上がるノスフェラトゥに笑った。ネズミのような顔の造形はペストから来ているらしい。昔は災厄をもたらす疫病みたいな扱いだったんだな。

たそがれの女心(1953年製作の映画)

4.3

オフュルス③

次から次へと人の手を移る耳飾りが人物を結びつけ、メロドラマを紡ぎ、また、破滅へと導く。宝石商が同じ耳飾りを何度も夫に売りつけるのが最高。流れるようなダンスシーンのカメラワーク、長回しは
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ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

4.0

真利子②

イエローキッドにはあまりノレなかったけどこれは文句のつけようがない。社会的な背景や動機なんてものを拒絶する柳楽優弥の圧倒的な目。凄まじい暴力の連鎖。フードを被る少年たちの後姿はイエローキッ
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低開発の記憶-メモリアス-(1968年製作の映画)

4.2

西欧への羨望と自国への諦念、シニシズムがそのまま己の身にふりかかってくるインテリゲンチャ。革命後の空白による実存の希求。めちゃくちゃ面白い。これは誰かの自伝なのかな?

アブラハム渓谷(1993年製作の映画)

4.8

オリヴェイラ③

一度目にすれば忘れ難きエマの美貌。寡黙な洗濯女リティニャと対比される二つの美。「欲望される」ことへの欲望。オレンジ畑のシーンの恍惚さに感極まった。ボヴァリー夫人を読んだらまた観たい。

10話(2002年製作の映画)

4.4

10話から1話に遡る構成、切り返しだけで全く飽きさせない作りに唸る。車内の会話だけでイラン社会における女性の多様なあり方を露わにするが、それをサラッとやってのけるのが凄すぎる。
捲し立てるように詰り合
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山河ノスタルジア(2015年製作の映画)

3.8

1話目の三角関係の話は人の出入りがひたすらに面白い。移ろいゆく時代に取り残されながらもひたむきに生きる女性、母性の不在から「自由」を探し求める少年。

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

2.0

安っぽい人間ドラマを徹底的に排したのは素晴らしい。現実(311以降の日本社会)vs虚構(未知の巨大生物の襲来という「災害」)の思考実験。とことんディテールに拘ったオタク的リアリズムは、個人的には非常に>>続きを読む

男の傷(1981年製作の映画)

4.2

男たちの破滅的な妄想と暴走。三角関係の描き方に唸る。ラスト5分の高揚感とカタルシスは凄まじい。

定職/就職(1961年製作の映画)

4.6

オルミ③

就職試験で出会った女の子との束の間のモラトリアム。慣れないカフェでの作法、響き渡るティースプーンの音。ぎこちないが瑞々しい二人の時間。手を繋ぎ走り出すシーンは最高。そんなささやかな幸福の瞬
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家族生活(1984年製作の映画)

4.3

ドワイヨン②

コンテンポラリーな「家族」のかたち。辞書をめくる娘と二人でビデオカメラを手に映画を撮るロードムービー。カメラに向かって独白させることで、父娘の距離に変化が生まれる。それにしてもビデオの
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熱い賭け(1974年製作の映画)

4.1

勝とうが負けようが、親類にどれだけ迷惑をかけようが、ギャンブルだけが実存を得られる拠り所であった英文学の大学教授。ドストエフスキーの引用もあるように、文学とギャンブルの精神性の近さは言わずもがな。彼に>>続きを読む

しとやかな獣(1962年製作の映画)

4.6

テンポよく小気味いい会話の応酬にゲラゲラ笑い、時折挟まれる階段のショットにハッとさせられる。真っ赤に染まった空をバックに狂乱する兄妹が最高。

ファントム・オブ・パラダイス(1974年製作の映画)

3.3

ジェシカハーパーかわええ。深夜に見るのがちょうど良かった。

桜桃の味(1997年製作の映画)

4.3

キアロスタミ⑤

砂埃の舞う乾いた土地で車を走らせ、自殺の協力者を探し求める奇妙な男。彼の自殺を望む経緯、動機が語られることは一切なく、ただただ自殺することが定められているかのように振る舞う。死に極限
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