開始直後から最後まで、引き摺り込んで離さない力強さを持った映画だった。
映画としての素晴らしさは勿論だが、やはり何と言っても石原さとみが圧巻だった。一挙手一投足、言葉のひとつを全身全霊で発しているよう>>続きを読む
無駄な台詞が一切排除された作品。しかしハルとミチの二人からは、二律背反する気持ちの狭間で揺れ動く心情が痛いほど伝わってくる。言葉を使わずにこの不安感を演出できる黒沢監督の手腕に唖然とさせられる。そして>>続きを読む
早稲田松竹レイトショーで観賞
特別な効果を使用している訳ではないのにとてつもない不穏さがあった。
カリスマと名付けられた一見ただの木にしか見えないものを巡って暴力や殺人が繰り広げられる。
不思議と観て>>続きを読む
バルカン半島3部作の1作目。
現地の本当の夫婦を夫婦役に起用するなど、驚くべきキャスティングで魅力的な作品を撮る監督の手腕。普通の映画には出せない凄みがあったように思う。
なぜ最近の日本のノワール映画は台詞がこんなにベタなんだ。声が大きいだけで迫力も無い。
ババアの財布をそこまで強調しなくていい。
復讐心が掻き立てられるようなエピソードも少なく、空回りしてる感が否めなか>>続きを読む
助走なしでどんどんロマンティックな運命論を展開されてしまい付いていけなかった。
正直キャラクターにも魅力を感じられず、ダラダラと時間だけが過ぎていく印象を受けた。
冒頭から詩的な台詞とイメージの連続にいきなり心を掴まれた。原爆という悪魔を生み出したオッペンハイマーという人物の人生が、彼の人間性含めて見事に描かれていたように思う。
複雑な構成ではあったが、事前に登>>続きを読む
自分がいかに妊娠中絶とその歴史についての知識がなかったか気付かされた。
そして当時のアメリカ社会における白人の宗教観も興味深かった。
若松孝二がシネマスコーレを作った話の映画化。
面白くない訳がない。
『止められるか、俺たちを』1作目の井浦新演じる若松孝二にまた会えるだけでも嬉しくなる。
そして今作はなんと言ってもシネマスコーレ支配>>続きを読む
新宿ピカデリーの4Kレストア上映にて初観賞。
言わずもがなの名作というくらいの認識だったが、ここまで素晴らしい映画だったとは。
中国最後の皇帝として生きた溥儀という人間の一生を最高のスタッフで描いた今>>続きを読む
ジュスティーヌ・トリエ監督の4作目にして
第76回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。夫の転落死をめぐる裁判を通して、卓越した心理描写によって家族の関係性やむき出しの感情があらわになる。法廷劇がメイ>>続きを読む
『ソウルメイト』鑑賞
ちょっと全体的にキレイにまとまりすぎてるように感じた。
展開も読みやすいところがあったので、この話ならもっと観た人を裏切るような編集もできたのではないかと思ってしまう。
キム・ダ>>続きを読む
アリ・アスター監督最新作。
ボーと一緒にありとあらゆる不運を共有して、爆発させる暇もないくらいのスピードで感情をぐちゃぐちゃにされる。
話が進むにつれて、ボーの不幸を笑っていられなくなる恐怖。
超没入>>続きを読む
ビクトル・エリセ監督31年ぶりの新作。
失踪した元人気俳優のフリオとフリオを探す映画監督のミゲル。
対話によって過去が描き出され、時間の経過とともにフリオの人間性が像を結んでいく。なんというか、映画の>>続きを読む
スピーディな展開とポップな演出に、アニメ制作に携わる人々の熱量が伝わってくる台詞が素晴らしい。辻村深月原作だけあって言葉の重みが違う。しかし、現場に対しての無理難題を心を込めて頭を下げるだけでは、現実>>続きを読む
3章から成るオムニバス形式の作品。
正直全体を通してあまり響かなかった。
特に2・3章は理解ができないことばかりだった。
2章に関しては親子間のただの勘違いと対話不足。
3章は他人に対しての罵倒の言葉>>続きを読む
他人と関係を築く第一歩は、情報の開示だと思っている。
本作の山添くん(松村北斗)と藤沢さん(上白石萌音)は、自身の抱える病を開示し、その病を通じて相手への理解を深めていく。
そこには、過剰な心配や悲壮>>続きを読む
山本英監督の商業映画デビュー作。
序盤〜中盤にかけては、光の使い方やショットによって、映像で心理状況を表しているようで惹かれるものがあった。
中盤以降は演出が空回りしているような、俳優の感情の昂りが観>>続きを読む
2021年に起きた「ゲームストップ株騒動」の映画化。
いかに利益を出すかを目指す株式投資の世界で、ローリング・キティ(ポール・ダノ)の純粋な思いが大勢の個人投資家達を巻き込み、損得を抜きにした大勝負>>続きを読む
齊藤勇起監督の長編デビュー作品。
豪華な俳優陣を揃えてはいたが、会話の演技の不自然さが目立ち、事の顛末を説明しすぎてしまっている感じがした。使われるワードもベタなコントのようなものが多く、映画に没入す>>続きを読む
吉本ばななの小説『TUGUMI』の映画化作品。
市川準監督が作り出す美しい構図が、牧瀬里穂演じるつぐみの破天荒なキャラクターのアンビバレントな魅力を引き出している。
中嶋朋子の詩的なモノローグも素晴ら>>続きを読む
ウォン・カーウェイ監督の出世作にして代表作。
香港の九龍を舞台に2つのラブストーリーが鮮やかな色彩で描かれる。
実験的な演出も多く、ただのおしゃれ系映画とは一線を画した深みがあり、香港の雑多な空気感も>>続きを読む