katsuさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

katsu

katsu

映画(795)
ドラマ(8)
アニメ(0)

同じ星の下、それぞれの夜(2012年製作の映画)

3.7

真利子哲也監督の短編が入っているということで鑑賞。ストーリー、構図などやはり好み。

監督の作品とは気づかないほどピースフルで流血のない映画だった。ヤンヤンを抱える少女があまりにも可愛い。ラストの遊園
>>続きを読む

ラッシュライフ(2009年製作の映画)

3.7

伊坂幸太郎原作、藝大時代の真利子哲也さんが監督しているパートがあるということで鑑賞。

全編を通して抽象的で多くを語らずこちらに想像の幅を持たせるのは好みだった。

原作はどういうテイストだったのかと
>>続きを読む

裸足で鳴らしてみせろ(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

青くてヒリヒリして美しかった。
新しい愛の形を見た気がした。

後半の展開が飛びすぎて少し強引に感じてしまった。刑務所からコンビニから結婚の流れ。しかしあのラストに繋げたかったんだなと。途中説明的な要
>>続きを読む

NINIFUNI(2011年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

寂れた地方都市の国道は怖い。
なんかどこまでも続いている気がするし、この辺りの人達の人生はここで完結してしまっている気がする。実際はそんなことないんだろうけど。その閉塞感が主人公の男の心情と共鳴してい
>>続きを読む

浮草(1959年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストの家を去っていく駒十郎の哀愁が堪らない。さっきまで息子を待っていた誰もいない蚊取り線香の煙だけがある縁側のカットもとても効いている。

確かに親父とは言えないような男だったかもしれないが、息子の
>>続きを読む

彼女たちの話(2022年製作の映画)

3.5

客観的に見ると自分でも気付かぬ内にそういう尺度で話してしまっているのかもしれないとドキッとした。最近見かけたマイクロアグレッションという言葉を思い出した。

周りで起こる納得いかないこと。「なんか引っ
>>続きを読む

3653の旅(2021年製作の映画)

3.5

テーマは「勝手に決めつけないでよ」だと思った。彼女たちは前を向いて歩き出しているし他人に不幸だと決めつけられる筋合いはない。自分の大切にしている領域に他人がさもその思考が正しいと信じ込み土足で入ってく>>続きを読む

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

何層にも重なるストーリーが秀逸。

導入は友と過去の女性に別れを告げに行くロードムービーだが、これが亡き父のラジオのカセットテープにより彩られたり、過去の女性一人一人の今の生活や葛藤をしっかり描いたり
>>続きを読む

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

二人の少年の無垢な友情、強がり、夢、恋、そして実はそれらを遠くから見守っている大人たちに胸が熱くなった。長崎というロケーションや王道の壮大な劇伴も相まって、大自然と人情に囲まれて育つ少年たちの温かい作>>続きを読む

ユダ(2012年製作の映画)

3.5

自分の生きる場所を見つけ、そこで懸命にのし上がり頂点に登りつめるも幸せは掴めない。「他人の人生を散々めちゃくちゃにしておいて自分だけ幸せになれるわけないでしょ」という言葉がとても衝撃だった。

本当に
>>続きを読む

ぜんぶ、ボクのせい(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

初見のラストシーンは作為的なものを感じ嫌悪感すら抱いたが、鑑賞後帰り道で映画の内容を反芻し、優太のあの目は何に向けられていたのか、何を訴えていたのかを考えると非常に刺激的で良いラストシーンに思えてきた>>続きを読む

ジョー・ブラックをよろしく(1998年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

死神のジョーが人間の愛を知り、そして目の前に打ち上げられた絢爛な花火。彼はどんな思いでそれを見ていたのだろう。とても印象的なシーンだった。

役者の目の演技が特に素晴らしく、言葉にせずとも悩み躊躇い悲
>>続きを読む

重力ピエロ(2009年製作の映画)

3.7

加瀬亮さんと岡田将生さんの兄弟としての距離感が絶妙。そこに小日向文世さん演じる父の温かさと鈴木京香さん演じる母の明るさが加わり本当に"最強の家族"のようだった。このワードが子供じみているのだが、それ故>>続きを読む

ストロベリーショートケイクス(2006年製作の映画)

3.8

退廃的で生々しく残酷。それでも生きていく彼女たちに時折訪れる光のようなもの。この時代の温度感と空気感が好き。

要所要所の演出にセンスを感じる。池脇千鶴さんの独特な間合いに惹き込まれる。

涙は流した
>>続きを読む

岸辺の旅(2015年製作の映画)

3.7

浅野忠信さんと深津絵里さんの演技力の高さにより、ファンタジーな展開もリアリティを持って観ることができる。

浅野さんの朴訥とした芝居はやはり味があって素晴らしい。それと対照的に、深津絵里さん演じる可愛
>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

4.1

不可解なシーンが散りばめられており、一つ一つ考えさせられる。多くを語らず観客に気の悪さだけを植え付ける。

高部を演じる役所広司さんも間宮を演じる萩原聖人さんも、人間の心の揺れを表現するのが非常に上手
>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.0

小津映画に通底している人生の儚さ、取り残される者の侘しさが存分に描かれている。今作は小津監督の遺作でありそれ故「老い」というテーマが色濃く見える。

酒の席のシーンがいくつも出てくるがどれも印象的。老
>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.8

よくある青春インディーズ邦画かと思ったら違った。SFや時代劇の要素を程よく混ぜ、でもしっかりと青春の瑞々しさと恋愛の苦しさを描いている。新しいバランス感覚の映画だと思った。

3人がとても魅力的で高校
>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

4.1

娘と父のお互いを思う気持ちがすれ違う様は見ていて辛かった。

原節子さんの豊かな表情が見事。父を思うが故に自分の将来を案じている父の言葉が深く刺さってしまう。

また笠智衆さんのラストシーンの哀愁が堪
>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

4.2

戦後の日本特有の進展と停滞。
伝統的な家族の在り方の崩壊。
哀愁が漂う日本映画史に残る名画。

1953年の映画だがその完成度の高さに驚かされる。脚本も構図も素晴らしい。その上かの有名な小津調により、
>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ファーストカットから惹き込まれた。撮り方と構図の美しさが要所要所に目立つ。

交通整理のシーンで着ている作業着のライトをアップで映したのはとても効果的だと思う。彼女の心臓の鼓動に見えた。

日常に潜む
>>続きを読む

ピンクとグレー(2016年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

途中でそれまでが全て劇中劇だったとされる革新的な展開だが、それによりそれまで観客が育てられた登場人物たちへの愛情が裏切られてしまった感覚に陥った。

映画のかなりの時間をその劇中劇に割いているため、現
>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.1

音楽がかかる瞬間が常に最高。
イントロが流れて登場人物たちが走り出す。あの高揚感が堪らない。

ここまで展開が読めない映画は珍しいと思った。青春時代の全く予期せぬことが矢継ぎ早に起こる感じがよく表現さ
>>続きを読む

キネマの神様(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

昭和感の強い夫婦像は嫌いではないがあまりにも淑子が報われないと思った。

かつて惚れた映画好きの男はギャンブルとアルコール依存性になり、それでも支えていくもののラストはゴウが映画館でその一生を終える。
>>続きを読む

恋人たち(2015年製作の映画)

4.0

映像から強烈な生活臭がする。
恐ろしく生臭い映画。

華美な表現を使わず、人間の苛立ち、憤り、喜び、絶望、諦め、救いを日常の本当に小さなひと欠片で伝えてくる。

無名のキャストを多用したことにより出来
>>続きを読む

バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

3.8

不思議な世界観だが気づいたらその世界の住人になっていた。個性的なキャラクターたちがどんどん魅力的に見えてくる。

前半は話の筋が見えないが、ようやく後半に分かるような構造。終わり方も最高。

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.1

木村多江さんの泣きのシーンが素晴らしい。あのシーンを長回しで撮って最後にアドリブで鼻を舐めるリリーフランキーさんのメンタルは凄まじい。

夫婦ってなんだろう、なんで一緒にいられるんだろうって、それは色
>>続きを読む

サッド ヴァケイション(2007年製作の映画)

3.9

青山真治監督の北九州サーガの最終作ということで映画館で観れるこの機会に鑑賞。

「Helpless」で浅野忠信さんが演じた健次のその後が描かれている。あの頃よりも素直というか何をするか分からない危なさ
>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.1

登場人物それぞれが抱える心の闇を優しく丁寧に映し出している。脚本、役者共に素晴らしい。特にイ・ジウンさんの強さの中に弱さを感じさせる演技には圧倒された。

今作にも擬似家族というテーマがあり、特に洗車
>>続きを読む

ゴーストスープ(1992年製作の映画)

3.5

演技のお遊戯感が目立つ。
随所に時代を感じる作品。

夏至物語(1992年製作の映画)

4.0

「夏至物語」
その場でアドリブで撮ったらしい。主人公の一つ一つの仕草や行動が汚くていやらしくてでもそこに人間的な魅力がある。

夏の切り取り方と映像美と白石美樹さんの美しさが合わさり、日本の夏の異質な
>>続きを読む

少年たちは花火を横から見たかった(1999年製作の映画)

3.7

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の制作秘話。

プールのシーンがその日その場で生み出されていたとは驚き。名作とはやはり奇跡的な化学反応のような側面もある。

ニューヨーク、アイラブユー(2008年製作の映画)

3.7

ニューヨークを舞台に愛をテーマにした短編が連なる作品。

ひとつの街で起こっている様々なドラマを少しずつ垣間見ているようで飽きない。短いからこそ伝えられる、そして多くを語りすぎない作品が多くあった。

BATON バトン(2009年製作の映画)

3.0

岩井俊二監督プロデュースということで鑑賞。ロトスコープを用いたアニメーションは変にリアルで奇妙な動きをし、絵のタッチと相まって不気味さを醸し出していた。

ストーリーに深みはあまり感じられなかったが、
>>続きを読む

チィファの手紙(2018年製作の映画)

4.1

手紙というものを通して、主人公だけでなく登場人物たちの様々な人間模様が描かれているのが素晴らしい。

手紙には色んな種類がある。文通の手段や好きな人に渡すラブレター、残された遺族に向けて書かれた遺書。
>>続きを読む

Jam Films (ジャム フィルムズ)(2002年製作の映画)

3.8

様々な監督の2000年初期の作品が次々に流れ、飽きずに観る事が出来る。

特に印象的だったのはJUSTICE。ポツダム宣言の英語朗読をバックにブルマの色をカウントするという演出が既にイカれてて好き。彼
>>続きを読む