touchさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.7

"わたしはもう裁かれている"
* * *
奇跡のような大傑作。参りました。今年ベストです。
.
まず元の話が恐ろしく良くできていて面白い。のに、そんな秀逸な脚本を大胆にもシーン別でバラバラに切り出して
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

3.6

"帽子いっぱいの夢"
* * *
さすが『パディントン』の監督だけあって、悪ふざけもどことなく品がある。
手堅くも軽快なファンタジーミュージカルになっている。
中でもウンパルンパの歌が後を引く。
ケイ
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.1

"夏の歌が聞こえなければ 音楽を書くことはできない"
* * *
今年ベスト入りの大傑作!
めちゃくちゃ良かった…。
監督の前作『アリー/スター誕生』と表裏一体、人生の中心に常に「音楽」がある二人の物
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(2023年製作の映画)

3.7

"世の中すべてけったいですよ"
* * *
「"北野武"監督が"ビートたけし"を座長に撮った時代劇」だった。
信長の跡目を狙って権謀術数を巡らせる戦国版アウトレイジ。
戦の愚かさ、くだらない男のプライ
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.7

"ここは我々だけの場所だ"
* * *
試写にて
ドラマシリーズをギュッと一本に凝縮したような見応えの災害パニックスリラー
大地震で唯一残ったマンションの住人と外の人々の衝突、極限の状況におかれた人々
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.6

"君がいなければ俺は ただの男だ"
* * *
ビジュアリストと評されるリドリー・スコットの本意気。さながら絵画のような画面の高級感。
砲撃降り注ぐ壮絶な戦場シーンは「どうやって撮った?本当に死人が出
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.1

"片目が見えないくらいで丁度良い"
* * *
すごく良かった。週末のバルト9が各回ほぼ満席。これがきちんと評価されて大ヒットしてるの嬉しいな…。
できればもう一回観てしっかり咀嚼したい

ティル(2022年製作の映画)

3.7

"どこかで起きた問題も 全員の問題なのです"
* * *
試写にて
痛切なメッセージを背負う作品だった。
50年代アメリカであった「エメット・ティル殺害事件」を母親メイミーの視点で描く。
思わず目を背
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

"俺がついてる"
* * *
試写にて
インディペンデント映画のお手本ともいうべき大傑作!
マチズモから脱した男たちの柔和な連帯、シビアな資本主義が寓話的に。
ミニマルながらケリー・ライカート監督のキ
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最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.7

"悪い子どもだから起用するの?"
* * *
試写にて
今年屈指の問題作…!
映画製作の舞台裏ドキュメンタリーのような手触りで、現実と劇中劇が絡み合う。
子どもたちを撮影する監督やクルーの身勝手さ、問
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市子(2023年製作の映画)

3.8

"ぜんぶ流れてしまえ"
* * *
試写にて
失踪した恋人の行方を追うミステリが主軸で、彼女が関わってきた人々の証言から浮かび上がる人物像、秘めた過去を描く重厚なドラマに。
時系列が行ったり来たりで事
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.4

"新しい料理の発見は 星の発見より大きな喜びだ"
* * *
試写にて
調理場に差し込む陽光、鍋の沸き立つ音…素材の良さを存分に活かした究極の美食誘惑映画。流麗なカメラワークが捉えた手さばきに見惚れる
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タイガー・ストライプス(2023年製作の映画)

3.6

"闇の力だ"
* * *
東京フィルメックスにて
生理を不浄のものとするイスラム文化圏のマレーシア。
第二次性徴期の不安や苛立ちをボディホラーで描く作品は数あれど、虎にアレ(優勝のことではない)する映
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黒衣人(2023年製作の映画)

3.4

"何も思い出したくない"
* * *
東京フィルメックスにて
無人の劇場、老いた音楽家の裸。身体の皺や弛みが歳月の重みを感じさせる。
即興的な動きをする彼をゆっくり舐め回すカメラワークは単調…。
監督
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火の娘たち(2023年製作の映画)

3.5

"生きなくちゃ 働かなくちゃ"
* * *
東京フィルメックスにて
ワン・ビン監督『黒衣人』と併映。ペドロ・コスタ監督による短編ミュージカル。
画面三分割で映る三人の女性の重唱。三画面同時に字幕が出る
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川辺の過ち(2023年製作の映画)

3.4

"いつでもあなたが来たときにはB面の1曲目を歌ってあげる"
* * *
東京フィルメックスにて
川辺で起きた殺人事件を追う刑事が精神に異常をきたしていく…『ドグラ・マグラ』を連想するフィルムノワール。
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クリティカル・ゾーン(2023年製作の映画)

3.7

"とにかく今はあなたを信じる 神はその次"
* * *
東京フィルメックスにて
夜の街を車で巡回するドラッグディーラーの男。後部座席に代わる代わる乗り込んでくる顧客。なるほどこれは闇の『人生タクシー』
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雪雲(2023年製作の映画)

3.4

"エビに魂はあるのか?"
* * *
東京フィルメックスにて
建設計画の中止によって霧散してしまった我が家の夢。
打ち捨てられた廃墟のDIYや大量に買われた羊などモチーフはユニークなのだが、いかんせん
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短編故事(2023年製作の映画)

3.4

"夢の中で俺は お前を探してた"
* * *
東京フィルメックスにて
同監督作『雪雲』と併映。セリフが少なく抽象的で、長編以上に話をつかみにくい。
どうやら「親になることへのためらい」がテーマなようで
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GIFT(2023年製作の映画)

4.0

"水は低い方へ流れる"
* * *
東京フィルメックス 特別上演にて
濱口竜介監督の映像に合わせて奏でられる石橋英子氏の即興音楽が物語に色をつけていく。
映画における劇伴というものの重要性、音楽がこれ
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熱のあとに(2023年製作の映画)

3.5

"なんかこわいこと話してる…"
* * *
東京フィルメックスにて
ある殺人未遂事件に着想を得たそう…『寝ても覚めても』『本気のしるし』など海外で高く評価されたアート系恋愛映画を意識した脚本だと感じた
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冬眠さえできれば(2023年製作の映画)

3.7

"それって物理と関係ある?"
* * *
東京フィルメックスにて
モンゴルの過酷な気候、貧困家庭でヤングケアラーとして責任感を背負いつつ学業を両立させようとする少年の奮闘がプロレタリア文学的に。
口琴
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NO選挙,NO LIFE(2023年製作の映画)

3.9

"もし選挙に負けたら、バッティングセンター"
* * *
面白かった!
信頼のネツゲン制作ドキュメンタリー
筋金入りの選挙ウォッチャーが見届ける悲喜交交…300万円の供託金の壁を乗り越えて出馬する候補
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ミマン(2023年製作の映画)

3.8

"場所が消えても 空間の記憶は残る"
* * *
東京フィルメックスにて
ソウル中心部、変化の只中にある光化門広場周辺を舞台にした「迷妄・未忘・弥望」3篇の群像。
表通りと裏路地、雨と傘、煙草、絵画教
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駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

3.8

"独楽は私たち家族のお酒だから"
* * *
幻のウイスキー復活にかける蒸留所の奮闘。取材するWebライターの成長譚と経営者家族の和解ドラマの二軸で物語が進む。
敬語で話していた二人がいつの間にかタメ
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正欲(2023年製作の映画)

3.7

"まるで地球に留学に来とる感覚なんよ"
* * *
「普通」や「常識」という多数派の同調圧力に肩身狭く生きる人々。世代や場所を問わず容易く繋がることができるSNSの功罪。
少数者コミュニティが犯罪の温
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クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

2.9

"お店の人に偉そうにするのは この世で最も愚かなことでございます"
* * *
2023年11月16日に配信開始したNetflixオリジナル作品
期待膨らむ坂元裕二脚本!だったのだが…。
豪華キャスト
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.4

"映画は無かったことにできるんで カットしましょう"
* * *
監督の愚痴を発散するため、コネ自慢のために作られた印象が拭えない。
後半のウェットな家父長制礼讃家族ドラマ、オフビートなノリに全然つい
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.4

"1人じゃなくても 気高くいることはできる"
* * *
上映時間105分に相応の駆け足感。
つまりどういうこと?→要するに…の説明セリフの多さ。一方で敵の目的・行動理由は後半まで明かされず、半ば混乱
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

"必ず生きて帰って来いって、言ってたじゃないですか"
* * *
良くも悪くも山崎貴監督の映画、メジャー興行のツボをしっかり押さえた手堅い作品だった。
予習として観るべき作品をひとつ挙げるとすれば『シ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.1

"計画通りにやれ 予測しろ 即興はするな"
* * *
完全に求めてたタイプのフィンチャー映画だった!大満足!
.
抑制されたトーンの快感。
自己陶酔的なモノローグ、計画遂行にかけるこだわり、ストイッ
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深海レストラン(2023年製作の映画)

4.2

"長い夜を歩き続けてきた 君に捧げる"
* * *
東京国際映画祭にて
これまた凄い中国アニメが現れた…大画面で広く観られるべき傑作!
極彩色の視覚情報の洪水、粒子の煌き、3Dの流体表現の芸術性に圧倒
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西湖畔に生きる(2023年製作の映画)

3.6

"詐欺かどうかなんてどうでもいい いま私は幸せなの"
* * *
東京国際映画祭にて
自然を愛でる山水映画と思いきや、大部分が「詐欺商法の擬似体験」という衝撃作。
餓鬼道に堕ちた母親を救うため奔走する
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スルタナの夢(2023年製作の映画)

3.2

"女性にとって安全な場所はどこにも存在しない"
* * *
東京国際映画祭にて
ベンガルのフェミニズム短編小説との出会いを起点とする女性の紀行。
監督によれば「半ドキュメンタリーなど様々な形態を検討し
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マリア(2023年製作の映画)

3.4

"僕が彼女の人生をぶち壊してしまった"
* * *
東京国際映画祭にて
女性の転落事件から深まる謎。単なる事故か?それとも何者かの犯行か?偶然巻き込まれただけと思われた主人公は自身の過ちに直面する…。
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彼方のうた(2023年製作の映画)

3.9

"忘れちゃったな"
* * *
東京国際映画祭にて
喪失感、寂寥感を余白たっぷりに描く『春原さんのうた』の精神的続編ともいえる傑作。
忘れずに生きること、忘れていたことを思い出すこと。彼方にある過去と
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