タケルさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

タケル

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プロメア(2019年製作の映画)

4.0

火消しと炎使いが力を合わせて闇堕ちした半沢直樹に倍返しして、地球を燃やし尽くして消火するノンストップハイテンションムービー!
(完璧にも程がある要約)

あゝひめゆりの塔(1968年製作の映画)

4.4

 銃声鳴り止まぬ卒業式。彼女たちは絶望するために学んできたのではない。教育者として未来を紡ぐため。そのために費やした日々だったはずなのに。

 脚を失い、尿の処理を他者に頼らざるを得ない兵士。その強張
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来る(2018年製作の映画)

4.4

ホラー映画としては5点。カルトムービーとしては85点の傑作。そもそも、怖がらせようという意図が監督にあったのかも不明。純粋なホラーを作ろうとして生まれたのがこの作品なら、そのことが一番恐ろしい。気が狂>>続きを読む

団地(2015年製作の映画)

3.5

人間がひしめき合う団地という空間に、人間の尺度では測りかねる宇宙の真理のようなものが忍び寄る。煩わしいご近所付き合いも、身近な暴力も、静かな孤独も全部、全部が吹き飛んでしまう。あれ、こんな小さな箱の中>>続きを読む

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

4.4

 冒険において目指すべき到達点は、必ずしも地理的なものとは限らない。この冒険においてあらかじめ定められたゴールは、遺体があるとされた地点である。だが、冒険の過程で自らの痛みを友と共有した経験こそが、少>>続きを読む

劇場(2020年製作の映画)

3.6

薄らと嫉妬心を覚えた。自分の感情に正直な言動に徹することができる永田に。本人は先行きが見えず死にそうだったと言っていた。私の目にはむしろ、生き生きとしているように見えた。自堕落な生活を送ることも、大切>>続きを読む

リアリティのダンス(2013年製作の映画)

3.5

決して面白いとは言えないけれど、観て後悔はないような評価が難しい作品だった。ホドロフスキーが作品をつくる理由は、極度に個人的なものだと思う。鑑賞者を楽しませるための作品ではない。むしろ、この作品は「芸>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

3.8

他に選びようがない状況下での選択もまた、自分自身による選択。

見えない目撃者(2019年製作の映画)

4.0

吉岡里帆は"アイドル女優"として消費されるだけの存在ではない。以前より漠然と"生真面目な努力家"というイメージを抱いていたが、あながち間違いでもないのかもしれない。視覚障害者の方々に特有の視線や身のこ>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

4.3

タイトルの意味を理解できた瞬間、鳥肌が立った。「孤浪」とは誰か。「正義」はどこにあるのか。単純にバイオレンス映画として楽しめそうだと思って鑑賞したが、重厚な人間ドラマに圧倒された。役所広司演じる大上は>>続きを読む

アップグレード(2018年製作の映画)

4.8

超絶面白い!無駄なシーンが全くない。AI の綿密な計算によって無駄を省いた(?)カクカクのバトルスタイルも最高。「復讐劇」のはずが、感情が入り込む隙もないほど合理的に敵を片付けていく様も倒錯的で面白い>>続きを読む

下妻物語(2004年製作の映画)

3.6

キャラメルポップコーンを買ったつもりが、"激辛スパイスの粉"が少し混入していて、甘いのに辛い不思議な旨みを楽しむことになったような感覚。決して"キラキラ可愛い"という言葉だけで片付くような代物ではない>>続きを読む

震える舌(1980年製作の映画)

3.7

病に侵された身体が制御不能な「他者」に変わっていく様が恐ろしかった。筋肉の発作が舌を"噛み切らせ"、背骨を折ろうとする。それはまるで、体内に侵入した菌が宿主を殺傷しようとしているかのようだった。もちろ>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

4.3

「地獄」とは、人知を超えた異世界のことではない。人はこの地上に「地獄」という場を生じさせることができる。大地に転がる分解された人体。それを食すことでしか生き延びられない男たちが置かれた状況は、地獄以外>>続きを読む

南極料理人(2009年製作の映画)

4.4

おじさん鑑賞ムービーがこんなにも面白いとは!ゆるゆるな雰囲気や絶妙な掛け合いなど、意図されたものか否か分からない魅力をたくさん感じられた。海老フライや丸焼きステーキといった大胆な個性に満ちた料理も面白>>続きを読む

コリアタウン殺人事件(2020年製作の映画)

3.7

宇宙からやってきたものの、身体を乗っ取るべき人間を見誤って、混乱の挙げ句自滅する宇宙人のような気分になった。本作は終始一人称視点で描かれるが、その語り手が信用ならぬ人物である。序盤では全てが主人公の妄>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

4.2

もう一人の自分が現れる「社会派ホラー」という前知識のみで鑑賞したが、想像していた物語と大きく異なった。異界からの侵入者が一家を蝕んでいくような「家庭内ホラー」を想定していたが、実際には壮大な世界観が広>>続きを読む

クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

3.9

負けないこと 投げ出さないこと 逃げ出さないこと 信じ抜くこと ダメになりそうなとき それが一番大事〜みたいな精神性を誰よりも体現化した父と娘の戦闘記録。彼らは常にタフ。タフすぎる。一体何回噛まれたん>>続きを読む

12モンキーズ(1995年製作の映画)

3.7

未来の自分がタイムスリップして過去の自分の失態を目撃するシーンは微笑ましいものとなり得るだろう。もちろん、失態には取り返しのつかないものもある。だが、未来の自分が存在するということは、少なくともその失>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

何一つ不自由のないほどに"デザイン"された生活。その中で人は、便利な商品・高価な商品が自身に価値を付加するものだと錯覚する。したがって、自分の"価値"を高めるため、ひたすら消費へと駆り立てられる。意味>>続きを読む

カルト(2012年製作の映画)

3.9

あまり期待はせず怖いもの見たさで(ホラー映画見たさではない)鑑賞。すみません。なめてました。けっこう、いや、かなり面白かったです。

低予算なのが見え見えだが、その安っぽさがむしろリアルな心霊番組らし
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ドラゴン怒りの鉄拳(1972年製作の映画)

3.7

何も考えずにブルース・リーの技の数々を楽しもうと思っていたが、意外なことに非常に政治的な作品だった。20世紀初頭、帝国主義下の日本に蝕まれていた中国が物語の舞台だ。興味深いのは、日本人にすり寄る中国人>>続きを読む

こんぷれっくす×コンプレックス(2015年製作の映画)

3.5

消し去ってしまいたいコンプレックスも、誰かの目には光り輝いて見えるかもしれない。ゆるくてやさしい世界観を25分で築き上げていた。

A.I.(2001年製作の映画)

4.7

重厚なメッセージ性を持ちつつ、上質なエンターテイメントとして成立している傑作。キューブリック的に不気味な近未来を提示しながらも、スピルバーグらしく動きのある画面で楽しませることにも成功していた。この絶>>続きを読む

ランボー/怒りの脱出(1985年製作の映画)

4.5

ベトナム戦争後のアメリカの闇を描き切ったとされる第1作。それに対し、アクション作品としての色が強まり、メッセージ性が希薄になったとされる第2作。そう書かれた多くのレビューを目にし、続きを観るか悩んでい>>続きを読む

ゆれる人魚(2015年製作の映画)

4.0

人魚の存在も物珍しいものとして当然のように受け入れてしまう、享楽的な夜の世界。夜を情熱的に彩る音楽。牙を剥く人魚の本性。危うげな恋の行方。分かり切っていた転末。何一つとして欠けていいものがない。

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歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.2

作中ではこれといって大きな事件は起きないが、平坦な時間が滑らかに進んでいくわけでもない。むしろ、ところどころに引っかかる部分がある。"普通の生活"を送るのにも、そう一筋縄にはいかないのが家族なのだろう>>続きを読む

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

3.3

絵が綺麗でそれだけでも十分なのに、登場人物が心の内を語りまくるという、情報過多気味の作品だった。主人公の内省描写が多いと、視聴者にとって解釈や共感の余地が残されていないと感じられてしまう。それが新海誠>>続きを読む

独裁者(1940年製作の映画)

3.8

ヒトラーのモノマネシーンで字幕のない箇所が多かったのが印象に残っている。彼の言動は全てが"演出"であり、それを聞いて拍手する軍人たちも内容に賛同しているのではなく、機械的に反応しているだけだと示唆して>>続きを読む

告白(2010年製作の映画)

4.3

中学生の頃に小説を読んで、気持ちの悪い読後感が今でも残っている作品。映画では気持ち悪さが倍増していて、記憶が上塗りされてしまった。

「これで終わります」のセリフの後にタイトルが出てくるのが非常に印象
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ランボー(1982年製作の映画)

4.0

作品を観たことはないものの、勝手なイメージだけはなぜか持っていたランボー。マッチョイズム的な存在だと思っていたが、思いのほか繊細な人物だった。

ランボーはベトナム戦争の帰還兵だ。食事をとるために立ち
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

3.9

イカした不良グループの刺激的な日常が終始描かれるのかと思いきや、物語は意外な方向性へと転んだ。多くの論考にあるように、自由放任主義と全体主義のジレンマが描かれていたのはたしかだと思う。しかし、自分の場>>続きを読む

空気人形(2009年製作の映画)

3.8

心温まる系の物語かと思いきや、想定外の辛辣さに直面することとなった。そして、所々に監督の狂気が垣間見えるシーンがあった。

そもそも、ラブドールに心が芽生えるという設定が辛辣すぎる。心はあった方がいい
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.7

円都(イェン・タウン)は架空の都市でありながら、近未来の日本のようでもあり、またある側面では現在進行形の日本でもあるように感じられた。虚構で塗り固めることでむしろ現実を浮かび上がらせる手法に感服させら>>続きを読む