うっちーさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

うっちー

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黒く濁る村(2010年製作の映画)

3.2

 気になっていたけど配信にあまり入っていなくて見逃していたら、なんとアマプラの見放題に! 早速観ました。びっくりするくらい長いんだけど、びっくりするくらい重みがなく、だからなのか、見始めたら止まらなか>>続きを読む

こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.9

 今年観た中でもヘヴィーさと衝撃度ではトップクラスかも。広島の海辺の街の(呉ですか)のどかな風景と小学校、緑豊かな行き帰りの道。そこに、なかなか家に辿り着かないひとりの少女。冒頭から序盤までは微かだっ>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

4.1

 ギラギラしたもみあげのスター、テレ東の午後のロードショーで観た日活の裕次郎映画のようなアイドル映画(『ブルーハワイ』とか)、震えるような独特な歌い方など、アラフィフの洋楽好きなら一応持っているエルヴ>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

-

 確認のための鑑賞。確かに戦闘機操縦の臨場感や音楽の使い方、美術などもハイクォリティー。ですが、終始乗り切れない自分がおりました。映画だからと割り切れない現実的な国家の防衛体制やアメリカという国のマシ>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.2

『ベテラン』などのリュ・スンワン監督の『モガディシュ 脱出までの14日間』を公開初日に鑑賞。こういう韓国映画、久々かも。とにかくすごいスピード感とスリル。

 80年代後半のアフリカはソマリアに駐在し
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.0

 ヤン・ヨンヒ監督についてはSNSでお見かけするのと『かぞくのくに』を観たのみ。詳しい背景は存じ上げず、また、『かぞくのくに』はあまりの暗さ、辛さに居た堪れなくなった思いしか残らなかったので今作を観る>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.8

『FLEE』。一文字違いのFREEとは遥かに異なる過酷なアフガニスタンからの難民の青年、アミンの物語。故国を逃げ出した先でなお続く苦難。肉体的な暴力のみではなく、精神的に追い詰められ、人としての基本的>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.0

 キネ旬シアターの公開最終週に鑑賞。期待を上回る衝撃と感動を味わった。

 父親の起こした事故で頭にチタンを埋め込まれるというトラウマを抱えた少女、アレクシアの孤独な犯罪と、同じく子を失い、孤独な境遇
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.6

どうなっていくのかわからない展開や窓越しのふたりの対話の妙、また残酷シーンのゾクゾク加減(でも、個人的には結構平気でした。道具や手口は韓国ノワール並み。キム・ギドクっぽい鉄の道具への拘り?)で魅せる映>>続きを読む

私のはなし 部落のはなし(2022年製作の映画)

3.9

こんなに重いテーマを比較的若い監督が、こんなに丁寧な方法で映画化したということに驚きと敬意を感じます。私も知らなかった実態がしっかり記録されていて、ずっしりとこの、長い歴史をもつ差別の問題に、いまもこ>>続きを読む

マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.5

 ラジオなどで話題になっていたし、『東京クルド』や『牛久』なども観ていたのでちょっと期待して観に行った。商業映画としては画期的な設定だし、敢えて当事者に近いキャストなのも興味深いのだけど、映画としては>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.6

 モノクロの美しい映像で描かれる、叔父と甥っ子(くせ者)の慣れない、しばしの共同生活。と言っても、叔父の仕事に併せてアメリカ各地を移動したり、元々叔父はニューヨーク、甥っ子はロサンゼルス在住なのでその>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

3.9

 凄く巧い、とわかりながらもあまり乗れなかった前作『誰もがそれを知っている』に比べ、なんとなく身近に感じたテーマで観やすかった。ただ、ことの発端になる金貨の入ったカバンを拾うシーンもないから、主人公の>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

4.0

 公開から1ヶ月ほど経ってしまい、そろそろ終映に近づきつつあるなか、ギリで観てきたけれど、予想以上に面白かった。と、書き始めてから放置してしまい、その間にスミスのオスカーナイトでの失態と主演男優賞受賞>>続きを読む

チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

4.2

 ちょうどロシア界隈のLGBTQ狩りの話についての話が入った本を読んだところで、情報としてとても貴重だと思い、絶対に観ようと思っていた。

 まず、チェチェン共和国についての知識が乏しいので、いろいろ
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.8

 これ、ジャンル的には何になるのでしょうか。まぁ、ジャンル分けしなくてもよいのかもだけど。個人的には心理サスペンス的に感じました。とにかくカンバーバッチのフィルの尋常でない感じの悪さ。また、彼の秘めた>>続きを読む

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

4.1

冒頭からなんとも印象的なビジュアル(白い牛、刑務所の外観の、立体的な構図がわかりやすい絵。まるでアート)。陰鬱なストーリーのなか、この美意識が端々に見え隠れして、静かな映像に独特の緊張感を与えている。>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.6

 オリジナルはテレビ等で観たか、ほとんど覚えていないけれど、大体の筋は頭に入っている。だから、ストーリーを追うための労力は必要なかったのだけど、あっけない結末までの道のりがとてつもなく長く感じてしまっ>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.5

今ひとつわからない箇所が、たーくさんあったのだけど、セットや衣装の精巧さやギラギラじゃない豪華さの俳優陣、あとエキストラ的な人たちの面からして、まさに映画体験という尊さはあったように思う。3話目に挿入>>続きを読む

香川1区(2021年製作の映画)

4.1

 前作を観ながら図らずも泣いてしまったくらい、選挙戦というのはドラマティック。また、愚直で真っ直ぐな男性、その雰囲気によく似た家族(奥様、ふたりの若くて爽やかな娘さん)が助け合う様子、また、若々しく息>>続きを読む

声もなく(2020年製作の映画)

3.9

 最初にこのポスター見たとき、この紫とピンクの間のよな夕焼けの空の美しさにはっとして、また、ちょっとふつうに見えないユ・アインの風体も気になりすぎて……で、2日目にいそいそと鑑賞。結果、ノワールなのか>>続きを読む

こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

3.7

 昨年本国で大ヒットしたという本物の中国映画。大学で北京語をかじった私としては、所々わかる会話のニュアンスなどにうれしくなったけれど、ユーモア感覚などはなんというか、やはり独特というか、現代の日本から>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.4

あまり得意ではなかったと思っていた濱口作品ですが、これはかなり良かった。実験的でありながら普段着のリアルなドラマであり、その実験の部分の試み(会話、だと思う)が憎らしいほどそれぞれの役柄や人間関係、そ>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.6

2021年ラストの1本。期待していたのだけど、音楽や映像、スピーディーな展開は良かったけれど、肝心のテーマは粗っぽくて整理しきれていないように思えた。精神的な不安定さをいろんな意味で利用して、犯罪や無>>続きを読む

ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)

3.8

 あのふたりが出ている、日本でロケしてた、血生臭いノワールとなったらやはり初日に行かねば、と行ってきました。確か本国では昨年の作品かと。公開を指折り待っていました。

 一言で言えば安定感。死者数や血
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水俣曼荼羅(2020年製作の映画)

4.5

 今年中に観ようと決めていたので、それが果たせてよかった。『ニッポン国vs泉南石綿村』と構造はおなじように思うし、テーマもおなじだろうと思う。自らの落ち度ではないことが原因で命や体の自由を奪われた人々>>続きを読む

リスペクト(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 ただでさえ蔑まれていた黒人として生まれ、さらに女性であることで二重の蔑みをうけていた黒人女性という立場。有名な牧師の娘として生まれ、物質的には恵まれた暮らしを送っていたアリーサの少女時代。しかし、そ>>続きを読む

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(2020年製作の映画)

3.9

 とても面白く、思った以上に後味が重い。窃盗犯からFBIのイヌになった黒人青年が、ブラックパンサー党の若きカリスマ幹部に張り付き、スパイ行為をはたらく。自身も黒人で、公民権運動の激しい時期の話だけに、>>続きを読む

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)

-

 覚悟を決めて鑑賞。や、やはり辛さがハンパない。

 本当に酷い目に遭って、心身ともに壊れてしまうと、泣き喚くとかでなく、無表情になるのだなぁと。これだけ忠実に再現するチョン・ウヒ。凄い俳優だなと改め
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クローゼット(2020年製作の映画)

3.0

 短めでよかったと思える、平凡な作品。キャスト豪華なのに。

 ホラーに子どもを顧みなかった働きマンの父親への恨みと、父親の後悔などを裏テーマにしているのはよいけど(それもいまやありきたりだが)、他の
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ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.0

 4時間半、飲み物やチョコ、マフラーなどを用意して覚悟しての鑑賞。図書館の映画よりも長いけれど、市庁舎が舞台なだけに仕事や現場が多様で、普通に面白い。もちろん、所々眠くなったりするけど、それはそれで良>>続きを読む

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)

4.2

 ユン・ドンジュの映画、また金子文子と朴烈の映画、あと苦手だったけどえらく印象に残った『王の運命』の監督の作品。ソル・ギョングとピョン・ヨハン共演という新鮮さや、実在した、島流しになった丁若銓という高>>続きを読む

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(2021年製作の映画)

4.0

むちゃくちゃ感動した、というか、元気だせよ、と引っ叩かれたような感じ。映画館で観れてよかった〜。

背筋を伸ばし、ゆったりとして、毅然とした態度で、でも忍耐強く、賢く、勇敢で、恐れることなく挑戦し、闘
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東京自転車節(2021年製作の映画)

3.7

 発想や独自の撮影方法、無駄を省きながらも本人の人柄が滲み出る語り口など、良い点はたくさんある。ふつうなら単調で辛い場面の連続で見続けることが難しそうなのに、難なく最後まで楽しめたので。なのにぼんやり>>続きを読む

私は私を解雇しない(2020年製作の映画)

3.7

 コリアンシネマウィークでオンライン鑑賞。正直こんなに重い作品だとは……。でも、これは現実なのだと思うし、ここまで甘さを排して描くこと自体、かなりの覚悟があったのだと思う。重苦しいから、救いがないから>>続きを読む