katsuさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

katsu

katsu

映画(795)
ドラマ(8)
アニメ(0)

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

構図や脚本、そしてケイト・ブランシェットを始めとする俳優陣の演技。どこを取っても一級品である。静謐な作りの中にふつふつと湧き上がる怒りや疑念、渇望、ズレを描き、ラストの噴出まで駆け上がる。

観客がタ
>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.8

黒沢清監督の過去の作品を観たいと思い鑑賞。全編に渡り漂う不気味さは流石の黒澤イズム。どうしたら人は恐怖を感じるのか、それを熟知している気がする。そして一見ただの日常における空間を、恐怖の空間として切り>>続きを読む

2/デュオ(1997年製作の映画)

4.0

全編即興芝居で構成された映画。若い頃の西島秀俊さんがどのように即興を演じるのか気になり鑑賞。

むき出しの人間2人がそこにいた。
曖昧で嘘つきで卑屈で愛されたくて人間くさかった。

映像の黒のぎりぎり
>>続きを読む

鈍獣(2009年製作の映画)

3.5

宮藤官九郎脚本の舞台が原作ということで期待したが、舞台の方が良かったのだろうという印象。世界観に追いつく前に終わってしまった。

最後まで行く(2023年製作の映画)

4.1

凄まじいスピード感で展開していき観客を一気に引き込む。シリアスとコメディのバランスが程よく、ちょっと無理がありそうな展開も作中では自然に飲み込んでしまう。

岡田准一さんは演技もアクションもしっかりと
>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ほとんどが主人公の家の中で行われていく室内劇でありながらも、しっかりと物語が進んでいき、カメラワークの多彩さで画面も飽きない。

そしてブレンダン・フレイザーの存在感と悲哀さが素晴らしい。最初は身勝手
>>続きを読む

いま、会いにゆきます(2004年製作の映画)

3.7

当時の空気感を感じさせるファンタジー要素を含んだ恋愛映画。象徴的に描かれている雨のシーンが際立って美しい。

中村獅童さんは見た目と演じているキャラにギャップがあるはずなのに何故かそこに説得力があり、
>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.6

実在の事件を題材に、細部まで練られた脚本と人間関係が絡み合う様は素晴らしいエンターテインメントであった。

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.9

NIKEのバスケットシューズAIR JORDANの誕生秘話を描いた映画。ここまで1つの出来事にフォーカスを当ててしまうと間延びしてしまったり、先が読めてしまったりするのでは無いかと思ったが全くそんなこ>>続きを読む

カナリア(2004年製作の映画)

3.6

塩田明彦監督の少年少女を映す作品が好き。幼くて未熟な彼らの眼差しは、大人たちが失った熱を帯びていた。声にならない叫びや焦燥感、孤独を突きつけられる。

ただ、バランス感覚は「害虫」の方が好きだった。

曖昧な未来、黒沢清(2002年製作の映画)

3.8

監督、黒沢清の頭の中が少しだけ覗ける。
自分が映画に、というか演技に対して思っていたことをまさに言ってくれた。
人間の行動に意味なんかない。
現代に生きる人間は曖昧で多義的だ。

ニンゲン合格(1999年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

黒沢清監督独特の、常に画面の酸素が薄くて半分空想を観ているかのような画。どこを切り取っても美しい。

閉塞感と短期間の解放。
僕は存在していた?

具体化した豊の夢、幸せの象徴である牧場の囲いを自身の
>>続きを読む

世界の終わりから(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

今まで観てきたSF、ファンタジーの詰め合わせのようなストーリー。でも真新しさがあり、過去の名作への敬意も感じられとても楽しめた。

不遇な主人公がそれをなんとか乗り越えて世界を救う!みたいなチープな話
>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

4.2

汚い、エロいと言った箇所がよく取り沙汰される本作だが、本質はそこでは無いと思う。

映画を撮ることに心血を注ぎ、躍起になり、半ば発狂しながらも、今までにない最高の一作を、と時代を奔走した人間たちの青春
>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

庵野秀明展に行った時から感じていたが、本当に特撮が好きなんだなと思った。

仮面ライダー世代では無いので詳しくは分からないが、仮面ライダー以外の石ノ森章太郎シリーズの作品のオマージュも取り込み、庵野的
>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

音楽がここまで感情を表現している映画は初めて観た。今までも既存の楽曲をベストなタイミングで効果的に使っている映画はあったが、今作は演奏を収録してから絵を描いているらしい。とてつもない熱量が音楽から溢れ>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.8

だいぶ前に観た。
流石の迫力でシリーズの垣根を越えたコラボレーションが見物。
何でもあり感が強かったが、戦闘シーンのワクワク感はやはり素晴らしい。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

混沌なのにしっかりと一本の線がある。
真実を語ろうとして真実を見せるより、混沌の中に真実を見た時、それはより真実味を帯びている。と感じた。

インディーズ感溢れる無茶苦茶な展開だが、今作のメッセージで
>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかく生命力を感じた。特に有名な「ナートゥ」のダンスシーンは生命の喜びと肉体の躍動が凄まじかった。

日本のマンガを3時間で全編実写化したようなストーリー。親友との出会い、確執、和解、再開、共闘。そ
>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

アメリカの田舎で起こる小さな事件を一つ一つ丁寧に描いた作品。大きいことは何一つ起こっていないのだが、だからこそ実態のある時間の流れを感じさせる。

ミシェル・ウィリアムズの強くあろうとするが自分に降り
>>続きを読む

(2020年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

平成の始まりと終わりに沿って、2人の人間が出会い、すれ違い、結ばれるまでを描いた物語。

ある人間の人生を長期的に描くため、必然的に登場人物が多くなり、それら一人一人のバックグラウンドが薄くなってしま
>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.9

スピルバーグ監督の自伝的映画ということでもっと映画制作にのめり込んでいく過程を描いたものだと思っていたが、家族の話が主だった。

しかし、ただ映画を素晴らしいものだ!と賞賛するのではなく、その反面に潜
>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.1

男二人と犬一匹のロードムービー。雄大な自然の中で小さな友情や焦燥感が燻る。

この極限まで情報が削ぎ落とされたフィルムからは、どこか自分の人生を遠くから細目で見て達観しているかのような瞑想的な趣がある
>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.2

全編を通して鬱屈とした人間とコミュニティ。どこを切り取っても絵画の様に美しい画面。嫌に感傷的になってしまうような音楽。生ぬるい悪夢みたいな。最高の映画です。

ミナリ(2020年製作の映画)

3.8

1980年代における韓国系移民の家族を描いた物語。リー・アイザック・チョン監督の実体験を元に脚本が書かれ、リアルな描写が目立つ。

スティーヴン・ユァンやユン・ヨジョン、ハン・イェリを初め俳優陣の演技
>>続きを読む

On Your Mark(1995年製作の映画)

4.0

7分という短い時間に様々なドラマを想起させるストーリー。そしてその後のアニメ界隈に大きな影響をもたらした演出の数々。流石としか言いようがない。

人間の愚かさと儚さ。詰まっている。

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.6

低予算感を感じて観に行ったが、高所のシーンはかなりの迫力だった。

伏線を丁寧に張って全て回収する構造で流石に展開が読めてしまう箇所が多かったが、1点意表を突かれて終始集中力が途切れず観れた。ワンシチ
>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.9

戦争に抱く理想と実態の差による絶望が色濃く描かれている。

平和で静かに時間が流れていく日と、戦闘中の濁流のように人が死んでいく日が連続で訪れ、精神のバランスが崩れるのも無理は無いと思った。無人地帯の
>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

3.7

淡々と、しかし確実に心の弱い部分を突いてくる。

こんな感じかもね、みたいな寄り添い方って実は一番相手に気を使って大切にしている証拠なのかも知れないと思った。

飄々としているちひろさんもちゃんと傷つ
>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

この歳で主演と監督を務められることが凄まじい。

ゆったりとしたロードムービーで思っていたより出会いと別れが淡白だった。見どころが急に来て去っていく感じ。そういった点でいうとやはり自分はイーストウッド
>>続きを読む

Sin Clock(2023年製作の映画)

3.6

窪塚洋介節炸裂で観たかったものを観れた満足感がある。レザボア・ドッグスを彷彿とさせる黒スーツで乗り込む三人には痺れた。葵陽のガンギマリの目も素晴らしい。

脚本もテンポ良く最後は裏切られるような展開に
>>続きを読む

ストロベリーナイト(2013年製作の映画)

3.7

ドラマの重い空気感をより強化して、さらにオール雨の中での撮影、原作にはない姫川、菊田、牧田の三角関係に重点を置くなど攻めの脚本、演出が功を奏している映画化成功例だと思う。

多くを語りすぎず観る者に委
>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.7

作品を作る人の情熱を描いていたが、今ひとつ刺さらなかった。アニメの要素や登場人物の多さ、展開のスピードが商業的すぎて、肝心な作品作りへの苦悩の部分がインスタント化されていたように感じられた。

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.1

俺が人生で初めて観た単館系の邦画だった。その時はfilmarksをつける習慣もなかったので書かなかったけど今回5年振りに観て感想を書く。

ぼーっとしている。
心の中で考えすぎてそう見えてしまっている
>>続きを読む

さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ラブホを舞台にしたいくつかの男女の群像劇。結構どぎつい内容になるのかと思っていたら意外と優しさの割合が多かった。

染谷将太さんの淡々として、でも内側で葛藤している感じ、どうやって出してるんだ、、
>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.3

インディペンデント映画の隠れた名作。女優のバーバラ・ローデンが監督・脚本・主演を務めたデビュー作にして遺作。

16ミリでシネマヴェリテスタイルの荒い映像に、当時1970年代のアメリカの実情がまざまざ
>>続きを読む