イシダコさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

イシダコ

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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.5

激シブな仁義。ある種の任侠映画。『魂のゆくえ』より格段に良かった。俳優陣は適材適所でみな役にハマっている。VR的な効果すらもたらしていた、湾曲したショットの回想シーンも非常に独特な撮影で強く印象に残る

異端の純愛(2023年製作の映画)

2.5

第3話の終盤は『愛のコリーダ』やギドク映画のバイブスも若干ある。いちばん人気なさそうな第1話が意外と良かった。画的に遊び心と工夫のバランスがいい。低予算でもショットの構図はリッチなのが流石ベテラン

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

2.0

オールドスクール且つどストレートな作劇。捻くれた映画ファンよりも、意外と一般受けしそうな感の方が強い

苦い涙(2022年製作の映画)

4.5

同じ物事でも悲劇にもなれば喜劇にもなるということ。ファスビンダーのオリジナル(もちろん悲劇)と抱き合わせパックのワンセットとして捉えた。今回のオゾンによる喜劇の方が40分尺が短く、テンポよくサクサクと>>続きを読む

ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

5.0

すべての恋愛映画は、いや恋愛というもの自体が搾取と依存に基づいている。台風のなか観に行って余計に感情をぐちゃぐちゃにされた……

https://filmarks.com/movies/26231/r
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

映画はこうあるべきというオチの付け方。終盤の一連のアレ。ベンアフのしみじみとした味わい。良い意味で『グッド・ウィル・ハンティング』の頃と変わっていない役割。あと某名作オマージュ

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

なんて哀しくて寂しい語り口なんだ…… 観ていて『ザファ』の宮城ソータの台詞「めいっぱい平気なフリをする」が終始よぎった。明らかにメンタルの問題を抱えている父親がそれを一切表には出そうとせず、娘に決して>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.5

フィンチャー、キューブリック、アケルマン、ベルイマンを連想。ハイブロウでキレッキレ、精密且つ静謐。凄かっター。つまらない話でありながらも完成度の高い語り口がすべて。ここが妙に本作否定派の的確な感想とシ>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

1.0

伝えようとする姿勢が前面に出すぎていて劇伴のやかましさとか鬱陶しすぎるし、あれでロバの感情をわかった気になっているのは所詮人間のエゴでしかない。突発的な暴力やユペール様の美貌をはじめ、結局は人間パート>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

3.5

まるで男たち二人の一線を超えない態度をなぞるかのように、映画自体もそこのはっきりとした言及に決して踏み込んではこない機微。それだけに挿入歌の頻度と仰々しさはやや余計だった

幻滅(2021年製作の映画)

3.5

現代にも通じるシステムの腐敗を軸にして普遍的な栄枯盛衰を丹念に活写。枠に留まっている消化不良な部分もあれど、やはり幻滅が描かれる物語には魅了される。時代の寵児ともてはやされたドランがああいう役回りに立>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.0

これは泣く。正直、センス・オブ・ワンダーとしてはど頭から飛ばしてた2作目こそが最高傑作だと思うけど、今回はシリーズのフィナーレとしてクライマックスからエンディングにかけてがヤバかった(そこで+0.5)>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.0

2016年が舞台でありながら、スクリーンから漂ってくるのは明らかにゼロ年代前半臭。そこで時間が止まってしまっているかのようなアプローチがクズいダメ人間の物語にピタリとハマる。ちょうどその時期に観たジョ>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.0

型通りの物足りなさもあれど、予想以上の胸糞悪さで力作。アリ・アッバシの中では前二作『ボーダー』『マザーズ』よりも格段に完成度が高い。追う側の女性ジャーナリストに軸を置いているのかと思いきや、同等かもし>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.0

説明台詞のオンパレードも、テンポがいい劇伴の過剰さでやたら押し切っている感も、すべては主人公と同じく視覚障がいを持つ観客にも伝えるための配慮として受け取った(アルジェントの優しさ)。映画という視覚メデ>>続きを読む

いつか晴れた日に(1995年製作の映画)

3.0

天気のことを指していると思いきや、「いつか“気分が”晴れた日に」とも取れるダブルミーニングな邦題センスが良い。アン・リー作品に通底する“突然の別れ”という作家性はここでも顕著

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)

4.0

今回は傑作でしょ。アバンの嫌すぎる最高のオチで一気に持ってかれたし、トリロジーの三作目でここにきて新しい試みをしてくる大胆さも偉い。そして実際ちゃんとストーリーも良い。当初からこの完結篇を想定していた>>続きを読む

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.5

軸となる話の停滞が延々と続き、設定の仄めかしだけが進行していく。が、ようやく軌道に乗り上げたクライマックスからは、腐ってもフンジョンだけあって一応それなりに面白い。ジョンソクとチン・グだけはいつ何どき>>続きを読む

若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

3.5

カーウァイの中でもかなり変態的。手コキを題材に語られるメロドラマで、程よくチャヌク作品に近い味わいもある。が、このLong Versionは良くも悪くもダイレクトすぎる感じもあり、その意味では短編の尺>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

『ザ・ホエール』と同じく、ここにも重要な局面で嘘偽りなく本音で語ることの尊さが本質となって表れていた。王道且つ伝統的なアメリカ映画の作劇にして、しかしそういった典型的な類でも青臭くなく成立させてしまう>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.5

最小限の動きで最大級の豊かさを振りまいてくるブレンダン・フレイザーの名演。表情や言葉のひとつひとつに魅了され、オスカーの受賞にも当然すぎるほどの説得力がもたらされている。正直さこそを何よりもの美徳とす>>続きを読む

マネーボーイズ(2021年製作の映画)

4.5

売り専映画にハズレ無し。ハネケに師事していたというC.B. Yi監督らしいが、捨て画なしな構図の鬼ギメ具合に個人的にはニコフン味をちょっと感じた。あと序盤にだけあった暴力描写は、淡々と引きの画で見せ続>>続きを読む

オオカミ狩り(2022年製作の映画)

1.0

ソ・イングクに華あれど、キム・ホンソンに芸なし。しかもつまらすぎるだけに留まらず、明らかに一線を超えた重大な詐欺行為。ひさびさに低次元すぎる韓国映画に出くわして新鮮でした

ノーバディーズ・ヒーロー(2022年製作の映画)

3.5

これも『アイズ ワイド シャット』と同じく、やりたいのにことごとく邪魔が入って完遂しないブニュエルの系譜。『ジャンヌ・ディエルマン』的反復やショットも散見され、アケルマンからの影響もかなり感じられる。>>続きを読む

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)

5.0

シワンとソルグのケミに尽きる。ノワールの解体と脱構築を目指したうえでの前半の軽すぎるタッチとトーンは、正直まだまだ全然成功しきれていないところもあるんだけど、そんな細けえことなんかどうでもよくなるほど>>続きを読む

キル・ボクスン(2023年製作の映画)

4.0

韓国映画としてもアクション映画としてもひとつの到達点の域。レズビアン、シスターフッド、母娘の描き方も申し分なし。『ブリブリ』ごときにオスカーをやるならアカデミーはこっちもちゃんと注目しろよ、ノミネート>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.0

最初から最後までずーっとテンション低い感じだし、構成はいびつだし、アクションは編集に頼りすぎなんだけど、作家性だけはしっかりと刻印されているからそれで充分。毎回同じ話を語り直しているだけなのは巨匠の証>>続きを読む

青春弑恋/テロライザーズ(2021年製作の映画)

2.5

Z世代の青春群像劇を宣伝で謳っているわりには、『シャドウプレイ』を観たときにも感じたようなおっさん特有の古臭さやキモい固定観念が如実に表れていて、これ監督若くねーだろ? と観終わって調べたら51歳……>>続きを読む

ハンサン ―龍の出現―(2022年製作の映画)

2.0

MVPはキム・ソンギュ。ヨハンより受賞に値する日本語演技。イントネーションもほぼ完璧

オマージュ(2021年製作の映画)

3.5

とても繊細で慈しみ深い語り口。結末の描き方はもう少しパキッと明確な方がいいんじゃないかと思いつつ、でもあれぐらいの曖昧さを保っていた方が何回もの鑑賞には耐えられる気がする。イ・ジョンウンもクォン・ヘヒ>>続きを読む

ライク&シェア(2022年製作の映画)

4.0

グランプリはこれしかないだろうと思ったら案の定獲った。性的欲望の肯定と性的暴力の否定

黒の教育(2022年製作の映画)

4.5

ワンナイト物の小品としても監督デビュー作としても上々の成果。俳優陣も映像もスタイリッシュでルック良し、テンポも良し。ゴアメイクも力が入っている。クライマックスの修羅場的状況での絶叫、発せられる言葉ひと>>続きを読む

復讐の記憶(2022年製作の映画)

3.0

オリジナルの『手紙は憶えている』より断然面白い。増しに増された娯楽要素と慰安婦問題が絡んだ異様な作劇。大御所パク・クニョンを悪役のボスに配置しているのとか、新鮮味がかなりあって良かった。側近のユン・ジ>>続きを読む

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

3.0

話は不健全極まりなくて良かった。演出が無個性同然なのと演技が安っぽくて惜しい

逢びき(1945年製作の映画)

3.0

『別れる決心』参照元の一本ということで鑑賞。目に入ったゴミを取ってもらうというややチープな出会いのきっかけからしてディテールに抜かりがなく、細部までが豊かに描かれている。全く嘘臭さがなく物事のなりゆく>>続きを読む