オドラデクさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オドラデク

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キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

4.5

わかりやすすぎて、かえって拍子抜けしたような。もっと破茶滅茶な展開を想像していた。よって毒気を抜かれた感は否めないが、全篇に通底するある種の不穏さにはいわく言いがたい心地よさのようなものがあった。何ご>>続きを読む

ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

4.5

時代性を色濃く切り取った(と思しき)作品。しかしそれが奇しくも、ある種の今日性と結びついているところが興味深い。もっともらしさへの追求が必ずしもリアリティに通ずるとは限らない、という好例。

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.2

「なんでもない」。だって、大人にはきっとわかってもらえない。信じてはもらえない。大人とは、つまりそうした状態に陥った人たちの総称なのだ。休暇中の閑散とした集合住宅。そこに居残る(あるいはそうせざるをえ>>続きを読む

キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

4.5

準備は整った。あとは積み上げたものを人思いにぶち壊すだけだ。うずうずが止まらない。

キングダム(1994年製作の映画)

4.5

破茶滅茶なのに破綻していない。だから笑える。締めるべきネジと緩めるべきネジとがきちんと区別できている。どんどん行こう。

METライブビューイング2022-23 モーツァルト「魔笛」(2023年製作の映画)

4.4

緻密なところと大味なところとがあるのがオペラならではの魅力か。とりわけ印象的だったのは、「世界から嘘つきがいなくなれば、怒りやら中傷やら憎しみやらは消え、愛と友情とが残るだろう(うろ覚え)」という台詞>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

4.2

某ラジオ番組で話題にのぼっていたので慌てて視聴。「世代じゃない」と安易に言い逃れできないほどビッグなアーティストなわけですが、なるほど、こういう半生を送られた方だったのか。徐々に「依存」を深めていく姿>>続きを読む

バード・ボックス バルセロナ(2023年製作の映画)

4.2

「それでも生きる人たち」という筋立ては嫌いじゃない。今のところ勝ち筋はまったくといっていいほど見えない(見てはいけないだけに)けれど。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.7

こっそりポケットに忍ばせていたの、僕は、僕だけは見逃さなかったよ。

July 26th,2023

1度目は話の筋についていくので精いっぱいだったが、2度目ともなればだいぶ落ち着いて(細かいところに
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METライブビューイング2022-23 モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」(2023年製作の映画)

4.7

現代にも通じる味つけ(脚色)で、フィナーレの晩餐にいたるまですべて美味しくいただける。それにしても、スペインだけで1003人はすごい。

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.6

確かに「想像力」がいささか必要とされる決着だった。漏れ聞こえてきた悶えは、より鮮やかにそれをかきたてる一種のスパイスになったはずだ。終盤まで「キッド」の世話を焼くのには何かしら裏があると考えてきたが、>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.5

なんというか普通にヒューマンドラマだった。もちろん超人であることを前提としてのドラマなのだが、それにも増して人間くさかった。それが制作側の意図なのだろうし、そういう意味では出色の出来といえるだろう。で>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

5.0

とにかく注文のつけようがない! 筆舌に尽くしがたいほどの圧倒的な映像美に、このうえなくエモーシャルかつ没入感を高めてくれる劇伴! 続篇に期待も込めて最大限のエールを。

クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

4.2

なんとしても死なせたくはない家族があって、初めて心から世界平和が望めるのかな、と。戦禍の裏にはおびただしい数の家族の物語がある。

犬王(2021年製作の映画)

4.0

むごい。世知辛い。たとえフィクションであっても(いや、むしろフィクションであるからこそ)、ときの権力者に人の生き死にを簡単に左右して欲しくはない。それと、信念を曲げるわけにはいかないという友有の気持ち>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.5

これ、予告だけで内容的中させた人いない(限りなく少ない)のではなかろうか。危うくパスするところでした。もったいない思いをするところでした。臆さず足を運んで正解でした。
誰もが誰かにとっての怪物であり、
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ザ・マザー: 母という名の暗殺者(2023年製作の映画)

3.8

とんだ課外授業だなと、娘ちゃんにはあわれみを禁じえない。ふたたび「本物の家族」と暮らし始めることができたようで何より。「生まれるまえに殺されかけて、それでもここまで立派に成長した(うろ覚え)」というセ>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

4.2

演者の下支えがあってこそ成り立つ筋書き。世界には実にありとあらゆる極限状態がある。暗示と暗喩。作為と無作為。狂気の供給過多。

MEMORY メモリー(2022年製作の映画)

4.5

法の内と外からの挟撃作戦。メキシコ人といえばやはりナイフだよね(チャンドラーの受け売り)。あんな婆さん(失礼)を135歳まで生かしておくわけにはいかない。迫りくる惨劇にだけは脅威の的中率を誇るトランプ>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.2

腑に落ちない点はあれど(推理ものにはつきものだ)、概して(これも推理ものにありがちだが)楽しめた。確かに、ジャネール・モネイの微笑にはモナ・リザのそれに匹敵する魅惑さがあったように思う。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.5

マクロ=宇宙から、ミクロ=家族へ。スケールではMCU随一の「ガーディアンズ」。シリーズの締めくくりにふさわしい一本。「これはあなたの物語なのよ(うろ覚え)」。そう、これは君の物語なのだ。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.5

記録漏れ。公開日がダルデンヌ兄弟の新作とかち合ったために泣く泣く後回しにしたのだが、やはり勝るとも劣らぬ出来。イシグロの作品群を彷彿とさせる空気感、距離感が、観ていてとても心地よかった。

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.5

伝説の前日譚。主題からはややズレるかもしれないが、かのジョーダンの栄光は、息子である彼の成功を心から信じ、願っていた、母親の存在が何より大きかったのではなかったか。

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.6

これまでとはひと味違った仕上がり。諦念に貫かれた弔辞が読まれる刹那、どうしたらこの子が救われるか、と必死に考えてはみたものの、そうか、そのためのたったひとつの道はすでに絶たれてしまったんだ、とあらため>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.2

どうしても「総評」になってしまうのだけれど、一連の「シン」シリーズを観てきて感じるのは、限られたメッセージを繰り返し語っている(パラフレーズしている)ということ。そういう意味では、いちばんエヴァみを感>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.5

引き込まれた。叙述トリックにありがちな不快感もなく、最後まで気持ちよく観られた。気持ちよさ大事。

パリ13区(2021年製作の映画)

4.0

セックスは愛を深めもし、また、遠ざけもする。後者にスポットが当たっているという点で、映画というよりは文学作品に近い印象を受けた。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.7

すっごくわかりそうで、それでいてよくわからなくて、それなのになんとなく感動しちゃう。本質はよくある家族ものだと思うんですよ、ガワがぶっ飛んでるだけで。かつて「月の光」でこんなに笑けたことってなかったし>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.2

「君は最高だ」と言ってくれる人がいなければ、「私は最悪」などとはとても開き直れないだろう。人生の妙を観た気がした。

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.5

スピルバーグの自伝ともなれば、映画内映画が頻出するのもうなずける。彼にとって思い出の大半というのは、おそらくフィルム越しの景色なのだろう。くすりと笑えるラストシーンをありがとう。

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

4.3

バスキン・ロビンスの店員として生きる道も、まったくなくなくはなかったということか。

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.2

「先へ、先へ」。設問しだいでは、子供はとても雄弁な語り手になりうる。

バビロン(2021年製作の映画)

4.6

黎明期の狂乱。その夜明け。映画に対する底知れぬ愛。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

笑えるけど、笑えない。内戦を背景に、大の大人が小競り合いを繰り広げる様には込み上げるものがあるが、それも序盤に限られたことで、とりわけ終盤以降はただただ固唾を呑むばかりである。小規模とはいえ、これは立>>続きを読む